レビュー
AKGらしさが薄まっている!?

AKGの新世代プロフェッショナル向けスタジオモニターヘッドホン4製品を一気レビュー

オンイヤーヘッドホン「K175-Y3」

AKG「K175-Y3」

AKG「K175-Y3」

続いては「K175-Y3」を紹介していこう。こちらは、AKG製のプロフェッショナル向けヘッドホンとしては珍しいオンイヤータイプのイヤーパッドを採用したモデル。セルフアジャスト機能付ヘッドバンドや「3-AXIS」による折りたたみ機構、180度回転するスイーベル機構や片出しの着脱式ケーブル、低反発イヤーパッドなど、デザイン的には「K275-Y3」とほとんど変わらないが、オンイヤー型なのでハウジング部分が小サイズであること、ヘッドバンド部分もワイヤーが前後に広がっておらず、さらにコンパクトに収納できるなど、キャリング性が高められたモデルとなっている。付属品も着脱式の5mカールコードと6.3mm変換プラグ、ポーチという内容も一緒だ。

ヘッドバンド部分のワイヤーがコンパクトになっているのが特徴

ヘッドバンド部分のワイヤーがコンパクトになっているのが特徴

着脱式ケーブルやスイーベル機構の採用は他のモデルと一緒だ

着脱式ケーブルやスイーベル機構の採用は他のモデルと一緒だ

オンイヤータイプということもあり、ハウジングサイズは他のモデルに比べて一回りほど小さい

オンイヤータイプということもあり、ハウジングサイズは他のモデルに比べて一回りほど小さい

そのサウンドはというと、オンイヤータイプからイメージするものとはちょっと異なる、素直な印象のサウンド。ダイレクト感は確かに高いものの、ほどほどに抑えられていて、それよりも高域の伸びやかさや音場的な広がり感のスムーズさなどが印象に残る。高域が素直、かつほんのちょっぴり煌びやかさも乗っているため、ピアノの演奏が鮮明で、鍵盤のタッチの強弱が分かりやすい。

いっぽうで、低域は最低域まで無理に引っ張らずジェントルにまとめ上げていて、エレキベースやチェロは落ち着きのある演奏を奏でてくれる。要するに、「K275-Y3」の音をコンパクトにまとめたようなイメージ。まさに、名は体を表すというべきか、デザイン通りのサウンドキャラクターだ。メリハリの幅広さや解像感の高さなど音質面では「K275-Y3」が有利だが、持ち運びのよさでは「K175-Y3」も捨てがたい、といったところだろうか。ここまでの3台のなかではよりフラットな帯域特性と音場的広がり感を持つ「K245-Y3」も含め、メインに使用する環境や好みでいずれかをチョイスするのがよさそうだ。

密閉型ヘッドホン「K553 MKII-Y3」

AKG「K553 MKII-Y3」

AKG「K553 MKII-Y3」

最後になったが、「K553 MKII-Y3」についても紹介していこう。こちら、「K553 PRO」の後継に位置するモデルで、外観はコンシューマーモデル「K550 MKIII」とも似通っている。というかほとんど同じだ。やや大柄なハウジング部分はスイーベル機構を持ち、持ち運びにも配慮されている。

スイーベル機構で持ち運びにも配慮

スイーベル機構で持ち運びにも配慮

ヘッドバンド部は長さを13段階から調整可能

ヘッドバンド部は長さを13段階から調整可能

イヤーパッドは他の3モデルほど低反発素材ではないが、幅広の形をしていることもあって、密閉性は高い。また、ドライバーは50mm口径を搭載し、独自構造のハウジングを組み合わせることで、密閉型でありながらオープンタイプのような自然なサウンドを実現したとアピールしている。付属品が着脱式の5mカールコードと6.3mm変換プラグのみのシンプルな内容となっているのは、プロフェッショナル向けならではの部分かもしれない。

イヤーパッド部は低反発素材ではないものの、厚みがありクッション性は悪くない

イヤーパッド部は低反発素材ではないものの、厚みがありクッション性は悪くない

ある意味、今回の4製品のなかでAKGユーザーが一番安心して聴けるサウンドかもしれない。エッジの立った中高域、フォーカス感の高い低域、そして密閉型とは思えない自然な音場の広がりと、「Q701」や「K712 PRO」(はオープン型だが)などにも通ずる、独特のキャラクターを持ち合わせている。

密閉型のため、やや中域にピークが集まる傾向にはあるが、煌びやかなピアノや金管楽器の音、キレのいいベースやドラムなど、音の鮮明さとグルーヴ感の高さをあわせ持つ、躍動的なサウンドを楽しむことができる。逆に、音場の広がりに関しては、密閉型でここまでの自然さ、広がりの大きさを持つ製品はほとんどない。その代わりに、解像感の高さや抑揚表現の丁寧さは「K275-Y3」に劣る傾向はある。どちらをチョイスするかは、完全に好みの問題だろう。

まとめ

このように、新しいAKGモニターヘッドホンは、プロフェッショナル向けとしての信条、仕事の道具としての着実な進化を推し進めた良質なモデルに仕上がっている。確かに、AKGらしさが薄まっているのは残念だが、それも時代の流れだろうし、どうしてもという人は「K553 MKII-Y3」や「K241 MKU」を選ぶという手もある。選択肢がさらに広がってくれたのは、ありがたいかぎり。自分にとって一番ピッタリの使い勝手と、好みのサウンドを持つ製品を選び出してほしい。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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