レビュー
衣類を長持ちさせる「新しい洗濯のカタチ」

“洗濯王子”も注目! 水を使わず空気で洗う衣類ウォッシャー「ラクーン」検証

ハイアールアジアの「ラクーン AHW-SR1」(以下、ラクーン)は、水や洗剤を使わず空気(オゾン)を使用して衣類の消臭や除菌を行う「衣類エアウォッシャー」。ラクーンを使えば、「ドライクリーニングに出すほどではないが水洗いでは傷みが心配」という洋服も、毎日“洗濯”できるというわけだ。しかし、これまでの洗濯とイメージが違いすぎるだけに「本当に空気だけで衣類をキレイにできるのか」「使い方は?」 など気になる点は多い。そこで、実際にラクーンを使ってみることに。今回は、テレビや雑誌で活躍中の「洗濯王子」こと中村祐一さんによるプロ目線のアドバイスを折り混ぜながら、新感覚の“洗濯”の効果を検証する!

国家資格のクリーニング師で洗濯家の中村祐一氏。“洗濯王子”の愛称で呼ばれ、テレビや雑誌などの各種メディアでも活躍中。自身のホームページでも、洗濯に関する相談などを受け付けている。プロならではの視点は必見!

ラクーンってどんなもの?

まずは、ラクーンがどんなものなのかをチェック! また、“空気で洗う”ことでどんなメリットがあるのかを中村さんに聞いてみた。

ラクーンの仕組みは、衣類を入れた袋の中にオゾンを含む空気を充満させることで衣類を消臭・除菌するというもの。水や洗剤を使わないため、スーツやジャケットなど型崩れが心配な衣類のほか、デリケートな素材のニットやストール、シルク、レザー衣類といった家庭での洗濯が難しい衣類のケアに役立つという。また、洗剤が残った衣類を着用することで肌が荒れてしまうという人でも安心して使用できるというのがうれしい。

消臭・除菌の仕組み

オゾンで衣類を消臭・除菌する原理についても説明しておこう。酸素を原料に作られているオゾン(O3)は不安定な気体であるため、ほかの分子と反応してすぐに元の酸素(O2)に戻ろうとする性質を持っている。その「オゾンが酸素に戻ろうとする時」に、雑菌やニオイ分子と反応することでニオイ分子を分解し、脱臭・除菌効果がもたらされるのだ。反応したオゾンは酸素に変わるため残留性がなく、安全に使用できるという。

<洗濯王子に聞く!>“空気で洗う”は“服を大切にするための洗濯”

「“空気で洗う”=オゾンで消臭・除菌することのメリットは、“服を大切にするための洗濯”ができる点ですね。水洗いをすると衣類には少なからず負担がかかるので、オゾンを活用することで水洗いの必要がない状態の衣類の洗濯頻度を減らせます。もちろん、皮脂や汗の塩分、たんぱく質などオゾンで落とすことが難しい汚れもあるので、通常の洗濯機との併用は必須ですが。家庭での洗濯でもクリーニング店での洗濯でもない、“新しい洗濯のカタチ”のひとつとして有効と考えています。

ちなみに、似た効果をうたうものとして人気の衣類用消臭・除菌スプレーは、ニオイをマスキングすることで抑えるものがほとんど。使い方や成分によっては繊維を硬くすることもあるんです。その点オゾンは衣類に残らないので、風合いを変えてしまう心配もありません」

運転モードは4段階のタイマーと「フレグランスモード」の5種類

オゾンで消臭・除菌することにはさまざまなメリットがあるようだ。次は、具体的にどのような運転モードが用意されているのかを見て行こう。運転モードは30分(クイックモード)・2時間・4時間・8時間の4つから選択できる。いずれのモードもオゾン濃度は同じだが、オゾンの放出量と効果が比例するため、衣類を8時間モードでは消臭だけでなく除菌効果も得られるという。また、衣類に香水のほのかな香りを付ける「フレグランスモード」も搭載している。

操作部は本体の側面に配置。電源を入れたら、時計マークの「タイマーボタン」でモードの選択を行い、その下の「スタート/一時停止ボタン」を押して運転を開始する。一番上にあるのは「フレグランスモード」のボタン。8時間モードを使用した場合でも、電気代は約1.9円/回と、コストがあまりかからない

