長年家電業界を見てきた価格.com編集長が、価格.comが保有するさまざまなデータと、自身の知識・経験をベースに、家電製品の最新トレンドを解説。今押さえておくべき機能やスペックを紹介しつつ、コスパ、性能、ユーザー評価などの観点から、今買って間違いなしの製品を厳選して紹介する。
第23回は、コロナ禍の巣ごもり需要で人気が拡大したコーヒーメーカーの最新トレンドについて解説する。
【図1】価格.com「コーヒーメーカー」カテゴリーの閲覧者数推移(過去2年)
コーヒーメーカーは、コロナ禍の3年間で需要が拡大したジャンルである。外出自粛が叫ばれるようになり、在宅での仕事や授業が増えたことで、元々コーヒーをよく飲んでいた人たちが、家でも美味しいコーヒーを飲みたいと思ったことが大きなきっかけとなって、特に本格的な高価格帯のコーヒーメーカーの需要が伸びた。そして、そのトレンドは今もそれほど変わっていない。図1は、価格.com「コーヒーメーカー」カテゴリーの、過去2年の閲覧者数推移を示したものだが、この2年はほぼ横ばいで推移しており、底堅い需要が見て取れる。例年、気温がグッと下がり始める11月くらいから需要が増加し、年末年始を挟んで2月いっぱいくらいまで需要が高めに推移している。
【図2】価格.com「コーヒーメーカー」カテゴリーにおける、主要5メーカーの閲覧者数推移(過去2年)
図2は、価格.com「コーヒーメーカー」カテゴリーにおける主要5メーカーの閲覧者数推移を示したもの。これを見ると、イタリアに本拠を置く高級機メーカー、デロンギが圧倒的な人気となっており、そのほかのメーカーを大きく突き放していることがわかる。もちろん、このデータは閲覧者数の推移なので、販売シェアとは別ものであるが、それにしても、これだけデロンギの人気が高いというのは驚きであり、これだけを見ても、コロナ禍に始まったコーヒーメーカーの需要が、主に高級機のほうに向いているということがわかるだろう。ちなみに、デロンギの閲覧者数が2022年11月に急増しているが、こちらは同年9月に発売された「マグニフィカ イーヴォ ECAM29081TB」の人気急上昇によるところが大きい。ただ、その後も安定して高い人気が続いているのは、エントリーモデルの「マグニフィカS ECAM23120 N」の人気が今年に入って上昇するなど、複合的な要因がからみ合っている。
なお、トップのデロンギを除くと、ネスレ、パナソニック、メリタ、象印、タイガーといった、比較的低価格のコーヒーメーカーを販売するメーカーが2位グループを形成している。その中で、ここ最近急激にツインバードの閲覧者数が急増しているが、これは主に同社の「CM-D457B」がテレビのランキング番組で紹介されたことが大きく影響しているものだ。コーヒーメーカーの市場自体はそれほど大きくはないので、こうしたメディアでの紹介などによって、人気が大きく上下することも多い。この点は、少し頭に入れておいたほうがよさそうだ。
【図3】価格.com「コーヒーメーカー」カテゴリーにおける、人気5製品の閲覧者数推移(過去1年)
では、価格.comで今比較的売れている人気の製品はどんな顔ぶれなのだろうか。図3は、価格.com「コーヒーメーカー」カテゴリーにおける、人気5製品の閲覧者数推移を示したものだが、比較的安定した人気を保っているのは、パナソニックの全自動マシン「NC-A57」と、デロンギの全自動マシンのエントリーモデル「マグニフィカS ECAM23120 N」であることがわかる。価格的には「NC-A57」が18,000円台、「マグニフィカS」が62,000円台とかなりの開きがあるが、いずれも人気モデルだ。
そのほかのモデルでは、前述したツインバードの「CM-D457B」と、その大容量モデルである「CM-D465B」が、直近では人気が高い。販売価格はそれぞれ35,000円台、40,000円台となっており、全自動コーヒーメーカーとしては中価格帯に当たる。補足して説明すると、この2モデルは、グラインダーに高級モデルに使われる「低速臼式フラットミル」を採用しているのが特徴。そのことを考慮すると、かなりコスパの高い製品と言える。
そのほか、ネスレの「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ 50 HPM9639」が入っているが、こちらはほかのモデルとはかなり毛色の異なる製品で、同社のソリュブルコーヒー専用のコーヒーメーカーだ。販売価格も8,000円と手ごろで、扱いも簡単なので、コーヒーメーカー初心者などを中心に一定の人気がある。
