肌が弱い筆者は、“電動シェーバー=ヒリヒリ”の方程式は絶対的なものと思っていた。なので、ひげ剃りにはもっぱら肌にやさしい洗顔料とT字型カミソリを愛用している。そんな筆者の思い込みを払拭してくれたのが、パナソニックのカミソリシェーバー「ラムダッシュ ES-ST39」(以下、ES-ST39)。 防水設計で“お風呂シェービング”やシェービングフォームと合わせて使用できるなど、低刺激のひげ剃りが可能だ。
「ラムダッシュ」にはいくつかのシリーズがあるが、「カミソリシェーバー」はその名の通りT字カミソリ感覚で使用できる電動シェーバー初心者にも扱いやすい人気モデルだ。ES-ST39は、刃と肌の間に泡やジェルを届けやすくしてなめらかなシェービングができる「泡スルーヘッド」を採用。センサーがヒゲの濃さを判別して自動でパワーコントロールする機能や、普段使用している洗顔料でシェービング用の泡を作る「泡メイキングモード」なども搭載しており、肌に必要以上の負担がかかるのを防いでくれる。
サイズは64(幅)×150(高さ)×47(奥行)mm。重量は約145g(シェーバーホルダーを除く)。充電式で、防水レベルは水深1mに30分間浸けても大丈夫なIPX7となっている
充電は専用スタンドに置くだけ。約1時間の充電で1日1回約3分間のドライ使用で約14日間使用可能だ。交流式では使えない
往復式の3枚刃を採用。ストロークは約13,000回/分
外刃フレームには、刃と肌の間に泡などが入り込みやすくなる溝を備えている。刃面に丸みを持たせることで、あごなどの曲線部にも密着しやすいという
硬いヒゲもスパッとカットできるよう、内刃は刃先の角度を30°まで鋭くしている
本体裏側には伸びたヒゲやクセ毛のヒゲ、もみ上げをカットできるトリマーを搭載。長く伸び過ぎてしまった場合は、これでざっくり全体をカットしてシェービングしよう
まずは、「泡メイキングモード」で立てた泡を使用したウェット剃りを体験してみよう。「泡メイキングモード」では、シェービング時よりも早い速度で内刃が可動することで泡を立てる仕組みだ。所要時間は15秒程度(下の動画参照)。洗顔料2cm程度で1回分の泡ができる。泡立ての段階で刃全体に泡が行き渡るため、通常の泡剃りよりもさらにマイルドな肌当たりになるという。
正直もっとブワーッと盛大に泡立つのかと思いきや、意外と地味な泡立ち。ただ、よく見れば手で泡立てるよりもきめ細かい泡になっている
泡を肌に塗布し、アゴの下からゆっくり刃を滑らせていくと、“ジョリジョリ”という小気味よい音とともにヒゲが剃られていく。ヒゲを引っ張られるような感覚はほとんどなく、肌すべりは「快適」の一言だ。T字カミソリのように逆手でのペン持ちができるので刃の方向転換がしやすく、アゴなど電動シェーバー初心者が苦戦しがちな部分も難なくすべらせることができた。「泡スルーヘッド」の効果なのか、何度か刃を往復させても必要以上に泡をかきとってしまうことはなく、終始なめらかな剃り心地。刃を当てる場所によって音が変化していたので、センサーがヒゲの濃さを判別し、濃い場所ではパワーを上げ、薄い場所ではパワーを抑えていることが感じられた。
持ち手部分にくぼみがある形状で、手に泡が付いていてもしっかりグリップできる
鼻の下は多少引っかかりを感じたが、痛いというほどではなかった
仕上がりは、遠い昔の小学生時代を思い出すほどツルツルでスベスベ。これは気持ちいい。何より泡を洗い流しても、ヒリヒリ感がないのが最高にうれしいところだ。仕上げにローションと乳液もつけてみたが、沁みた部分はなし。T字カミソリでのヒゲ剃り後にはかなりの確率で必要になる軟膏の出番がない。
剃り上がり後のさっぱり感が優秀なだけでなく、いつもはザラつきが気になってくる1日半後でもほとんど伸びた感がない。T字カミソリよりもきちんと深剃りできていることを実感できた
カミソリ負けしやすい筆者としては結構勇気がいることだが、ドライ剃りもやさしくできるというので試してみた。予想通り泡剃りに比べて多少肌への刺激が感じられ、心なしかヒゲを引っ張られる感覚もあるが、肌に刃を強く押し当てなくてもきれいに剃れていく。どちらが肌にやさしいかと問われれば泡剃りに軍配を上げざるを得ないが、ドライ剃りにしては肌当たりがかなりマイルド。忙しい時に短時間で剃るには適しているだろう。
これまで電動シェーバーでのドライ剃りは避けていたが、これなら大丈夫。ドライ剃り後もヒリヒリしないなんて、筆者にとっては奇跡的!
電動シェーバーの手入れは、外刃を外してヒゲくずをブラシで落とすなど結構厄介なものだが、ES-ST39はヘッドの内部に水を通すことができるため、外刃を外さずにひげクズを洗い流せる。風呂場でのシェービング後に本体の手入れまで済ますことができるのが便利だ。
ヘッドに付けたハンドソープを「泡メイキングモード」で泡立て、流水にさらせばOK。外刃を外して洗浄することもできる
正直、電動シェーバーで肌がヒリヒリせずにここまでスベスベになるとは思わなかった。近年はひたすらT字型カミソリを愛用していてほかの選択肢などないと思っていたが、ES-ST39を使用して心が揺らいでいる。シェービング時の刺激に悩む男性には、ぜひともお風呂場でこの“スムース泡剃り”を試してみてもらいたい。
実は、ES-ST39の下位モデルにあたる「ES-ST29」は2016年4月7日現在価格.comのシェーバー売れ筋ランキングで1位となっているのだが、今回ES-ST39を使用してその人気に納得した。なおES-ST29は「泡メイキングモード」非搭載モデルなので、お気に入りのシェービングフォームがあるなど泡立て機能を必要としない人はこちらを選んでもいいかもしれない。
ちなみに、カミソリシェーバー「ラムダッシュ」は5月に最新モデル「ES-ST8N」の発売を控えている。ES-ST8Nには首振りヘッドなどよりスムーズなシェービングができる機構を備えるというので、その使用感にも期待したいところだ。