レビュー
電源を入れてすぐに楽しめるオールインワンモデル

エプソン「dreamio EF-12」は老舗ブランドの本気を垣間見られる高画質・高音質プロジェクターだ

「Wi-Fi内蔵」「動画配信サービス対応」によって新時代に突入したプロジェクター。数年来新トレンドをけん引しているのはPopin「Popin Alladin」だったり、Anker「Nebula Capsule2」と、これまでプロジェクターを手がけたことのない新参ブランドだった。

エプソンが11月27日に発売した「dreamio EF-12」(直販価格137,500円)は、そんな激変するプロジェクター市場に、老舗ブランドが「Wi-Fi内蔵」「動画配信サービス対応」で新参ブランドを迎え撃つ新時代の家庭用プロジェクターだ。

エプソンの一体型プロジェクター「EF-12」を実機レビュー

エプソンの一体型プロジェクター「EF-12」を実機レビュー

ホームプロジェクター「dreamio」シリーズで発売される最新家庭用プロジェクターで、同社が自社開発をしているフルHD解像度の3LCDデバイス採用に、1000lmという非常に明るいレーザー光源を搭載。Wi-Fi内蔵でAndroid TVプラットフォーム対応、ヤマハ製スピーカー搭載と、今流行りの全部入りオールイワンタイプのモデルとなる。なお、バッテリーは内蔵しておらず、電源ケーブルをつなぐ据え置きでの使用が前提だ。

実際にEF-12を前にしてみると、背の高いスクエア型デザインは従来の曲線的なプロジェクターとは異なるテイストが目を引く。ちなみに、EF-12は重箱を重ねたようなデザインとなっているが、下段のプロジェクター部分のみを切り出した「EF-11」という機種も用意されている。上段部分の容積が、Android TVのシステムやヤマハ製高音質スピーカーといったトレンド部に費やされているという訳だ。

四角くシンプルなデザイン。上段側にスピーカーを内蔵している

四角くシンプルなデザイン。上段側にスピーカーを内蔵している

EF-12のプロジェクター部は単焦点レンズで、壁に向けて適当な位置に置くだけだ。公式スペックにある投写距離では、投写距離2.02メートルで90インチ。僕の自宅のちょうどいい棚から約1.3mの距離から投写すると、画面幅130cm、高さ72cmで対角1.48メートル、約58インチになった。過去にも同じ条件でさまざまな機種を設置しているが、エプソン「EF-12」の投写面積が過去最大サイズだ。

自宅の一室にEF-12をセットアップ

自宅の一室にEF-12をセットアップ

設置の際には自動調整設置機能でAF(オートフォーカス)・台形補正も対応できラクラク。特にタテ・ヨコともに斜め投写をしても自動で四角く投写できる台形補正が極めて優秀で、縦方向は34度、左右40度までカバー。かなり無茶な斜め投写でも四角く投写できるので設置場所選びが本当にラク。ちなみにタテ置きをして天井投写にも対応している。本体も比較的コンパクトで、家のさまざまな場所に持ち運んで設置できる点はなかなかうれしいところだ。

かなり斜めに角度を付けて設置してみた

かなり斜めに角度を付けて設置してみた

自動調整設置機能がと働き、四角い画面にしっかりと補正してくれる

自動調整設置機能がと働き、四角い画面にしっかりと補正してくれる

EF-12はAndroid TVを搭載しているので、プロジェクターセットアップ後の操作方法については経験者ならとてもわかりやすい。初期設定でWi-Fi、Googleアカウントなどを登録、YouTubeはデフォルトで導入済みだ。

EF-12で壁に投写した画面を見ると、とにかく明るくて高画質という言葉に尽きる。レーザー光源1000lmのパワーは凄まじく、照明を付けたままの部屋でも十分鑑賞できる。約58インチでフルHD投写となると4Kテレビと比べると解像度は足りていないが、目に見えてドットが目立つことはない。プロジェクターは元々高解像度よりも大画面で映し出すという映画館風の非日常感に魅力があるし、EF-12は目で見てわかるような画質面での弱点も少なく、スペック以上の画質の完成度だ。輝度が十分なので、映像モードを「シネマ」に変えてみるといった楽しみ方もできそうだ。

暗室で投写してみたところ。明るくダイナミックな高画質が楽しめる

暗室で投写してみたところ。明るくダイナミックな高画質が楽しめる

解像度はフルHDだがドット感はさほど気にならない

解像度はフルHDだがドット感はさほど気にならない

輝度が十分あるので、映像モードや画質をカスタマイズするのもアリだろう

輝度が十分あるので、映像モードや画質をカスタマイズするのもアリだろう

参考までに照明下、日中に投写したときの様子を撮影した写真を掲載しているが、暗室なら文句ナシ、照明下も十分アリ、日中でも何とか使えるかな、というレベルに到達している。

