毎月のようにガンプラを作っている筆者ですが、これまで、道具や製作環境をあまり重視していなかったことに気づきました。パーツを切り分けるニッパーは数年前に買った安価な商品ですし、ランナーはそこらへんに散らかり放題。ヤスリも紙ヤスリをちぎって使っているような状況でした。しかし最近、評価の高い道具を導入し製作環境を整えてみたところ、想像以上に違いがあったのです。
まずご紹介するのは究極のニッパー、ゴッドハンドの「アルティメットニッパー」です
ガンプラなどのプラモデルを組み立てるとき、皆さんはどんな道具を使っていますか? ニッパー、ヤスリ、ピンセットあたりは必須ですよね。筆者が使っていたのは、1,000円前後のニッパーに紙ヤスリ、そして100円ショップで買ったカッターやピンセットなどでした。これでも問題なかったのですが、やはりパーツを切り離したときにできるゲートの処理などに時間がかかり、早く組み立てたいのに、ゲート跡をきれいにしてヤスリをかける……。という作業が必須でした。
そんなとき、ゲート跡が目立たない究極の切れ味を持つニッパーがあると聞いて調べてみたところ、なんとお値段5,000円という高価なニッパーがあることを知りました。プラモデル本体より高いニッパーにそこまでの価値はあるのか?と思ったのですが、じっくりと検証してみたところ、そのよさがわかりました。
刃を守るカバー付き。究極とうたうそのニッパーは果たしてどんな性能なのか?
そもそも、パーツを切り離す際は、
・パーツから少し離れたところを切り取る
・続いてニッパーの刃をパーツに密着させて余分なゲートを切り取る
という2段階の作業が必要になります。
ガンプラの取説には必ずこの方法が記載されていますよね
慣れてしまうと当たり前なのですが、内部パーツなど「見えないからいいや」と思って、最初から密着させて切り取ったことはありませんか? あと、パーツから少し離れたところを切ったつもりが、ニッパーの刃の厚みのせいで、思ったより密着させて切ってしまった。みたいな。そうするとパーツ部分に強い力がかかって、白化してしまうことがほとんどです。
いきなりパーツに密着させて切り取ると、このようにパーツが白化してしまいます
白化してしまうと見た目にもよろしくないので、ていねいなヤスリがけなどをして処理しますよね。しかしこの一連の作業に時間をとられると、「今日はここまででいいや」となって、製作熱が冷めちゃうことも……。アルティメットニッパーはそんな白化を防ぎ、極薄片刃の切れ味で美しい切断面が体験できます。実際に比べてみましょう。
アルティメットニッパーの刃先です。左側の片刃でパーツを切断します。刃のスプリングの下にあるのはストッパーで、握りすぎて刃が折れてしまうのを防いでくれます
切刃はかなりの極薄です
自宅にあるニッパー(右)と比較してみます。刃の薄さがわかるでしょうか?
自宅には2本のニッパーがあるので、それと切り比べをしてみたいと思います。1本目は1,000円前後のニッパーで、もう5年ほど使用しています(持ち手が赤いので「赤ニッパー」とします)。2本目も1,000円前後ですが、昨年購入したばかりの、アルティメットニッパーと同メーカーのニッパーです(緑ニッパー)。
それぞれのニッパーを使って、パーツをランナーから離れた位置で切り離し、その後ニッパーをパーツに密着させてカットしてみます。
赤ニッパーでカット。パーツをカットした跡がかなり白化しています
緑ニッパーでカット。赤ほどではないですが、やはり白化があります
アルティメットニッパーでカット。白化していないのがわかります
これまでは、このようにパーツを切り取るときに白化やゲート跡が残ってしまうことが多々あり、ヤスリをかけてきれいにしていたのですが、アルティメットニッパーを使うことによって白化が起こらず、後処理が楽になりました。
ほかのニッパーは力を入れてカットするのに対し、アルティメットニッパーはかなり弱い力でサクっと切れるという感じでした。公式サイトを見ると、直径3mmのプラスチックを切る際の力の目安は2kg以下と、一般的なニッパーの3.5〜10kgに比べ、かなり軽い力でカットできるようです。動画でご覧ください。
ランナーからパーツを切り離す動画です。軽い力でサクっと切れているのがわかりますか?
