9月にドイツ・ベルリンで行われた「IFA 2019」で披露された新世代ウォークマンがついに日本でも正式発表! 2019年10月16日、ソニーはウォークマンのスタンダードモデル「Aシリーズ」の新モデル「NW-A100」シリーズと、ミドルクラス「ZXシリーズ」の新モデル「NW-ZX500」シリーズを発表した。発売日は11月2日。シリーズラインアップと市場想定価格(税別)は以下の通りだ。
■ウォークマン「NW-A100」シリーズ
NW-A105(16GBモデル/市場想定価格32,000円前後)
NW-A105HN(16GBモデル・専用ノイキャンイヤホン付属/市場想定価格39,000円前後)
NW-A106(32GBモデル/市場想定価格37,000円前後)
NW-A107(64GBモデル/市場想定価格47,000円前後)
■ウォークマン「NW-ZX500」シリーズ
NW-ZX507(64GB/市場想定価格80,000円前後)
いずれも、メインプラットフォームに2013年発売の「Fシリーズ」以来となるAndroidを採用。Google Play MusicやSptifyといったGoogle Playストアで配信されている各種オンラインストリーミングサービスのアプリと、「DSEE HX」や「S-Master HX」といったウォークマンならではの高音質化機能を連携させることで、内蔵メモリーに保存したオフラインの楽曲はもちろん、オンラインの音源もハイレゾ級の高音質で楽しめるというのが最大の特徴となる。
同社はこれまでもスマートフォンとBluetoothで連携してオンラインストリーミングサービスを楽しめる“スマホとつながるウォークマン”を訴求していたが、今回の新モデルではそこからさらに前進し、スマホなしでも単独でオンラインストリーミングサービスを楽しめる“ストリーミングウォークマン”として訴求するという。
Androidプラットフォームは最新のAndroid 9.0を採用。オフラインの楽曲再生には、専用の音楽プレーヤーアプリ「W.ミュージック」を使用する形となった。「DSEE HX」や「S-Master HX」といったウォークマンならではの高音質化機能は、「W.ミュージック」とは別に単独アプリの「音楽設定アプリ」として独立して実装されており、ユーザーがインストールした他社製アプリにも高音質化機能を適用できるようになっている。なお、音楽プレーヤーアプリ「W.ミュージック」利用時は、Androidの音楽回路をバイパスしてアナログ出力する仕様となっているが、そのほかのアプリについてはアナログ出力が仕様上16bit/48kHz相当に制限される。国内でもすでにサービスインしている「Amazon Music HD」のようなハイレゾ相当の音楽配信サービスについては、現在対応できるか検討中とのこと。ちなみに、デジタル接続については制限はないそうだ。
プリインストールされている「音楽設定アプリ」を使用することで、ユーザーがインストールした他社製アプリにも高音質化機能を適用できる
ハードウェア面では、従来の独自OSからAndroidに切り替えたことによる音質面での影響を最大限抑えるため、音質に関わる部分を徹底的にブラッシュアップ。また、長年ウォークマンで用いられていた専用ポート「WMポート」を廃止し、スマートフォンなどで用いられているUSB Type-C端子を採用したのも大きなトピックといえる。
ストリーミングウォークマンのスタンダードモデルとなる「NW-A100」シリーズ。型番が3ケタになっていることからもわかるが、昨年モデル「NW-A50」シリーズの後継モデルではなく、「Aシリーズ」に新たに加わる形のモデルで、「NW-A50」シリーズはディスコンではなく、16GBモデルのみ継続販売される予定となっている。
本体サイズは約55.9(幅)×98.9(高さ)×11.0(奥行)mmと、昨年モデルの「NW-A50」シリーズからサイズ感をほぼキープ。いっぽう、Android搭載となったことで、前面のタッチパネル液晶は「NW-A50」シリーズの3.1インチ(800×480ドット)から3.6インチ(1280×720ドット)へと大型・高精細化されている。また、カラーバリエーションも刷新されており、同日発売された「h.ear」シリーズと同じブラック、ブルー、アッシュグリーン、オレンジ、レッドの5色がラインアップされる。
