価格.com 家電トレンド研究所

加湿器の圧倒的人気は象印のスチーム式! 雑菌放出のリスクから超音波式の人気は低迷

長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。

第2回は、空気が乾燥する冬の季節に欠かせないアイテム「加湿器」について、最新トレンドを紹介しよう。

価格.comで人気の加湿方式は「スチーム式」次いで「温風気化式」「気化式」

空気が乾燥してくるこれからの時期に活躍する家電製品といえば、やはり「加湿器」だろう。空気中に気化された水を放出し、部屋の空気を潤す加湿器は、乾燥が原因で起こりやすいとされる風邪の予防や、インフルエンザなどのウイルスの不活性化、肌の乾燥予防といった目的で購入されることが多い製品だ。価格.comの「加湿器」カテゴリーの閲覧者数推移を見ると、例年、空気が乾燥してくる10月くらいから注目が集まり始め、1月くらいまではピークが続くことが多い(図1)。

【図1】価格.com「加湿器」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)

【図1】価格.com「加湿器」カテゴリーの閲覧者数推移(過去3年)

そんな加湿器には、大きく分けると、3種類の加湿方式が存在する。ひとつは、お湯を沸かす電気ポットと同じ原理で蒸気を噴出する「スチーム式」。もうひとつは、水分を含んだ加湿フィルターに風を当てて水分を気化させる「気化式」。そして最後は、超音波で水分子を振動させ、ミスト状態にして放出する「超音波式」だ。それぞれの方式には、それぞれメリット・デメリットがあるので、一概にどれがすぐれているとは言いがたいのだが、時期によってもトレンドは変化してきた。

最初のスチーム式は、水を煮沸するだけという構造のシンプルさに加えて、水の中の雑菌が繁殖しづらいため、出てくる水蒸気がクリーンであるというメリットを持つ。ただし、電気代が高めなのがデメリットだ。

次の気化式は、ファンで風を発生させ、加湿フィルターに当てて気化させるという方式なので、電気代があまりかからないのがメリット。ファンを使うため、比較的広い部屋でも加湿しやすいのもメリットだ。ただ、加湿フィルターは水に濡れたタオルのようなものなので、雑菌が繁殖しやすいのがデメリット。こまめなお手入れは必須となるので、そこは注意したい。なお、このデメリットをある程度補うために、ヒーターで風を温め、温風をフィルターに当てる「温風気化式(気化式ハイブリッド)」という方式も存在する。

最後の超音波式は、一見、スチーム式と似ているが、水を温めずそのままミストにするという方式のため、スチーム式と違って水の中の雑菌をそのまま放出してしまうリスクが最も高い。超音波の発生ユニットを取り付ければいいだけなので、ボディを小型化しやすく、おしゃれなデザインの製品も多いが、雑菌放出のリスクが広く知れ渡るようになるにつれ、人気が下がっていき、今や、価格.com上でも、製品自体を見かけることが少なくなった。

以上のことから、最近のトレンドとしては、最後の超音波式を除く、スチーム式、気化式のいずれかを選択する人が多いわけだが、メーカーによって、製造している方式が異なる点は知っていたほうがいいだろう。

まず、最初にあげたスチーム式を製造しているメーカーの筆頭は、象印だ。長年、電気ポットも製造している象印は、そのノウハウをそのまま加湿器に応用できるのがメリット。電気ポットづくりで培った、転倒時の湯もれ防止機能やオフタイマー機能などもしっかり搭載している。

次に気化式だが、こちらの製造メーカーは幅広く、代表的なところでは、パナソニック、シャープ、ダイニチなどがあげられる。さらに細かく見ていくと、パナソニックは気化式のみを採用しており、ダイニチは温風気化式、シャープはその両方を製造しているといった違いがある。

【図2】価格.com「加湿器」カテゴリーにおける主要5社の閲覧者数推移(過去1年)

【図2】価格.com「加湿器」カテゴリーにおける主要5社の閲覧者数推移(過去1年)

図2は、価格.comの「加湿器」カテゴリーにおける主要5メーカーの閲覧者数推移を示したもの。これを見ると、スチーム式を採用する象印がいちばん人気で、ダイニチ、シャープ、パナソニックといった気化式を採用するメーカーが2位グループを形成していることがわかる。このほか、スチーム式と超音波式の両方を手がけるYAMAZEN(山善)が5位以内に入っているが、同社の製品でも最近の人気はスチーム式なので、総合的に見ると、象印とYAMAZENが採用するスチーム式がいちばん人気で、次いでダイニチとシャープが手がける温風気化式、3番手にパナソニックが手がける気化式という人気順となっている。

【図3】価格.com「加湿器」カテゴリーにおける人気5モデルの閲覧者数推移(過去3か月)

【図3】価格.com「加湿器」カテゴリーにおける人気5モデルの閲覧者数推移(過去3か月)

さらに、直近における人気モデル・上位5製品の閲覧者数推移を表したのが図3だ。こちらを見ると、売れ筋ランキングの上位では、象印の製品が非常に強く、5モデル中3モデルが象印のスチーム式加湿器で占められている。そのほかでは、パナソニックの気化式モデルと、シャープの温風気化式モデルがランクイン。少なくとも、価格.com上では、スチーム式の象印の一強状態が続いており、気化式・温風気化式を採用する、パナソニック、シャープ、ダイニチの2位グループがこれを追う展開となっている。

