花粉やPM2.5、雨といった外的環境要因で寝具が外に干せない時などに重宝するふとんクリーナーは、高温多湿でダニが増殖しやすいこれからの季節に役立つはず。今回は、“熱でダニを引き剥がす”シャープ「Cornet EC-HX150」(以下、EC-HX150)のパワーや使い勝手を確かめてみた。
サイズは304(幅)×254(高さ)×405(奥行)mm
基本的な掃除の仕組みは、一般的なふとんクリーナーと同じ。毎分最大12,000回転するブラシで寝具を振動させ、繊維の奥に潜むハウスダストを浮かせて吸引する。加えて、EC-HX150は40℃以上の温風を放出するのがポイント。ダニは鋭いツメで布団の繊維にしがみついているため、普通に吸引するだけでは取れない。そこで、ダニが嫌う熱を当てることで“逃げようと動く→吸い取る”を行うという。ちなみに、放出される温風はモーターの熱を再利用しているので電気代も少なくて済む。
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叩くための専用パーツを装備するふとんクリーナーもあるが、EC-HX150はゴム製の回転ブラシが叩く役割を果たす。ブラシのブレードの枚数が前モデルの倍になったことで、振動数も2倍になった
本体底の後方に温風が放出される吹出口がある。排気口も兼ねるため、アレル物質を99.99%以上捕集する高性能プリーツフィルターとAg+アレルディフェンスフィルターを装備することで衛生面に配慮
温風の吹出口近くに紙テープを付けて稼働してみたところ、勢いよく放出された
吸い込んだゴミはダストカップに蓄積する。カップ内では高速で旋回する気流が発生しており、ダニは粉々に砕かれ99%死滅するという
EC-HX150には室温などにあわせてパワーを自動で調整してくれる「自動モード」のほか、自動モードの2倍の吸引力で掃除する「フルパワーモード」、ブラシの回転数や吸引力が弱めになる「デリケートモード」といった3つの運転モードが用意されている。放出される温風の温度も、モードにより異なるようだ。どの程度の違いがあるのかをチェックしてみよう。
まずは、吸引力の差を検証。シーツに賞味期限切れの小麦粉を撒き、それぞれのモードで吸ってみた。
ハンドルに装備されたボタンで運転モードを選択する
一直線に撒いた小麦粉を、各モードで1往復ずつ掃除機がけする。結果の精度を高めるために、2か所で実行
自動モードでは、1往復した部分に小麦粉の残留は見当たらず。非常に満足度の高い取れ具合だ
叩く振動が大きいためか、フルパワーモードでは周囲に小麦粉が撒き散らされてしまった。しかし、その上を通過させればしっかり吸い取れるので問題はないだろう
パワーが弱くなるデリケートモードの場合、往復した道に少し小麦粉の残留が見られた。傷みやすい寝具では安心できるモードだが、ハウスダストを取るという意味では自動モードをメインで使うほうがいいかもしれない
吹出口すぐの所で温風の温度を計ってみると、フルパワーモードは最高70℃、平均60℃程度で、デリケートモードでは40℃台となった。自動モードは室温などにあわせてコントロールされるため温度幅が広かったが、およそ50℃前後で制御されているようだ
上の検証結果で1往復だけでも高レベルの吸引力を確認できたが、実際に日々の中で使用した使いやすさやゴミの取れ具合も気になるところ。今回は、自動モードでシングルサイズの綿布団を掃除してみる。
EC-HX150は2つの握り方でハンドルを持つことができる。ベッドや床に敷くタイプの布団といったケースにあわせて、持ち方を変えるとラクに操作できるだろう
重量が2.4kg(コード含む)あるが、掃除機をかける位置や状況にあわせて握り方を変えられるので疲れにくい。引っかかりもなく、スルスルと動かすことができた
温風で布団の湿気も取り除かれるのか、少しふっくらとするようで気持ちいい。また、プラズマクラスターも放出されているので、枕に付着したニオイが消臭された
掛け布団と敷布団を裏表掃除すると、たった1回でたっぷりゴミが取れた。カップ内には高速で旋回する気流が発生しているためか、砂塵のような細かいゴミがたっぷり!
ゴミはフタを開けて捨てる。また、ダストカップは分解して丸洗い可能
ブラシも取り外して水洗いできる。ゴム製なので、洗いやすく乾きやすいのも◎
使用後は専用スタンドにコードもまとめて収納できるので、スッキリ&清潔感もある
熱を利用したダニを引き剥がす機能が大きな特徴だが、今回、実際に使ってみて吸引力の高さも実感できた。ハイパワーな吸引モーターを内蔵しているため、それなりの重量はあるが、持ち方を選べるハンドル形状や走行性に優れる車輪などで操作性に不満はない。また、高性能なフィルターを備えた排気口やダストカップの構造を工夫することで、捕集したハウスダストを排気に漏らさないようにしているのも秀逸だ。
ダニの除去だけでなく温風による布団の乾燥、そしてプラズマクラスターの消臭効果など、1台で寝具のケアが手広くできる非常にお得感のある逸品だと言えるだろう。
雑誌記者・編集者などを経て、2004年に渡仏。2006年に帰国後はさまざまな媒体において、家電をはじめ“ライフスタイル”的切り口で多ジャンルの記事を執筆。