2018年10月11日、Amazonは9月21日に発表したAmazon Alexa搭載のスマートスピーカー「Amazon Echo」シリーズと、10月3日に発表した「Fire TV Stick 4K」を紹介する記者説明・体験会を開催した。ここでは、イベントの模様を交えながら、Amazon Alexa対応の新製品の特徴や取り組みについてレポートしよう。
最新のAmazon Alexa搭載デバイスを披露
Amazon Alexa搭載スマートスピーカーの新製品として披露されたモデルが10月30日に出荷予定となっている第3世代の「Echo dot」(5,980円)、第2世代の「Echo plus」(17,980円)、そしてEchoシリーズに追加できるサブウーハーの「Echo Sub」(15,980円)だ。
Echoシリーズの説明で登壇した米Amazon Alexa Devicesバイスプレシデントのミリアム・ダニエル氏
第3世代となった「Echo dot」は、第2世代に比べて一回りほど大きくなり、全体的に丸みを帯びたデザインにリニューアル。外装をファブリック仕上げとして、質感もグッとアップしている。また、スピーカーのドライバー径が1.6インチに拡大。第2世代に比べて音質面もかなり強化されている。
第3世代「Echo dot」は従来機からわずかに大型化して丸みを帯びたデザインになった
チャコール、サンドストーン、ヘザーグレーの3色のカラーバリエーションをラインアップ
第2世代の「Echo plus」は、ZigBeeスマートホームハブを内蔵し、対応のホームアクセサリーが使えるのは初代と同じ。新たなフィーチャーとしては温度センサーを本体内に内蔵。定期アクションと組み合わせることで“赤ちゃんの部屋が寒くなったら、エアコンを付ける”といったような温度をトリガーにした機器連携が可能となった。
また、3インチのネオジウム・ウーハーを搭載し音質面を強化。従来機種でも利用できたEchoシリーズを複数台組み合わせて使用できるマルチルーム再生に加え、2台組み合わせることでステレオ再生も可能となった。また、同時発表されたワイヤレスサブウーハーの「Echo Sub」との組み合わせに対応したのもトピックだ。
体験会では「すべての部屋でImagine DragonsのBelieverを流して」と声をかけ、「Echo plus」と「Echo Sub」を組み合わせたマルチルーム再生のデモンストレーションが行われた。広い会場内に設置されたEchoシリーズから流れるサウンドで、まるで音に包み込まれていくかのような感覚だった。単体の低音のパワフルさはもちろん、ステレオ、マルチのペアリングではサウンドステージの表現も十分で、新たなEchoシリーズは見た目以上に高音質に注力したというのが実感できた。
スマートホームハブにもなる「Echo plus」。カラーバリエーションは、第3世代「Echo dot」と同じ全3色だ
Echoシリーズに追加できるサブウーハー「Echo Sub」。奥に見える「Echo plus」の大きさからもわかるように、筐体はかなり大きい
Echoシリーズに関連したオーディオサービスとしては、「audible」というオーディオブック機能が紹介された。プロのナレーターによる本の読み上げサービスで、月額1,500円(税込)で14,000以上の日本語コンテンツ、38か国語40万タイトルを利用できるという。
プロのナレーターによるオーディオブック「audible」もAlexa対応
Alexa対応デバイスの新ラインとして紹介された製品が、10.1インチHD液晶画面を備えた「Echo Show」。天気やニュースの画面表示ができるだけでなく、プライム・ビデオによる動画再生など、液晶画面のメリットを生かしたさまざまなAlexaスキルが、12月12日の出荷に合わせて提供される予定だ。
10.1インチHD液晶画面を備えた「Echo Show」。電源は専用ACアダプターから給電する形だ
音声やタッチ操作でプライム・ビデオの再生も可能
サードパーティーのAlexaスキルも着々と準備が進んでいるようで、会場でもいくつかデモンストレーションが行われた。レシピサイト「クックパッド」のスキルは、音声アシスタントからレシピを探し、動画付きで料理動画を再生できるようになる見込み。宅配ポータルサイト「出前館」は、10月下旬からAlexaに対応し、「Echo Show」の画面を通して音声操作のみで注文までできるようになるという。画面に表示されるメニューもすべて音声で選べるようになり、支払いは「Amazon Pay」が利用できるそうだ。確認コードもボイスで入力可能となっており、注文から支払いまでAlexaによるボイスコントロールのみでワンストップで行えるようになるそうだ。
