酒場ライターのパリッコです。
パッとお湯を沸かせる電気ケトル、便利ですよね。ただ……使ったことがある方なら、誰もが一度は“レトルトのパウチをぶっこんで温められたら”と思ったことがあるのではないでしょうか? 実際にやると吹きこぼれたりして大変なんですが……。なんと、その願望がかなう電気ケトルを見つけました。
ニトリの「1台3役の電気ケトルポット」。カラーは黒と白の2種類があり、僕は白を選んでみました
この電気ケトルは、お湯を沸かすだけでなく、食材をゆでる、煮るなどの調理までできてしまうというすぐれもので、SNSでも話題沸騰の大人気商品なんだそうです。
インスタントラーメン、ゆで玉子、鍋などが作れるらしい!?
なんだか楽しそうだし、新生活を始めたばかりで、取り急ぎあれこれ作れる便利な調理器具がひとつ欲しい! という方にもぴったりなんじゃないでしょうか。
ということで今回はその実力を、実際に検証してみようと思います。
ぱっと見は普通なんですが、よく見てみると、一般的な電気ケトルとは結構見た目が異なります。まず開口部が広くて底は浅めで、内部の形状が鍋っぽい。確かにこれなら、調理に使っても違和感がなさそうです。
一般的な鍋のようにフタがパカッと取れて、口が広いです。内側は目盛り付きなのがだいぶ便利だなと思いました
電源スイッチ
構造はかなりシンプルで、電源スイッチは強・弱・オフの切り替えのみ。お湯が沸いたら自動でオフになる機能はありませんが、空焚き防止機能は付いています。
ではまず、基本の湯沸かし性能を試してみましょう。容量は最大0.8Lなので、マックスの0.8Lの水を注ぎ、スイッチを強にオン。
沸いてくれ〜
すると5分くらいでふつふつとしだし、約9分で完全に沸騰しました。
※通常はフタをした状態で使用します
お湯を注ぐ際はフタを手で押さえる必要があるのが普通のケトルと異なる点ですが、使用感としては何の問題もなし(ちょっとティーブレイク)
続いては、禁断の「電気ケトルでレトルト食品を温める」をやってみます。今回は、レトルトカレーを温めて食べてみよう……としたところで、ひとつ思ったことがあるんですよね。
レトルトカレー&パックごはん
先ほど「新生活を始めたばかりで、取り急ぎあれこれ作れる便利な調理器具がひとつ欲しい!」という方のニーズについて触れた以上、カレーのみならず、ごはんの温めも含めてこのケトルで完結できるかを検証するのが誠意というもんじゃないかと。だってそうじゃなかったら、じゃあ炊飯器はあるのか? 電子レンジはあるのか? って話になってきちゃうじゃないですか。
そこで、今回の検証のテーマをひとつ決めました。とにかく何でもかんでも、このケトルだけを使って調理する! というもの。ニトリ「1台3役の電気ケトルポット」でどこまでできるのか、確かめてみます。
さて、では改めてレトルトカレー作りを進めていきましょう。調べてみたところ、写真のようなパックごはんは、レンチンのほか湯せんでも温められるとのこと。大きめの鍋にパックごと浮かべる方法もあるのですが、耐熱性のある食品用袋に中身を移して湯せんもできるようです。今回は、後者ならいけそうな気がする。
というわけで、レトルトカレーをセットして
湯せん調理に使える食品用袋「アイラップ」を用意
「アイラップ」にお米を入れて
うん、収まりそう。このとき、水量が0.8Lの目盛りを超えないようにしましょう
「アイラップ」は鍋の内側に触れないほうがいいようなので、割り箸を使って浮かせてみました。
まずは水だけでスイッチをオンにして、沸騰したらこの状態にセット。10分ほど湯せんし(スイッチは弱)、器に開けてみると……。
「ケトルde湯せんカレー」完成
おおー! 何の問題もなく熱々で、おいしく食べられました。お鍋も電子レンジも使わずにカレーとごはんが一度に温められるの、いいかもしれない。
続いては、パッケージにも書かれていたインスタントラーメンの調理、いってみましょう。
「うまかっちゃん 博多からし高菜風味」
用意したのは、僕の好きなインスタントラーメンのひとつ「うまかっちゃん」。まずは規定量のお湯を沸かしつつ(繰り返しますが、このとき内側の目盛りが便利)、定番追加具材のねぎをカットし、ケトルへin。
ぐつぐつ
麺を加え、麺が少しほぐれたところで第2の定番具材、生玉子をぽとり。
いい感じだ
規定の時間が来たらスイッチを止め、付属のスープを加えれば完成です。あ、仕上げにごまも散らしました。
電気ケトルラーメン
これをですね、取扱説明書にはなんと、「そのまま食べられて便利」的に書いてあるんです。
つまりこういうこと
正直言って、さすがにケトルから直接ラーメンを食べるのは抵抗があるな……とも思ったんですが、実際にやってみると、その形状によって思いのほか食べやすく、しかもキャンプメシみたいでちょっと楽しい。洗い物も減るし。車中泊をする方にもおすすめかもしれません。
ただ当然、ラーメンはどんぶりで食べたいという方もいるでしょう。そんな場合も、まあ説明するまでもないかもしれませんが、ケトルの注ぎ口から何の問題もなく器へ移せるのでご安心を。
いつもの安心感
また、このケトルはゆで玉子を作るのにも向いているそう。作り方は、玉子が浸るくらいの水を注いでスイッチを「強」にし、お湯が沸いたらフタをして、しばし待つだけ。待ち時間5分で黄身がやわらかめ、それ以降、時間の経過によって硬めになっていくということで、今回は冷蔵庫から取り出したばかりの玉子を使い、5分、7分、9分バージョンで様子を見てみました。
さてどうなる
すると、ご覧ください!
