レビュー
イマドキのニーズに合わせて使えるスペックへと進化!

どっちを選ぶ?ケンブリッジオーディオの最新プリメインアンプ「CXA81」「CXA61」聴き比べ

コロナ禍で海外への渡航が難しくなるギリギリ直前の2019年12月に、英国ロンドンのケンブリッジオーディオを訪問させてもらう機会があった。その際に現地で試聴させてもらった製品のひとつが、当時の英国で発売直前となっていたプリメインアンプ「CXA81」「CXA61」だ。

ケンブリッジオーディオの最新プリメインアンプ「CXA81」(写真左)と「CXA61」(写真右)

ケンブリッジオーディオの最新プリメインアンプ「CXA81」(写真左)と「CXA61」(写真右)

CXシリーズは、EdgeシリーズからTopazまで、幅広いラインアップを取り揃えるケンブリッジオーディオ製フルサイズコンポーネントの中でも、ちょうど真ん中、ミドルクラスに位置する製品群。高品位パーツを多用した本格派のコンポーネントでありつつ、頑張れば手が届くコストパフォーマンスの良好さが好評で、本国だけでなく日本でも人気を集めている。そんなCXシリーズのプリメインアンプがセカンドシリーズの「CXA81」と「CXA61」にフルモデルチェンジされ、このたび(2020年秋に)日本での販売がスタートしたのだ。

「CXA80」ユーザーのひとりとして、ニューモデルのサウンドがいかなるものか大いに気になったこともあり、現地で(最終サンプル機を)じっくりと聴かせてもらったが、一聴で誰でもわかる音質のグレードアップには大いに驚かされた。これはぜひ「CXA80」と入れ替えをしたいと思い、日本での発売を心待ちにしていた。コロナ禍の影響を受けて日本での販売スタートはしばらく延期されていたものの、秋になってようやく発売され、サンプル機を借りることも叶ったので、価格.comマガジンの撮影スペースに「CXA81」「CXA61」の2台を持ち込み、はたしてどちらを導入するべきか、聴き比べてみることにした。

というのも、英国で試聴したかぎりでは「CXA61」のほうが印象よく思えたからだ。もちろん、クオリティ面では当然「CXA81」のほうがよかったが、良好な音質を確保しつつもエネルギー感の高い奔放なサウンドを楽しませてくれる「CXA61」の絶妙なサウンドセンスが、とても魅力的に感じられた。

ということで、価格.comマガジンがリファレンスとして用意しているJBL「4312SE」と組み合わせて(プレーヤーはポータブルDAP、Astell&Kern「KANN CUBE」のラインアウトを使用)、改めてそれぞれの特徴を確認してみることにした。

イマドキのニーズに合わせて進化を遂げた「CXA81」「CXA61」

実際の試聴に行く前に、まずは製品の特徴について触れておきたい。

先に述べたように、「CXA81」「CXA61」は、ケンブリッジオーディオのミドルクラス・プリメインアンプのセカンドバージョンで、大型トロイダルトランスや高剛性筐体を採用するなど、王道といえる製品作りによって基礎体力の高いサウンドを実現しているのが特徴だ。そのいっぽうで、アナログ入力だけでなく、USB DAC機能や同軸/光デジタル入力、Bluetooth接続なども持ち合わせていたりと、近年のニーズに合わせた先進性や多機能も有する。総じて、機能的で音のよいアンプ、といえるパッケージングだ。

ちなみに、基本部分は先代「CXA80」「CXA60」のブラッシュアップ版となっていて、外観もカラーリングが微妙に変わっている(ガンメタリックに近い暗めのシルバーとなった)程度だが、USB DAC機能は384kHz/32bitのリニアPCM、DSD256のDSD音源に対応し、BluetoothもaptX HDコーデックに対応するなど、単体USB DACにそん色のない“使える”スペックへと進化。さらに、電源やパワーアンプまわりなどにさまざまな改良が施され、音質面でも大幅なグレードアップが押し進められている。

そして、「CXA81」と「CXA61」の違いはパワーアンプの出力(8Ωで80Wと60W)のほか、「CXA81」にはXLR入力が備わり、「CXA61」にはフロントパネルに3.5mm入力が用意されているなど、細かい部分で異なっている。そのため、使い勝手も微妙に異なっていて、現在「CXA80」のXLR入力を活用している筆者としては、あくまでも本命は「CXA81」だが、「CXA61」のサウンド的魅力にも大いに惹かれる、ということで、どちらを導入するかで多いに迷ってしまっているのだ。

先代のCXシリーズに比べて外装が暗めのシルバー仕上げになった「CXA81」(写真上)と「CXA61」(写真下)。「CXA61」は、フロントに3.5mmアナログ入力が用意されている

先代のCXシリーズに比べて外装が暗めのシルバー仕上げになった「CXA81」(写真上)と「CXA61」(写真下)。「CXA61」は、フロントに3.5mmアナログ入力が用意されている

