フィリップスと言えば、電動歯ブラシ「ソニッケアー」シリーズや男性用シェーバー、そしてむだ毛をケアする光美容器や美顔器、果ては睡眠サポート製品などで知られる世界的なヘルステックメーカー。
そんなフィリップスが、2021年春にとうとうヘアドライヤー「Hair dryer prestige(ヘアドライヤー プレステージ)BHD827/17」(以下、プレステージ)を発売しました。健康を最新技術でサポートするフィリップスのドライヤーとはどんなものなのか?実際に使ってレビューします。
プレステージはL字型のヘアドライヤー。サイズは100(幅)×135(奥行)×313(高さ)mmと標準的なサイズですが、重量は約700g。実際に使ってみると、ちょっとズシッと手に重さを感じます。いっぽう、標準的なドライヤーよりノズルが短いデザインを採用していることで、髪を乾かす時の取り回しは良好です。
本体色はシャンパンゴールド/ホワイト。短めのノズルで取り回ししやすいですが、そこそこ重量があるので長時間使用すると腕が疲れるのが難点です
ドライヤーの速乾性能に直結する風量は最大2.4m2/分。一般的に1.8m2/分以上あれば大風量と言われているので、プレステージはかなりの大風量と言えます。大風量で知られるダイソンの「Supersonic」と同等の風量スペック。実際に使用してみると、風の勢いがよく、髪をかき分けなくても地肌までしっかり風が届きます。
風速最大にしてノズルから10cmほど離した状態で風速をチェック。一般的なドライヤーだと風速が10m/秒を超えることがほとんどありませんが、本製品は風速約16m/秒と、なかなかの勢い。ちなみに、スペック上は同じ風量のダイソンの「Supersonic」は風速約22m/秒。実測では少々負けていますが、発売時の市場価格差を考えるとプレステージは非常にコストパフォーマンスがよいと感じます
湿ったロングヘアも飛び散るほどの風量で、最大パワーだとこの髪の長さでも5分ほどで乾きました。消費電力は最大1,200Wです
大風量など、ドライヤーとしての基本性能がしっかりしているプレステージですが、本製品最大の特徴とも言えるのが、「SenseIQ テクノロジー」と呼ばれる技術です。デジタル赤外線センサーが熱風をあてている髪の温度を1秒間に30回もチェックし、髪が高温になり過ぎないように送風温度をコントロールします。
出力1,200Wレベルのハイパワードライヤーは、使っているとヒーターが強すぎて髪が焦げたようなにおいがすることもあるのですが、SenseIQ使用時は熱ダメージを気にすることなく髪をドライできるので安心感があります。
フィリップスによると、髪は濡れている状態だと高温になりにくく、乾燥すると高温になりやすいのだそう。このため、SenseIQを使用すると髪が濡れている間は比較的高温の風で速乾性能を重視。髪が乾いてくると送風温度を下げて髪にダメージを与えにくくするといいます。SenseIQによって、速乾性とダメージケアを両立できるというわけです。
排気口上面にあるSenseIQのデジタル赤外線センサー部。ここから髪の毛に赤外線を照射し、髪の温度をリアルタイムにチェックしながら温度をコントロールします
なお、プレステージには、速乾(Fast)、ジェントル(Gentle)、マニュアル(Manual)、スタイル(Style)、カール(Curl)、スカルプ(Scalp)の6つの運転モードが用意されています。この中でマニュアルモードとスカルプモード以外はすべてSenseIQが自動的に適用されます。なお、スタイルとカール、スカルプモードは、付属品用の専用モードです。
写真の距離で、マニュアルモードで最大風速、最高温度設定で風を当てると、対象物の温度は70℃を超えます。しかし、SenseIQ使用時は同じ位置から熱風を当てても45℃前後にしかなりませんでした
本体背面、吸気側に風量と温度の設定ボタン、モード変更ボタン、電源スイッチなどを配置。写真はマニュアルモードで風量最大、高温モードにしたところ。吸気口のまわりに現在の運転モードなどが表示されてわかりやすいです
風が出る排気側。ハンドル部分には、スタイリングに便利なクールショットボタンを配置。ボタンを押している間だけ冷風モードになります
ちなみに、付属品を使わなくても利用できる速乾モードはSenseIQで温度を調整しながらも大風量で髪にダメージを与えず素早くドライ。いっぽう、ジェントルモードはSenseIQで温度を抑えつつ、風量も抑えて髪のうるおいを守りながらドライします。
