二酸化炭素などの温室効果ガス増加により深刻化する地球温暖化は、私たちの暮らしにも大きな影響を与えています。政府は、2030年までに温室効果ガスを2013年度と比較して46%減らす目標を掲げており(※1)、照明に関しては、2030年までに国内のすべての照明器具がLED照明器具に置き換わると、消費電力量が約60%(2013年度比較)削減できるという試算が出ています(※2)。
家庭の電気使用量は、冷蔵庫、エアコンに次いで3番目に多いのが照明器具。LED照明は、ほぼ同じ明るさの従来の照明と比べて消費電力が大幅ダウンしているため、古い照明から LED照明に交換することで、省エネにも貢献できます。ここでは、地球環境にも家計にもやさしいLED電球・LED蛍光灯の上手な選び方を紹介します。
※1 一般財団法人家電製品協会「省エネ家電deスマートライフ」
※2 一般社団法人日本照明工業会「照明成長戦略Lighting Vision2030 〜あかり文化の向上と地球環境への貢献〜」
照明の省エネ・節電には、LED化が不可欠。2010年ごろから普及し始めたLEDは、近年ますます省エネ性能が進化し、電気代もお得になっています。
LEDとは「Light Emitting Diode」の頭文字で、日本語では「発光ダイオード」を意味します。LEDは2種類の半導体を接合した構造で、電気を直接光に変換するため、エネルギーをむだにせず効率よく発光させることができます。電球形LEDランプは、電球形蛍光ランプの技術をベースとして、ランプの部分をLEDにした製品。白熱灯や蛍光灯に比べて消費電力が少なく寿命も長いため、省エネや資源節約にも有効で、地球温暖化対策にも重要な役割を果たしています。
LED照明は、従来のほぼ同じ明るさの照明と比べて消費電力が大幅にダウンするうえ、光源寿命が約40,000時間(※3)と長いことが特徴です。
※3 ランプの寿命は製品により異なります。また、使用環境や条件によってばらつきが発生します。
参考:環境省「デコ活 くらしの中のエコろがけ」
■こんなに省エネ!
蛍光灯シーリングライトからLEDシーリングライトに交換した場合
一般電球から電球形LEDランプに交換した場合
*年間点灯時間:2,000時間(1日5〜6時間点灯した場合)*電力料金目安単価31円/kWh(税込)[2022年7月改訂]*消費電力:8畳用シーリングライト68W、8畳用LEDシーリングライト34W、一般電球54W、電球形LEDランプ7.5W
■こんなに長寿命!
一般電球・電球形LEDランプの寿命比較
*白熱電球60W相当品での比較*年間電気代は、1日5.5時間点灯した場合の目安電気料金参考:総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会照明器具等判断基準ワーキンググループ最終取りまとめ
製品が登場したばかりのころは、かなり高価だったLED電球・LED蛍光灯。普及とともにその価格は下がりつつありますが、ほかの照明と比べるとまだ高価です。しかし、約40倍も長寿命で、消費電力が6分の1程度に下がるため、長期間使った場合のトータルコストはLEDのほうがお得になります。家中の明かりを一度にLEDに替えようとするとコストがかさむため、無理なく替えていくためには、よく使う場所の照明からLEDに交換するなどの工夫が大切です。
●光で物を傷めにくい
LEDの光には赤外線や紫外線がほとんど含まれていません。そのため、LEDスポットライトで写真や絵画、壁紙などを照らしても、蛍光ランプや白熱電球に比べて色あせや劣化がしにくいという特徴があります。
●虫が寄り付きにくい
LEDの光には虫が集まる紫外線がほとんど含まれていないため、蛍光灯と比べて虫が集まりにくいのもメリット。屋外の照明にもおすすめです。
●すぐに明るくなり、ON/OFFの繰り返しに強い
LED照明は、蛍光ランプなどのような放電灯と比較すると瞬時に点灯するため、白熱電球のような感覚で使用できます。また、LEDは点滅に強く、繰り返し点滅しても寿命に影響がありません。
●水銀フリーで環境にやさしい
LED照明は水銀を使用していないため、破棄の際の処理も安心・安全です。地球環境の保護にも貢献します。
LED電球・LED蛍光灯の寿命に注意!
