レビュー
モニタリングセンサーや管理アプリの実用度は?

"空気の見える化"に対応したシャープ・パナソニック・ダイソンの空気清浄機を比べてみた

"空気の見える化"に対応したシャープ・パナソニック・ダイソンの空気清浄機を比べてみた

エアコン、洗濯機に冷蔵庫など"白物家電"が絶好調だ。日本電機工業会(JEMA)が6月21日に発表した「民生用電気機器 2021年5月度 国内出荷実績」によれば、民生用電気機器の2021年5月度の国内出荷金額は2,130億円、前年同月比109.5%と8か月連続の伸びを記録している。

なかでも好調なのが「空気清浄機」。2021年5月の出荷台数は前年比137.4%の143千台、なんと14か月連続のプラスで5月単月としては過去最高だという。言わずもがな、コロナ禍にあっての清潔衛生意識の変化が大きく作用しているのだろう。

その空気清浄機、家庭に導入すると効果を実感できるものの、なにかが足りない。そう、客観的なデータだ。搭載されたセンサーで空気の汚れを感知し自動運転してくれても、どういった成分が影響したのか、その濃度はどのように変化したのかがわからないことには、空気は澄んでも心にモヤが残ってしまう。

今回、空気清浄機3製品をピックアップ、「センサーと管理ツールとしてのアプリ」に絞り検証した。設置場所は約12畳のリビング、梅雨真っただ中という時期だけに花粉除去・加湿機能は検証していないが、空気清浄機における"結果の可視化"の重要性が読み取れるはずだ。

1. シャープ「KI-NX75」

シャープ「KI-NX75」

シャープ「KI-NX75」

独自の空気浄化技術「プラズマクラスター」を掲げるシャープの加湿空気清浄機。本機にはイオン濃度25,000/cm³の「プラズマクラスター25000」を採用、880mL/hという業界トップクラスの加湿機能に加え、室内の状態を音声で伝える「ココロエンジン」を装備することが特徴だ。

筐体は400(幅)×359(奥行)×693(高さ)mm/約12kg、カラーバリエーションはホワイト系とBrown系の2色展開。プラズマクラスター(空気清浄)適用床面積は21畳で最大風量は7.5m³/分と空気清浄機としての基礎体力は十分だ。ホコリ/ニオイ/湿度/温度/照度センサーを搭載、Wi-Fiおよびクラウドサービス「COCORO AIR」のサポートにより、外出先から各種操作や空気の状態をチェックすることができる。

電源投入後最初に気付いたのは、本機は「声を出す」ということ。センサーが空気の汚れを検知した時には「汚れを検知しました、キレイにしますね」などと声をあげ、間もなくファンが回転を始める。照度センサーを利用して室内の明るさを判断し、暗い場合には声を出さないしくみだが(風量を「おやすみ」にしている時も同様)、音量は初期値の「中」では大きめなので「小」に変更しておいたほうが驚かずに済む。

空気の状態に反応してLEDの色が変わる

空気の状態に反応してLEDの色が変わる

アプリ「COCORO AIR」をダウンロードして画面の指示に従いセットアップを完了すると、以降センサーが感知した情報は「PM2.5」と「ニオイ」、「ホコリ」、「温湿度」、それらをまとめた「総合キレイ度」の項目ごとに蓄積されていく。グラフを見れば、どのような空気の汚れが発生してどの程度の時間でキレイになったのか一目瞭然、空気清浄機の効果を実感できる。

アプリを使えば自宅はもちろん外出先から空気の確認や機能のオン/オフ、フィルターなど消耗品の状態確認もできるので、空気清浄機としての満足度は大きく変わる。屋外・室内両方の空気情報を考慮して最適な運転を行う「おうちフィット」、犬・猫専用の運転モードといった本機独自の機能もアプリなしには利用できないので、本機に関していえばアプリ導入は"マスト"と言っていいだろう。

肉料理を作りはじめたあたりからKI-NX75が反応、アプリではPM2.5とニオイの項目が反応した

肉料理を作りはじめたあたりからKI-NX75が反応、アプリではPM2.5とニオイの項目が反応した

アプリの空気情報履歴からは、空気の汚れときれいにした空気量の相関関係を読み取れる

アプリの空気情報履歴からは、空気の汚れときれいにした空気量の相関関係を読み取れる

2. パナソニック「F-VXT90」

パナソニック「F-VXT90」

パナソニック「F-VXT90」

パナソニックの「F-VXT90」は、独自の気流とイオンテクノロジー(ナノイー)を利用した、花粉撃退とパワフルな加湿が売りの加湿空気清浄機。木目調とホワイトの2色のカラバリがラインアップされており、今回使用したのは木目調となる。スクエアなフォルムに木目をあしらったデザインには落ち着きがあり、遠目にはワインセラーか冷蔵庫という印象だ。