「CXA81」(写真上)と「CXA61」(写真下)のバックパネル。「CXA81」のみ、XLR入力が用意されている

「CXA81」(写真上)と「CXA61」(写真下)のバックパネル。「CXA81」のみ、XLR入力が用意されている

先代のCXシリーズはオプションのBluetoothレシーバーでBluetooth対応していたが、新モデルは本体内蔵となった。コーデックもSBC/aptXに加え、aptX HDに新たに対応し、より高音質なリスニングが可能になったのもポイントだ

先代のCXシリーズはオプションのBluetoothレシーバーでBluetooth対応していたが、新モデルは本体内蔵となった。コーデックもSBC/aptXに加え、aptX HDに新たに対応し、より高音質なリスニングが可能になったのもポイントだ

そこで、今回の試聴では「CXA81」「CXA61」の2台に加えて、現在使用中の「CXA80」も持ち込み、XLR同士、XLRとRCAの比較も含めて、試聴を行ってみた。

価格.comマガジン編集部がリファレンスとして用意しているJBL「4312SE」と組み合わせ、サウンドをチェックしてみた

価格.comマガジン編集部がリファレンスとして用意しているJBL「4312SE」と組み合わせ、サウンドをチェックしてみた

結論はというと、やはりロンドンでの印象に変化はなく、「CXA61」の溌剌な表現は大いに魅力的だった。ヴァイオリンやチェロなどの弦楽器は、ポーイングが力強いというか、音の厚みが増して感じるし、ピアノの音はずいぶんと伸びやかな印象になった。ボーカルも3台の中では最も熱気を帯びた、生き生きとした表現に感じられる。これは、音の歪みがずいぶんと抑えられ、同時にダイナミックレンジの幅が広がったおかげなのだろう。躍動感に満ちた、とても楽しい音がする。先代の「CXA80」に比べてもアドバンテージが感じられる、良サウンドだ。

先代のCXシリーズとの比較試聴も実施

先代のCXシリーズとの比較試聴も実施

いっぽうの「CXA81」は、ケンブリッジオーディオらしい元気なメリハリ表現は持ちつつ、やや繊細で緻密な表現にシフトした、クオリティ重視のサウンドに感じられる。もちろん、これはこれで悪くないが、好みが分かれる傾向はありそう。また、XLR接続ではとてつもなくピュアな音を楽しめるが、エッジの尖った音色の「KANN CUBE」ラインアウトでは、表現がストレート過ぎるというか、楽曲によっては演奏としてのまとまりを欠いてしまうくらいセンシティブなバランスとなる時があった。ことXLR入力に関しては、シビアなプレーヤー選択(またはプレーヤー側のイコライザー調整)は必須かもしれない。

とはいえ、XLRは上手く使いこなせばよいし、いっぽうRCA入力に関してはそれぞれに魅力的なキャラクターを持ち合わせている。「CXA61」を生き生きとした音と例えるなら、「CXA81」は広がり感のよい緻密な音に少しだけシフトした、といった印象だろうか。そして、もうひとつ重要なポイントとしては、スピーカーをキレよく鳴らしてくれるという点では、パワーに勝る「CXA81」のほうが良好だった。

ということで、結論としては「CXA81」の投入を決意した。後日、仕事場のデスクトップオーディオ向け試聴システムのプリメインアンプとして、「CXA80」と入れ替え、さっそくエラック「BS312」スピーカーを鳴らしてみたが、一段とダイレクト感の高まったクリア志向のサウンドを聴かせてくれるなど、相性の良好さも感じられた。このまま、「CXA81」をリファレンス製品として活用していきたいと思う。

仕事場のデスクトップオーディオ向け試聴システムに「CXA81」を導入

仕事場のデスクトップオーディオ向け試聴システムに「CXA81」を導入

いっぽう、こちらのシステムでもうひとつ、悩みどころとなっているのがヘッドホンアンプのチョイスだ。これまで、ながらくティアック「UD-503」やOPPO「HA-1」などを利用してきたが、「CXA81」内蔵のデジタル部がスペック的にも大いに活用できそうな(かつプリアウトもある)ことから、アナログタイプのバランス出力付きヘッドホンアンプを新たに導入するか、または最新のデジタルシステム搭載ヘッドホンアンプを用意するか、考え始めている。こちらもプランがまとまるようなら、改めて報告させていただこうと思う。

なお、「CXA61」に関しては、捨てがたい音の魅力を持ちあわせているため、価格.comマガジン編集部のリファレンスアンプとして導入することを推薦。さっそく先日、製品が撮影スペースのシステムとして(JBLスピーカー等と組み合わせる試聴システムとして)として導入されたという。こちらも今後の試聴記事の際に、大いに活用させていただこうと思う。今後の記事を、楽しみにして欲しい。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどのオーディオビジュアル系をメインに活躍するライター。TBSテレビ開運音楽堂にアドバイザーとして、レインボータウンFM「みケらじ!」にメインパーソナリティとしてレギュラー出演。音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める。

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