有機ガラス管ツイーター採用によるクリアな音色とイルミネーションLEDによるやさしい明かりが特徴的な、ソニーの360度スピーカー「グラスサラウンドスピーカー」。2016年に発売された「LSPX-S1」は、他のアクティブスピーカーにはない独特の佇まいと特徴的な音色から、今なお高い人気を誇っている。
そんな「グラスサラウンドスピーカー」のラインアップにこの春、さらに小型化され、Wi-Fiへの対応を果たした新モデル「LSPX-S2」が加わることが発表された。発売は3月16日で、市場想定価格は45,000円前後(税別)となっている。「LSPX-S1」からさまざまな点で進化を遂げた新製品の特徴をレポートしよう。
ソニー「グラスサラウンドスピーカー LSPX-S2」
2016年に発売された「LSPX-S1」は、2008年に発売した「Sountina(サウンティーナ)」で採用した「バーティカル ドライブ」技術を発展させた独自の「アドバンスド バーティカル ドライブ」を採用。高域を奏でる有機ガラス管ツイーターの端面を加振器で振動させ、振動板となる有機ガラス管全体から音を発生させることで、他のアクティブスピーカーにはない独特のクリアな音色を実現したのが大きな特徴となっていた。
今回発表された新モデルの「LSPX-S2」では、このコアテクノロジーである「アドバンスド バーティカル ドライブ」の回路に改良を加えたのがポイントとなっている。これまでの「LSPX-S1」では、アンプと加振器の間に保護抵抗が入っていたが、「LSPX-S2」ではこの保護抵抗を省き、アンプと加振器を直で結ぶ回路に改められた。保護抵抗レスとなったことで、アンプから加振器をダイレクトにドライブできるようになり、高域の明瞭感がさらに向上したほか、小型化や省エネにも寄与したという。
一回りほど小型化された「LSPX-S2」。ステレオ信号を独自回路で有機ガラス管の下部に仕込まれた3つの加振器に振り分けて音を奏でる
「LSPX-S1」の基板。基板上に配置された無数の保護抵抗を介さないと安定的に駆動できなかったが、「LSPX-S2」ではこの保護抵抗を省き、アンプから加振器をダイレクトにドライブできるようになった
また、空間に音が広がる360度サウンド部分についても、「LSPX-S1」から大きく進化。中域を再生するウーハーの配置とディフューザー形状を最適化し、有機ガラス管ツイーターが奏でる高域の音と同一放射方向、同一放射時間となるように調整するとことで、中高域の音のつながりをよくし、明瞭感をさらに高めているという。低域を担当するパッシブラジエーターも、独自のノッチ形状を採用して振幅動作をよりスムーズにするとともに、セット重心を下げて音響グラウンドを最適化。こちらも、明瞭感アップに寄与しているという。
ウーハーの位置とディフューザー形状を最適化し、ツイーターと同一放射方向、同一放射時間に音を届けられるようになった
写真左が「LSPX-S1」、右が「LSPX-S2」のパッシブラジエーター。独自のノッチ形状を周囲に施し、振幅動作がよりスムーズに行えるようになった
実際に「LSPX-S2」のサウンドを聴いてみたが、「LSPX-S1」よりも一回りほどコンパクトになったにもかかわらず、透明感のあるリアルなサウンドが本体の上方から360度方向にしっかりと広がっており、非常に心地いい。全体的に「LSPX-S1」よりも明瞭感がアップしたおかげか、音楽ジャンルを問わず楽しめそうだ。
「LSPX-S2」は、音だけでなく本体デザインにも注目だ。「LSPX-S1」に比べて一回りほど小さくなり、形状も「LSPX-S1」の円筒形から、アウトドアで使うガスカートリッジ式のランタンのような形状となったが、こちらは先述した音のクオリティアップにあわせたスピーカーの配置だけでなく、ダイニングテーブルに置いても倒れにくいよう、重心を下げたためこのようなデザインになったのだという。
「LSPX-S1」と「LSPX-S2」の大きさ比較。ダイニングテーブルに置いた際も会話を遮ることがなくなるように、高さも「LSPX-S1」より低くなるように配慮したそうだ
カラーリングについても、亜鉛ダイキャスト一体成型の台座部分は、イルミネーションLEDの柔らかな光を際立たせるために、ペールゴールドカラーを採用。底面はどんなインテリアにも馴染むように、ブラウンの布張りにするなど、細部までこだわったという。
亜鉛ダイキャスト一体成型の台座部分。LEDの光がやさしく反射する
イルミネーションLEDは、LEDが放つ明かりそのものにもこだわったといい、特殊な形状のレンズリフレクターを採用することで、光を拡散させて周りを温かく照らすように配慮したほか、キャンドルの炎のようにやさしく揺らぐ「キャンドルライトモード」も新
独自のレンズリフレクターを採用し、LEDの光が直接眼に届かないように工夫
このほか機能面では、Wi-Fi機能を搭載した点も見逃せない。DLNAクライアントとして機能するのはもちろん、「Spotify Connect」にも新たに対応。専用アプリ「Music Center」経由であらかじめ設定しておけば、本体底面部にあるプッシュ&プレイボタンをタップするだけで、「Spotify」を楽しむことができる。また、Bluetoothなら最大2台まで、Wi-Fiなら最大10台まで同時接続可能な「ワイヤレスマルチルーム」にも対応。2台接続時はステレオ再生にも対応する。
「ワイヤレスマルチルーム」で2台同時接続したときだけ、ステレオ再生に対応する
ワイヤレス接続は、IEEE802.11 a/b/g/n対応無線LANとBluetoothに対応。Bluetoothの対応コーデックは、標準コーデックのSBCのほか、AACとLDACをサポートする。有線接続は、3.5mmステレオミニに対応。バッテリー駆動時間は、Bluetooth接続時で約8時間だ。
本体底面のインタフェイス。ボリューム調整やプッシュ&プレイといったよく使うボタンは見える部分に配置。イルミネーションの明るさ調整やBluetoothペアリングボタンなど、使用頻度の低いボタンは底面側にレイアウトされている