簡単にできた
左から5分、7分、9分バージョンで、少しずつ黄身の火の通りが異なりますが、どれもおいしそう。5分バージョンくらいの絶妙な半熟ゆで玉子って、作るのが難しいですよね。それがいとも簡単にできました!
このクオリティーのゆで玉子がいつでも作れるならば、それだけでも買う価値がある気がします。味玉にしてもいいだろうな〜。
続いては、パッケージの写真にあった、鍋っぽいものを作ってみましょう。僕の好きな「湯豆腐」いってみましょうかね。具材はシンプルに豆腐、ねぎ、きのこ、だし昆布くらいで。
具材を入れてスイッチを入れるだけで
勝手に鍋ができてくれるのはありがたい
調理にかかった時間はほんの10分くらいでしょうか。作っていて思ったんですが、このケトル、コンパクトかつ電源がコンセントなので、卓上で気軽に調理ができるという点がかなりのメリットかもしれません。だってですよ? スイッチを弱にしておけば、食卓でずっと熱々の湯豆腐が食べられる。これはうれしい。
カセットコンロや卓上鍋などの調理器具よりも大げさでなく、1人分の鍋が気軽に食べられる。それがどういうことかというと、「ひとり飲み」にものすご〜く向いているのではないかということ!
こういうことです
そこでここからは、だいぶ個人的趣味に走ってしまいますが、このケトルを使ったひとり飲みの可能性を探ってみたいと思います。
まず思いついたのが、お酒のお燗。
ちろりで日本酒を温めます
スイッチの強、弱、オフを切り替えて自分好みの温度に調節するのも自由自在で、思ったとおりこれは楽しいですよ。サイズもぴったり。
しかも!
こうだ!
同時にレトルトのもつ煮込みを温めつつ、さらに玉子を放り込んでおくなんてことも可能。こうすることにより、熱々のつまみと燗酒を同時に楽しめてしまうというわけ。
めちゃくちゃ楽しい
ゆで玉子もいいですが、ここは勘を頼りに、温泉玉子くらいのゆるさを期待して、もつ煮の上で割ってみると……。
いい!!!
さらにこんなパターンも。市販のパックおでんを、今度はちろりのほうで温めつつ、さらに徳利(趣味で集めているガラス製のものを使っています)でお酒をお燗。
おでん、意外と量が入るな
至福……
電気ケトルでひとり飲みがこんなに楽しくなるとは……うれしい誤算です。
さて、最後にお手入れについてお話ししておきましょう。ただお湯を沸かすだけなら毎回洗う必要はありませんが、ラーメンなどの調理に使った際はお手入れ必須ですよね。
ケトルの内側は食器用洗剤で洗えるものの、丸洗いは不可(差し込み口や電源スイッチ、底面に水をかけるのがNG)。内側を洗剤で洗って、すすぐ際は注ぎ口から流す感じですね。ただ差し込み口にはシリコンカバーが付いているので、あまり神経質にならなくても大丈夫そうではあります。
差し込み口のシリコンカバーを閉めて洗います
注ぎ口の部分は構造的に洗いにくいものの、泡タイプのスプレー洗剤を使うとよさそう。本体外側は、やわらかい布で拭くように書いてありました。
こう聞くとちょっと面倒そうと思われるかもしれませんが、慣れてしまえば特にお手入れが手間と感じることはありませんでした。
後半はだいぶお酒方面に寄りすぎてしまいましたが、とても便利で、かつ楽しいアイテムだった、ニトリの「1台3役の電気ケトルポット」。お湯が沸かせるだけでなく、ちょっとした付加価値があるケトルって、考えてみたら珍しいですよね。
1人分のちょっとした調理にいろいろと使えて、鍋いらず。「1台3役」どころか、鍋代わりとしてかなり幅広く使えた印象です。これで公式オンラインストア価格2,990円(税込)はお買い得なのでは。これから電気ケトルを買おうと思っているひとり暮らしの方や、レトルト食品をよく食べる方には特におすすめです。