【図4】価格.com「コーヒーメーカー」カテゴリーにおける、人気5製品の最安価格推移(過去1年)
このように、人気モデルの顔ぶれを見ても、かなり指向性が異なることがわかる。強いて言えば、豆から挽く全自動タイプの製品が人気の中心と言えるが、図4を見てもわかるように、その販売価格はまちまち。ネスレの製品を除く上記4モデルに限って見ても、最もシンプルな構造のパナソニック「NC-A57」が2万円以下で、ツインバードの2モデルが4万円前後、デロンギの「マグニフィカS ECAM23120 N」が6万円超と、かなりの開きがある。もちろん、それぞれ特徴が異なるので、購入の際には、それぞれの製品の特徴をしっかり理解したうえで、間違いのない選択をしていただきたい。
※最安価格とユーザー評価は、いずれも2023年10月3日 時点のものです。
価格.com最安価格:62,501円
発売日:2016年10月20日発売
ユーザー評価:★4.67(660人)
イタリアの老舗ブランド「デロンギ」が販売する、エントリー向けの全自動エスプレッソマシン。2016年の発売ながら、今も絶大な人気を誇るベストセラーモデルだ。エントリーモデルながらも、コーヒー豆の風味を損なわない低速回転コーン(コニカル)式グラインダーを採用するほか、最大9気圧の高圧力で一気に抽出することで、珠玉のエスプレッソを全自動で完成させられるのが魅力。カプチーノを作るのに必須のミルクフロッサーもさすがの出来で、さまざまなカフェを自宅で味わえる。なお、エスプレッソメニューだけでなく、レギュラーコーヒーの「ロングコーヒー」や、エスプレッソの旨味とドリップのすっきりした後味を融合した「カフェジャポーネ」も作ることができる。
価格.com最安価格:35,600円
発売日:2018年10月発売
ユーザー評価:★4.31(26人)
新潟に本拠を置く総合家電メーカー、ツインバード工業が販売する上級コーヒーメーカー。3万円台で購入可能な価格ながら、高級機にしか搭載されないような「低速臼式フラットミル」を採用。上級機ばりの豊かな風味を実現するという。さらに、豆の挽き具合は粗・中・細の3段階で調整可能。お湯の抽出温度も83度と90度の2段階で調整でき、さまざまに設定をいじれるのも楽しい。バッハ・コーヒー代表の田口護氏による監修で、豆量・粒度・水量・湯温・蒸らし時間・ドリッパーリブの高さなど、こだわりの詰まった設計となっている。
価格.com最安価格:18,150円
発売日:2018年9月1日発売
ユーザー評価:★4.36(105人)
パナソニックが現状唯一販売する全自動コーヒーメーカー。2018年の発売から長く人気を維持しているベストセラーモデルだ。構造自体はシンプルだが、活性炭フィルターを使った浄水機能やマイコン制御の抽出プログラムなどによって、美味しいコーヒーを簡単に淹れられると評判だ。付属する2種類のフィルターで豆を挽き分けでき、「リッチ」「マイルド」の2種類のコースで淹れ分けできるので、計4種類の味わいが楽しめる。デカフェ豆に最適化されたデカフェコースも搭載。
価格.com最安価格:29,800円
発売日:2022年11月1日発売
ユーザー評価:★5.00(2人)
業務用コーヒーメーカーなども手掛けるメリタの家庭用全自動コーヒーメーカー。3万円程度で購入できる価格ながら、高級機に採用されるコニカル式ミルや自動式ホッパーを採用。コーヒーを知り尽くした同社ならではの「メリタゴールドスタンダード」という基準を設け、お湯のバランスや抽出温度、抽出時間などにこだわり、コーヒーの繊細さと立体的な美味しさを引き出しているという。豆の挽き具合は3段階で調整可能。濃度も3段階で調整できる。また、タイマー機能も搭載しており、朝起きる時間にセットすれば、目覚めの一杯を手軽に楽しめる。
価格.com最安価格:8,037円
発売日:2021年3月1日発売
ユーザー評価:★4.31(5人)
ネスレが展開するソリュブルコーヒー専用のコーヒーメーカー。普通にカップに湯を注いで作るよりも香りが高く美味しいコーヒーが手軽に楽しめるという。その大きなポイントは、上質なクレマ(泡)が美味しさをしっかり閉じ込めるから。本モデルでは、そのクレマを利用したエスプレッソやカプチーノなど6種類のコーヒーをワンタッチで作ることが可能。さらにスマートフォンで使える「ネスカフェアプリ」を使えば、濃さや泡立ちを自由にアレンジできる。用意されるソリュブルコーヒーは全部で6種類。
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