照明下で投写した状態

照明下で投写した状態

外光の入る日中に投写した状態

外光の入る日中に投写した状態

操作性についてはAndroid TVなのでYouTubeは最初から統合が図られており、Googleアシスタントによる音声操作もできる。ボタンを押して“○○を探して”でYouTubeの動画再生に飛べるのは、すこぶる快適。PCやスマホで利用しているYouTubeアカウントにログインすれば、おすすめやチャンネルも共有できる。

Android TVなのでYouTubeにアクセスする操作性は抜群

Android TVなのでYouTubeにアクセスする操作性は抜群

実際にYouTubeを視聴してみると、EF-12の内蔵するヤマハ製スピーカーの音質がすばらしいことに気が付く。ユーチューバーの声もしっかりと聴けるし、スポーツや音楽PVを視聴しても音質はクリアでエネルギッシュ。音の広がり、低音のパワーもしっかりと出ている。イメージ的には1万円くらいのBluetoothスピーカーと同程度だ。デフォルトの音質以外にサウンドのカスタマイズもできるので、ユーチューバーの動画や実況などを重視するなら“クリアボイス”の設定を一段引き上げてもいいかもしれない。

大画面の画質だけでなく音質も優秀なところがポイント。スポーツ映像なども臨場感たっぷりのサウンドで楽しめる

大画面の画質だけでなく音質も優秀なところがポイント。スポーツ映像なども臨場感たっぷりのサウンドで楽しめる

動作時の騒音については手元で測定してみると43db程度。数字上は静かではないが、中低域寄りの騒音なので、高い音ほど耳につかないところも気に入った。

YouTube以外のアプリは、初期設定の際に「Hulu」「AbemaTV」「dTV」「TVer」「DAZN」など主要動画配信アプリをインストールできる。ただ、ここでひとつ大問題がある。自動で導入されるアプリに「Netflix」「Amazonプライム・ビデオ」という動画配信サービスの二強がないのだ。“Android TVなのだからGooglePlayストアで導入できるでしょ?”と思うかもしれないが、残念ながらGooglePlayストアにアクセスしても「Netflix」と「Amazonプライム・ビデオ」は導入できなかった。この2社はAndroid TVのなかでも対応ハードウェアを制限していて、残念ながらEF-12は対応がまだなされていないのだ。これはとても残念だ。

初期設定でセットアップできるアプリ群

初期設定でセットアップできるアプリ群

気持ちを切り替えて「Netflix」と「Amazonプライム・ビデオ」を視聴する方法を模索してみると、EF-12はiPhone、Androidともに映像を飛ばすキャストに対応していることがわかった。「Amazonプライム・ビデオ」はiPhone、Androidスマホどちらからでもキャストで飛ばせて視聴できたが、「Netflix」については残念ながらこの方法は不可能だった。

「Amazonプライム・ビデオ」はiPhoneのアプリからキャストによる投写に成功

「Amazonプライム・ビデオ」はiPhoneのアプリからキャストによる投写に成功

いっぽうで、Android TVでよかったと思えたのが無料のテレビ番組見逃し配信「TVer」への対応。当然テレビ放送のチューナーは内蔵していないEF-12だが、バラエティやドラマなどテレビ的な番組も「TVer」でカバーできたりする。

海外メーカーのプロジェクターでは対応が少ない「TVer」が使えるのは大きなポイントだ

海外メーカーのプロジェクターでは対応が少ない「TVer」が使えるのは大きなポイントだ

内蔵のAndroid TVというこだわりを捨てるなら、EF-12はHDMI端子を2系統搭載しているので、「FireTV Stick」などを別途取り付ければNetflixの視聴も可能。据え置きゲーム機をつなげて大画面でプレイする用途にも使える。パネルはフルHDだが、4K/HDR信号入力にも対応できるのでPS5を大画面で遊ぶためにEF-12を導入するというのもアリだろう。

HDMI端子は2系統搭載。フルHDプロジェクターだが4K/HDR映像信号も入力可能

HDMI端子は2系統搭載。フルHDプロジェクターだが4K/HDR映像信号も入力可能

家庭用ゲーム機を大画面でプレイする用途にもピッタリ

家庭用ゲーム機を大画面でプレイする用途にもピッタリ

コンクリ打ちっぱなしの壁投写でも十分高画質だった

コンクリ打ちっぱなしの壁投写でも十分高画質だった

今回EF-12を使い込んでみたが、やはり老舗メーカーらしいバランスがとれた完成度の高いモデルであることがわかった。フルHD画質でとにかく明るく作り込まれた高画質、ヤマハ製スピーカーによる高音質サウンドの出来はすばらしいし、4K/HDR信号入力対応というのも互換性として安心だ。Android TVで機能性もパーフェクト…と言いたいところだが、「Netflix」と「Amazonプライム・ビデオ」に非対応というところが本当に残念でならない。しかし、それを差し引いても「Wi-Fi内蔵」「動画配信サービス対応」のプロジェクターとして、総合力上位にランクインする、エプソンの本気を垣間見られる機種なのは間違いない。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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