初めてのキャンプ用品選びで、最初にぶつかる大きな壁が「テント」。いろいろな種類があり、何を選んでいいのかわからない人が多いようです。そこで今回は、4人家族のビギナーキャンパーを想定したテントの選び方を紹介。種類ごとに異なるテントの特徴や設営のポイントを解説します!
テントの種類は、家のような形状をした「ロッジテント」、1本のポールで建てる「モノポールテント」、半球状の「ドームテント」に大きく分けることができます。この中で、初心者が最初のテントとして選ぶなら、設営が簡単な「ドームテント」が最適。サンシェードなどによく見られる、放り投げるだけで設営できる「ポップアップテント」は作業は簡単ですが、定員が少ないモデルが多いので4人家族で過ごすには快適さに欠けるかもしれません。
ドームテントのようにポールをたわませないで、硬い素材のポールで骨格を作る家型のテント。抜群の居住性を誇る半面、収納サイズが非常に大きく、重量も重いので近年はあまり見かけなくなってきました。
ogawa「ミネルバN-01」
多彩な機能と優れた居住性を備えた“made in Japan”の5人用テント。使用時のサイズは約350(幅)×460(奥行)×215(高さ)cm。収納サイズ(幕体/フレーム)は約72(幅)×44(奥行)×28(高さ)cm/約112(幅)×31(奥行)×18(高さ)cmで、重量は約39.6kg
ポール1本で建てることができる三角屋根が特徴で、「ワンポールテント」とも呼ばれます。コンパクトに収納できるので持ち運びはしやすいのですが、設営したテントは壁面の傾斜がきつく、外観よりも広さを感じられない点はゆったり過ごしたい人には懸念されるかも。また、前室がなく雨天時に出入りしにくいモデルも多くあります。
ogawa「ピルツ9-DX」
裾部の8か所を固定して、1本のポールを立てるだけで設営できる4人用テント。ひさしが付いているので、小雨などの侵入も防いでくれます。使用時のサイズは約320(幅)×350(奥行)×245(高さ)cm。収納サイズは約78(幅)×22(奥行)×22(高さ)cmで、重量は約7.4kg
アーチ状にたわませたポールを組み合わせ、ドーム形状を作っていくテント。ロッジテントに比べてコンパクトに収納でき、風にも強いことから、現在オートキャンプの主流となっています。
コールマン「タフドーム/3025」
ひとりでの設営をサポートしてくれる「アシストクリップ」を装備した4〜5人用のテントです。使用時のサイズは約300(幅)×455(奥行)×178(高さ)cm。収納サイズは約26(直径)×72(奥行)cmで、重量は約10kg
広い居住空間が確保できるテントは理想だけれど、設営が大変そう……と心配に思う方もいるかもしれません。しかし、近年のテントは設営がラクにできる工夫が施されています。特に、ドームテントの中でも「Xフレーム構造」(あとで詳しく解説)を採用しているモデルは、まさに初心者にうってつけ。家族で過ごせるサイズながら、ひとりでも設営できてしまいます。百聞は一見にしかず、ということで、筆者が実際にひとりで設営した様子を下の動画でご覧ください! なお、今回設営したテントはコールマン「タフドーム/3025」。Xフレーム構造であるだけでなく、設営時にピンとポールを外れにくくした「アシストクリップ」を採用し、“ひとりでも簡単に立てられる”を追求しているのがポイントです。
ポールの準備に始まり、フライシートをかけ、出入口のパネルを巻いて収納するところまで含めても、テント設営にかかった時間は15分強。フライシートをかぶせる工程は2人でしたほうがラクですが、テントを立ち上げるのはひとりでも難しくはありません。目が離せない年頃の子どもがいる家庭でも、ドームテントなら父親、母親のどちらかが設営を担当できるので便利です。
そして、テントはただ建てるのではなく、「キレイに張る」ことを忘れてはいけません。見た目がいいのはもちろんですが、シワやたるみがないほうがテント本来の機能が十分に発揮できるからです。すべて完璧にこなすのは難しいかもしれないので、理想的な状態に仕上げるための、ここだけは押さえておいたほうがいいというポイントを紹介しておきましょう。
ポールをテントに通す際は、スリーブに差し込みながら行うこと。引っ張ってしまうとポールの継ぎ目が抜けてしまい、余計な手間がかかります
テントにポールを通したらポールを立ち上げますが、この時、ドアのファスナーを開けておきましょう。こうすることでテント内に空気が入り、ふくらんで立ち上がりやすくなります
テントを立ち上げたら、必ずファスナーを閉めます。開けたままペグで固定すると、あとでファスナーが閉まらなくなる可能性も!
