Googleは、2021年4月21日にスマートディスプレイ「Google Nest Hub」(以下、Nest Hub)の第2世代モデルを発表しました。初代モデルからハードウェアとソフトウェアの両方で新機能が追加されていますが、特に注目なのは心拍数センサーやカメラなしでも、トラッキングできる睡眠モニタリング機能です。Googleストアでの販売価格は11,000円(税込)で、2021年5月5日より販売がスタートします。
新たに睡眠モニタリング機能が追加された第2世代「Nest Hub」
第2世代「Nest Hub」は、初代モデルからさまざま点がアップグレードされていますが、まずは睡眠モニタリングから解説しましょう。睡眠モニタリングは、従来、スマートウォッチに搭載されている機能で、心拍数センサーや三軸加速度センサーなどを用いて計測するのが一般的です。
しかし、Googleによると、スマートウォッチの睡眠モニタリングは多くのユーザーに定着していないことが判明したとのことです。その原因は「使用/充電/確認するのを忘れてしまう」「使い心地が悪い」「有益だと感じなかった」がほとんどを占めていると言います。このあたりのデータは、ウェアラブル製品のパイオニアであるFitbitを買収したことで得られたのかもしれませんね。
Googleが発表会で公開した睡眠モニタリングの利用データ
こういった問題を解決すべく、Googleは睡眠モニタリングを手軽にし、快適な眠りの改善をサポートする機能を第2世代「Nest Hub」に搭載したというわけです。
第2世代「Nest Hub」には、スマートフォン「Pixel 4」シリーズで知られるようになったSoliレーダーを搭載しています。これは、ユーザーの動きを感知して、それに応じたアクションを起こせるというもので、手のジェスチャーで操作を行うことが可能でした。
ただし、正直なところ、タッチ操作のほうが行いやすく、あまり使いどころがなかったというのが、いちユーザーとしての感想です。こういった意見が多かったのかどうかは不明ですが、新モデルの「Pixel 5」ではSoliレーダーがひっそりと姿を消してしまいました。
しかし、Googleは、このSoliレーダーを第2世代「Nest Hub」に搭載し、ユーザーの細かな動きから睡眠時間、睡眠の質、睡眠中の呼吸状況などをトラッキングできるようになりました。
Soliレーダーは数mm程度の微細な動きをも検知できます
ユーザーがすることは、セットアップ時に実際にベッドに寝転がってキャリブレーションを行い、後は普段通りに寝るだけ。起床時には、「Nest Hub」の画面で睡眠の長さや眠りにつくまでの時間、目覚めてから起きるまでの時間、就寝と起床時刻が目標スケジュールに対してどうだったのか、睡眠の質、毎分の呼吸数、いびき、咳、室内の明るさの変化を確認できます。なお、こういった睡眠データは、アプリ「Google Fit」でもチェック可能です。
初期設定を行えば、ユーザーは寝るだけでOK。何かを装着したり、ボタンを押したりする必要はありません。なお、睡眠モニタリングが可能なのは1デバイスにつき1人のみです。
この睡眠データをもとに、実用的な睡眠のアドバイスをユーザーに提供。「Nest Hub」は、時間の経過とともに睡眠パターンを分析し、理想の睡眠スケジュールも提案してくれるとのことです。
ユーザーが確認できるデータの一例。これらは、スマートフォンのアプリ「Google Fit」でも確認可能です
睡眠の質では、睡眠の状態、いびきや咳の頻度、室内の明るさといった項目がチェックできます
ただし、正確な睡眠データを計測するには、「Nest Hub」がユーザーと同じ高さで、体から30〜60p離れた位置にあり、かつ、ディスプレイがユーザーの方向に向いていることが必要。「Nest Hub」がベッドの下の床に設置されていても構いませんが、正確なデータを計測するのは難しいとのことでした。
計測したデータの精度については、睡眠障害の診断に用いられる睡眠ポリグラフ計によるデータと統計学的な差異はなく、市販、および臨床レベルの睡眠トラッカーと比べても、同等、あるいは、それ以上の精度だったとのことです。
筆者はスマートウォッチを使用していますが、睡眠時まで腕に装着するのは快適とは言えず、また、一緒に寝ている2歳の子どもが画面に反応してしまうため、就寝時は装着していません。そのため、ただ寝るだけでOKの「Nest Hub」には期待しています。
なお、初代と同様に第2世代「Nest Hub」には、プライバシーの観点からカメラは搭載されていません。音声やSoriレーダーのデータは、デバイス上で処理され、ユーザー情報を含まない睡眠のデータのみGoogleに送信され分析に使われるとのことです。
「Nest」シリーズのユーザーデータから、利用頻度が高いのが音楽再生、フォトフレーム、スマートホームのコントロールということがわかっており、第2世代「Nest Hub」ではこの3つを中心に機能が強化されています。
音楽再生では、低音が初代と比べ50%強化され、Soliレーダーによるジェスチャー操作(手をかざして再生、ポーズなど)にも対応。ディスプレイのサイズは7インチ(1024×600)と初代モデルから変更はありませんが、明るさと色の自動調節機能により、写真や動画がより見やすくなったとのことです。
低音の50%強化やジェスチャー操作が追加。YouTubeやHulu、Netflixなどの動画配信サービスにも対応します
また、初代モデルと比べてマイクが2基から3基へと増え、より正確な音声コントロールを実現。スマートホーム製品を操作するUIが改善され、よりわかりやすくなっています。このほか、Googleやアマゾン、アップルなどが参加するワーキンググループ「Project Connected Home over IP」もサポート。これは、スマートホーム製品やIoTに関する多様なハードウェアとソフトウェアの互換性を確保するプロジェクトであり、異なるプラットホーム間であってもデータのやり取りが可能になるというもの。簡単に言えば、Google製でないデバイスやソフトウェアであっても第2世代「Nest」に接続して使えるようになるよ、というものです。
これら以外にも、設定した時間に近づくとだんだん画面が明るくなり、音も徐々に大きくなる「目覚ましディスプレイ」を搭載しているほか、ペットボトルのリサイクル素材がファブリックに利用するなど、サスティナビリティに配慮された設計になっています。
最新ガジェットとゲームに目がない雑食系ライター。最近メタボ気味になってきたので健康管理グッズにも興味あり。休日はゲームをしたり映画を見たりしています。