女性のオシャレに欠かせないのが、ムダ毛の処理。ノースリーブやスカートともなれば手足の露出する部分のムダ毛を処理し、海やプールに行くとなれば、前夜は全身の手入れが必要だ。海外ではムダ毛やワキ毛を見せるのがセクシーだとされているな地域もあるらしいが、日本でそれができる女性は少数派だろう。かくいう筆者も、ムダ毛が気になるたびに処理をしていたが、カミソリや毛抜きでの処理は、とにかく肌を傷める。処理をした次の日に、カミソリ負けをした赤い跡や、毛抜きで抜いたあとのポツポツが腕や足にできてしまい、結局肌を出せないということもあった。
こんなムダ毛処理の悩みを持つ女性に向けてフィリップスから発売されたのが、光美容器「ルメア(Lumea) SC2001」(以下、ルメア)だ。これは、“脱毛サロンで行われている処理方法と同じ原理でムダ毛を目立たなくさせる”という家庭用の光美容器。とはいえ、“家庭用”の美容器で本当にムダ毛は気にならなくなるのか? これまでの苦労を考えると、やっぱりその効果を疑ってしまう……。そこで今回は、この「ルメア」を実際に1か月使用して、その実力を検証してみることにした。
ルメアの除毛方法は、現在脱毛サロンでも主流になっている「光脱毛」。これは、黒い色に反応する光を当てることで毛根にダメージを与えるという方式だ。黒いものにしか反応をしないので、肌に負担をかけずに除毛できる。現在、サロンなどの施術方法は色々あるが、光脱毛は比較的痛みが少なく、一度で広い範囲を施術できるのも特徴だ。
さて、ここからは実際にルメアを使ってみる。使い方は非常に簡単。最初に脱毛したい部分を剃ったら、そこにルメアの照射ライトを当ててボタンを押すだけ。ルメアがピカッと光ったら、ライト部分を次のエリアに移動させて光を当てていく。慣れれば、片腕5分ほどで簡単に処理が終了する。
ルメアは本体サイズ幅150×奥行き85×高さ235mmのハンドガン型。重量は約538gとやや重いが、握りやすい形のためか、全身を15分ほど処理してもあまり疲れなかった。色はさわやかな「ラベンダー×ホワイト」の一種類
コードレスタイプで取り扱いも簡単なので、モモの裏といった手が届きにくい場所も自分で処理できる。フル充電で約320回の照射ができるということなので、旅行に持っていって女性同士で盛り上がるのも楽しそう
ライトまわりには紫色の安全リングを配置。このリングがきちんと肌に当たっていないと光が照射されない安全設計
ライトの照射面積は約3平方センチと、家庭用の光美容器としては広いのも魅力
本体上部と、照射口下の二か所に放熱部が配置されている。電源を入れると熱を逃がすためのファンが動き、「フォーン」とドライヤーを「弱」で使った時のような音がする。静かな部屋では意外にうるさく感じた
実際に使ってみると、特に便利さを感じるのが充電式でコードが必要ないこと。美容器を使用していると「ついでに、あそこも、ここも……」と、色々な場所をケアしたくなる。その点、本機は背中などの手が届きにくい場所もコードが絡まることがない。ちなみに、充電時間はフル充電まで1時間40分程度。フル充電から最大出力で照射した場合は、約320回ほどコードレスで使用できる。筆者は、最初にヒジ下をルメアで試用してみたが、片腕でだいたい40回ほど照射が必要だった。320回分あれば、ワキと両手、両足は余裕で処理できるだろう。
「毛根にダメージを与える」というと、気になるのは照射時の痛み。これは施術する場所と、ルメアのパワーでかなり異なる。前述したように、光美容器は黒い色に反応するので、黒い剛毛タイプの毛根には強く効き、色の薄い細い毛には効きが弱い。そのため、光を照射する毛の状態で痛みも異なるのだ。ちなみに、ルメアは1(最弱)から5(最強)までの5段階のパワーを選択できるが、取扱説明書いわく「日本人の肌に推奨するのは3から4」らしい。ということで、今回は4で全身を照射してみた。最初は腕に照射したが、「パシッ」という音と光に驚いたものの、ほとんど痛みを感じない。ただし、腕より明らかに毛が剛毛なスネは、同じパワー4でも痛みがあった。痛みの感覚は、冬の静電気に「パチン」とやられたようなイメージ。肌がジンワリと温かくなって、一瞬で痛みも引くのだが、最初はちょっと驚く。ただし、筆者が個人的に痛くてパワーを落としたのがビキニライン。脱毛サロンでも「ビキニラインは痛いですよ」と言われたことがあるが、輪ゴムで思い切りパチンと弾かれるような痛みがあり、ここだけはパワー3で処置をした。
また、照射パワーが強く効いたときには、なんと部屋に「焦げ臭い」匂いが! 光美容器はムダ毛を剃ったあとに使用するため、光を当てた直後も肌の見た目は変わらないので「本当に効いているのかな?」と不安だったのだが、この匂いで「本当に毛根が熱で焼かれている!」と、強く実感させられた。
ルメアを使用する前に、まずはムダ毛をカミソリで剃る。剃り残しがあると、その部分が熱くなるので必ず丁寧な処理が必要。また、毛根が残っていないと本機は効かないので、毛抜きなどでムダ毛を抜くのも厳禁だ
電源を入れたら、パワーを選択。説明書によると、日本人に最適なのは3か4程度のパワーらしい。最初は弱いパワーから始め、痛みを感じなければ徐々に強いパワーに移行できるのはうれしい