ソニー「NW-A100」シリーズ。サイズ感は既存の「Aシリーズ」とほぼ同じ
WMポートではなくUSB Type-Cを採用したのも大きなトピックだ
側面には物理ボタンが並ぶ。「Aシリーズ」伝統のスライド式ホールドスイッチも用意されている
同日発売された「h.ear」シリーズと同じブラック、ブルー、アッシュグリーン、オレンジ、レッドの5色カラバリを用意
音質設計部分では、「NW-A50」シリーズ同様、削り出しアルミキャビネットを採用したほか、音質に影響があるバッテリーとの接続部分に、「DMP-Z1」にも使われている金を添付したNew高音質はんだを採用。また、「NW-WM1」シリーズや「NW-ZX300」シリーズで採用した大型の高音質抵抗「Fine Sound Register」や、「NW-ZX300」シリーズで採用したフィルムコンデンサーなど、上位モデルの高音質パーツを新たに採用し、伸びがある自然な音、透明感のあるつややかな音を実現したという。
「NW-A50」シリーズに引き続き、削り出しアルミキャビネットを採用
高音質抵抗「Fine Sound Register」や大型のフィルムコンデンサーなど、上位モデルの高音質パーツを新たに採用し、音質をブラッシュアップ
再生対応ファイルはMP3/WMA/FLAC/WAV/AAC/HE-AAC/Apple Lossless/AIFF/DSD(DSF/DSDIFF)/APE/MQA。PCMは384kHz/32bitのFloat/integerまで、DSDはリニアPCM変換での再生に対応する。ヘッドホン出力は3.5mmアンバランスのみで、実用最大出力は35mW+35mW。3.5mm5極端子を採用した専用設計のノイズキャンセリングイヤホンの接続も可能となっている。
専用のノイズキャンセリングイヤホンは大幅なダウンサイジングを実現し、装着感が向上している
有線接続時のバッテリー駆動時間は、デジタルノイズキャンセリングOFFの状態でMP3/128kbpsファイルを再生した場合で約26時間(ノイキャンON時は約21時間)、FLAC(96kHz/24bit)ファイルを再生した場合で約21時間(ノイキャンON時は約16時間)。Bluetooth接続時のバッテリー駆動時間は、SBC(接続優先)状態でMP3/128kbpsファイルを再生した場合で約10時間、LDAC(接続優先(自動))状態でFLAC(96kHz/24bit)ファイルを再生した場合で約8時間となっている。
ラインアップは、内蔵メモリーの違いで16GB/32GB/64GBモデルを用意。なお、ストレージの一部がAndroidのシステム領域となっている関係で、実使用可能領域は16GBモデルが約6.29GB、32GBモデルが約20.53GB、64GBモデルが約49.04GBとなっているのは注意してほしい。なお、これまでの「Aシリーズ」同様、microSD/SDHC/SDXCメモリーカードによるストレージ拡張には対応している。無線LANはIEEE 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz)に対応。BluetoothはVer 5.0で、コーデックはSBC、AAC、LDAC、aptX、aptX HDをサポートする。
Andoriodプラットフォームを採用したこともあり、「NW-A50」シリーズに比べると全体的にバッテリー駆動時間は短くなっているのが気になるが、音質面は上位モデルゆずりの高音質パーツを投入したこともあり、「NW-A100」シリーズのほうがワンランク上の仕上がりだ。なによりも再生時間が優先なら引き続き「NW-A50」シリーズ一択だが、ストリーミングサービスとの連携といった部分に魅力を感じる人な「NW-A100」シリーズはいい選択肢になりそうだ。
「NW-ZX500」シリーズは、2017年発売の「NW-ZX300」シリーズ以来、2年ぶりとなるミドルクラス「ZXシリーズ」の新モデルだ。「NW-ZX300」シリーズとほぼ同じサイズ感のボディに、最新世代の音質設計を施すなど、基本的には「NW-A100」シリーズと同じ方向性の進化を遂げている。