ディスプレイ付きデバイスに対応したAlexaスキルの開発も着々と進行中だ
「出前館」のAlexaスキルのデモンストレーションの様子。画面でメニューを確認しながら音声操作だけで注文できるように
「Amazon Pay」と組み合わせることで、チケット購入サービスなどもすべて音声で完結できるようになるという
また「Echo Show」は、デュアル・ネオジムドライバーやパッシブバスラジエーター、Dolbyプロセッシングなどを搭載するなど、サウンド面にも注力している点も見逃せない。会場では、「Echo Show」1台のみで音楽再生を行うデモンストレーションが行われたが、パワフルな重低音とクリアで通りのよい中高域が印象的だった。
映像表示だけでなく、スピーカーユニットもEchoシリーズでもっともパワフル
このほか、4Kの映像配信にも対応したスティック型デバイスとして12月中旬出荷予定の「Fire TV Stick 4K」(6,980円)についても、新たにリモコンがAlexa対応となったことで、ボイスアシスタントが利用可能となったことが紹介された。ボイスアシスタント利用中はテレビ画面に青く光るバーが表示される予定。会場では、「AIのハピネスを再生して」と呼びかけ、テレビ画面で音楽が歌詞付きで流れるデモンストレーションも行われた。
なお、2017年発売の既存のFireTV、Fire TV Stickでも、12月のソフトウェア・アップデートでAlexa対応機能が提供される予定で、別売りのAlexa対応音声認識リモコンを組み合わせることで、ボイスアシスタントを利用できる。4K/HDRのフォーマットとしてDolby Vision、HDR10+、Dolby Atmosに対応するなど、映像配信端末としても非常に魅力的な製品になりそうだ。
「Fire TV Stick 4K」もAlexaに対応。スティック型で4KのDolby Vision、HDR10+、Dolby Atmosと最高峰の映像・音声フォーマットがそろう唯一の存在としても要注目だ
リモコン操作が基本のFireTVのUAの上にAlexaによる音声操作が乗っかる形
Alexaによる音声アシスタントに対応するデバイスに、「Echo show」や「Echo Spot」、「Fire TV Stick 4K」といった画面を組み合わせたものが増えつつあり、Alexaスキルの開発もより高度なものになってきている。こういった状況のなかで、Alexaスキル開発の障壁をできるだけ取り除き、開発者がより簡単にAlexaスキルを開発できるような取り組みも進めている。
そのひとつが「Alexa Presentation Language」。画面を組み合わせた音声操作を効率よく扱えるようにする開発プラットフォームで、開発者は各デバイスの特性に合わせたスキルを簡単に開発できるようになるという。
スクリーン付きデバイス向けのAlexaスキルの開発を容易にする「Alexa Presentation Language」
また、Alexaスキル同士を連携できる「Skill Connections」も、開発者がより複雑なAlexaスキルを開発できるようにするためのひとつだ。日本ではキヤノン、エプソンのプリンターに対応した印刷スキルと連携する機能がリリースされる予定。会場では、「Echo show」で立ち上げたスキルから印刷スキルを呼び出し、プリンターで印刷するデモンストレーションも披露された。スクリーンなし端末から呼び出すこともでき、レシピスキルを立ち上げて、レシピを音声で説明するのではなく印刷するといったことも可能になるという。
Alexaスキル同士を連携できる「Skill Connections」。第1弾はスキルから印刷スキルが呼び出せるようになるようだ
このほか、サードパーティーによるAlexa対応を促進するため、機器にビルトインするための「Alexa Connect Kit」も提供をスタート。北米ではAmazon Basicsのラインで音声アシスタント「Alexa」に対応した電子レンジの発売を発表しているが、自社製品以外にも白物家電のAlexa対応の拡大を考えているということなのだろう。
Echoシリーズ、FireTVといったデバイスを越えて拡大するAmazon Alexaの世界。オーディオ、ディスプレイ、そして白物家電までも巻き込み、スマートホームの拡大が本格化していきそうだ。