レビュー
AKGらしさが薄まっている!?

AKGの新世代プロフェッショナル向けスタジオモニターヘッドホン4製品を一気レビュー

AKGから、新世代のプロフェッショナル向けスタジオモニターヘッドホン4製品がデビューした。今回、それらをヒビノから借用することができたので一気レビューをお届けしたいと思う。

AKGの新世代プロフェッショナル向けスタジオモニターヘッドホン4製品を一気レビュー

今回発売されたのは、「K275-Y3」「K245-Y3」「K175-Y3」「K553 MKII-Y3」の4モデル。いずれもプロフェッショナル向けのスタジオモニターヘッドホンで、そのうち「K275-Y3」は密閉型「K271 MKU」の、「K245-Y3」はセミオープン型「K240 MKII」の進化版製品という位置付けといえそうだ。

とはいえ、「K271 MKU」も「K240 MKU」もしばらくは継続販売が予定されているとのこと。また、デザイン的に大きく変化していることもあって、2製品とも後継モデルとは表現しづらい部分はある。あくまでも現代版スタジオモニター、もしくは発展型といった表現が(現在のところは)妥当な線だろう。ちなみに、密閉&オンイヤー型の「K175-Y3」は、まったく新しいラインアップ。「K553 MKII-Y3」は国内発売されていなかった「K553 PRO」の後継モデルとなる。

ということで、ここからはそれぞれくわしくみていこう。

密閉型ヘッドホン「K275-Y3」

AKG「K275-Y3」

AKG「K275-Y3」

まずは「K275-Y3」から。先にも書いたとおり、こちらは密閉型ヘッドホン「K271 MKU」の進化版といえる製品。セルフアジャスト機能付ヘッドバンドや片出し着脱式ケーブルなどはそのままに、独自機構「3-AXIS」による折りたたみ機構や180度回転するスイーベル機構などを採用(どちらもモニターヘッドホンとしてはとても珍しい)、大幅に使い勝手を向上させた製品に仕立てられている。

独自機構「3-AXIS」による折りたたみ機構

独自機構「3-AXIS」による折りたたみ機構

片出し着脱式ケーブル。コネクターはミニXLRタイプだ

片出し着脱式ケーブル。コネクターはミニXLRタイプだ

そのほかにも、イヤーパッドに低反発の内部素材と柔らかく肌触りのよい表皮とを組み合わせることで、密閉性と長時間装着時の快適性の向上を実現。負荷がかかる部品はすべて鉄製とするなど、耐久性にも配慮されている。着脱式のケーブルは、5mのカールコードが付属。それ以外の付属品は6.3mm変換プラグとポーチのみという、プロフェッショナル向けらしいシンプルな内容となっている。

付属品はたったこれだけ。プロフェッショナル向けということもあり、かなりシンプルな構成だ

付属品はたったこれだけ。プロフェッショナル向けということもあり、かなりシンプルな構成だ

ドライバーユニットも、新たに50mm口径を採用するなど、着実なグレードアップが盛り込まれただろう「K275-Y3」のサウンドを確認するべく、実際に「K271 MKU」と比較しつつ試聴した。

煌びやかな高音と厚みのある歌声、そして密閉型とは思えない広がり感のあるサウンドを持つ「K271 MKU」に対して、「K275-Y3」は圧倒的に歪み感のなくなった、とてもニュートラルなサウンドに進化。特に高音が(伸びやかさや鋭さはある程度残っているものの)煌びやかさが押さえられ、中域、低域とのバランスが整った、ナチュラル志向のサウンドに変化している。ドライバーの変更はもちろん、イヤーパッドの密閉感が高まったことも影響しているのだろう。SN感もよく、細やかな表現が耳までよく届く。端的に表現すれば、まさにモニター然としたサウンド、というべきか。AKGモニターヘッドホンという名前からイメージする音色的特徴が薄くなって、より多くの人が“分かりやすい”音へとシフトした印象だ。その分、「K271 MKU」ユーザーにはちょっと物足りなく感じるかもしれない。

また、音の広がりもちょっと控えめになっていて、「密閉型なのにこんなに音が広がるなんて!」という驚きまではない。このあたりは、とはいっても、仕事として使うのであればこちらの方が断然扱いやすそう。新デザインを採用したモデルながら、完成度の高い製品だ。

オープン型ヘッドホン「K245-Y3」

AKG「K245-Y3」

AKG「K245-Y3」

続いて、オープン型ヘッドホン「K245-Y3」を紹介していこう。こちらはセミオープン型ヘッドホン「K241 MKU」の進化版といえる製品で、「K275-Y3」同様、セルフアジャスト機能付ヘッドバンドや片出しの着脱式ケーブルなどはそのままに、独自機構「3-AXIS」による折りたたみ機構や180度回転するスイーベル機構などを採用。密閉性と装着感向上のために採用した低反発素材のイヤーパッドや、耐久性向上のための負荷がかかる部品の鉄製パーツ採用なども変わらない。要するに、「K275-Y3」のハウジング部分をパンチングメッシュのセミオープンタイプに換えただけ、といっていい。少なくとも外見の違いはそれだけだ。また、5mカールコードの着脱式ケーブルに6.3mm変換プラグ、ポーチというシンプルな内容の付属品も一緒だ。

ハウジング部分はパンチングメッシュのセミオープンタイプ

ハウジング部分はパンチングメッシュのセミオープンタイプ

180度回転するスイーベル機構を採用

180度回転するスイーベル機構を採用

メタル素材を使用した特徴的なアジャスター部分

メタル素材を使用した特徴的なアジャスター部分

しかしながら、そのサウンドは「K241 MKU」とかなり印象が異なる。前後左右に大きく広がるスムーズで広大な音場感を持ち合わせていた「K241 MKU」に対して、「K245-Y3」はもっと距離感の近い鮮明なサウンドを聴かせてくれる。ひとつひとつの楽器、ひとつひとつの演奏がとても明瞭で、すべての音が不足なく耳まで届いてくれる。低域などは、逆にオープン型ヘッドホンとは思えないほどの量感とパワー感を持ち合わせているほど。おかげで、とても音数の多い、厚みのあるサウンドを楽しむことができる。

いっぽうで、オープン型らしい特徴も持ち合わせていて、例えば高域の歪み感が大きく抑えられ、とても聴きやすい音色になっているなど、「K241 MKU」に対してばかりか、「K275-Y3」に対しても“自然な音色”という点で確実なアドバンテージを持ち合わせている。本来のモニターヘッドホンと考えるならば、こちらの方が正確かもしれないが、「K275-Y3」以上に系統(いわゆるAKGセミオープン系のサウンド)の特徴が薄められてしまっているので、好みは分かれるかもしれない。

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