LED電球・LED蛍光灯は長寿命ではあるものの、経年使用により劣化します。一般的なLEDランプの寿命は約40,000時間ですが、これは約5〜20年に相当します。目安として10年以上使用している場合には点検が必要。「24時間点灯の場合」や「周囲の温度が高いなど使用環境が厳しい場合」、「発光部が変色し始めた場合」などは、それよりも早い時期での点検・交換をおすすめします。
ここからは、これまで使っていた照明器具の電球を電球形LEDランプ(LED電球)に交換する際のチェックポイントを紹介します。
口金とは、照明器具に取り付けるための金属部分のことで、照明器具の取り付け口に合ったサイズを選びます。口金には、E26 、E17、E12、E11の4種類があり、E26はメインライト、E17はダウンライトや間接照明として広く使われています。サイズは、これまで取り付けていた電球で確認するのが最も確実です。
LED照明の明るさは、ルーメン(lm)値で表されます。ルーメン値は、光源がすべての方向に放射する光の量「全光束」を示しています。従来の電球から交換するときは、現在使用している電球とほぼ同じ明るさになるものを選びましょう。ルーメン値は、パッケージやカタログに表示されています。
設置場所や用途などにより、電球にはさまざまな形状があります。取り替える際は、これまで使っていた電球と同じ形状のものを選びましょう。
●一般電球形、小形電球形
最も一般的で、製品数も豊富なタイプ。曇りガラスのシリカ電球と、透明なガラスのクリア電球があります。
●ボール形、ミニボール形
ボール型白熱電球と同じ形状です。発光面が広いため、部屋全体など、広範囲を照らしたい場所に適しています。
●ミニクリプトン形
E17の口金に対応する小型のLED電球。フィラメントを使った従来のミニクリプトン電球に代替するタイプです。
●直管形
細長い蛍光灯のようなタイプです。蛍光灯の器具にそのまま付けられないこともあるのでチェックが必要です。
●ハロゲン電球形
スポットライトの光源として使われるハロゲン電球に近い光り方をするLED電球です。形も似ています。
●ビームランプ形
屋外で利用するビームランプ形状のLED電球です。集光性(光を一方向に集める性能)にすぐれています。
●レフ形
写真撮影時の光源に使われるレフ型のLED電球。内側の反射板で光に指向性を持たせているため配光角は狭めです。
●ナツメ形
小さい丸形の電球。ほとんどがE12、E17口金に対応しています。蛍光灯に付いている常夜灯でおなじみ。
●シャンデリア形
小さく、とがった形のLED電球。シャンデリアやペンダントライトなど、インテリア性の高い照明に使用されます。
●T形
電球型蛍光ランプと同程度の大きさのLED電球。一般形では取り付けできないダウンライトにも取り付けられます。
電球の光は「電球色」「温白色」「昼白色」「昼光色」「白色」の5種類に大別できます。寝室は電球色相当、リビングは昼白色相当にするなど、好みで選びましょう。光の色で空間の雰囲気が変わり、電球色相当は暖かな感じに、昼白色や白色相当は爽やかな感じになります。なお、光の色は製品のパッケージ等に表示されています。
便利な機能を備えたLED電球・LED蛍光灯も数多く登場しています。機能に対応していない電球の使用は短寿命の原因になるため、お使いの照明器具に合ったものを選びましょう。
●調光器対応
調光器とは、照明の明るさを調節できる機器のこと。LED電球・LED蛍光灯の場合は、「調光器対応」製品でなければ調光器を利用して明るさを変えられないので注意が必要です。壁スイッチの横などに、光の量を連続・段階的に調節するレバーやつまみが付いていたら「調光器対応」のLED電球を選びましょう。
●人感センサー
人の動きに反応して自動で点灯し、人がいなくなると数秒〜数分で自動的に消える機能です。スイッチに手が届かない子どもや高齢者がいる家庭で役立つほか、玄関や勝手口に取り付けることで、防犯効果も高まります。消し忘れ防止効果もあるため、電気代の節約にもなります。
●光色切り替え
光の色を変更できるLEDならではの機能です。昼は爽やかな白系の光に、夜は温かい電球色の光にするなど、時間帯やシーンにあわせて使い分けられます。なお、光色の変更は、リモコンやスイッチ(既存のものでOK)で行えます。あらかじめ設定した時間に、自動で明るさと光の色を変えられる照明器具もあります。
照明器具は消耗品のため、まだ寿命が残っている電球や蛍光灯をすぐに切り替える必要はありません。「今使っている電球の寿命が切れたときLEDに切り替える」または「点灯時間の長い照明から優先的にLEDに取り替える」といった意識でLED化を進めていきましょう。また、手軽にできる省エネアクションとして「むだな明かりはこまめに消灯する」「点灯時間を短くする」など、日々節電を心掛けることも大切です。
省エネは、環境にも家計にもやさしい暮らしにつながります。無理や我慢をするのではなく、賢くスマートに省エネに取り組みましょう。