ソニー「NW-ZX500」シリーズ。ブラックとシルバーの2色のカラバリ展開だ
左が「NW-ZX500」シリーズ、右が「NW-ZX300」シリーズ。「NW-A100」シリーズ同様に、画面サイズが大型化している
特に音質設計においては、アナログ電源系統の強化に注力。バランス出力用アンプブロックの電源には、「DMP-Z1」で採用した高分子コンデンサー「FT CAP2」を4基搭載し、音質チューニングを徹底的に実施することで、ボーカルや楽器の伸びや透明感の向上、締りのある力強い低音再生を実現したという。また、アンバランス出力についても、「POS-CAP」の容量を「NW-ZX300」シリーズの2倍以上となる1000μFにアップさせ、低域の再生能力の向上とスケール感の拡大を実現。グラウンドも、従来の銅プレートではなく銅切削のブロックへと改良し、しっかりとした低音が出せるように配慮したということだ。ちなみに、New高音質はんだは「NW-A100」シリーズでは音質に影響があるバッテリーとの接続部分のみの採用だったが、「NW-ZX500」シリーズではヘッドホン出力、バッテリー、電気二重層キャパシタにも採用範囲が広がっている。
グラウンドも、従来の銅プレートではなく銅切削のブロックへと改良
再生対応ファイルはMP3/WMA/FLAC/WAV/AAC/HE-AAC/Apple Lossless/AIFF/DSD(DSF/DSDIFF)/APE/MQA。DSDは11.2MHzまでネイティブ再生に再生に対応する。ヘッドホン出力は3.5mmアンバランスと4.4mm5極バランスの2系統用意。実用最大出力はアンバランスが50mW+50mW(ハイゲイン時)、バランスが200mW+200mW(ハイゲイン時)となる。
ヘッドホン出力は3.5mmアンバランスと4.4mm5極バランスの2系統用意されている
有線接続時のバッテリー駆動時間は、アンバランス接続でMP3/128kbpsファイルを再生した場合で約20時間(バランス接続時は約19時間)、FLAC(96kHz/24bit)ファイルを再生した場合で約18時間(バランス接続時は約17時間)。Bluetooth接続時のバッテリー駆動時間は、SBC(接続優先)状態でMP3/128kbpsファイルを再生した場合で約11時間、LDAC(接続優先(自動))状態でFLAC(96kHz/24bit)ファイルを再生した場合で約8.5時間となる。
ラインアップは、64GBモデル1モデルのみ(実使用可能領域は約48.64GB)。microSD/SDHC/SDXCメモリーカードによるストレージ拡張にも対応する。無線LANはIEEE 802.11 a/b/g/n/ac(2.4GHz/5GHz)に対応。BluetoothはVer 5.0で、コーデックはSBC、AAC、LDAC、aptX、aptX HDをサポートする。
microSDメモリーカードスロットはトレイ式に変更されている
「IFA 2019」で披露されて大きな話題となったウォークマン生誕40周年を記念した限定モデル「NW-A100TPS」も日本での発売が正式にアナウンスされた。最新の「NW-A100」シリーズの16GBをベースに独自デザインをあしらったウォークマン本体、初代ウォークマンデザインのソフトケースや、限定デザインのパッケージ、オリジナルステッカーをセットにした数量限定のモデルとなっている。
40周年記念限定モデル「NW-A100TPS」
初代ウォークマンデザインのソフトケースには透明の窓が設けられており、「NW-A100」シリーズや「NW-ZX500」シリーズにも搭載された音楽プレーヤーアプリ「W.ミュージック」のカセットテープ画面を起動した際、画面上のカセットテープがクルクル回るのをケースを閉じた状態でも確認できるというギミックも用意されている。市場想定価格は42,000円前後(税別)だ。
初代ウォークマンをモチーフにした専用のソフトケースが付属。カセットテープ画面と組み合わせるとまさにウォークマンだ
PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。