筆者の歯は知覚過敏だ。しかも、歯医者に行くと必ず「歯茎が下がり気味なので、もっとやさしくみがいてください」と言われる。自分ではそんなつもりはないが、歯ブラシは硬めを好むし、歯にざらつきが残っているのが許せないので、気付かないうちに力を入れ過ぎているのかもしれない。そこで、やさしく磨けそうな電動歯ブラシを導入しようと考えた。しかし、強めの歯みがきに慣れているため、電動歯ブラシのみがき心地に満足できるのかが不安だ。そこで、まずは価格もサイズも手頃なパナソニック「ポケットドルツ」で、電動歯ブラシとの相性を試してみることにした。
「ポケットドルツ」は、2009年に初代モデルが発売されて以来、モデルチェンジを繰り返しながらロングセラーとなっている携帯用の電動歯ブラシだ。コンパクトなだけでなく、デザインが電動歯ブラシ然としていないので、スマートに持ち歩ける。オフィスなどでも使用しやすいのが人気の一因だろう。音波振動によって、手みがきでは難しい歯周ポケットまでケアができるという。
今回使用するのは、最新モデル「EW-DS18」だ。シリーズで初めて極細毛ブラシを採用したモデルで、細さ約0.02mmの極細毛が、歯周ポケットや歯間などの細かいすき間にもしっかり届くという。ブラシストロークは約16,000/分で、ツルツルの歯に仕上げてくれるらしい。また、ステインオフ用や、キッズ用のアタッチメントもオプションで販売されているので、用途に合ったものに付け替えて使用することもできる。
本体はマットな質感でチープ感はなし。サイズは約16.5(幅)×18(奥行き)×160(長さ)mmで、重量は電池を入れた状態で約42g。「EW-DS18」は同シリーズのほかの製品より1.2cmほどボディが長く、手が大きな人でも使用しやすい分、小さめの化粧ポーチなどには収まらないかも
キャップを外すとブラシが現れる。一般の歯ブラシと比較してみると、むしろ小さいくらいだ。単4電池1本で約180分駆動するので、1日5分使用した場合、1か月ほど使用できる
ブラシは細さ約0.02mm。極細のブラシが歯の間や歯周ポケットなど、細かいすき間までしっかり届く。毛先に3mmの段差を設け、デリケートな歯周ポケットに毛が必要以上入り込まないようにしている
本体からブラシを外して洗うことができるので、清潔に使用できる
早速、「EW-DS18」を職場でのランチ後に使用してみた。電動歯ブラシを使用するのは子どもの頃以来なので、実に20年以上ぶり。その頃使っていた電動歯ブラシはもはや比較対象ではないので、初めて使用するようなものだ。普通の歯ブラシのように歯みがき粉を乗せたら、電源をオンにして歯に当て、手で本体を少しずつ動かしながら磨いていく。
動作は単一で、スイッチでオン/オフを切り替えるだけ
歯みがき粉は、ブラシの上のほうに少量乗せる
運転を開始させて歯に当てると、“ブーン”という音とともに振動が口の中に伝わり、その感覚が心地よい。手みがきの場合、シャコシャコと口の中を洗浄するような感覚だが、「EW-DS18」の場合は、音波振動が歯茎のマッサージまでしてくれているようで、これはこれでグッドだ。「もっと強くみがきたい」という気持ちにもならずに済んだ。また、“ブーン”という音が聞こえるのは使用している本人のみで、まわりにはほとんど音が聞こえないので、オフィスの化粧室でも気兼ねなく使用できる。
歯や歯と歯茎の境目は、ブラシを45°の角度になるように当てる。歯みがき粉はあまり泡立たないが、その分、歯の1本1本が見やすく、歯と歯の隙間を意識したブラッシングができる
磨きあがりは、歯の表面がつるりとして気持ちがいい。「普通の歯ブラシのようにたくさん動かさないように……」と控えめに動かしていたせいか、奥歯の側面などには少々ざらつきが残っているように感じたが、予想以上にきれいにみがけて爽快な気持ちになった。
筆者の電動歯ブラシへの不安は、舌のケアにもある。毎回の歯みがきの仕上げに歯ブラシで舌をガシガシみがくのが習慣化しているので、電動歯ブラシのやさしい感触で、あのすっきり感は味わえないだろうと思っていたのだ。しかし、ポケットドルツではブラシヘッドの背が舌ブラシになっている。使う前は「これで舌の汚れが取れるのか?」と不安だったが、舌の汚れがキチンと取れていたし、すっきり感もなかなかのものだ。
ブラシヘッドの裏に突起がついており、これで舌の汚れを取り除く
振動している状態で舌をなぞる。硬い歯ブラシでガシガシこするより、ずいぶん舌にやさしいはず
筆者はこれまで、歯を、前歯、奥歯、裏側のゾーンに分けて数本ずつざっくりみがいていたが、「EW-DS18」を使用したことで、自然と1本1本をやさしくみがくようになっていた。ていねいな作業になるほど時間はかかるので、正直朝の忙しい時間などに毎日使用できるかはわからないし、奥歯など見えづらいところをきれいにみがくには、もう少し熟練が必要だが、手みがきと「EW-DS18」を使い分けるなどして、少しずつでも歯や歯ぐきへの負担を減らせていけたらと感じた。
電動歯ブラシを使わず嫌いというか、なんとなく敬遠していた筆者も、思った以上にすっきり感を味わえたことで、会社での使用だけでなく、自宅でも電動歯ブラシを導入してみようという気になった。また、「EW-DS18」を使い始めたことで、「強くみがき過ぎる」「歯みがき粉を泡立て過ぎる」「舌を歯ブラシでみがく」などの間違ったオーラルケアを卒業することができそうだ。電動歯ブラシが気になりつつも、いきなり高価なものや大きいサイズのものに手を出すのをためらっているならば、電動歯ブラシ入門のつもりで、「ポケットドルツ」を試してみてはどうだろう。