フロアをペグで固定する順番は、対角線を意識しましょう(右前側を固定した次は、左後側といった具合)。フロアがピンッと張れるので、テントがゆがむことなく建てられます
立ち上げたテントにフライシートをかぶせたら、しっかりとペグで固定します。フライシートもたるんでいると、テント本来の機能が発揮できないので“張る”ことを忘れずに
出入口のパネルを巻き上げは、内側巻きにしましょう。外側に巻いてしまうと、雨が降った時に水が溜まってしまう恐れがあります
設営の仕上げは、ドアをメッシュにし、風通しをよくしておくこと。室温の上昇が抑えられるので、テントで過ごす快適さが変わります。メッシュであれば、虫も入ってこないので安心。なお、寒い時期にキャンプする際はドアパネルは閉め、テント内を保温しましょう
ファミリーキャンプにはドームテントが最適とお伝えしてきましたが、ひとくちにドームテントといっても、前室が広い大型の「2ルームテント」、居住空間は広いが自立しない「トンネルテント」、複雑な構造でフレームの多い「ジオデシック」など種類がいくつかあります。それぞれの種類ごとに「これぞ!」というモデルをピックアップしてみたので、過ごしたいスタイルや好みのデザインを見つけてください。もし、どれを選ぶべきか判断できない時は、Xフレーム構造のドームテントをチョイスしておけば安心です。
ドームテントはポールをテントに通して弓なりに反らせ、そのテンションでテント内の空間を作ります。そのポールを“X”に交差させて建てるのが「Xフレーム」や「クロスポール」などと呼ばれる構造のテント。シンプルな構造で建てやすいのでビギナーに最適です。
上で紹介している設営の流れで使用しているのが、この「タフドーム/3025」。家族4人がゆったりと眠れるサイズで、快適に過ごせるように室内の空気循環をうながす機構も設けられています。
使用時のサイズは約300(幅)×455(奥行)×178(高さ)cmで、定員4〜5名。収納サイズは約26(直径)×72(幅)cm、重量は約10kgです
耐風性と居住性を両立させる地上高で設計された、同社ベストセラー。前室の正面だけでなくサイドにもドアを装備しているので、フロントパネルを閉じている時でも出入りが可能です。
使用時のサイズは約280(幅)×505(奥行)×150(高さ)cmで、定員5名。収納サイズは約74(幅)×22(奥行)×25(高さ)cm、重量は約8kgです
前後面に大型メッシュパネル、上部にベンチレーターが装備されており、非常にすぐれた通気性を実現。クロスしたポールが一体になっている「スイベルジョイント」を採用しているので設営が簡単にできます。
使用時のサイズは約270(幅)×495(奥行)×180(高さ)cmで、定員6名。収納サイズは約75(幅)×35(奥行)×27(高さ)cm、重量は約11.5kgです
外側のフライシートにもポールを採用することにより、前室に2つの大型開口部を装備。キャノピーは拡張することができ、ヘキサタープのように張り出すことができます。
使用時のサイズは約270(幅)×495(奥行)×160(高さ)cmで、定員5名。収納サイズは約60(幅)×24(奥行)×24(高さ)cm、重量は約8.7kgです
寝室とリビングが一体化しているので、テントとタープをそれぞれ建てなくても一度に設営できてしまうのが魅力。リビングスペースがテント内にあるので、寒さをしのぎやすく、プライベート空間も確保しやすいでしょう。なお、ロッジテントに似ているドームテントということから「ロッジドーム」と呼ばれることもあります。
クロスポールをベースにした広い前室を備えたモデルですが、コールマン独自の「アシストクリップ」でひとりでも設営できるようにしています。通気性にすぐれたベンチレーションシステムを装備しているので快適さもバッチリ。
使用時のサイズは約340(幅)×540(奥行)×215(高さ)cmで、定員4〜5名。収納サイズは約30(直径)×74(幅)cm、重量は約16kgです
リビングルームは日中に活動しやすいよう高さを残し、寝るだけの寝室は低く設計した、耐風性にすぐれた流線型のテント。収納バッグは防水仕様なので、雨で濡れても安心なのがうれしい。
使用時のサイズは約290(幅)×460(奥行)×155(高さ)cmで、定員5名。収納サイズは約65(幅)×28(奥行)×28(高さ)cm、重量は約12.2kgです
広い前室には、フロントと両サイドに出入り口が配置されており、過ごしやすいデザインとなっています。インナーテントは6人定員なので、大人2人+子ども3人の5人家族でもゆったり。大型ベンチレーション付きなので、全閉しても通気性はしっかり確保できます。
使用時のサイズは約405(幅)×625(奥行)×205(高さ)cmで、定員6名。収納サイズ(幕体/フレーム)は約75(幅)×33(奥行)×36(高さ)cm/約72(幅)×12(奥行)×22(高さ)cm、重量は約22kgです
13m²以上のリビングスペースをはじめ、6か所の出入口や8か所の大きなメッシュパネルを有し、快適さを確保。さらに、張り出しができるフラップを装備しています。
使用時のサイズは約350(幅)×650(奥行)×215(高さ)cmで、定員5名。収納サイズは約80(幅)×38(奥行)×36(高さ)cm、重量は約19.4kgです
