デノンから、サウンドバーの新しいハイグレードモデル「Denon Home Sound bar 550」が発表された。2021年5月下旬の発売を予定しており、実勢予想価格は、88,000円前後(税込)となる。
横幅65cmのコンパクトなワンボディ型ながら、機能が全部入りのスペックで、さらにデノンのHi-Fi開発思想を投入した設計が特徴。簡単に言えば、「小型」「高機能」「高音質設計」が3拍子揃ったサウンドバーと言える。その詳細を紹介していこう。
デノンのサウンドバーと言えば、2019年に発売されたエントリーモデル「DHT-S216」がロングセラーとなっており、価格.comでも売れ筋の1台だ。DHT-S216は、デノンのHi-Fiコンポーネントを手がける山内慎一氏が監修した本格的な音質チューニングも話題になったが、今回のDenon Home Sound bar 550でも引き続き山内氏が音作りを行っている。
Denon Home Sound bar 550の基本スペックを見ていくと、まず横幅65cmの小型サイズが印象的。しかし、内部には19mmのツイーターを2基、55mmのミッドバスを4基搭載するという6基ユニット構成で、さらに50×90mmのパッシブラジエーターを3基備える本格的な仕様となっている。このあたりの音質設計の詳細は、のちほど詳しくご紹介したい。
本体サイズは650(幅)×75(高さ)×120(奥行)mmで、重量は3.5kg
コンパクトなボディに6基のユニットと3基のパッシブラジエーターを搭載する本格設計
コンパクト化したボディに合わせて、ミッドバスは新開発の真円形状ユニットを採用している
エンクロージャーはFEM(有限要素法)による強度解析を用いて設計。ABS樹脂+ポリカーボネートを混ぜたボディとハニカムリブ構造で、剛性をしっかり向上させている
本体背面にはHDMI入出力端子を1系統ずつ搭載(eARC対応)し、4K伝送のパススルーに対応。HDR10/Dolby VisionなどのHDR規格にも準拠する。音声フォーマットは「Dolby Atmos」「DTS:X」など最新の3Dサラウンドをしっかりサポート。また、BS 4K/8K放送で使用されている音声フォーマット「MPEG-4 AAC」(ステレオ、5.1ch)のデコードも可能だ。
HDMIは入出力端子を1系統ずつ搭載(eARC対応)。そのほか、光デジタル入力や3.5mmステレオミニ入力も装備する
Wi-Fi(2.4GHz/5GHz)も内蔵しており、デノン独自のネットワークオーディオ再生機能「HEOS」による連携操作に対応しているのはもちろん、「Amazon Music HD」「Spotify」などの音楽ストリーミングサービスの再生、インターネットラジオの聴取も行える。また、Alexaによる音声コントロールに対応しており、「Amazon Echo」などのAlexa搭載デバイスから音声操作もできる。ホームネットワーク内のNASやUSBメモリーからのハイレゾ音源の再生も可能で、最大192kHz/24 bitのFLAC/WAV/ALAC、5.6 MHzのDSD再生に対応。もちろんBluetooth音声入力にも対応しており、スマホなどと接続して音楽を手軽にワイヤレス再生することもできる。
DHT-S216がシンプルな機能のエントリーモデルだったのに対し、Denon Home Sound bar 550は本体サイズをコンパクト化しながらも、3DサラウンドやWi-Fiに対応するハイグレードモデルとして機能性を高めていることがわかる。
続いて、要となる音質設計を見ていこう。内部のプロセッサーや電源部などに、デノンがHi-FiコンポーネントやAVアンプで培った技術を採用しているのが特徴なのだが、なかでも特に象徴的なのが、新開発のデジタルアンプ部。上述の通り、本機はコンパクトなサイズ感からは想像できない6基ユニット構造となっているが、さらに全ユニットに個別のアンプを割り当てた6ch独立駆動設計としている。
いかにもオーディオアンプと通じる設計だが、実際、山内氏によると、本機の音質チューニング時にはHi-Fiコンポーネントを開発する際に使うのと同じ音源を使ってサウンドを追い込んでいったという。サウンドバーのベースとなるステレオ再生時の音を「Hi-Fi的基準」でチューニングするという同社の思想は、DHT-S216の開発時から一貫しており、今回のDenon Home Sound bar 550でそれをより突き詰めた形だ。
デジタルアンプには、耐熱性・動作安定度を大幅に向上させた新型を採用。可聴ノイズと歪みを低減している
そのほかにも、デジタル部にはAVアンプにも採用されるアナログデバイセズ社の「SHARC DSP」を採用していたり、
電源部には余裕のある電源供給が可能な新設計のSMPS(スイッチング電源)を搭載するなど、AVアンプ設計のノウハウを惜しみなく応用している
音声機能としては、「Movie」「Music」「Night」といった基本のサウンドモードに加えて、DHT-216に採用された「Pureモード」を本機でも継承。これは、内部のDSPによるサラウンド処理やバーチャル処理をバイパスする機能で、音声信号をデコード後、クラスDアンプにダイレクト伝送することで音の純度を高めるもの。リモコンの「Pure」ボタンを押すだけで機能をオンにできる。そのほか、人のセリフを聞き取りやすくする「ダイアログエンハンサー」などの便利機能も搭載。
「Pureモード」の伝送イメージ。ベースのサウンドを作り込んだサウンドバーだからこそ、「Pureモード」が生きる
また、上述の通り、本機はWi-Fi機能を搭載しているが、ネットワーク関連でもうひとつトピックがある。本機を、Wi-Fi対応のリアスピーカーとワイヤレス接続することで、サウンドバーを軸にしたリアルサラウンド環境へ拡張することができるのだ。
Denon Home Sound bar 550にワイヤレス接続のリアスピーカー2chを加えたサラウンド環境へアップグレード。なお、本機能はファームウェアアップデートでの対応となる
本機にワイヤレスリアスピーカーとして組み合わせられるのは、ワイヤレススピーカー「Denon Home 150」または「Denon Home 250」。これらの機種を2台用意してリアスピーカーにすることができる。なお本機能を使う際、2台のリアスピーカーがそれぞれDenon Home Sound bar 550とピア・ツー・ピアで接続される仕様になるため、安定しやすく優位性があるのもポイント。
リアスピーカーとのワイヤレス接続設定は、「HEOS」アプリからスマートに行える
ワイヤレススピーカー「Denon Home 150」と「Denon Home 250」は、持ち運びができるのも楽。普段はWi-Fi対応の単品スピーカーとして使用し、サラウンド再生したいときだけリアスピーカーとして設置すればいい
いかがだっただろうか? 改めてDenon Home Sound bar 550は、デノンサウンドバーの新しいプレミアムモデルとして、本体を小型化しつつも、本格志向の音質設計と機能全部入りのスペックを実現したのが特徴と言える。また、ワイヤレスリアスピーカーと組み合わせる拡張性も魅力だ。デノンのHi-FiコンポーネントやAVアンプに通じる高品位設計をワンボディに詰め込んだ1台として、ぜひチェックされたい。
オーディオ&ビジュアル専門サイトの記者/編集を経て価格.comマガジンへ。私生活はJ-POP好きで朝ドラウォッチャー、愛読書は月刊ムーで時計はセイコー5……と、なかなか趣味が一貫しないミーハーです。