特別企画
らしさ全開のMarshallと特殊機能搭載のVOX

英国ギターアンプ二大巨頭「Marshall」と「VOX」のヘッドホンを聴き比べ! 個性がおもしろい

イヤホン&ヘッドホンが注目アイテムとなっている近年、その人気にあわせて他業種の有名ブランドもこの分野に参入してきています。なかでも音楽好きに響くのは、やっぱり楽器ブランドのヘッドホン! 今回紹介するのはギター好きにはおなじみ、ブリティッシュギターアンプを代表する二大巨頭、Marshall(マーシャル)とVOX(ヴォックス)が手がけたヘッドホンです!

ロックを象徴する英国ギターアンプ二大ブランド!

エレクトリックギターといえば、ガガガ! グギャーン! ギュイーン! と歪(ひず)んだあのドライブサウンド!

ですが、ギタリストのみなさんはご存じのように、あの「歪み」を生み出しているのはエレクトリックギター自体ではありません。あのサウンドは、エレクトリックギターのクリーンなサウンドを「ギターアンプで過剰に増幅」して、音声信号の波形をぶっ壊すことで生み出されています。

とはいえ、元のサウンドはギターから生み出されているわけですから、そちらも不可欠。なので「エレクトリックギターとギターアンプは2つでひとつの楽器であり、その2つでひとつのエレクトリックギター&ギターアンプがあのロックなドライブサウンドを生み出している!」というのが正しい理解と言えるでしょう。

そんなわけで、ギターとロックにおける超重要アイテムなギターアンプですが、なかでもロックの中心地のひとつ、英国を代表する「ブリティッシュギターアンプ」ブランドといえば、真っ先に名前があがるのがMarshallとVOXです。

Marshallは1962年に大型スタックアンプをいち早く開発し、大音量化時代のギタリストの頼れる相棒に。ジミ・ヘンドリックスさんやリッチー・ブラックモアさん、イングヴェイ・マルムスティーンさん、ザック・ワイルドさんなどのサウンドは、同社のアンプがあってこそです。

往年の大型スタックアンプを現代的に小型化した「Studio」シリーズ

往年の大型スタックアンプを現代的に小型化した「Studio」シリーズ

VOXはMarshallより少し早くからギターアンプ市場に参入していたブランド。特にコンボアンプに定評があり、「AC15」や「AC30」はThe Beatlesが使用したことでも有名。QUEENのブライアン・メイさんもVOXのイメージが強いギタリストです。

名機「AC30」の現行バージョン「AC30 Custom」

名機「AC30」の現行バージョン「AC30 Custom」

……と、例にあげたギタリストたちのすごい顔ぶれを見れば、「両社のギターアンプなくして現在のロックなし!」と言っても過言ではないことがわかるでしょう。

Marshall&VOXはヘッドホンも出している!

そんなMarshallとVOXなわけですが……どちらも出してます! 出してくれてます! ヘッドホンを! 今回はその最新モデル、Marshall「MAJOR IV」とVOX「VH-Q1」を紹介!

Marshall「MAJOR IV」! ワイルド!

Marshall「MAJOR IV」! ワイルド!

VOX「VH-Q1」! ノーブル!

VOX「VH-Q1」! ノーブル!

ルックスからしてMarshallヘッドホンはワイルドさを、VOXヘッドホンは気品を感じさせる両ブランドらしい仕上がり。もうこの時点で重度のロック好きな方々は「買うしかない!」と叫んでしまったのではないでしょうか。

ですが少々お待ちください。こちらの両ブランドのヘッドホン、こんなすばらしいルックスなのですが実は……

……音や機能もイケてるんです! ってことはやっぱり買うしかないじゃねーか! 少々待たせた意味!?

いや「どうせ買うからこそ、その魅力をじっくり確認して、気分をさらに高めまくってからポチってくださいよ」ということなんです。なので、ここからはその魅力を紹介していきます。まずは両モデルの外観やスペック、機能などからチェックしていきましょう。

Marshall「MAJOR W」は基本をハイレベルにきわめている!

まずはMarshall「MAJOR W」から。外観の「Marshall!感」については各写真とそのキャプションを眺めていただくとして、テキストでは機能や使いやすさの面に注目していきます。

飾り気なしのMarshall!

飾り気なしのMarshall!

