新製品レポート
プロ機器をオーディオ向けにリファイン

RME独自のIEM端子搭載! プロ機器ベースのUSB-DAC/ヘッドホンアンプ「ADI-2 DAC」

高品位なデジタルオーディオインターフェイスの開発で、プロフェッショナル/ホームユースを問わず高い支持を得ているドイツのブランド、RME。「Musikmesse 2018」で発表された同社のプロダクトの中から、ひと足先に発売がスタートした「ADI-2 DAC」を中心に、最新のUSBオーディオインターフェイス製品をご紹介しよう。

プロ向け機器の技術を受け継ぐコンシューマー機として登場した「ADI-2 DAC」。RME製品の開発・製造・販売を行っているシンタックスグループの日本法人・シンタックスジャパンから、2018年4月に発売されたばかりだ

プロ用の音楽制作機器を、音楽リスニング向けにリファイン

RMEが手がけてきたヒットモデルのひとつに、2016年に発売された音楽制作向けのUSBオーディオインターフェイス「ADI-2 Pro」がある。最大でPCM 768kHz/DSD 11.2MHzの録音・再生環境を実現できる高スペックなAD/DAコンバーターとして人気を博した。

今回ご紹介するADI-2 DACは、このADI-2 Proの機能をシンプル化し、オーディオリスニング用のUSB-DAC/ヘッドホンアンプとしてリファインしたモデルとなる。デジタルオーディオのコアユーザー層にリーチする1台だ。

本体サイズは215(幅)×52(高さ)×150(奥行)mm。視認性の高いIPS液晶ディスプレイを搭載しており、本体やクロック情報、オーディオ信号の表示や設定操作が行える。また、オーディオ機器らしく、脚部がインシュレーターデザインになっているのもポイント

入出力端子が“オーディオ向け”に! 最適化したIEM端子も

では、いったいどこが“オーディオ向け”になったかというと、もっとも大きいのは入出力端子の変更だ。プロ向けだったADI-2 Proは、さまざまな楽器や機材を接続できるアナログ/デジタル入出力を備え、AD/DA変換に対応していた。

対してADI-2 DACは、入力系統をデジタルのみにシンプル化し、USB/同軸デジタル/光デジタルの3系統のみ装備。DAC機能に特化した形となる。

また、出力系統はXLR(バランス)/ RCA(アンバランス)/6.3mm標準ヘッドホンのほか、新しく“IEM端子”と呼ぶ3.5mmステレオミニ端子を搭載するのが特徴。インイヤーモニター(IEM)の接続用に最適化したという出力端子で、バランスヘッドホン出力を省略した代わりにこれを搭載する。カスタムIEM愛用者に向けて強力アピールする仕様だ。

ベースモデルADI-2 Proとのインターフェイス部比較

ベースモデルADI-2 Proとのインターフェイス部比較

背面には、USB 2.0入力のほか、同軸デジタル/光デジタル入力(S/PDIF)を1系統ずつ装備(光デジタルはADAT互換)。また、出力端子はバランスとアンバランスに対応する2系統のアナログ出力を備え、それぞれリファレンス・レベルを4段階で選択でき、民生機から業務用機までさまざまな機器と接続できる

こちらはフロント部。6.3mm標準ヘッドホン端子の隣に、“IEM”と記載された端子を備えているのがポイント

こちらはフロント部。6.3mm標準ヘッドホン端子の隣に、“IEM”と記載された端子を備えているのがポイント

IEM端子は、誤操作等で耳を痛めないよう、隣の6.3mm標準ヘッドホン端子よりもレベルを10dB下げた設定となっており、さらに-121dBuという超低ノイズ出力を実現。出力インピーダンスはほぼ0Ωとのことで、RMEの製品史上もっとも低いTHDレベルを達成したという。

また、電源オン/オフ時のクリックノイズを抑え、ボリューム部も強化。もちろんIEMだけでなく、通常のヘッドホンやイヤホンを接続しても、高品位なリスニングが行える。

ちなみに6.3mm標準ヘッドホン端子のほうは、ハイパワー出力が行えるRMEの「Extreme Power」仕様。出力インピーダンス0.1Ω、最大出力レベル+22dBu、最大出力1.5W/chという特性を確保し、SN比120dBAを実現している。最大出力レベルを+22dBuと+7dBuで切り替えられ、高インピーダンスの大型ヘッドホンから低インピーダンスのヘッドホン/イヤホンまで幅広く対応する。

