2025年のコーヒーメーカー市場で、今最も注目されている新製品がパナソニック「NC-A58」! 本機は、2018年に発売されてからずっと人気だった「NC-A57」の後継機で、発売前からすでに高い注目を集めています。そこで本稿では、「NC-A58」を実際に使い倒してみて、操作性やデザイン、抽出したコーヒーの味わいなどをレビューしてみました。その結果がこちら!
【結論先取り!】豆を使い分けたいコーヒー好きには特におすすめ!
価格.comの「コーヒーメーカー 売れ筋ランキング」でもすでに1位(2025年4月8日時点)という人気ぶりの「NC-A58」は2025年4月10日発売。以下では、さらに詳しく本機の実力に迫ります。
まずは「NC-A58」の特徴や、前モデル「NC-A57」との違いを解説。
「NC-A58」は、手軽に挽きたてのおいしさが楽しめる「NC-A57」の魅力を引き継ぎつつ、より幅広いコーヒーの味が選べるうえに、コンパクトかつスタイリッシュなデザインに仕上がっているモデルです。
左が前モデル「NC-A57」で、右が新モデル「NC-A58」
本機は、豆を挽き(コーヒー粉も使用可)、お湯を注いで蒸らして抽出するまでと、ミルの洗浄がすべて全自動。フィルターをセットして豆と水を入れ、スイッチを押すだけで手軽にコーヒーの抽出とミルの洗浄が完了します。
こうした一連の機能は前モデル「NC-A57」にも搭載されていましたが、「NC-A58」では抽出メニューがより幅広く進化。「リッチ」と「マイルド」の2つから選べたコースに「ストロング」が加わり、3つからセレクトできるようになりました。「ストロング」の追加により、アイスコーヒーやカフェオレなどに適した味わいがより楽しめるようになったわけです。
3つのコースによるコーヒーの味わいの違い。コースに合わせて、抽出時の温度と時間を調整します。公式サイトより
また、「NC-A57」でも採用された2種類のフィルター「中細挽き」「粗挽き」による豆の粒度の挽き分けが可能。2コース×2粒度の4通りから、3コース×2粒度の6通りの味の淹れ分けができるようになりました。
なお、「NC-A57」で好評だった「デカフェ豆」コースも採用されているので、こちらを加えれば3コース×2粒度+「デカフェ豆」コースで7通りとも言えるバリエ―ションの広さです(「デカフェ豆」コース×「粗挽き」フィルターは非推奨のためノーカウント)。
各データはライター調べ。価格.com最安価格は2025年4月9日時点
次はデザインについて。
本体サイズは、「NC-A57」と比較すると、設置面積が約20%小さくなりました。また、「NC-A57」では円筒が突き出たようなフォルムだった前面がフラットになり、そこに配置されていたボタンは天面に移動。カラーリングは「マットブラック」に統一されるなど、全体的によりスタイリッシュに進化しています。
210×297mmのA4コピー用紙と比較。幅はA4用紙よりも細く、スマートです
ここからは、本機を実際に使いながらその魅力を深掘りしていきます。
取扱説明書以外の付属品は以下のとおり。
・メッシュフィルター
・ペーパーフィルター
・豆量ガイド
・計量スプーン
メッシュフィルターは粗挽きタイプが付属。中細挽きタイプはあらかじめ装着されており、すっきりした味わいにしたい場合は粗挽きフィルターに交換します。
写真左の茶色いほうが購入時点で装着されている中細挽きフィルターで、緑色が粗挽きフィルター。右下の豆量ガイドは、杯数やホット/アイスなどに最適な豆の投入量の一覧で、本体に貼れます
メッシュフィルターは、ペーパーフィルターをセットする「バスケット」と本体の間に装着する仕様で、外して交換したり洗浄できたりします。この着脱が最初なかなか難しかったんですが、慣れれば問題ないでしょう。