ポールを交差させず、アーチ状に並べてかまぼこのようなカタチになるテント。2ルームテント同様に、リビングと寝室が一体化しているモデルが多く、見た目が特徴的なので、おしゃれなキャンプサイト作りをしたい人にも人気があります。ただ、固定しないと立ち上がらないので、立ち上げたあとにテントを移動させるのは少々めんどうかもしれません。
インナーテントとフライシートにベンチレーション、インナーテントに大型ベンチレーションとして機能するC型ドアを装備しているので、暑い夏でも快適に過ごせます。吊り下げ式のインナーテントを外せば、スクリーンタープとしても利用可能。
使用時のサイズは約290(幅)×515(奥行)×203(高さ)cmで、定員5名。収納サイズは約72(幅)×33(奥行)×33(高さ)cm、重量は約14.7kgです
3本のポールに2本のサポートポールを加えた構造で、約4.1畳の居住スペースを確保。前後の出入口には大型のメッシュパネルを装備し、前室のベンチレーターとあわせてすぐれた通気性を発揮します。
使用時のサイズは約250(幅)×540(奥行)×185(高さ)cmで、定員は5〜6名。収納サイズは約78(幅)×18(奥行)×20(高さ)cm、重量は約9.4kgです
大人10人がくつろげる広いリビングには5か所のキャノピーがあり、張り出せば、日陰の面積を広げることができます。さらに、後部にはひさし付きの大型ウインドウ、四隅にはベンチレーターを装備しているので全閉しても通気が可能。
使用時のサイズは約300(幅)×640(奥行)×195(高さ)cmで、定員5名。収納サイズは約68(幅)×32(奥行)×32(高さ)cm、重量は約16.9kgです
デニム柄が印象的な「インディゴ」シリーズは、キャンプサイトで目をひくこと間違いなし! 奥行約3.5mの広いリビングには大型メッシュ窓を装備しているので、夏でも快適。また、前室にはひさしを備えており、雨天時にドアパネルを閉めなくても雨が入ってきません。
使用時のサイズは約330(幅)×660(奥行)×200(高さ)cmで、定員は4〜5名。収納サイズは約72(幅)×31(奥行)×31(高さ)cm、重量は約16kgです
4本以上のポールを交差させ、交点を増やすことで強度を上げているのが特徴。風や雪などに強い半面、ポールの本数が多いので慣れていない初心者は設営に少し手間取ることもあります。
大型のモデルでありながら、フレーム構造で耐風性もしっかり確保。前室にメッシュパネル、後部にベンチレーションを装備しているので通気性がよく快適に過ごせます。4人用モデルもラインアップ。
使用時のサイズは約300(幅)×490(奥行)×162(高さ)cmで、定員6名。収納サイズは約75(幅)×23(奥行)×27(高さ)cm、重量は約9.8kgです
紐を引いたり、広げるだけで建てられるワンタッチテントは、とにかく設営の簡単さが魅力。フレームがすべてつながっているので、パーツを忘れたり、紛失する心配もありません。
インナーテントと一体になったワンタッチフレームを傘のように開くだけで設営可能。フライシートには、紫外線を95%カットするコーティングが施されています。
使用時のサイズは約250(幅)×400(奥行)×160(高さ)cmで、定員は4〜5名。収納サイズは約90(幅)24(奥行)×24(高さ)cm、重量は約6.4kgです
シートと一体になったポールを伸ばすだけで、広い前室を備えた2ルームテントが完成。メッシュパネルやベンチレーションを装備しているので、通気性がよく快適です。インナーテントを外せば、スクリーンテントとして使うことも可能。
使用時のサイズは約400(幅)×400(奥行)×215(高さ)cmで、定員は5名。収納サイズは約117(幅)×30(奥行)×30(高さ)cm、重量は約17.5kgです
大人12人がくつろげるリビングを備えながら、設営にかかる時間は5分程度! ルーフシールドを装備すれば天井が二重になるので、強い日差しをカットしたり、結露を防ぐこともできます。
使用時のサイズは約350(幅)×730(奥行)×195(高さ)cmで、定員は5名。収納サイズは約110(幅)×30(奥行)×30(高さ)cm、重量は約20.5kgです
テントは構造がシンプルなもののほうが設営もしやすく、便利なのは間違いありません。初心者なら、最初の作業で挫折したり、イヤな気持ちにならないように扱いやすさを最優先で選び、まずはテントで過ごす楽しさを味わってください。居住空間でゆったりできるように、「使用人数+1人」を目安にして選ぶといいでしょう。1人分多めの定員のテントにすることで荷物を置くスペースも確保できるので、快適さが変わってきます。さらに心地よさを追求するなら、ゆとりのある前室も欲しいところ。前室があれば、雨の日でも出入りがラクに行え、濡らしたくないものを置いておくこともできます。また、広さや設営の容易さに目がいきがちですが、テントを全閉しても換気できるかもチェックしておきましょう。雨が降ると、閉めきって過ごす状況も起こりうるので、通気性はとても重要。なお、これらは、今回中心に紹介したドームテントだけでなく、すべてのテントに言えることです。これらのことを念頭におき、自分たちのスタイルにあったキャンプライフの一歩を踏み出してみて!
テント内で立つことができれば、出入りや着替えなどがスムーズに行えて快適!
前室が装備されていれば、靴を置いておいても濡れる心配なし!
通気性が悪いと室温が高くなったり、呼気で湿度が高くなったりして快適さが損なわれます。ベンチレーションなど、換気システムが整っているかもチェックしましょう