先日開催されたアイリスオーヤマの2020年夏物家電の説明会の会場に、ドライヤーの新モデル「モイストプロドライヤー HDR-MC1」も展示されていました。同社は2017年にハンズフリーでも使える「置き型ドライヤー HDR-S1」を発売しているものの、実は、普通のドライヤーをリリースするのはこれが初めてのこと。2020年6月25日発売予定のモイストプロドライヤーを紹介します。
ドライヤー選びにおいて、髪を早く乾かせるよう風量も気にすべきポイントですが、毎日というほど使用するものなので、髪や頭皮にダメージを与えにくい温度帯で送風できる運転モードや、温度を自動調節する機能が備えられているほうがいいのは間違いありません。今回発表された「モイストプロドライヤー」もこの点にこだわっており、赤外線センサーが髪の表面温度と室温を測定し、たんぱく質が変性すると言われる60℃を超えないようにする「サーモセンサーテクノロジー」を搭載しています。この機能(サーモセンサー)をオンにしておけば、髪が濡れているなど表面温度が低い時はヒーターの出力を強く、表面温度が上昇傾向になってくるとヒーター出力を約半分に弱め、60℃以上になりそうなタイミングでヒーターをオフにするというように3段階に温風温度を自動でコントロール。これにより、温度制御のないドライヤーで乾かすよりも髪の水分比率は約16%多く保持されるといいます。
サイズは242(幅)×104(奥行)×230(高さ)mmで、重量は約700g。参考価格は16,800円(税別)
ブラック、ホワイト、ピンクの3色が用意されています
風が当たっている髪の温度を常に計測できるよう、ノーズ(鼻)の付け根に赤外線センサーを搭載
本体背面にあるサーモセンサーのスイッチをオンにすると、髪の表面温度が60℃以上にならないようにヒーター出力が自動制御されるようになります
サーモセンサーをオンにできるのは、風量がもっとも強い「TURBO」モードと弱めの風量の「SET」モードのみ。当然ながら、冷たい風を放出する「COLD」モードでは作動しません。なお、上部にある「COOL」ボタンを押せば、「TURBO」モードや「SET」モード選択時に冷風を放出させることができます
赤外線センサーで髪の表面温度や室温を検知するだけでなく、吹出口内部に搭載されている温風センサーも組み合わせて温風温度を正確にコントロールします
運転中の温風温度の変化は、本体サイドにあるサーモセンサーランプで確認可能。ヒーターの出力が強い状態はピンク、ヒーターの出力が弱くなると黄色、冷風運転になると青色に変わります
ただ、片側にだけにしかサーモセンサーランプは装備されていないので、写真のようにドライヤーを使っている時には温風温度制御の様子をランプで確認することはできません
サーモセンサーの働きにより、温風の温度がどれほど違ってくるのかをテストしてみました。髪は主にたんぱく質で構成されていることから、たんぱく質を多く含む卵白を代用します。モイストプロドライヤーを2台用意し、片方はサーモセンサーをオンに、もういっぽうはサーモセンサーをオフに設定して運転スタート。たんぱく質は60℃を超えると変性するため、卵白が凝固したら60℃以上に熱くなったということになります。
ブラックカラーのほうのみサーモセンサーをオンに設定。ビニール袋に入れた卵白に向けて「TURBO」モードで運転します(下の動画参照)
上の動画のとおり、サーモセンサーをオンにしたブラックカラーのほうは卵白にほぼ変化がないのに対し、サーモセンサーが作動していないピンクカラーのほうは凝固してしまいました。今回は卵白で検証していますが、髪も60℃以上に熱されるとたんぱく質が変性してしまうのは同じ。一度傷ついた髪は、生え変わるまでもとに戻ることはないといいます。スイッチを切り替えるだけなので、同じようにドライヤーを使うなら、サーモセンサーはオンにしておいたほうがいいでしょう。
サーモセンサーの有無による髪表面の温度変化をサーモグラフィーカメラで撮影したもの。温風温度がコントロールされないほうは、表面温度は80℃を超えています
サーモセンサーを作動させると髪や頭皮へのダメージは防げそうだけれど、その分、乾かすまでに時間がかかるのではないか? と懸念されるかもしれませんが、表面温度が上昇傾向にある状態、もしくは60℃以上になりそうな時以外は通常のモードで運転されます。それを証明するのが下の動画。濡れたタオルに向けて「TURBO」モードで運転してみると、サーモセンサーランプは15秒経過してもピンクのまま。ヒーターの出力は最大の状態で温風を放出し続けています。
いっぽう、同じくサーモセンサーをオンにし、「TURBO」モードで乾いたタオルに向けて運転してみると、下の動画のように早々にサーモセンサーランプが黄色になり、ヒーター出力がダウン。そして、冷風(青色)に切り替わりました。タオルの表面温度の変化に合わせ、適切に温風温度がコントロールされていることがわかります。濡れているほうが、表面温度は上昇しにくいもの。この検証のように、髪が濡れている時は温風は高めの温度がある程度続くので、サーモセンサーをオンにしても乾きにくくなる心配はなさそう。
また、温風を当てて乾かした髪は、仕上げに冷風運転を行うことでキューティクルが引き締まり、つやが出ると言われています。サーモセンサーテクノロジーは髪の表面温度に合わせて温風から冷風にも切り替わるので、熱のダメージから守るだけでなく、ケア効果も望めるのだとか。さらに、温風・冷風ともにマイナスイオンも放出されるようになっているので、静電気による髪の広がりを抑えながら乾かすことができます。
髪が乾いた状態で少し使ってみたところ、しっとりつややかになった印象。最大風量1.1m3/分で、最大消費電力1,200W
ハンドル部は折りたためるようになっているので、収納もそれほど場所をとりません
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいマス。