いつもガンプラを紹介している筆者ですが、今回はガンプラの“汚し塗装”に挑戦してみたいと思います。“汚し塗装”は、実物を模した「汚れ」「風化」などの表現を模型に加えるウェザリングと呼ばれる塗装方法で、モデラーなら誰もが一度はやってみたいと思う技法のひとつといえるのではないでしょうか。
しかし本格的に始めるとなると、エアブラシや塗料を使っての塗装、さらにブラシやヤスリなどを使って表面パーツを削るなど……時間もお金もかかるためハードルが高いのです。そこで今回は、お手軽簡単にウェザリングができるアイテムを見つけましたので、これで挑戦してみようと思います。その名もタミヤ ウェザリングマスター。
今回は4種類購入してみました
タミヤ ウェザリングマスターは、名刺サイズのパレットに3色のカラーと専用ツールがセットされた商品です。ぱっと見ると、女性のアイカラーの化粧品入れみたいに見えますよね。しかしこれさえあれば、塗り込むだけで汚し塗装が再現できるという優れものなんです。
Aセットです。「サンド」、「ライトサンド」、「マッド」の配色になっています
専用ツールを使って塗料をガンプラなどに塗り込んでいきます
タミヤ ウェザリングマスターはプラモデル用のA〜Fセット、フィギュア用のG〜Hセットなどいくつかの種類がありますが、今回はAセット(サンド・ライトサンド・マッド)、Bセット(スノー・スス・サビ)、Cセット(アカサビ・ガンメタル・シルバー)、Eセット(ドライブラシカラー/黄・灰色・緑)の4つを購入。それぞれに特徴的な汚れ塗装ができる色合いがそろっています。
使い方はとても簡単。専用ツールで使用する色のパレットをなぞり、それをガンプラ本体に塗っていくだけです。スポンジ部分は押し込みながら塗ることでくっきりとした色合いになり、筆部分は表面をサッと塗るときに便利です。
試しにガンプラ「MG 1/100 ジム・スナイパーカスタム」の脚部分を塗装してみます。まずはスポンジでAセットの「マッド」を腿(もも)部分に塗ってみましょう
面の部分は軽めに、エッジの部分を強めにスポンジを押し込んで塗ってみました
腿のエッジ部分は色が濃く、内側はうっすらとした塗装になりました
続いて、筆を使って「サンド」を膝装甲に塗っていきます
左側のみ塗装。右側と比べると、うっすらと砂埃(ぼこり)が付いたような感じになりました
このように非常に簡単に塗装することができます。初心者でもまったく問題ないですよね。ただ、ウェザリングマスターはパレットの粉を塗り込んでいくだけなので、時間がたったり、拭きとったりすると塗装は落ちてしまいます。塗装を定着させたいなら、表面にトップコートをしておけば大丈夫。では、次からはトップコートをしたガンプラを使って塗装してみたいと思います。
今回は泥汚れということで、「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」から、まずは陸戦型ガンダムです
トップコートを吹き付けていない、いわゆる素組み状態のガンプラです
つや消しのトップコートを吹き付けて、乾燥させておきます
まずはシールドから。エッジ部分にAセットの「マッド」を、表面に「ライトサンド」を塗ります
さらにCセットの「シルバー」と「アカサビ」を上部のグリップ部分に塗ります
「アカサビ」を塗装すると茶色っぽい汚れがくっきりと出ます
最後に前面にAセットの「サンド」を塗って砂埃を付けました
全体にも「サンド」をうっすらと筆で塗って砂埃を付けます
肩口や顔部分にはAセットの「マッド」で泥汚れを付けてみました
脚部分もエッジを「マッド」で濃く塗って汚れを際立たせました
胸部の青にはCセットの「ガンメタル」を筆で塗ってみると金属感が出ました
陸戦型ガンダム完成です。大地で戦ってきた感が出たでしょうか?