見慣れたホワイトロゴを耳元に

見慣れたホワイトロゴを耳元に

こちらをまずワイヤレスヘッドホン一般としておおまかに評価するならば、「ノイキャンとかは搭載していないけれど基本的な機能が優秀!」なモデルです。ノイズキャンセリングや外音取り込みといったトレンドハイスペックは搭載していませんが、基本スペック的なところが強い!特に、最大80時間駆動なうえに急速充電15分で15時間駆動というバッテリーライフは超強力!それでいて巨大なヘッドホンではなく、折りたたみ機構によるコンパクトな収納性も光ります。

ヘッドバンド部はギターアンプのブラックトーレックスを意識したと思われる仕上げ

ヘッドバンド部はギターアンプのブラックトーレックスを意識したと思われる仕上げ

手のひらサイズとは言いませんが、男性の手でガシッとつかめる程度にまで折りたためます

手のひらサイズとは言いませんが、男性の手でガシッとつかめる程度にまで折りたためます

「マルチ・コントロールボタン」によるすぐれた操作性も注目ポイント。名称は「ボタン」とされていますが、実際には「ボタン+四方向レバー」で、ボタンとして押せば再生、レバーとして前後に倒せば音量調整、上下に倒せば曲スキップというように、あらゆる操作をマルチ・コントロールボタンのみで行えます。

マルチ・コントロールボタンがゴールド仕上げでMarshall的なアクセント

マルチ・コントロールボタンがゴールド仕上げでMarshall的なアクセント

おかげでワイヤレスヘッドホンにありがちな、「複数のボタンを手探りで探して操作する」という厄介さはなし! 右手で右ハウジングを覆うようにすると、その親指が自然とマルチ・コントロールボタンのレバーに触れ、そこからあらゆる操作が可能!

スペック周りで強いて言えば、対応コーデックがSBCのみなところは気になる人もいるかもしれません。でも実際の音を聴くとそこはさほど気になりませんでした。最近はSBCコーデックからでも良好な音質を引き出すノウハウが高まっているみたいですね。

有線接続も可能。コイルケーブルなのもビンテージロックっぽいです

有線接続も可能。コイルケーブルなのもビンテージロックっぽいです

なお同社のラインアップには、「MID A.N.C Bluetooth」および「MonitorUA.N.C」というノイズキャンセリング搭載モデルも用意されていますので、「Marshal感+ノイキャン」も欲しい人はそれらをチェック!

VOX「VH-Q1」は全部入り+楽器ブランドならではの独自機能

VOX「VH-Q1」は、こちらもまずワイヤレスヘッドホン一般としておおまかに評価するならば、「ワイヤレスでノイキャンな全部盛りヘッドホン」です。ノイズキャンセリングに外音取り込み機能、aptX HDとaptX LLへの対応、バッテリーライフも十分長い36時間を確保。

2色展開です

2色展開です

VOXロゴの輝き&イヤーパッド内側はダイヤモンドグリルクロス!

VOXロゴの輝き&イヤーパッド内側はダイヤモンドグリルクロス!

操作性についての考え方は、Marshallとは逆。Marshallが操作をひとつのマルチ・コントロールボタンに集約することでユーザーを迷わせないようにしたのに対して、VOXはタッチセンサー+多数のボタン類を採用。大半の機能にその機能専用のボタンを用意することで「この機能はこのボタン!」というわかりやすさをねらっているように思えます。

右ハウジング前側のボタン類

右ハウジング前側のボタン類

さらに右ハウジング後側にもこれだけのボタン類が

さらに右ハウジング後側にもこれだけのボタン類が

ボタンごとの機能やその配置を覚えるまでは少し苦戦するかもしれませんので、それになじんできてからが本領発揮となるでしょう。

「ワイヤレスヘッドホン一般」として評価としてはそのようなところですが、このヘッドホンには「一般」ではない「ギターブランドならでは」の特別な機能も搭載されています。「サウンド・エンハンスを使ったスマート・モニタリング」です!

▼ヘッドホンで音楽を聴きながら自分のギターの音も聞こえる!?

この「スマート・モニタリング」は、大枠としてはいわゆる外音取り込み機能の一種になります。ですがその取り込む「外音」のチョイスが楽器ブランドならでは!

