レビュー
4K大画面テレビ時代に求められる高画質な2K録画とは?

シャープ最新AQUOS 4Kレコーダーの「2K HEVC長時間モード」の画質を実機検証

トリプルチューナー、4TB HDD搭載のAQUOS 4Kレコーダー「4B-C40DT3」。6月21日時点の価格.com最安価格は約11万円前後

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シャープが6月10日に発売した4Kチューナー内蔵のAQUOS 4Kレコーダー「DT3」シリーズと「DW3」シリーズ。シャープの4Kレコーダーとしては第3世代に当たるモデルで、全モデルに最新の画像処理エンジン「Medalist BD」が搭載された。この「Medalist BD」の搭載により、ライバルメーカーではすでに実装されていた高画質圧縮技術「HEVC」による4K長時間録画にシャープの4Kレコーダーとして初めて対応を果たした。

最新の「DT3」シリーズと「DW3」シリーズは、この4K長時間録画への対応ばかりがクローズアップされがちなのだが、機能としての新鮮味としては4K長時間録画よりむしろ、地デジ放送などの2K放送録画にある。通常は4K放送録画に用いる高画質圧縮技術「HEVC」を地デジの2K放送にも適用する「2K HEVC長時間モード」が新たに用意されたのだ。

これまでのブルーレイレコーダーでは、地デジなど2K放送録画の長時間録画には主に「AVCコーデック」が用いられていた。BDへのディスク保存時にも他社との互換性を確保するために「AVCコーデック」が用いられていたのだが、今回最新モデルに搭載された「2K HEVC長時間モード」は、4K放送向けの高画質圧縮技術「HEVC」を2K放送にも用いることで実現しており、規格はもちろん標準化されていないシャープの独自規格となっている。ただ、シャープの発表によると、2.4倍モードでDRモード(放送ダイレクト録画)相当の画質というウリ文句はなかなか惹かれるものがあるのも確かだ。

そこで、今回は最新のAQUOS 4Kレコーダー「4B-C40DT3」をお借りして「2K HEVC長時間モード」の画質を検証してみた。

2.4倍モードでDRモード並みの画質をうたう「2K HEVC長時間モード」の実用度は?

まずは、「2K HEVC長時間モード」の仕様面から簡単にまとめておこう。今回追加された「2K HEVC長時間モード」だが、このモードを利用できるのはHDD上に1度録画した番組のみ、録画予約や手動録画での利用は不可となっている。実際の操作は「録画リスト」から編集画面を開いて「長時間画質変換」を選択し、「HEVC変換」からHDD上で実行する形だ。もちろん、画質変換がともなう機能なので、ダビング10の回数を1回使うことで元画質タイトルを残したまま変換して新規タイトルとして保存することも可能。また、HDD→BDダビング時に変換を実行することも可能だ。

「2K HEVC長時間モード」を利用する際には、まずはDRなどほかの録画モードでHDD上に録画する必要がある

「2K HEVC長時間モード」を利用する際には、まずはDRなどほかの録画モードでHDD上に録画する必要がある

編集の画面から「長時間画質変換」を開いて「HEVC変換」

編集の画面から「長時間画質変換」を開いて「HEVC変換」

HDD上で変換を実行。なお、変換の実行中はほかの操作は行えなくなる

HDD上で変換を実行。なお、変換の実行中はほかの操作は行えなくなる

「2K HEVC長時間モード」で利用できる録画モードは2.4倍、4倍、6倍、10倍、20倍の全5種類。2.4倍モードでDRモード相当とのことだが、ユーザー目線としては同一や近いレートのAVC録画と比較して、どの程度の画質の優位があるかが気になるところだ。そこで、今回は実際に地デジ番組を録画、「2K HEVC長時間モード」の2.4倍、4倍、6倍、10倍、20倍、AVCの2.4倍、3倍、5倍、10倍、12倍に変換してテストしてみた。

サンプルは地デジ放送の番組で、画面内で被写体が前後に激しく動く悪条件の1フレームをサンプルとして設定。DRモードの録画番組を各録画モードに変換したタイトルを、55インチの有機ELテレビで再生し、同一フレームを撮影したものだ。なお、テレビ側の画質補正はすべてオフにしてある。

検証結果は下記の通りだ。録画モード(倍率)によって画質差があるのは当然のことなので、HEVC、AVCを混在させた上で、録画モードの倍率順に並び変えている。2.4倍、10倍以外の倍率が揃っていないのは、そもそも選べる倍率の選択肢が異なるためでご容赦いただきたい。