ルメアを肌に直角に当てる
きちんと肌に当たっていると背面の「Ready」ライトが緑色に点灯するので、照射ボタンを押そう。ピカッと光ったら照射は完了。次の場所にランプを移動させて、照射を繰り返していく
光を当てたあとも、特別なジェルや処置は必要ない。ただし、光を当てた肌は、日焼けをした後と同じくデリケート。肌の状態や使用パワーによっては照射後に少しヒリヒリとした感覚が残る。このヒリヒリ感は保冷剤をタオルで包んだもので数分冷やすと、すぐに消えた。
日焼けをしていたり、パワーを強く設定すると肌がヒリヒリすることも。こんな場合は保冷剤などで冷やすと、すぐに違和感がなくなった。ちなみに、強い日焼け後など、デリケートな状態になっている肌への使用は禁止されている
使用後は照射口のアタッチメントを外して、濡らした布などで掃除できる。直接肌に当たる部分だけに、きちんとメンテナンスでき、清潔に保てるのは安心感がある
さて、今回はルメアを1か月使ってみた。そこで、到着日に一度、2週間目に二度目の照射をしてみた。照射後は、1週間を過ぎたあたりから、一部の伸びかけたムダ毛が、肌の上から触るだけでスルリと抜ける。力を入れなくてもムダ毛がスルスル抜ける感覚は、なかなか楽しい。ちなみに、今回は比較のために、両腕を剃ったあとに右腕だけを照射したのだが、一か月たつと明らかに右だけムダ毛が減っているのが実感できた。しかも、毛が減るだけでなく、毛穴が目立たなくなって美肌効果もあるのも意外だった。
カミソリでは剃り切れない、肌の下の毛根が抜けたためか、肌のくすみが少なくなったのも、うれしいメリット。除毛したエリアの手触りもツルンと滑らかで、肌を触るのが楽しくなる。少し不満だったのが、顔への照射が禁止されている点。顔やへそ、乳首、性器、肛門といったデリケートゾーンは安全のために使用できないのだ。仕方がないとはいえ、顔の産毛も処理できれば化粧のりも良くなるのだろうに、と残念に感じた。今後、顔用のアダプターが発売されることを期待したい。
今回はわかりやすいように、比較的ムダ毛の濃い男性で1か月テストしてみた。試験方法は右腕だけにルメアを使用し、1か月後に左右を比較するというもの。また、ルメア使用前に右腕の毛を剃る際は、ルメアを使用しない左腕も剃り、結果を比較する。結果は写真の通り、ルメアを使用した右腕(写真左)は、明らかにムダ毛の比率が少ない
ルメアを使用した肌
使用していない肌。ムダ毛の量だけではなく、ルメアを使用していない肌は肌の下に黒い毛根が見えている個所もあり、くすんだ印象を受ける
そして、実際に使ってみて感じたのは、ランニングコストがほとんど必要ないので気軽に使用できるということ。使用時、使用後に専用ジェルなども必要ないため、ランニングコストはほぼ電気代だけなのだ。ちなみに、照射ランプには寿命があるが、ランプの耐久性は約8万回。メーカーによると、これは両ワキ、両ヒジ下、ビキニラインのお手入れを全部160回ずつ行える回数らしい。照射の間隔は、最初の4回から5回は2週間に一度、それ以降は1〜2か月に一度程度で「毛が生えてきたな」と感じたら照射する程度で良いという。2回の試用で、かなりムダ毛が減ったことを考えると、ランプ交換はほとんど必要なさそうに思える。
同じように光を照射しても、ムダ毛が生えてくる部分があるのは毛に周期があるためらしい。毛穴の中で毛組織が成長を始める「成長初期」、皮膚から毛が伸びて成長する「成長期」、栄養を送る毛乳頭から毛が離れる「退行期」、毛乳頭が活動を停止する「休止期」という周期を繰り返す。しかし「退行期」と「休止期」の毛には光が効かないのだ
実は筆者は処理の面倒さと、肌荒れに耐えかねて脱毛サロンに行ったこともある。特に気になる「ワキ、ヒジ下、ヒザ下」コースを選んだのだが、そのうち処理をしていない部分が気になり、どんどん追加料金が発生するという悪循環。そのうえ、サロンは数ケ月ごとに何度も通う必要があり、ムダ毛が気にならなくなるのに数年かかる部位もある。そのため、仕事が忙しくなると通うことが困難になってしまった。さらに、サロンでは脱毛した個所を施術後に全部一緒に冷やすのだが、手足とワキを一気に冷やされるので夏でも非常に寒い! 「また、あの寒さを10分近く耐えないとだめなのか!」と思うと、徐々に足が遠のき、今ではサロンに行くことさえなくなった。しかし、本製品を使えば、これらの問題点は全部クリアできてしまう。
特にうれしかったのは、「ここは料金を払ってまで脱毛が必要か?」と躊躇していた部分を、心置きなくお手入れできる点。筆者の場合は、指や背中のムダ毛を自分で処理できるのがうれしかった。指や背中の毛は、比較的毛が細い。そのため、何度も繰り返し光を照射しないと結果が出にくいのだ。このため、サロンでの脱毛はコストパフォーマンスが悪いかも?と躊躇していた。
また、意外に女性にとって重要な「Vライン」の処理ができるのも大きなポイント。Vラインの処理をしたいけれど、知らない人にデリケートゾーンを見られるのは恥ずかしいという人も、自分で処理できれば問題なし。これならば、プールや海で水着に着替える際に、「Vラインの処理を忘れていた!」と慌ててパレオなどでごまかす必要もなくなりそうだ。