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象印と迷うくらいいい! タンクを取り外して洗えるアイリスオーヤマのスチーム式加湿器

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日々、さまざまな生活家電をウォッチしている筆者が見つけた、気になる製品の「おっ!」と思ったポイントを紹介。

今回は、タンクに汚れが付きにくいスチーム式加湿器「AHM-MH60」を取り上げます。

【注目ポイント】タンクが取り外せる&丸洗いできる

フィルターのない構造と、水の沸騰によりスチームを発生させて加湿する点は象印のスチーム式加湿器と同じですが、アイリスオーヤマ「AHM-MH60」はタンクが取り外せるのが特徴。タンクを取り出して残り湯を捨たりシンクまで運んで直接タンクに給水したりできます。

本体にバケツのようなタンクを配置した構造

本体にバケツのようなタンクを配置した構造

タンクを取り外せる構造って楽ちんと最初に思ったのは、残り湯を捨てるとき。本体ごと運ばなくていいので、負担が少なくて済みます

タンクを取り外せる構造って楽ちんと最初に思ったのは、残り湯を捨てるとき。本体ごと運ばなくていいので、負担が少なくて済みます

給水はタンクをセットした本体に注ぎ入れるか、タンクを取り外して蛇口から入れるかの2WAY仕様

給水はタンクをセットした本体に注ぎ入れるか、タンクを取り外して蛇口から入れるかの2WAY仕様

さらに、汚れが付きにくいようにタンクの内側にはフライパンなどで使用されているフッ素樹脂をコーティング。しかも、スポンジでこすり洗いして汚れを落とすことも可能です。

タンクの重量は約500gと軽いので、洗うのも容易。スポンジのやわらかい面で洗いましょう。食器用洗剤の使用はNG

タンクの重量は約500gと軽いので、洗うのも容易。スポンジのやわらかい面で洗いましょう。食器用洗剤の使用はNG

使って実感。タンクに付着する汚れを防げる

フィルターのない構造のスチーム式加湿器は、フィルターがあるタイプと比べると圧倒的に手入れが楽ですが、水道水に含まれるミネラルやカルシウムがタンクに付着します。

空になるまで加湿したタンクの中。1回の加湿で、水道水に含まれるミネラルやカルシウムなどがこれだけ残ります

空になるまで加湿したタンクの中。1回の加湿で、水道水に含まれるミネラルやカルシウムなどがこれだけ残ります

水が全部なくなるまで加湿しなければ白く固まった汚れは見えませんが、残り湯にはミネラルやカルシウムが凝縮されているので、残り湯を捨ててサッとすすぐ程度で使い続けると汚れが蓄積されていきます。

残り湯を捨てて、軽く水ですすいだ程度で2回使ったタンクの様子。濡れているときは見えなくても、乾くとこんなふうに付着した汚れが白く浮き出てきます

残り湯を捨てて、軽く水ですすいだ程度で2回使ったタンクの様子。濡れているときは見えなくても、乾くとこんなふうに付着した汚れが白く浮き出てきます

でも、ここであれ? と思うことが。「AHM-MH60」のタンクは汚れにくいようにフッ素樹脂加工しているのに、数回で汚れが付くんですね……と。でも、スポンジを使って軽く洗ったら汚れが落ちました

使用する前と変わらないくらい、きれいな状態に! スポンジを使ったといってもサッとこすった程度なので、負担には感じません

使用する前と変わらないくらい、きれいな状態に! スポンジを使ったといってもサッとこすった程度なので、負担には感じません

メンテナンスは象印のスチーム式加湿器より楽

フィルターレスのスチーム式加湿器は、一般的に1か月に1回のクエン酸洗浄が推奨されています。1時間以上かかるのでワンシーズン終わるまで洗浄しない人も多いですが、手入れを怠ると1回のクエン酸洗浄では落としきれないほど汚れが付着し、逆に時間がかかることも。

クエン酸洗浄をワンシーズン行わなかった象印のスチーム式加湿器のタンク

クエン酸洗浄をワンシーズン行わなかった象印のスチーム式加湿器のタンク

毎回、使用後に残った水を捨て、その際、布などで拭き取ったり、洗ったりすると汚れの付着が低減します。なお、象印の加湿器のように本体とタンクが一体化した構造の場合、タンクに直接給水するのもNGなので、当然、丸洗いできません。