メッシュフィルターは、「バスケット」部分のフタを横に開いて着脱。この「バスケット」はフタごと外して丸洗いできます
いよいよ抽出にトライ。本体背面の「水容器」に水を入れ、「バスケット」にペーパーフィルターをセットし、本体天面の「豆容器」に豆を入れれば準備完了です。
「水容器」は着脱可能で、フタだけ外すことも可能。もちろん目盛り付きです
なお、ペーパーフィルターは元々3枚しか付属していないので、あらかじめパナソニックの公式通販サイト、またはスーパーなどで買い足しておきましょう。サイズは「1×2」または「102」で、形は円錐やウェーブではなく台形のものです。
ペーパーフィルターは一般的な仕様と同じく、下と横を折って、写真のようにセット。その内側に合わせるように、丸い「バスケットふた」で閉じます
今回のコーヒー豆は、無印良品の「オリジナルブレンド コーヒー ミディアムテイスト 豆」(税込750円)を使用。のちほど「デカフェ豆」コースでも試飲するので、「オーガニックコーヒー カフェインレス 豆」(税込890円)も用意しました。
無印良品の「オリジナルブレンド コーヒー ミディアムテイスト 豆」(左)は、1952年に創業した京都の名門ロースター「小川珈琲」が手掛けています(カフェインレスについては後述)
付属品の計量スプーンは、すりきり1杯で7〜8g。今回はホットを2杯分で抽出したので、18g(計量スプーンで2+1/4杯)の豆を、豆容器に入れました。
豆容器のフタを開けて、コーヒー豆を投入
フタを閉じたら、後はコースなどを選んで抽出するだけ。コースが4種類あるなか、まずは「リッチ」でスタート。改めて、天面の操作部がシンプルでわかりやすいと感じました。
各ボタンは、LEDと「ピッ」「ピピッ」「ピー」といった音でステータスを周知
コースを選んで「スタート」を押すと、すぐにグラインダーが作動して豆を挽きます。最初はガリガリッ、ブーンという音が想像以上に大きいので少々驚きましたが、こちらも慣れれば問題ないでしょう。ただ、家族構成などによっては深夜の駆動は難しいかもしれません。
粉砕が終わると抽出が始まり、しばらくすると専用のガラス容器にコーヒーが!
抽出時間の目安は、「リッチ」が約6〜11分(「マイルド」は約4〜10分、「ストロング」は約8〜12分)。抽出が終わると、「ピー、ピー、ピー、ピー」と鳴り、自動的に保温に切り替わります。
専用ガラス容器から耐熱グラスに移して試飲。確かに甘み、酸味、苦味、コクといった味が調和し、すっきりとしたニュアンスやキレも感じる味わいです
味はもちろんコーヒー豆にも左右されますが、「リッチ」は全体的なバランスが重視されているので、高級なスペシャルティコーヒーなどに適したコース。焙煎度合いで言えば、中煎り〜中深煎りにマッチします。
抽出後は、「バスケット」からペーパーフィルターごとコーヒーかすを除去。繰り返しとなりますが、「バスケット」は取り外して丸洗いできます
2杯目は「ストロング」コースで飲んでみました。「ストロング」は渋味を抑えながら苦味とコクを引き出す特徴があり、中深煎り〜深煎り豆におすすめ。アイスコーヒーやカフェオレなどにも向いています。
「ストロング」の感想としては、「リッチ」に比べてコクのほか、甘みや酸味も豊かで余韻も長めな印象
3杯目は「マイルド」。こちらは苦味や渋味を抑えた味わいに抽出できるコースで、焙煎度合いは浅煎り〜中煎り向け。アメリカンコーヒーなどに適しています。
「マイルド」はサラッとしたタッチ。コクが抑えられた分、酸味や果実味を豊かに感じます。浅煎りのスペシャルティコーヒーにもおすすめだと思いました
