こんにちは! 洗濯家の中村祐一です。2016年12月より、洗濯表示が新しくなったのをご存知でしょうか? 記号の種類が22種類から41種類に増え、衣類などの繊維製品の取扱いに関するよりくわしい情報が得られるようになりました。そこで今回は、この新しくなった洗濯表示の意味について、解説していきたいと思います。
<目次>
・なぜ、洗濯表示が改正?
・新しい洗濯表示は大きく分けると5種類
・S T E P 0 一番右の丸マークは除外!
・S T E P 1 最重要! 一番左のマークはどうなってる?
・S T E P 2 漂白剤を使いたい時は、三角形の表示を確認
・S T E P 3 乾かし方は、四角い表示を見るべし
・S T E P 4 アイロンの表示は、温度の設定3段階
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これまでの洗濯表示は、JIS という国内の規格と、ISO という国際規格が混在していたため、非常にフワッとした情報しか書けず、実際に衣類を着る時や洗う時の取り扱い方法があいまいでした。たとえば、汗をたくさん吸う夏物の綿の白シャツに「水洗い不可」の表示が付いているなど、首をかしげる表示が多かったのも事実。「水洗い不可」の表示が付いているけれど、実際に水で洗ってみたら何の問題もなかったということも多かったのです。
そのため、ISO の規格にJIS を整合化させて洗濯表示を改正することになりました。近年、衣類のデザインや素材が多様化する中で、キチンとした表示が求められていますから、これによってこれまでよりも衣類に合った洗濯ができるはず! と、期待されているのです。
新しい表示は、大きく分けて5種類の洗濯表示から成り立っています。消費者庁の出しているこのポスターがシンプルでわかりやすいですね。
画像は消費者庁ホームページより
左から、
(1)洗濯のやり方について
(2)漂白剤の使用について
(3)乾かし方について
(4)アイロンのかけ方について
(5)クリーニングについて
それぞれ表示されています。実際に服の表示に付く場合もこの順番に並んでいるはずです。家にある息子のGAP のニットが新表示だったので、今回はこちらを例に解説していきますね。
一番右の丸マークは、クリーニング店へ向けた表示です。家庭で洗濯する時にはほとんど関係がありませんから、無視していいでしょう。
家庭で洗濯をする際に一番重要なのは、左側にあるオケのマークがどうなっているかです! これからは服を買う時に、ここの表示がどうなっているのかをよく見た方がいいですよ。
まず大事なのは、下のようにオケの表示に×が付いていないか? ×が付いているアイテムは、家庭で洗濯ができません。洗うと、型崩れ、色落ち、縮み、風合いの変化など、家庭では回復困難な損傷が服に起こってしまうという表示です。なので、その場合はクリーニング店など専門家に相談ですね。
家庭で洗濯可能な場合は、洗濯機での洗い方に3段階の強さの表示があるのと、手洗いの表示が1つあります。
オケだけのマークこれは、家庭用の洗濯機であれば強さなど特に制限なく洗えるという表示。どのコースで洗っても大丈夫です。
オケの下に1本線これは、家庭用の洗濯機の標準コース以下であれば洗えるという表示です。たとえば、「ゴシゴシ洗いコース」「しっかりコース」「高洗浄コース」など洗浄力の強いコースがありますが、そういったコースでは強すぎる可能性があるので避けてください。ま、標準コースを選べばOK ですね。
オケの下に2本線家庭用洗濯機のやさしく洗うコースで洗える表示です。「弱」とか「ソフトコース」とか「ドライコース」とか「おうちクリーニングコース」とか、そんな感じのコースですね。洗濯機で洗える表示の中で、一番デリケートな表示です。
洗濯機洗いについて、経産省のホームページなどには、「普通の操作」「弱い操作」「非常に弱い操作」で洗う。とか書いてあるんですが、「これじゃーよくわからない!」と思い、経産省に問い合わせたところ、上記のような理解でOK と教えてくださいました! とっても親切ていねいでした(笑)
オケに手を突っ込んだ表示手洗いの表示は、オケに手を突っ込んだ表示になっています。今までは「手洗イ」って書いてありましたが、なくなりました。手で洗う時は、服をやさしく手で沈めたり、やさしく水の中で振ったりするなどして、できる限り服に負担をかけないように洗ってください。
洗い方についてはこんな感じで決まっています。改めてGAP のニットを見てみると……?
オケの下に1本線の洗える表示ですから、洗濯機の標準コースで洗ってOK だとわかりますね。
ちなみに、オケの中に数字がありますが、これは水温の上限温度の表示。なので、この場合30℃以下の水温なら洗ってOK ですよという意味です。30℃ピッタリでなければダメという意味ではないのでお間違えなく。
「服からいやな臭いがする」「トマトソースの赤い色素汚れが落ちない」「白シャツの襟が黄ばんじゃった」などなど、洗濯に漂白剤を使いたい場面もありますよね。そんな時は、左から2 番目の三角形の表示を確認してください。
家庭で使用頻度の高い漂白剤には大きく分けると「塩素系」と「酸素系」の2 種類がありますが、三角がどんな表示になっているかで、使える漂白剤の種類がわかります。「塩素系」の漂白剤は、色抜けや変色といった副作用が強すぎて扱いが非常に難しいため、使用できるアイテムがかなり限定されます。いっぽう、「酸素系」の漂白剤であれば使えるアイテムが幅広くなるため、「塩素系はダメだけど、酸素系なら使えるよ」という表示が今回から増えています。
で、このGAPのニットの表示は?