外音取り込み機能は、一般的には周囲の音をバランスよく自然に取り込む、または電車内のアナウンスやコンビニのレジでのやり取りを想定して人の声を聴き取りやすく取り込むように調整されています。

ですがスマート・モニタリングは、なんとアコースティック・ギターの音色に特化したモードも用意されています! たとえば「ヘッドホンで音楽を聴きながら、その曲をアコギで耳コピしていく」なんて作業を想定したものと思われます。その外音の取り込み音量を専用ダイヤルでササッとなめらかに調整できるのも、おそらくはこの楽器音取り込みのための設計でしょう。うまく調整することで再生と演奏、どちらの聞き取りやすさも格段にアップします。

さて、筆者はアコギを持っていませんので、「エレクトリックギターの音をアンプでアコギっぽく作った音」で代用してこの機能をチェックしようとしたのですが……

それどころか、アンプを通す前のエレクトリックギターの生音の時点で、それが生耳で聴くのと違和感ない音色でヘッドホン内に聴こえてきました! これならヘッドホン&エレキ生音という、周りに迷惑をかけない静かなスタイルでの耳コピもいけそう!

こちらもケーブル接続での有線利用も可能。USBがmicro B端子なのは少し残念です

こちらもケーブル接続での有線利用も可能。USBがmicro B端子なのは少し残念です

Marshallはらしさ全開! VOXはらしさにこだわりすぎない!

では最後に、音楽リスニングでのサウンド、つまり普通のヘッドホンとしてのサウンドをチェック。

▼らしさ全開のMarshall

MAJOR IVのサウンドは、期待されるであろうMarshallらしさに存分に応える仕上がり! ギターやドラムスのジャギッとしたエッジの感触は実にMarshall! ジミヘンさんのクリーントーンのパキッと芯のある音色には「そう! この音だよ!」とうならされます。

その高音に負けず低音も強めにプッシュされ、ベースラインもぐっと大柄で迫力たっぷり。そのため、曲との相性によってはベースがボワンとふくらんでダブつく場合もあるのですが、そういうクセの強さも含めてMarshall的。Marshallの「ベースアンプ」を愛用したMotorheadのレミー・キルスターさんの音をこのヘッドホンで聞けば、その暴走トレーラー的な迫力も増し増しです!

現代のバンドサウンドにしても、シティポップ的なバンドサウンドの早見沙織さん「メトロナイト」よりも、ラウドロック的なLiSAさん「紅蓮華」のほうにこそよりフィットします。

▼らしさにこだわりすぎないVOX

VH-Q1のほうは、VOXらしさも要所ではアピールしつつ、しかしそこにこだわりすぎず、現代のハイエンドヘッドホンとしての上質さを意識した仕上がりと感じられます。再生する楽曲の各楽器の音色や、アンサンブルとしてのバランスを崩すことなく届けてくれるヘッドホンです。

ロバート・グラスパーさん「Better Than I Imagined」はさまざまな要素が混じり合って成立している楽曲。このヘッドホンは、超低域までフラットに伸びる再生能力でクラブ的なサブベースの響きを再現、高域の適度に硬質な感触でヒップホップ的な抜け感を再現、超高域のほぐれた粒子感でソウルフルな女性ボーカルのしっとり感を再現……といった具合に、この曲のさまざまな面をどれも損なわずに耳に届けてくれます。

また、全体的にはなめらかなタッチも持ち味。先ほどの例で言うと、今度はラウドロック的なLiSAさん「紅蓮華」よりも、シティポップ的な早見沙織さん「メトロナイト」のほうによりフィットする印象です。

それぞれの個性を理解して自分にフィットするほうを選べばOK?

ということでチェックしてきた情報をまとめると、

「たたずまいやサウンドといったベーシックな部分で、ギターアンプブランドらしさを主張するMarshall MAJOR IV」

「ギタリストねらい撃ちの新機能を搭載することで、ギターアンプブランドとしての提案力を見せつけるVOX VH-Q1」

……といったところでしょうか。どちらも同じくギターアンプブランドによるヘッドホンでありながら、それぞれの方針や個性はまったく別物と言えます。ですので、それぞれの個性を理解したうえで、自分の使い方によりフィットしそうなほうの製品を選べばよ……

いやいやそんなわけないですよね?

Marshallが好きならMarshallのヘッドホン! VOXが好きなVOXのヘッドホン! それでいいじゃないか! それがいいじゃないかってアイテムですよ、コイツらは!

高橋敦

高橋敦

オーディオ界隈ライター。現在はポータブルやデスクトップなどのパーソナルオーディオ分野を中心に、下からグイッとパンしていくためにてさぐりで活動中。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る