3つのコースそれぞれの味わいを簡単に言うと、「リッチ」はバランス型、「ストロング」は濃厚さで、ボディよりもアタックや輪郭がピシッと強く感じるしっかり味、そして「マイルド」は豆の繊細な魅力を引き出すのが得意で、ライトなすっきり味です。
左から、「ストロング」「リッチ」「マイルド」。色はそこまで大きく変わりません
メッシュフィルターの違いによる、味の変化も試してみました。先述のコーヒーは、本体に最初から装着されている中細挽きでしたが、今度は粗挽きのフィルターに交換して抽出。
粗挽きは、砕かれる豆の粒度が大きくなる分、コーヒーはあっさりした風味になります
コースは「リッチ」で淹れ、中細挽きの「リッチ」とも飲み比べてみました。すると、まずコーヒーの色が明るく出て、中細挽きの「マイルド」で感じた軽快さ以上の果実味と酸味が印象的。これは想像以上で、浅煎り豆の味が好きな人は、粗挽きフィルターの使用を強くおすすめします。
どちらもコースは「リッチ」。左が中細挽きフィルター、右が粗挽きフィルターで抽出しました
また念のため、コーヒー粉でも抽出してみました。これは、今回使っている無印良品の「オリジナルブレンド コーヒー ミディアムテイスト 豆」を、筆者所有のコーヒーミルで中細挽きにしたものです。
粉の場合は、「バスケット」にセットしたペーパーフィルターの上から、直接豆を投入してフタをします
粉から抽出する場合は、操作パネルの「豆/粉」ボタンで粉を選択。駆動の違いは、豆を挽かない分、グラインダーや粉砕の音がしないことです。テイスティングは「リッチ」を、豆から挽いた「リッチ」とで飲み比べましたが、どちらも同じ銘柄の挽きたて豆というのもあり、味は同じでした。
粉のコーヒー豆を使う際は、こちらのボタンでモードを変更
最後は、カフェインレスの豆を使って「デカフェ豆」コースを体験。こちらは、カフェインレスの豆でもコクを引き出せる特徴があり、寝る前にカフェインを控えたい人や妊娠、授乳中の人におすすめです。
無印良品の「オーガニックコーヒー カフェインレス 豆」は、日本を代表するコーヒー企業のUCC上島珈琲が手掛けています
なお、「デカフェ豆」コースを使用する際、もうひとつポイントがあります。それは豆の量。「デカフェ豆」コースの効果を最大限生かすためには、通常よりも少しだけ多く豆を使うことが推奨されています。適正量は先述した豆量ガイドにも載っています。
ホットコーヒーを2杯分作る場合、通常の豆は18g(計量スプーンで2+1/4杯)ですが、「デカフェ豆」コースの場合24g(計量スプーンで3杯)が目安
コースの違いで味が変わるのかを確かめるべく、同じカフェインレス豆を同じ量使い、「リッチ」と「デカフェ豆」で飲み比べてみました。すると、「デカフェ豆」コースのほうはコク深くて濃厚感があり、いっぽう「リッチ」で淹れたほうはそのコクが強く出ていない分、酸味が印象的でした。
同じカフェインレス豆を同じ量使った「リッチ」(左)と「デカフェ豆」(右)各コース。色はほとんど同じです
今回使ってみて、改めてパナソニック「NC-A58」が注目される理由がわかりました。
それは、操作性がシンプルでわかりやすいにもかかわらず、多彩な味のバリエーションでコーヒーが楽しめることと、デザインがおしゃれで、かつコンパクトな点。さらに、ミルを自動洗浄してくれるというお手入れのしやすさにあると思います。そして、これが2万円を切る価格で手に入るんですから、そのコスパの高さに脱帽です。
前モデル「NC-A57」は価格.comで長らく高い人気を保っていましたし、「NC-A58」もきっとそうなることでしょう。2025年発売のコーヒーマシンとしても、最注目の一台です
特に、ブラック用、カフェオレ用と豆を使い分ける、あるいは寝る前だけはカフェインレスコーヒーを、といった形で”飲むスタイル”が多様な人には、強くおすすめできるコーヒーマシンです。