ホームユースのさまざまなデジタルオーディオ機器に接続できる

ホームユースのさまざまなデジタルオーディオ機器に接続できる

RME独自のクロック技術「SteadyClock FS」も搭載

いっぽうで内部には、これまでプロ機器に搭載されてきた技術が継承されている。RME独自のクロック技術「SteadyClock」もしっかり搭載しており、ピコ秒(1兆分の1)を超えるフェムト秒(千兆分の1)単位の精度でジッターを抑制する新世代の「SteadyClock FS」を搭載。これによって、よりクロック精度を高め低ジッター化した。

そのほか、DAC部には旭化成の2ch DAC「AK4490」を採用し、ADI-2 Proと同じく最大でPCM 768kHz/DSD 11.2MHzまでの高スペックソースに対応する。また、DSP部には2.17ギガフロップ(2882MIPS)という高パフォーマンスのチップを使用し、768kHzでも十分なパワーを得られるようにした。

なお、オペアンプにTexas Instruments社の「SoundPlus」を、電解コンデンサにニチコンのLow ESR 105℃タイプを採用している点は、本機で新しくなった部分だ。

DAC部から出力部までのアナログ経路をすべてバランス回路で構成し、DCカップリング仕様としているのもADI-2 Proと同じ

使用環境に関しては、MacはOS標準ドライバーに対応。Windowsで使用する場合はRMEの専用ASIOドライバーが必要で、WDMおよびASIOで使用できる。

ちなみにオーディオ機器として、専用のリモコンも付属する。シンプルなインターフェイスで、各入力系統を簡単に切り替えられるほか、1〜4までのナンバーが振られたボタンには、よく使用する機能を登録しておくことができる

ベースモデルをブラッシュアップした「ADI-2 Pro FS」も7月に登場

なお、ベースモデル ADI-2 Proに関しても、マイナーチェンジモデルの「ADI-2 Pro FS」が追加される。独自クロック技術SteadyClockの最新世代「SteadyClock SF」を搭載した新バージョンで、こちらは2018年7月25日に発売予定だ。

「SteadyClock SF」を搭載するほかは、従来モデルと共通のスペック・機能を備えており、最大でPCM 768kHz/DSD 11.2MHzの録音・再生環境を構築可能。アナログ入力としてXLR/TRSのコンボジャック、AESとS/PDIF同軸デジタル入出力やADAT互換の光デジタル入力、フロントパネルにバランス駆動対応のヘッドホン端子などを搭載したプロ向け仕様となる。

「ADI-2 Pro FS」。価格はオープンで、市場想定価格は205,000円(税別)

「ADI-2 Pro FS」。価格はオープンで、市場想定価格は205,000円(税別)

RME初、「AVB」対応のUSBオーディオインターフェイスも

プロ向け機器ではそのほかにも、Ethernet規格「AVB」(IEEE 802.1AVB)に対応するUSBオーディオインターフェイス「Digiface AVB」が2018年秋に発売されることがわかった。PCと接続してAVBプロトコル・スタックを使用したオーディオデータの伝送管理が行えるデバイスとなる。

PCとはUSB 3.0経由で接続を行い、最大128ch(48kHz)/32ch(192kHz)の音声信号をAVBネットワークに伝送・受信することが可能となる。RMEが提供するデジタルミキサー「TotalMix FX」の使用にも対応している。

Windows PCでAVBネットワークとのオーディオ伝送を実現する「Digiface AVB」。本体には、ヘッドホン出力とライン出力を備えている。また、製品に付属するAVDECCコントローラーソフトウェアを使用すると、ネットワーク上の全AVBデバイスを検出し、入出力ストリームの管理やモニタリングが可能

AVBはIEEE(米国電気電子技術者協会)によって策定された規格で、音声と映像をネットワーク伝送するためのもの。その利便性と拡張性で期待されており、家庭用AV機器や業務用音響などのほか、車載関連システムも含めた分野で採用されている

写真左が「Digiface AVB」。いっぽう右側にあるのは、ネットワーク技術「Dante」に対応するUSBオーディオインターフェイス「Digiface Dante」。こちらも同じく、2018年秋頃に発売される予定だ

多目的マルチチャンネル・フォーマット・コンバーター「M-32 AD Pro」「M-32 DA Pro」も発表された。こちらは、MADIとAVBの両方に対応している。AVB規格では最大32chを192kHzで伝送することも可能

杉浦 みな子(編集部)

杉浦 みな子(編集部)

オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。

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