ただし、このモードだと髪が乾くスピードはいまいち。最大パワーだと5分ほどで乾かせた髪の毛が、ジェントルモードだと倍以上の時間がかかりました。
フィリップスはSenseIQによるコントロールで、髪のうるおいを最大95%キープして美髪へと導くといいます。写真は左がマニュアルモード(風量・温度最大)で乾かした髪の毛で、右がSenseIQを使ったジェントルモードで乾燥させたもの。ジェントルモードは髪を乱さずドライするうえ、水分を奪い取りすぎないので髪のまとまりがよいのがわかります
プレステージは、標準付属するアタッチメントの豊富さも魅力的です。一般的なドライヤーに付属するアタッチメントは速乾ノズルくらいですが、プレステージにはドライ用ノズル、スタイリング用ノズル、スカルプケア用ノズル、カール用ノズルの4種類が標準付属します。このうち速乾ノズルのみが速乾、ジェントル、マニュアルモードのいずれにも利用可能で、残りのノズルは、本体に装着すると、ドライヤーが自動的に専用モードに切り替わります。
プレステージに標準付属するアタッチメント。左から、ドライ用ノズル、スタイリング用ノズル、スカルプケア用ノズル、カール用ノズル。付属品だけで意外とかさばるので収納場所はきちんと確保しておいたいところ
ノズルの装着は、ノズル側の切り欠き部分を上に向けてパチンと押し込むだけ。ドライ用ノズルは指がひっかかりにくく、外すのに少々手間取りました
筆者がプレステージを使用していて、特に気に入ったのがドライ用ノズルとスカルプケア用ノズルです。
ドライ用ノズルはその名の通り、髪を素早く乾かすためのノズル。プレステージ本体の送風口は直径4.5cmほどなのですが、ドライ用ノズルを装着することで送風口の直径が3.5cmほどに絞られて風の勢いを強くすることができます。
風速計で計ったところ、アタッチメントを装着することで約2〜3m2/分ほど風速がアップしており、風の力で髪をかき分けて地肌を乾かしてくれるパワーをより強く感じることができました。
ただし、風が当たるエリアは狭くなります。このため、筆者は地肌が乾くまではドライ用ノズルを装着。髪の根元が一定以上乾いたら、アタッチメントを外して髪全体をドライしていました。
ドライ用ノズルを装着して乾燥しているところ。風の勢いが強く、風がしっかり地肌が見えるまで髪をかき分けています
もうひとつのお気に入りがスカルプケア用ノズル。こちらはノズル先がシリコン製の突起になっており、使用すると温風で頭を温めつつ突起が振動する仕組み。突起を頭皮に当てて動かすことで、温感機能搭載のポータブルマッサージ器のように利用できます。
気になる振動の強さは、マッサージ専用機ほど強くはありませんが、アタッチメントをギュッと頭皮に押し当てるとなかなか癖になるレベルの刺激が味わえます。また、しっかりとケアをすると、頭が軽くなるようなスッキリ感が味わえたほか、なんとなく顔のたるみにも効いているような気がしました。
スカルプケア用ノズルは、頭皮のマッサージが楽しめるというほかのドライヤーにはない斬新な機能
ドライヤーに標準付属されることが少ないカール用ノズル(ディフューザー)も付属。カップの中に髪を巻いた状態で置いて使用することで、カールを維持したまま髪を乾かせます。あくまでもパーマなどで作った巻きを維持するための付属品で、このノズルで髪が巻けるわけではありません
ここまでプレステージのいろいろな機能について書きましたが、実は筆者がドライヤーに一番優先して求めているのは風量。筆者はロングヘアなので、風量の少ないドライヤーではなかなか髪の毛が乾きません。いくら美髪に導くドライヤーでも、毎日の乾燥に時間がかかりすぎるとめんどうで使用しなくなってしまいます。
しかし、プレステージは最大風量2.4m2/分と非常にパワフルで、風の力であっという間に髪を乾かしてくれます。この基本性能の高さに加えて、フィリップスならではの最先端技術であるSenseIQを搭載。適当にドライヤーを使っても髪にダメージを与えないという安心感がプラスされました。
さらに、豊富な付属品で髪を乾かすだけではなく、頭皮ケアまでできる多機能さ。毎日使用するには少々重い点は少々気になりますが、機能を考えればかなりコストパフォーマンスのよい製品だと感じます。
パソコン雑誌編集者からドッグカフェオーナーという、異色の経歴を経た家電ライター。家電を活用することで、いかに家事の手を抜くかに日々頭を悩ませている。