レビュー

圧力とスチームで炊くパナソニック「Wおどり炊き SR-SPX105」のごはんの味とは?

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さまざまな調理家電があるが、なかでも日本人が最もこだわっていると断言できるのが炊飯器だ。電気炊飯器が登場して約60年。メーカーは、ごはんを美味しく炊くためにいくつもの技術を投入してきた。今回は、価格.comプロダクトアワード2015の調理家電部門で大賞に輝いたパナソニック「Wおどり炊き SR-SPX105」(以下、SR-SPX105)を自宅で2週間使用し、ごはんの味や使い勝手を確かめてみる。

サイズは26.6(幅)×23.3(高さ)×33.8(奥行)cmで、炊飯容量は0.5〜5.5合

サイズは26.6(幅)×23.3(高さ)×33.8(奥行)cmで、炊飯容量は0.5〜5.5合

炊飯方法は? 特徴をチェック!

SR-SPX105は「Wおどり炊き」という名称のとおり、“米粒をおどらせて炊く”のが特徴だ。“おどらせる”ための仕組みは2つあり、1つは炊飯時に圧力をかけて、それを一気に減圧することで沸騰状態を作り出す「可変圧力」。そしてもう1つが、釜底のIHコイルと釜底側面のIHコイルへの通電を0.04秒間隔で切り替えることで、内がまに内対流と外対流を発生させる「高速交互対流」である。これにより米粒がおどるように動き、一粒一粒が均一に加熱されるという。

さらに、炊飯時や保温時に高温のスチームを噴射させるのもポイント。専用の容器に水を入れ、IHヒーターで加熱することで220℃の過熱水蒸気を発生させる。スチームが米の芯まで熱を浸透させるとともに、ごはんのうまみを逃がさないように表面をコーティング。保温中は、適切なタイミングでスチームを投入してごはんの乾燥を抑える。

中空セラミックスと高発熱層パワフルステンレス、高熱伝導層アルミなど複数の金属を重ね合わせ、プレス成形で作られた内釜。内側にはダイヤモンドハードコートが施されている

内釜の底にはディンプル加工(くぼみ)が施されており、炊飯時にはここから大きな泡が発生する

内釜の底にはディンプル加工(くぼみ)が施されており、炊飯時にはここから大きな泡が発生する

釜底からふたまで6段のIHコイルを配置。内釜を包み込むことで沸騰状態を維持し、米に熱をしっかり伝える

釜底からふたまで6段のIHコイルを配置。内釜を包み込むことで沸騰状態を維持し、米に熱をしっかり伝える

220℃のスチームを発生させるための水容器。スチームを用いる炊飯コースの際は、事前に水を入れてセットする

内ぶたにある3つの穴から、スチームが高速で噴射される

内ぶたにある3つの穴から、スチームが高速で噴射される

炊飯時や保温時に発生する水蒸気には、ごはんの旨み成分も含まれる。SR-SPX105は「うまみ循環タンク」(銀色の部分)におねばを溜めて、スチームとともに釜内に戻す

どんな炊飯コースがある?

炊飯コースは全21種類用意されているが、おいしく炊きたい場合は「銀シャリ」コースを利用したい。「銀シャリ」コースは浸水や蒸らしにもしっかりと時間をかける最上位の炊き方であるが、SR-SPX105のスタンダードな炊飯コースでもある。購入した段階では「エコ炊飯」コースが設定されているものの、「エコ炊飯」はスチームを利用しないため、SR-SPX105の能力を最大限に発揮した炊き方とは言えない。つまり、“普通にごはんを炊く=「銀シャリ」コース”と考えていいだろう。

「銀シャリ」コースのこだわりは、多様な食感の炊き分けにある。「かため」「やわらか」「もちもち」「しゃっきり」といった4つの食感が選べるだけでなく、ぞれぞれ2段階(普通とより強め)に設定が可能。他社の炊飯器でも食感の炊き分けはできるが、ここまで細かく調整できるものはめずらしい。

2段階から選べる4つの食感(かため、やわらか、もちもち、しゃっきり)のほかに、「ふつう」も搭載されている。「ふつう」は「銀シャリ」コースの標準的な炊き方で、食感は1段階のみ

また、おいしさを追及するうえで、米の種類を選択して炊く「銘柄炊き分けコンシェルジュ」機能は見逃せない。登録されている36銘柄から該当する米を選ぶと、銘柄ごとに最適なプログラムで炊きあげてくれる。米の持つポテンシャルを活かした炊き方ができるため、銘柄による味や食感の違いをいろいろと試してみるといいだろう。

米の種類で、銘柄白米を選ぶと銘柄が表示される。有名銘柄から地域性の高い銘柄まで充実。ちなみに、この炊飯も「銀シャリ」コースだが、設定できる食感は「おすすめ」「かため」「やわらか」の3つとなる

このほか、最短24分で炊ける「高速」や0.5〜1.5カップの炊飯に適する「少量」、すしやカレー、炊き込みといった料理にあわせた炊き方、そして強めの火力で“おこげ”を付ける「かまどおこげ」などが用意されている。さらに、玄米や雑穀米、発芽・分づき米用のコースも搭載。

どんな味? 炊いて食べて確認

ここからは、いよいよ「SR-SPX105」で炊いたごはんの味や食感をチェックする。使用した米は、平成27年の栃木県産コシヒカリ。新米のため含水量が高く若干やわらかめに炊ける印象だが、あえて水の量の調整などは行わず規定どおりの水量で炊く。