組み立ては女性1人でも楽勝

ラクーンの仕組みや運転モードの種類がわかったところで、さっそく使用してみよう。ラクーンは購入時はパーツごとに分解されているため、まずは組み立てて設置する必要がある。組み立ての手順は大まかに分けると、「@ハンガー台の組み立て」→「A本体の取り付け」→「B衣類袋の取り付け」となる。ちなみに、組み立て作業にドライバーなどの道具は不要。女性1人でも無理なくできるのか、やってみた。

本体と衣類袋のほか、ハンガー台ベースとそれを組み立てるためのポールなどのパーツが同梱されている(写真左)。ハンガーや「フレグランスモード」に使用する香りケースも付属(写真右)。ハンガーは、自宅にあるものを使用してもOKだ

@ハンガー台の組み立て

ハンガー台ベースに4本のポールを組み立て、2本の柱を作る。ポールの先端がねじのような形状になっているので、回しながらはめるだけでしっかりと固定可能。これでハンガー台は完成だ

A本体の取り付け

ハンガー台ベースに本体を設置し、本体カバーを外しておく(カバーは後ほど使用)。本体上部中央の丸い穴(ダクト差込み口)からオゾンを含んだ空気が放出される。ハンガー台ベースには本体を固定するツメが付いているので、使用中に倒れる心配はない

B衣類袋の取り付け

衣類袋の裏側にある差込口をポールにはめ込み固定したら、衣類袋の内側上部に先ほど外した本体カバーを取り付けて衣類袋の形を安定させる。衣類袋下部のダクトをダクト差込み口に取り付けて、電源アダプタをコンセントと本体に接続

C15分程度で完成

完成形のサイズは700(幅)×1,670(高さ)×375(奥行)mm、重量は約8kgで、消費電力は16W。下の本体から衣類袋に空気が送られる構造で、運転時は写真のようにふくらんだ状態になる。組み立て後も移動できないことはないが、キャスターは付いていないため設置場所を決めてから組み立てたほうがよいだろう。ちなみに、設置する際は壁や天井から上下左右前後10cm以上開けなければならない

衣類袋内部にはフックが設置されており、ここにハンガーをかけて使用する

衣類袋内部にはフックが設置されており、ここにハンガーをかけて使用する

使い方は簡単&運転音は思ったより静か

使用法は、衣類袋に衣類を入れてボタンを押すだけ。ただひとつ注意しておきたいのは、ラクーンには「使用できない素材もある」ということだ。使用できない素材の場合、効果が発揮できないだけでなく素材に負担をかける場合もあるので、使用前に必ず確認しよう。使用できる素材、できない素材はそれぞれ以下のようになっている。

【使用できるものの一例】

綿、麻、レーヨン、ウール、ポリエステル、キュプラ、絹、アクリル、ナイロン、化繊混紡、革製品

【使用できないもの一例】

天然ゴム、ビニール製品→酸化によって劣化する場合もある
金属製品→種類によってはさびる可能性がある
和服や和装小物→様々な技法や原料を使っている為、すべての和装衣類への影響が確認できない

なお、金属製品への使用はできないが、衣類に付いている金属性のボタンやファスナー程度であればそのまま使用して問題ないという。

ハンガーにかけた衣類を衣類袋にセットしたらファスナーを下げて、ファスナー持ち手に付いている「オゾン漏れ防止キー」を本体の「キー差込口」に差し込んで固定する。その後、「タイマーボタン」でモードを選択し、「スタートボタン」を押せば運転が開始される

運転を開始するとすぐに、「ブオーン」という音とともに衣類袋が膨らみ始める。運転時の音は予想していたより静かだと感じた。テレビが付いていたり音楽が流れていたりといった場所でも、それらの音を阻害するほどではないだろう。とはいえ就寝中はさすがに気になりそうなので、寝室以外の場所に設置したほうがよいかもしれない。運転が終了すると「ピー」とアラームが鳴り、自動で運転が停止する。

ラクーンの実力を検証!

ここからは、中村さんにラクーンを実際に使用した感想をうかがいつつ、より効果的に使用するコツを教えてもらいその実力を検証していく。また、「大きめの衣類でも効果が得られるのか」や、「フレグランスモード」の使用感もチェックした。

<洗濯王子に聞く!>ラクーンを使用してみていかがでしたか?