AVCとHEVCの画質比較その1

画質比較その1からテロップの文字を切り出したところ

AVCとHEVCの画質比較その2

AVCとHEVCの画質差としては、2.4倍同士の比較ではさほど大きくないが、倍率が大きくなるほどHEVC録画の優位がハッキリと現れた。HEVCの6倍でもAVCの4倍とほぼ変わらない画質を維持できている。特に決定的なのが10倍モードの比較で、AVCの画質は画質劣化が激しいが、HEVCは10倍でも一定のクリアさを維持。またHEVCは20倍でもAVCの12倍よりはキレイだ。

実際にサッカー中継を録画したコンテンツを使って65V型の有機ELテレビで試聴した感じだと、とにかく画質重視という感じだとHEVC2.4倍まで、画質と録画時間のバランス重視で十分キレイと呼べるのはHEVC6倍まで、あくまでも記録・保存用としてとにかく長時間録画したいというのならHEVC10倍の運用もアリといったところか。保存用として考えると、最も安価に手に入る1層25GBのBD-Rでは、2.4倍録画で約5時間30分、6倍録画で約13時間、10倍録画で約21時間40分保存できることを考えると十分すぎる録画時間だ。

HEVCの長時間録画モードを使いたくなるのは、やはりBDへのダビング時だろう

HEVCの長時間録画モードを使いたくなるのは、やはりBDへのダビング時だろう

レート変換ダビングでもHEVCも選択可能。容量の節約具合がとても大きい

レート変換ダビングでもHEVCも選択可能。容量の節約具合がとても大きい

「2K HEVC長時間モード」の番組を保存したディスクを挿入したところ

「2K HEVC長時間モード」の番組を保存したディスクを挿入したところ

なお、「2K HEVC長時間モード」で録画したディスクの互換性については、基本的には4K録画対応のAQUOS 4Kレコーダーのみ。パナソニックの2Kレコーダーで読み込ませても、4K放送の番組として認識され再生不可だった。技術的にはHEVCコーデックのデコードが可能であれば、つまり4K放送対応レコーダーであれば条件を満たすことになるが、記録方式としてはあくまでシャープの独自方式なので要注意といったところだ。

4Kテレビの大画面化が進み、4K放送コンテンツも徐々に増えてきているが、やはり放送波コンテンツのメインとなるのは地上波などの2Kコンテンツだ。4K大画面テレビとレコーダーを組み合わせ、地上波のドラマなどを取り溜めて視聴している人は、AQUOS 4Kレコーダーの「2K HEVC長時間モード」は大いに役立ってくれそうだ。

有機ELテレビ向けに高画質化するSDR→HDR10変換の「OLEDモード」が面白い

もうひとつ、AQUOS 4Kレコーダー「DT3」シリーズには面白い機能がある。それが、「5upコンバーターPRO」だ。地上デジタル放送が4K放送級の美しさに、そして有機ELテレビでの映像もより鮮明になるというのが特徴だ。

「5upコンバーターPRO」は、地デジの映像フォーマットを4K放送で用いられる高画質要素の条件(輝度、解像度、色域、フレームレート、ビット深度)にまでアップコンバートするという機能のこと。特に面白いのがSDR→HDR10変換に新しく搭載した「OLEDモード」で、有機ELテレビで見た際、明暗コントラストをくっきり鮮やかに再現する、とある。

今回の検証でレコーダーと組み合わせて使ったのは有機ELテレビ。論より証拠と実際に元の映像と「5upコンバーターPRO」のSDR→HDR10変換を使った状態、「OLEDモード」のオン/オフを見比べてみた。

こうしてみると、確かに「OLEDモード」は最大輝度をHDRとして引き上げつつ、暗所階調も沈めてコントラストを上げ、画面全体の立体感も高めている。シーンによっては赤色や青など原色系はいかにも広色域っぽい表現になるので若干派手だが、それも含めてうまくまとめている。地デジ放送の映像信号の輝度はSDR、色域はBT.709と今となっては古い映像フォーマットで制作されている。その画質をピュアに再現したところで今のテレビには物足りなく感じてしまう訳で、こうした画質アレンジも面白い。

ちなみに、この設定は初期設定では「切」なので、興味を持った人は効果を試してみるとよさそうだ。なお、一般的には薄型テレビ、4Kテレビ側でも同様の信号処理が働いているので、どちらがうまく働くか、好みに合うかも含めて比べてみるといいだろう。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

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