汚し塗装なので、好きなように塗りたくってとにかく汚していけばいいというのが気軽ですね。さらにガンプラだと、この陸戦型ガンダムは砂漠で戦った感を出そう! とか、都市部で戦った感を出そう! みたいに想像しながら塗装できるのも楽しいです。
またCセットの「ガンメタル」や「シルバー」などは筆で表面をなぞると、キラキラとした粒子がエッジに付くので、金属感がアップすることがわかりました。
このようなグレー1色の武器でも、表面に「ガンメタル」を筆でサッと塗ると……
エッジの部分にキラキラが出て、金属感がアップします
さらにここに「アカサビ」などを塗っていくと、汚れのリアル感が増しますね
続いて、今度は本体色が白色でないガンプラを汚していきたいと思います。本体色が白いと汚れも目立つのですが、青色などではどのように見た目が変わるでしょうか? 同じく「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」からグフカスタムをチョイス。
「HG 1/144 機動戦士ガンダム第08MS小隊 MS-07B3 グフカスタム」。オリジナルのグフよりもライトなブルーの色合いです
組み立てたあと、やはりつや消しのトップコートを吹き付けて乾燥させてあります
Eセットの「緑」を脚部分に塗ってみましょう
地色が青色でもしっかりと緑に塗装できています
「マッド」とはまた違った感じの泥汚れが付いた感じになりました
脚はAセットの「サンド」で砂埃を付けてみます
砂漠で戦ってきた感の砂埃が脚に付きました
胴体部分にはCセットの「ガンメタル」で金属感を出しつつ……
顔や口のノズルにはBセットの「スス」を使って汚れを出してみます
頭部や腕はAセットの「ライトサンド」で砂埃を散らしていくと……
グフカスタム砂漠戦仕様が完成です
最後に、やはりタミヤということで、タミヤ製品を使わないわけにはいきませんよね。ということで、おそらく人生初の戦車のプラモデルに挑戦しました。ガンプラばかり作っている筆者なので、接着剤を使ってのプラモデル製作はもしかしたら小学生ぶりなんじゃないかというくらい久しぶりです。今回は塗装せずにウェザリングマスターのみで汚れを付けていくことに挑戦しています。
タミヤの戦車プラモから「1/35 ミリタリーミニチュア No.168 陸上自衛隊 74式戦車 (冬期装備)」をチョイス
人生初の戦車プラモが完成。重厚感のある地色がカッコいいです
表面にはCセットの「シルバー」と「ガンメタル」を筆で塗っていきます
金網部分の金属感をウェザリングマスターのみで再現しています
ハッチ部分の細かいパーツがCセットの「ガンメタル」でリアルな感じになりました
本キットは「冬期装備」とのことなので、Bセットの「スノー」を使って、雪汚れっぽくしてみました
ほかAセットの「マッド」やCセットの「アカサビ」を使って汚してみました。リアル感がアップしましたよね
実際に使ってみた結果、4製品それぞれ、どんな汚れを再現するのによかったのかをまとめます。
タミヤ ウェザリングマスターA(サンド・ライトサンド・マッド)
砂と泥の汚し再現ができるセットです。ライトサンドで砂埃の雰囲気を、マッドで泥汚れを表現できるので、ガンプラなら砂漠戦を繰り広げたザク、グフ、ドムなどにいいですよね。また砂漠を疾走するラリーカーなんかもこのセットで汚し塗装を再現できそうです。
タミヤ ウェザリングマスターB(スノー・スス・サビ)
スス汚れやサビを再現できるセットです。金属パーツのスス汚れやサビついた感じを簡単に出せますね。白く汚せるスノーは、戦車などの冬期迷彩や、寒冷地用モビルスーツなんかの雪表現に重宝しそう。
タミヤ ウェザリングマスターC(アカサビ・ガンメタル・シルバー)
鉄っぽさが再現できるセットです。シルバーやガンメタルは筆でサッと払うことで、細かいパーツを鉄っぽく見せられます。そこにポイント的にアカサビを使うと、使い込んだ感じが出て楽しかったです。
タミヤ ウェザリングマスターE(ドライブラシカラー/黄・灰色・緑)
塗料を極限まで落とし、筆でこすり付けるように塗装するドライブラシっぽさが再現できるセットです。緑や黄色は第2次大戦時の戦車や装甲車などのオリジナル色のエッジを際立たせるのにいいですし、グレーは日本海軍などの艦船の汚し塗装を再現できそうです。
初めての汚し塗装でしたが、ウェザリングマスターのおかげで筆とスポンジを使い分けて塗っていくだけで、お手軽にウェザリングを楽しむことができました。トップコートをしなければ、塗装部分を拭きとることもできるので、お試しにウェザリングをしてみたいという人にもピッタリです。値段も安価なので手を出しやすいですしね。本格塗装は無理そうだけど、素組みだけから脱却してみたいと思っているプラモデルユーザーにはオススメの商品です。