象印のスチーム式加湿器は、1日1回水を捨てて容器(水を溜める部分)をやらわかい布などで拭き取ると汚れの重症化が防げるそう

象印のスチーム式加湿器は、1日1回水を捨てて容器(水を溜める部分)をやらわかい布などで拭き取ると汚れの重症化が防げるそう

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また、象印のスチーム式加湿器は、本体重量が軽いもので2kg、重いもので2.9kgあるうえ、大容量タイプは高さがあるため、残り湯を捨てる際に本体ごとひっくり返すのが少々大変。取扱説明書どおりに作業するなら、残り湯を捨てるときはふたを取り外す必要があります(いちいち取り外すのは面倒なので、筆者はふたを付けたまま残り湯を捨てていますが、正直、じゃまです)。

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その点、アイリスオーヤマ「AHM-MH60」はふたを開けてバケツのようなタンクを取り出し、残り湯を捨てるだけ。本体を水で濡らす心配がないので何も気にせず洗えますし、タンクが軽くて負担を感じないので残り湯を捨てたついでに洗っちゃおうと、自然とメンテナンスできます。なお、タンクにフッ素樹脂加工が施されているのと、水洗いできるため、「AHM-MH60」で推奨されているクエン酸洗浄の目安は2か月に1回。時間がかかる洗浄の回数が少なくて済むので、こうした面でもお手入れの手間が軽減されます。

加湿性能は十分だが、加湿が始まるまでに時間がかかる

「AHM-MH60」の加湿量は最大600mL/hで、適用床面積(木造和室/プレハブ洋室)は〜10畳/〜17畳。「弱」(加湿量200mL/h)、「中」(加湿量400mL/h)、「強」(加湿量600mL/h)で連続加湿するモードと、設定した湿度(50/60/70%)をキープするように加湿量を調整する自動モードが搭載されています。

連続加湿時間は連続モード「弱」で約15時間、「中」で約7時間、「強」で約5時間

連続加湿時間は連続モード「弱」で約15時間、「中」で約7時間、「強」で約5時間

プレハブ洋室7畳の部屋で使ってみたところ、湿度が上がり始めるまでに1時間以上かかりました。スチーム式加湿器は水を沸騰させ、発生したスチームで加湿するので、沸騰するまでは部屋の湿度はほぼ上がりません。速く加湿を始めるにはハイパワーで加熱する必要がありますが、「AHM-MH60」の定格消費電力は500Wと、湯沸かし時の消費電力が985Wの象印のスチーム式加湿器と比べると小さめ。その分、部屋の湿度が上がり始めるまでに時間がかかります。

タンク容量は3L。この時期、水道水は冷たいため、タンクいっぱいに水を入れると沸騰するまでに時間が相当かかります

タンク容量は3L。この時期、水道水は冷たいため、タンクいっぱいに水を入れると沸騰するまでに時間が相当かかります

ただし、沸騰して加湿が始まると、ぐんぐん湿度が上がります。

沸騰後、本格的に加湿が始まると20分で50%から60%に湿度が上がりました

沸騰後、本格的に加湿が始まると20分で50%から60%に湿度が上がりました

早く快適な湿度にするには速く沸騰させる必要があるので、消費電力が小さい「AHM-MH60」は不利かと思われますが、それはお湯を使うことで解決できます。取扱説明書には「ぬるま湯」と記されていますが、機能上は100度以下のお湯に対応するとのことなので、高温のお湯を使えば、電気代を抑えつつ、素早い加湿が実現できるでしょう。

65度くらいのお湯を入れたら、真水を使うより25分くらい早く加湿が始まりました。さらに高温のお湯を使ったら、もっと早く湿度を上げられそう(火傷に気をつけて!)

65度くらいのお湯を入れたら、真水を使うより25分くらい早く加湿が始まりました。さらに高温のお湯を使ったら、もっと早く湿度を上げられそう(火傷に気をつけて!)