まず最初に確かめるのは、「銘柄白米・銀シャリ(おすすめ)」で炊いたごはん。この味を基準にして、「銀シャリ(よりもちもち)」と「銀シャリ(よりしゃっきり)」、そして、「エコ炊飯」の4種類をそれぞれ数回炊いて確かめてみた。

「銘柄白米・銀シャリ(おすすめ)」は、約50分で炊きあがった。粒が大きく、香りも豊か。スチームの効果によるつや感の高さも目を引く。ただし、炊飯直後はちょっと水分が多い印象。混ぜ合わせて数十分おいた時がベストコンディションに感じた

毎日炊飯コースを変えて、味の違いをチェックした。その感想は下で紹介

毎日炊飯コースを変えて、味の違いをチェックした。その感想は下で紹介

銀シャリ(よりもちもち)
炊飯時間は約51分。「おすすめ」に比べるとやわらかく、もちもち感は増している。それと同時に、お米も若干つぶれ気味。「おすすめ」で感じた粒感は薄れた。

銀シャリ(よりしゃっきり)
粒感が強く残るあっさりとした味。もちもちさが低減したのと同時に、米の甘みもおとなしくなった。「おすすめ」と比べると個人的には物足りなさを感じたが、米の甘みが強くないほうが好みな人に向くだろう。炊飯時間は約45分。炊きあがったごはんの状態から考察すると、浸水時間を短くすることで食感を変えているのかも。

エコ炊飯
「よりしゃっきり」と数分違いの42分で炊きあがったが、スチームを使わないぶん、表面のつや感がない。さらに、味もあっさりとしている。この価格帯の炊飯器で、「エコ炊飯」を使うのは少しもったいない印象だ。

炊きたてを比較してきたが、保温したものや冷えたごはんの味も気になる。そこで、「銘柄白米・銀シャリ(おすすめ)」で炊き、保温12時間後と推奨されている最大保温時間である24時間後の状態を確かめてみた。また、弁当箱に入れて、常温に冷ませたごはんも試食してみる。

写真は、12時間保温したごはん。ごはんの乾燥はまだ進んでおらず、色もまだ変わっていない。炊飯直後と比べると香りが強くなり、若干風味に変化は生まれているが許容範囲だ。保温24時間を少し過ぎた時点のごはんも試食してみたが、わずかに色がつき始め、保温したごはん独特の香りが強くなった

炊きたてのごはんを弁当箱に入れて、常温で6時間放置してから試食した。表面はつややかで、しっとりとした食感。ごはん粒も固くなっておらず、お弁当には適している印象だ。レビューしている期間、幼稚園に通う子どもたちの弁当にも活用したが、毎回完食してくれた

今回実際に試食してみて、「銀シャリ(ふつう)」と「銘柄白米・銀シャリ(おすすめ)」で炊いた限りは若干もちもちよりだが非常にバランスがよかった。何よりスチームの効果は絶大で、炊きあがりの艶やかさに感動する。保温中にもスチームが作用するため、保温状態が数時間経っても艶やかかで、芯まで温か。炊きたても保温も高い満足度が得られる。

後片付けの手間はどの程度?

最後に、メンテナンス性をチェックしよう。SR-SPX105は炊飯のたびに内釜のほか、内ぶた、うまみ循環タンク、水容器を洗うことが推奨されている。水容器という独自の構造があるので洗い物の数は多く感じるかもしれない。ただし、細かく分離するパーツはないのでさほど手間にはならないだろう。また、本体の汚れも落としやすく配慮されている。

内ぶたの着脱はワンタッチ。小さなパーツを取り外して洗わないといけない炊飯器も多いが、SR-SPX105にはその手間はない

「うまみ循環タンク」の取り外しも容易

「うまみ循環タンク」の取り外しも容易

内釜のほかに洗浄するパーツは3点。「うまみ循環タンク」は、分解して洗浄する。中に凹凸はあるものの、洗いづらさは感じず。スチームを用いた炊飯の際は、水容器もきちんと洗おう

ボタンに凹凸がついていないので、本体天面のサッと拭いてキレイにできる

ボタンに凹凸がついていないので、本体天面のサッと拭いてキレイにできる

内釜の周囲部分には、くっついたごはん粒などが拭き取りやすいステンレスを採用。フラットなデザインになっているのも◎

まとめ

パナソニックの炊飯器といえば、非圧力とスチームで炊飯するのが特徴だった。2012年に「高速交互対流」による「おどり炊き」を搭載したものの、従来の炊飯方法は保持。しかし、2013年に吸収合併した三洋電機の技術を取り入れて圧力機能を採用し、今のカタチである「Wおどり炊き」を生み出した。非圧力の時と比べると、もちもち感や甘みが増し、より旨みが感じられるようになっている。また、進化を続けるスチーム機能により、ツヤ感の高さやみずみずしさは他の炊飯器と比べてもダントツだ。

また、9種類に炊き分けできる「銀シャリ」コースや銘柄で炊飯プログラムを調整する「銘柄炊き分けコンシェルジュ」機能があるのも魅力。自分の好みにあわせたり、逆に米の持つ特性を存分に堪能できる。コース数が多いため最適なものを見つけるには少々時間がかかるかもしれないが、いろいろなコースで味の変化を楽しんでみてほしい。

コヤマタカヒロ
Writer
コヤマタカヒロ
デジタル機器から白物家電まで幅広い範囲で執筆活動を展開。特に炊飯器には注力しており、米・食味鑑定士の資格も所有。
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中村真由美(編集部)
Editor
中村真由美(編集部)
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。気づけば15年以上、生活家電の情報を追い、さまざまな製品に触れています。
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