その後、パーツに密着させてカット残しした部分を切り取ります
白化はもちろん、ゲート跡もほぼ残らずカットできました
アルティメットニッパーの切刃は、刃物で有名な「燕三条」の職人が手がけているんだとか。確かに、鋭い切れ味でパーツの後処理が楽になることは実感しました。また軽い力でカットできるので老若男女問わず使えるのもメリットです。公式サイトではメンテナンス用のキットも販売しており、ていねいに使うことで、切れ味を保ちながら長く使えるのもうれしいです。
また、使っていくうちにゲート跡をより残さない方法も覚えました。アルティメットニッパーは両刃ではなく片刃で、切刃のもういっぽうは「まな板刃」という平らな断面になっています。このまな板刃は、断面の中心で切刃を受け止める構造になっていて、まな板刃でしっかりとパーツを押さえながら切刃でカットしていく仕組み。つまり、とがっている切刃と、平らなまな板刃は同じ厚さではないので段差が発生します。そこで、パーツに密着させてカットする場合は、まな板刃ではなくて、切刃を密着させてカットすることで、よりきれいにカットできるようになりました。
このように、片刃とまな板刃の接続面がまな板刃のほぼ中心にくるようになっています
このため、パーツに密着させてカットしても切り残しが出る場合があります
そんな場合は、切刃だけをパーツに密着させてカットすれば
ゲート跡が残らないきれいな断面になりました
長々と書きましたが、結論から言ってとてもいいニッパーです。カットした跡がきれいで、後処理が楽になるのはもちろん、軽い力でスパっと切れるのは快感。ほかのニッパーに比べてお値段は高価ですが、ストレスなくガンプラ作りができるということでその価値は十分にあると思います。
続いて、ガンプラ作りに欠かせないヤスリについて紹介します。ヤスリを使う方は、おそらく、鉄製のヤスリ、いくつかの番手の紙ヤスリorスポンジヤスリなどを使用しているかと思われます。筆者も近くのホームセンターで購入した、400番や800番、1000番の番手の紙ヤスリを使用していました。それでも問題はないのですが、今回取り入れた「神ヤス!」がとても使いやすかったです。
アルティメットニッパーと同メーカーの「神ヤス!」。5種類の番手がセットになった、厚さ3mmの製品です
フィニッシュ用に1000番の「神ヤス!」も購入
スポンジ製のヤスリのメリットのひとつは耐久性です。スポンジに布ヤスリを貼り付けた構造となっているため、曲げても破れないし、シワや折れ跡がつきません。また耐水性もあるので、水に浸けての水研ぎにも利用できます。この水研ぎがかなり便利です。パーツを研いだ跡は、パーツ面に削りカスが残りますよね。水研ぎではカスを気にせずに使用できます。
また、折り曲げての使用も便利です。紙ヤスリだと、細かい部分や湾曲している部分は切り取った紙ヤスリを割り箸などに付けてかけたりしますが、スポンジ製のヤスリならそのまま曲げてもいいですし、必要な部分を切り取って使用することもできます。
湾曲パーツもそのままやわらかく曲げてかけられます
神ヤス!は色で番手が分かれているので一目瞭然
ひっくり返しました。各番手の目の粗さの違いがわかると思います
実際に使ってみましょう。この白化した部分が目立つパーツにヤスリがけをしていきます
番手が大きくなるほど目の粗さが細かくなっていきます。まずは240番で大ざっぱにヤスリます
順番に400-600-800-1000番でヤスってなめらかにしていきます。白化した部分はなくなり、パーツもきれいになりました
3mmの厚みがあり、持ちやすく、柔軟に折りたたみができ、また水研ぎもでき、さらに色で番手がわかりやすいという、とても使いやすいスポンジ製のヤスリです。商品はほかに厚さが5mmのものもあるので、使い勝手のよいほうを選ぶのもいいと思います。これでヤスリがけがはかどるようになりました。
最後は、ガンプラ、特に大型のMG(マスターグレード)モデルなどを作るときにあると便利な「ランナースタンド」です。文字通り、ランナーを立てかけておくスタンドで、シールなどで相番をふっておけば、どこにどのランナーがあるか一目瞭然です。
25枚のランナーが立てかけられるランナースタンド。筆者が購入したものは2本のピンセット付きでした
溝が縦と横にあり、ここにランナーを立てかけていきます
たとえば、「MG 1/100 Ex-Sガンダム/SガンダムEX-Sガンダム」はランナー枚数が多くて、このままだとどこに何番のランナーがあるかわかりません
そこで使うパーツを探して、スタンドに立てかけておけば、作るときにすぐ取り出せて楽になります
付属のシールを使って相番をふっておけば、よりわかりやすくなりますね
アルティメットニッパーをはじめ、ガンプラ製作グッズをいろいろと刷新して環境作りをしてみました。特にアルティメットニッパーの切れ味は快感もので、ますますガンプラ作りにのめり込みそうです。プラモデル製作が趣味の方は、このニッパーだけでも試す価値があると感じましたよ。
この切れ味、ぜひ味わってみてください