「予想以上にニオイが落ちました。僕が試したのは、カビ由来のニオイ、加齢臭、腋臭症(ワキガ)のニオイ。カビ由来のニオイは殺菌(8時間コース)しないと効果がないかと思いきや、2時間でほぼ気にならなくなりました。加齢臭にもかなり効果的です。革製品に付いたカビ由来のニオイに試したときも2時間で気にならなくなりましたが、しばらくするとニオイが戻ることもあったので、状態によっては8時間しっかりかけるといいでしょう。唯一、8時間のモードでも取り切れなかったのが腋臭症(ワキガ)のニオイ。ただ、このニオイは水と洗剤を使用した洗濯でも落ちにくいので、無理もないかもしれません」

<洗濯王子からのアドバイス>コツは、なるべく生地がオゾンに触れる面積を増やすこと

「ラクーンを使用する際は、ニオイがどこに付いているかを考えて、ニオイの元にオゾンを届けることを意識するとより効果的だと思います。たとえば、外側に付いたタバコのニオイが気になるならそのまま、内側に付いた汗のニオイが気になるなら裏返すなど。また、えりの付いた服はえりを立てるなど、生地がオゾンに触れる面積を増やすといいと思いますよ」

<洗濯王子に聞く!>改善ポイントをあげるなら?

「機能について特に不満はないのですが、操作部の表示などで残り時間が確認できるとより使いやすいのではと思います。あと、ラクーンはかなり存在感のある家電なので、デザインがもう少しスタイリッシュだとうれしいかも(笑)。運転が完了したときのアラームも、普通の洗濯機と違う音だったりすると、“いつもの洗濯とは違う体験”ができていいんじゃないでしょうか」

【検証1】2時間でほぼ無臭? いろいろなニオイをケアしてみた

中村さんのアドバイスを元に、いろいろなニオイでラクーンの効果を検証してみることに。使用したのは、「汗とバーベキューのニオイが付いたワンピース」「雑巾臭くなった台拭き」「強いタバコのニオイが付いたワンピース」「汗だくのまま1週間放置したパレオ」。 すべて2時間モードでケアをし、ニオイチェッカーを使用してケア前とケア後のニオイの強さを計測した。使用したニオイチェッカーは、ニオイの強さを0(よい)、1(普通)、2(少し悪い)、3(悪い)、4(すごく悪い)の5段階で表示するもの。検証の結果、どのニオイも2時間でかなりの効果が得られることがわかった。

夏の真っ盛りに野外バーベキューをしたときに着ていたワンピース。汗とバーベキューの煙、そして焼肉のたれのようなニオイが染み付いていたが、2時間でまったくニオイが気にならなくなった。ニオイチェッカーの数値は1→0に

うっかりしているとすぐに雑菌の宝庫となる台拭きは、雑巾のような強烈なニオイを放つことも。菌が繁殖しているため2時間の運転ではまだニオイがかなり残るのでは? と予想していたが、意外にも2時間でほぼ無臭に。普段なら絶対にしたくないが、台拭きを鼻に近づけて深呼吸できそうなほど。ニオイチェッカーの数値は3→0に

タバコ1本分の副流煙を入れた袋に密閉して1時間ほどおいたワンピース。ラクーン使用前、ニオイチェッカーの数値は最高レベル4だったが、2時間後には1まで下がった。かすかにニオイは残っていたが、ここまで強くたばこのニオイが付くシチュエーションは日常生活ではほぼない。「飲み会でタバコのニオイが付いちゃった」という場合は、2時間のケアで十分だろう。この後、さらに8時間モードでケアしたところ、ニオイはほとんど気にならなくなり、ニオイチェッカーの数値は0に

筆者が運動の際に着用しているパレオ。汗をたっぷり吸った後に1週間放置したので「むわ〜」と汗のニオイが漂っていたが、こちらもまるで洗濯後のような無臭状態に。やわらかなレーヨン素材の風合いが変わることもなかった。ニオイチェッカーの数値は1→0に

<洗濯王子からのアドバイス>モード選びに迷ったら、まずは2時間で試すべし!