コレ買っときゃ間違いない! 価格.com編集長が今注目する加湿器5選

※最安価格とユーザー評価は、いずれも2022年11月1日時点のものです。

象印「EE-DC50-WA」

象印「EE-DC50-WA」

価格.com最安価格:15,900円
発売日:2021年9月1日
ユーザー評価:★3.92(24人)

人気の象印のスチーム式加湿器。スチーム式ならではのクリーン性と、電気ポット然とした円筒形のコロンとしたデザイン、お手入れのしやすさなどで高い人気を誇る。構造自体がまさに電気ポットと同じで、100℃に沸騰させたお湯を65℃まで冷ましてスチームとして放出する。熱い蒸気が出る点は注意が必要だが、転倒湯もれ防止機能やチャイルドロックなどはしっかり完備。フィルター不要で、時々カルキ取りのためのポット内清掃を行うだけと、お手入れも簡単だ。最大加湿量は480mL/hで、対応畳数は和室8畳/洋室13畳。なお、ボディカラーがグレーの「EE-DC50-HA」も同様に人気だ。

シャープ「HV-P55-W」

シャープ「HV-P55-W」

価格.com最安価格:13,176円
発売日:2021年9月16日
ユーザー評価:★4.00(2人)

シャープの温風気化式加湿器。給水の方法が特徴的で、下部の給水トレーを取り外して行う一般的な方法のほか、上の給水口から水を注ぐ方法にも対応しており、給水しやすいのがメリット。給水トレーの中に取り付けて使うAg+イオンカートリッジが付属するほか、加湿フィルターを温風乾燥する乾燥機能も搭載するなど、気化式のデメリットである雑菌問題への取り組みも進んでいる。また、シャープが推進するプラズマクラスター機能を搭載しており、空気清浄機能もプラスされているのも特徴だ。最大加湿量は550mL/hで、対応畳数は和室9畳/洋室15畳。2022年モデルの「HV-R55-W」も発売されているが、現状1万円程度の価格差があるため、安く手に入れるならこちら。

パナソニック「FE-KXU07-W」

パナソニック「FE-KXU07-W」

価格.com最安価格:20,930円
発売日:2021年9月21日
ユーザー評価:★4.56(9人)

パナソニックの気化式加湿器。ヒーターレスなので、電気代が安く済む点が本機の大きなメリット。気化式で問題になりやすい雑菌対策としては、加湿トレーにイオン除菌ユニットを装備するほか、パナソニック独自の「ナノイーイオン」を運転停止中に加湿フィルターに充満させる「フィルター清潔モード」を搭載する。加湿にナノイーイオンをプラスすることで、肌の水分量をアップさせる効果もあるという。また、ファンを動作させる駆動部にはDCモーターを採用。乾燥しているときは高速にファンを回転させて素早く加湿を行う「お急ぎモード」や、わずか15dBの静音で動作する「おやすみモード」も備える。最大加湿量は800mL/hで、対応畳数は和室12畳/洋室19畳。

ダイニチ「HD-LX1221(W)」

ダイニチ「HD-LX1221(W)」

価格.com最安価格:31,800円
発売日:2021年8月2日
ユーザー評価:★4.83(11人)

温風気化式を採用するダイニチの大加湿量モデル。最大加湿量は1,200mL/hで、7Lの水タンクを装備。対応畳数は和室20畳/洋室33畳と、かなり広い部屋でもこれ1台で対応できる。温風気化式を採用するため、加湿スピードが速く、大きめの部屋でも素早く加湿できるのが特徴。その分、電気代はやや高めだ。また、気化式で問題になりやすい雑菌対策としては、水タンクのキャップ部分に「Ag+抗菌アタッチメントEX」を搭載するほか、トレイや加湿フィルターには抗菌加工を施している。さらに、スマートフォンとの連携機能も搭載しており、スマートフォンからの遠隔操作も可能だ。最小13dBという静音運転も搭載する。なお、2022年モデルの「HD-LX1222(W)」も発売されているが、現時点の価格は「HD-LX1221(W)」より約5,000円高い。

YAMAZEN「Steam CUBE MAG KS-J242」

YAMAZEN「Steam CUBE MAG KS-J242」

価格.com最安価格:8,115円
発売日:2021年10月13日
ユーザー評価:★4.71(3人)

YAMAZENの手がけるスチーム式加湿器。幅195×奥行200×高さ285mmというコンパクトサイズで、ほとんど操作系のないミニマルデザインともあいまって、テーブルの上などでも設置しやすいのが特徴。その分、機能は省いており、加湿量約300mL/hの標準運転と、約500mL/hのパワフル運転の2モードでの動作となる。水タンクの容量が2.4Lと小さいため、パワフル運転にすると約5時間しか加湿できない点は注意。対応畳数は和室8.5畳/洋室14畳と、リビングというよりは個室や寝室向けの製品だ。

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鎌田 剛(編集部)

鎌田 剛(編集部)

価格.comの編集統括を務める総編集長。パソコン、家電、業界動向など、全般に詳しい。人呼んで「価格.comのご意見番」。自称「イタリア人」。

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