三角形に線2本なので、「酸素系の漂白剤なら使える」とわかりますね!
洗い方に関する表示(左側2つの記号の読み方)は以上です。続いて、脱水→乾かし方→アイロンのかけ方と進んでいきますよ!
次は乾かし方です。左から3つ目の四角い表示に注目してください。乾かし方の表示は、乾燥機で回せるか? 自然乾燥か? を見ます。
四角の中に丸がある場合は、乾燥機を使った乾かし方についての表示。丸に×なら、乾燥機での乾燥禁止です。ちなみに、ここで言う乾燥機は、「タンブラー乾燥」と言ってドラムの中でグルグル回す乾燥のことで、浴室乾燥などのグルグル回らない乾燥機は対象外です。四角の中の丸に点2個なら80℃までの温度で乾燥OK。四角の中の丸に点1個なら60℃までの温度で乾燥OK という表示になります。
僕が自宅で使っている家庭用の乾燥機だと「強」「弱」とかってなっているので、点1個なら弱、2個なら強って感じですね
乾燥機の表示がなく、この棒の表示のみの場合、乾燥機は使えません。四角の中に、棒がある場合は、自然乾燥。縦棒なら、ハンガーなどに吊るして干す。横棒なら、平干しという表示です。
この棒1本なら普通に絞ったものを干すのですが、2本の場合は絞らずに干すという意味になります。つまり、脱水してしまうと回復困難なシワが付いてしまったり、型くずれしてしまったりするアイテムは2本線になるということ。この表示は洗濯前に見ておいて、絞らないほうがいいものを確認しておいたほうがいいですね(まぁ、それほど多くないとは思いますが……)。で、四角の中に斜めの線がある場合には、棒が縦でも横でも、陰干しをするという表示になります。
実際の表示に戻って、見てみると……
乾燥機での乾燥はダメ。普通に脱水して、平干し(日なたでも日陰でもOK)で干すんだなとわかりますね!
ちなみに、よく「平干し」とか「陰干し」ってなんですか? というご相談をいただくのですが、平干しってこんな感じです。
なぜこんな形で干すのかというと、ニットなんかのやわらかい素材はハンガーに吊るして干してしまうと、全体に伸びてしまうから。要は、重さを肩の部分だけでなく全体に分散させることで、服の形を守れる干し方ですね。
ちなみに、これはズボンハンガーとワイヤーネットを使って作っています
そして、陰干し。服も人間の肌と一緒で、日光に当てると日焼けをします。なので、直射日光を当てないようにして干すことで服の劣化や変色を防ぐのが陰干し。デリケートな衣類になればなるほど、影干し表示が付けられることが多くなります。
とはいえ、実は僕は、基本的にはすべての衣類を陰干ししています。どちらかと言うと、洗濯物は青空の下で干すのが普通で、室内干しは外に干せない時の補助的なものと考えられているようですが、僕はそうは思っていません。部屋干し(陰干し)こそ、服のことを思った最高の干し方ではないかと考えています。
浴室についている棒にもう1本突っ張り棒を付けて、浴室を干し場として使っています
さて、最後はアイロンの使い方に関する表示の読み方です! 難しいことはまったくなく、アイロンがかけられるかどうかと、かけ面の温度がどれくらいの温度まで大丈夫かの表示のみ。アイロンマークに×なら、アイロンは当てられません。温度の表示は乾燥機の表示と同じく点の数で表示され(ただし、乾燥機とは温度が違うので注意!)、点1個は110℃まで、点2個は150℃まで、点3個なら200℃までアイロン可となっています。
GAPのニットはというと……110℃までの温度ならアイロンが当てられます!
というわけでGAPのニットの表示をおさらいすると……
・30℃までの水温で、洗濯機の標準コース以下で洗える。
・酸素系の漂白剤が使える。
・乾燥機は使用不可で、干す時は「平干し」で乾かす。
・アイロンは、110℃までの温度でかける。
と読み取れますね。
練習に、もうひとつ別の表示も読んでみましょう。
・30℃までの水温で、洗濯機の標準コース以下で洗える。
・漂白剤はすべての種類が使えない。
・乾燥機は使用不可で、干す時は日陰で吊るし干しで乾かす。
・アイロンは、150℃までの温度でかける。
と読み取れます!
いかがでしたか? 最初はとまどうかもしれませんが、覚えてしまえば、簡単にくわしい取り扱い方法がわかるので、これまで以上に衣類を正しく取り扱えるようになるはずです。しっかりマスターして、普段の洗濯に活用してくださいね!