ようやく出荷が開始されたAmazon Echo Show 10(写真はチャコールブラック)
昨年9月に第4世代「Echo」「Echo Dot」「Echo Dot with clock」と合わせて発表された「Echo Show 10」。スクリーン付きのEchoデバイスとして初となる「モーション機能」を搭載し、ビデオ通話中にユーザーの動きに合わせて画面の向きを自動で動かしたり、AlexaアプリからEcho Show 10にアクセスし、画面を回転させて部屋の様子を確認するといった、これまでのスクリーン付きEchoデバイスでは実現できなかった新しい使い方ができるのが最大の魅力だ。ここでは、「Echo Show 10」が実現する新しい使い方や新機能について、実機の写真や動画を交えながら解説していこう。
Echo Show 10の最大の特徴が、本体底面に新たに搭載したブラシレスモーターを使用してディスプレイが自動で追従してくれるモーション機能だ。回転できる範囲は350°(正面から左右175°)で、可動範囲をほぼ無音で無段階に動いてくれる。
ディスプレイ部だけでなく、スピーカーを含めた部分全体をパワフルに動かすために本体底面に搭載されたブラシレスモーター。静音性にもすぐれており、ほぼ無音の状態で動かせるという
モーション機能はEcho Show 10で提供される機能のため、モーション機能さえONにしておけば、Echo Show 10上で動くアプリやサービスを問わず、自動でディスプレイがユーザーのいる方向に向いてくれる。キッチンでの料理中や掃除機をかけている最中など、家事の最中で手が離せないといったときも、いつでもベストなポジションでネット動画視聴やビデオ通話などを楽しめるというというわけだ。
モーション機能のキモになっている人の検知には、ディスプレイ部の前、後ろ、上方に配置されている4つのマイクで取得した音声データと、カメラで取得したコンピュータビジョンを使用しており、声で大まかな位置を検出し、モーション追従などをカバーするのにカメラで取得したコンピュータビジョンを活用しているそう。
ちなみに、ユーザーにストレスを感じさせることなくキビキビとした快適なレスポンスを提供するため、取得したデータはクラウドを使用することなくEcho Show 10本体のみで処理しているそうで、カメラで取得したコンピュータビジョンについても、その場でデータポイントに変換し、プライバシーにもしっかりと配慮しているそうだ。
音声認識に使うマイクはディスプレイ上部2つ、前後2つの計4基搭載
カメラで取得したデータはすぐにデータポイントへと変換し、プライバシーにも配慮
また、開発当初からVR(仮想現実)技術を活用してユーザー行動を分析し、こういう動きではモーション機能で追従するべき、こういったシーンではむやみに追従するべきではないといった具合にモーションの制御パターンを細かく検討してレスポンスや追従スピードを決めていったそう。こういった地道な試行錯誤の積み上げにより、誰もが気持ちよく使えるモーション機能を使った新しいユーザー体験が実現できるようになったというわけだ。
さらに、モーション機能を安全に利用できる機能として、回転する範囲を調整できる機能や、障害物にぶつかったときに回転を止める機能なども搭載。通話やビデオ再生、レシピ表示のときだけスクリーンを回転させるといったようなモーション機能が動く条件を指定するといったことも可能になっている。
モーション機能のように自動的に動くというわけではないが、10.1型のディスプレイの角度を調整できるようになったのもEcho Show 10の進化ポイントだ。従来のように角度が固定ではなくなり、モーション機能で左右の角度も調整できるようになったので、設置する場所の自由度がかなり高まったのは間違いないだろう。
手動にはなるものの、ディスプレイの角度を調整できるように。ディスプレイの向きを自動で制御してくれるモーション機能と合わせて、設置の自由度は格段に向上した
Echo Show 10は、ディスプレイ付きEchoデバイスとしては最も高精細な13メガのカメラを搭載している。この高精細なカメラとモーション機能を生かした新しいユーザー体験として提案するのが「ビデオ通話」と「見守り機能」だ。
ディスプレイ右上に配置されている13メガピクセルの高精細なカメラ。スライド式のカメラカバーを閉じると、モーション機能がOFFになるギミックも備える
ビデオ通話の機能そのものはこれまでのディスプレイ付きEchoデバイスでも提供されていたが、通話中にカメラの前から移動してもしっかりと追従してくれるのはEcho Show 10だけだ。しかも、Echo Show 10は13メガの高精細なカメラを生かした「自動フレーミング機能」が新たに搭載されており、通話中の参加者が1人の場合は常に中央に表示してくれたり、通話中のカメラの前にいる人が増えた場合は自動で人が収まるように画角を調整してくれるのだ。
見守り機能はEcho Show 10のカメラを活用し、外出先から家の様子をリアルタイムに確認できるというもの。スマートフォンのAlexaアプリからスワイプ操作でEcho Show 10を回転させたり、ピンチ操作でカメラの拡大表示といったことができるほか、マイク機能をONにすればそのまま会話することもできる。画角175°(上下左右)の高精細カメラと350°回転するモーション機能でほぼ全方位をカバーできるので、自宅でお留守番しているペットの様子を確認する見守りカメラ的な使い方もできそうだ。
Echo Show 10には、1インチのツイーター2基と2.5インチウーハーによる2.1chのスピーカーが内蔵されている。音はディスプレイを見る人に向けて指向性が担保されており、スピーカー自体もモーション機能で動くため、10.1型大画面スクリーンを生かしてネット動画視聴などを楽しむ場合でも、いつでも最高のコンディションの音で楽しめるようになっているのがポイントだ。Echoシリーズの最上位モデル「Echo Studio」のような360°に音が広がるタイプではないため、360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ)には対応しないものの、単体でもしっかりとしたステレオサウンドを楽しめるのは大きな魅力だ。
また、Echo Show 10には10.1型大画面スクリーンを生かした新機能として、動画視聴時などにほかのアクションをした際の画面が分割して表示される機能や、最大8人のユーザーと同時に通話できるグループ通話機能といった便利な新機能も実装されている。特にグループ通話機能は、モーション機能を使ったビデオ通話中の追従といったコミュニケーション機能が強化されたEcho Show 10との相性はかなりよさそうだ。
大画面ディスプレイを生かし、動画を視聴しながら天気を確認するといったマルチ表示も可能になった
最大8人まで同時に通話できるグループ通話機能も新しく追加された。ビデオ通話に参加している人の表情も大画面ディスプレイでしっかりと確認できる
本体サイズが251(幅)×230(高さ)×172(奥行)とやや大型であることや、ビデオ通話などのコミュニティ機能や見守り機能などを考えると、キッチンやリビングなど、人の集まる場所に設置するのがよさそうなEcho Show 10。29,800円とやや高価だが、モーション機能でスクリーンが自動で振り向いてくれるのはなかなか便利だし、高精細なカメラで高画質なビデオ通話もできるし、これ1台で見守りカメラ的な使い方もカバーできるのも面白い。こういった点に魅力を感じられる人や、大画面のディスプレイを備えたスマートデバイスが欲しい人なら、Echo Show 10はなかなかいい選択肢になりそうだ。
PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。PC・家電・カメラからゲーム・ホビー・サービスまで、興味のあることは自分自身で徹底的に調べないと気がすまないオタク系男子です。最近はもっぱらカスタムIEMに散財してます。