沸騰時の音が静か

象印のスチーム式加湿器には、水の温度をゆっくり上げることで湯沸かし時の音を抑える「湯沸かし音セーブモード」がありますが、このモードを使用すると湯沸かし時間が通常より約10分長くなります。通常よりも低めの消費電力で湯沸かしするモードと言えるでしょう。

象印の大半の製品が湯沸かし時の消費電力985Wと、「AHM-MH60」の倍近いことから、「AHM-MH60」はゆっくり湯沸かしするのが標準仕様なのだと思われます。下の動画は最初の湯沸かし時の様子。本体に近い場所で撮影しているため沸騰音がよく聞こえますが、フィルターレスの一般的なスチーム式加湿器と比べれば圧倒的に静かです。

加湿中に加熱をオン/オフして再度沸騰させるときも運転音は静かです。たとえるなら、外でゆるやかな雨が降っている感じくらい。カタログ値の運転音は24dB(連続モード「強」時)なので、テレビをつけていたり、音楽を流していたりしたら全然気にならないでしょう。

電気代はどれくらいかかる?

湯沸かし時の消費電力は500Wと小さめですが、沸騰後の消費電力は象印のスチーム式加湿器と似たようなもの(適用床面積が同じ「EE-TA60」の加湿時の消費電力は495W)。気化式や超音波式の加湿器と比べると消費電力は大きいです。

電気代がどのくらいかかるか気になるので、カタログ値を基に計算してみましょう。なお、加湿時の消費電力は運転モードにより異なりますが、細かい数値は公表されていないため、最も電気代がかかるパターン(連続モード「強」)で計算しました。

給水は3回必要。消費電力500Wで1時間加熱される湯沸かし運転が3回行われる

湯沸かし1回にかかる電気代は約15.5円。3回なので、約46.5円かかる

湯沸かし後の加湿時間は12時間−3時間(湯沸かし1時間×3回)で9時間

加湿時の消費電力も500Wなので9時間運転すると電気代は約139.5円かかる

湯沸かし時の電気代(3回分)約46.5円+加湿時の電気代(9時間分)約139.5円=約186円

毎日同じように使った場合、1か月(30日)で5,580円かかる

沸騰するまで500Wで稼働しますが、連続モードでも「中」や「弱」では沸騰させる回数が少なくなると思うので、消費電力は抑えられるでしょう。また、自動モードを使えば、沸騰後は加熱のオン/オフを繰り返して加湿量が調整されます。適用床面積に適した部屋で使っているなら連続モード「強」で使い続けることはないと思うので、ここで計算した電気代よりももっと安く済むはず。

また、湯沸かし時間が短くなれば最大消費電力で稼働する時間は短くなります。お湯を使えば湯沸かし時間を短縮できるので、湯沸かしは給湯器に任せてしまったほうが賢いかもしれません。こうしたことを考慮すると、1日12時間使用を1か月続けても電気代は5,000円以下で済むと思われます。

【まとめ】

スチーム式なので電気代はある程度かかりますが、それ以上に、清潔性の高さやフィルターがないメリットは大きいです。それに加え、「AHM-MH60」はタンクを取り外せるのが最高にいい。楽に残り湯を捨てられ、タンクの丸洗いも可能。残り湯を捨てたついでにタンクを軽く洗っておけば、2か月に1回クエン酸洗浄するまでの間も気持ちよく使えます。

ふたやふたに装着されているパーツも簡単に取り外して丸洗いできます

ふたやふたに装着されているパーツも簡単に取り外して丸洗いできます

タンクが取り外せるからこそのメリットは、象印のスチーム式加湿器にはない点。カルシウムやミネラルの付着や水垢汚れが気になる、残り湯を楽に捨てたいという人は、この構造が気に入ったという理由だけでアイリスオーヤマ「AHM-MH60」を選んでも満足できるはずです。

ひとつ希望を言うなら、もう少し小さいモデルが欲しい。適用床面積(プレハブ洋室)〜10畳や〜13畳のモデルが使いたい人もいると思うので、ラインアップが増えることを期待しています。

本体サイズは225(幅)×235(奥行)×325(高さ)mm。最初に見たときはデカっ! と思いましたが、同じ適用床面積の象印「EE-TA60」と比べると、幅・奥行き・高さすべて「AHM-MH60」のほうがコンパクトです

本体サイズは225(幅)×235(奥行)×325(高さ)mm。最初に見たときはデカっ! と思いましたが、同じ適用床面積の象印「EE-TA60」と比べると、幅・奥行き・高さすべて「AHM-MH60」のほうがコンパクトです

中村真由美(編集部)
Writer / Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
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