「効率よく使用するためには、モード選びもポイントです。30分(クイックモード)と8時間(除菌モード)は用途がはっきりしているのですが、2時間と4時間のどちらを選ぶかはちょっと迷ってしまいますよね。ただ、【検証1】でもあったようにほとんどのニオイには2時間で十分だと感じたので、まずは2時間で試してみる。それでもまだニオイが気になるようだったら時間を追加するという使用法が効率的ではないでしょうか。使用していくうちに“これは特にニオイが強いから4時間でケアしよう”とか、感覚をつかんでいけると思います」

【検証2】大きめ衣類やセットアップに使用してみた

ラクーンの標準容量は「ジャケット1枚」とされているが、冬物の厚手のコートにもニオイが付いてしまったり、スーツなどをセットアップで一気に消臭したいということもあるだろう。そこで、筆者が持っている衣類の中でもっともボリュームのあるダウンコートと、セットアップのスーツをそれぞれ2時間モードでケアしてみた。

ダウンコートには軽くタバコのニオイを付けた。スーツは1か月ほど前に法事で使用した後クリーニングに出しそびれていたものなので、ほのかに線香の香りが残る状態。ケア後はいずれもきちんとニオイが落ちていた。大きめの衣類やセットアップでの使用も、さほど支障はなさそうだ

【検証3】「フレグランスモード」を試す

最後に、衣類に好きな香りを付けることができる「フレグランスモード」も試してみた。香水の香りを送風運転によって約10分間衣類袋内に充満させる機能だ。これなら、香水を付ける際に服にシミを付けてしまう心配もない。

香水を3プッシュ(0.15ml)ほど吹き付けたコットンを入れたフレグランスケースを、衣類袋の下のダクトの突起にセットする。アロマオイルなど、香水以外のものの使用は不可

消臭・除菌する際と同様に、衣類袋内にハンガーにかけた衣類をセットし、「フレグランス」ボタンを押してスタートするだけ。仕上がった衣類は、ほどよくいい香りをまとっていた。香水はつい付け過ぎてしまうことも多いので、ふんわり上品に香るこちらのほうが筆者は好みだった。ただ、使用後は香水の香りが衣類袋に残っているように感じられ、香り付けをしたくない衣類にも香りが付いてしまわないかが少し心配だ

<洗濯王子に聞く!>「フレグランスモード」使用後、衣類袋内に香りが残った場合の対策は?

「オゾンは香水のニオイにも働きます(オゾンが効かない成分もあり)。なので、ニオイが衣類袋に残っているように感じるけれど、実はフレグランスケースが香っているだけという場合もあるんです。気になる場合は、使用後にフレグランスケースを洗ってみましょう」

まとめ

ラクーンを使用していて気が付いたのは、「今すぐ洗濯をしなくちゃ!」という状況に比べ、「見るからに汚れているわけではないけれど、ニオイが心配……」という状況のほうがはるかに多いということ。そんな時、これまでは「洗う」「ほかの香りでごまかす」「あきらめる」という選択肢しかなかったが、新たに“オゾンで洗う”という選択肢が増えたことは、人と衣類にとって大幅に負担の軽減となるのではないだろうか。中村さんの言うように、服を大切にすることができる「新しい洗濯のカタチ」の1つとして私たちの生活に便利に取り入れることができそうだ。本体の価格や設置に要するスペースを考えると「即導入できる」という家庭はそんなに多くない気がするものの、実際に数週間使用した筆者は、「もし自宅にあれば洗濯機に負けない頻度で活躍するだろう」と感じた。

ただ、筆者が少し惜しいと思うのは衣類袋内部の構造。使用できる素材であれば、帽子やぬいぐるみといった衣類以外の製品もケアすることができるのだが、それらは必ずしもハンガーにかかるものばかりではないので、使用するためには自分で工夫して衣類袋内に設置する必要があるのだ。帽子をかけられるフックやぬいぐるみや靴を設置できる構造であれば、より使い勝手がよかっただろう。

たとえば帽子は、フックやクリップ、洗濯ばさみなどを用意してかけるしかない

たとえば帽子は、フックやクリップ、洗濯ばさみなどを用意してかけるしかない

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中村祐一

中村祐一

国家資格のクリーニング師で、洗濯アドバイザー。“洗濯王子”の愛称で呼ばれ、テレビや雑誌などの各種メディアでも活躍中。自身のホームページでも、洗濯に関する相談などを受け付けている。

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