筐体は398(幅)×287(奥行)×640(高さ)mm/約11.7kg、高さはあるがスリムで場所をとらない。空気清浄適用床面積は40畳と広大で、最大風量も8.7m³/分とパワフル。搭載するセンサーはホコリ(粒径検知)/ニオイ/湿度/ヒト/照度の5種類、Club Panasonicのユーザ登録と「ミルエア」アプリのセットアップが済めば、遠隔からの運転オン/オフや空気の状態チェックを行うことができる。

電源を入れると、動作音がほとんど気にならない。カタログスペックでは18dB(東日本/50Hz、静音設定時)とのことで、寝息より静かなくらいだ。といっても、近くでアルコール成分入りの消毒液を使うとたちまち反応、フルパワーに近い勢いで送風し始めるから(これはほかの空気清浄機も同じ)、内蔵のセンサーはしっかり動作していることがわかる。

「ミルエア」アプリを導入するメリットは大きく3つ、電源オン/オフなど遠隔操作と空気の状態チェック、そしてアプリ専用運転モードが利用可能になること。花粉やハウスダストなど気になる項目を選び自分好みの空気を作る「わたし流」と、留守中にかぎりホコリをとる(人を感知すると停止する)「留守そうじ」の2つの運転モードは、アプリからでないと指示できないのだ。

本体の操作パネル。「わたし流」などのアプリ専用運転モードは、ここからは指示できない

本体の操作パネル。「わたし流」などのアプリ専用運転モードは、ここからは指示できない

この「わたし流」、花粉は気にするか、PM2.5は気にするか、といった質問に「気にする」と「どちらでもない」、「気にしない」という3つの選択肢から答えていけば簡単に作成できる。作成すれば後は運転開始時に選ぶだけ、もちろん外出先から指示できるので、帰りの電車の中でオンにして家に着いたらいつものキレイな空気、という使いかたが可能になる。派手さはないが、日々使うにはありがたい機能だ。

アプリの指示に従い「わたし流」を作成

アプリの指示に従い「わたし流」を作成

PM2.5などの正確な検出値は表示されないが、ざっくりした推移はわかりやすい

PM2.5などの正確な検出値は表示されないが、ざっくりした推移はわかりやすい

3. ダイソン「Dyson Purifier Cool TP07WS」

ダイソン「Dyson Purifier Cool TP07WS」

ダイソン「Dyson Purifier Cool TP07WS」

空気清浄機と扇風機の1台2役という欲張りな製品が「Dyson Purifier Cool 空気清浄ファン」。ダイソンの名を一躍高めた羽根のない扇風機に空気清浄機能をアドオンしたもの、と言い換えればわかりやすいだろうか。なお、姉妹機にはヒーターの機能を備えた「Dyson Purifier Hot+Cool 空気清浄ファンヒーター」もあるから、予算と用途に応じて選べばいい。

筐体は220(幅)×220(奥行き)×1,050(高さ)mm/約4.99kgと細長く、場所をとらない。カラーバリエーションは、ホワイト/シルバーとシルバー/ブルーの全2色。空気清浄適用床面積は8畳とややパワーに乏しいが、最大350度に調整できる首振りや送風方向の反転(背面/壁方向へ送風すれば体に風を当てずに済む)など、扇風機としての機能を重視するなら唯一無二の存在といえる。

アプリには空気清浄機能付きダイソン製品共用の「Dyson Link」を利用する。画面の指示に従って作業するところは他社製品と同じだが、Wi-Fiが2.4GHz/5GHz両対応のためセットアップの際に迷わない。SiriとAlexaに対応した音声コントロールが可能なことも、ほかの空気清浄機にはないところだ。

搭載するセンサーは公表されていないが、アプリには「空気質」と「PM2.5」、「PM10」、「VOC」、「NO2」、「温度」に「湿度」があるため、ホコリとニオイ、温度と湿度、そして二酸化窒素のセンサーが搭載されていると推定される。いっぽう、照度センサーと人感センサーは搭載されていないようで、部屋の明るさや周囲の動きに反応する機能は見当たらない。

本体前面にも空気の状態を知らせるディスプレイが配置される

本体前面にも空気の状態を知らせるディスプレイが配置される

なお、先に紹介した2製品と比べると、空気の汚れが感知されてから除去されるまでの時間がかかる印象は否めない。8畳という空気清浄適用床面積からしても、ドアをひんぱんに開閉する約12畳の部屋で使うにはやや荷が重かった印象。扇風機としての用途を考えても、リビングよりは勉強部屋など個室向けの製品といえそうだ。

「Dyson Link」アプリから風量や首振り範囲などを指示できる

「Dyson Link」アプリから風量や首振り範囲などを指示できる

PM2.5やVOC、NO2などの値をモニターできる

PM2.5やVOC、NO2などの値をモニターできる

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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