レビュー
サウンドバーの限界を超えた究極の臨場感

レベル高すぎ! ソニーのサウンドバーフラッグシップ「HT-A7000」が音質もサイズも圧倒的だった

自宅のテレビのサウンド環境を、お手軽かつ強力にパワーアップしてくれるアイテム“サウンドバー”。ソニーが8月に発売した「HT-A7000」は、そんなサウンドバーの中でも最上位に位置する7.1.2ch対応のフラッグシップモデルだ。10月13日時点での価格.com最安価格は13万円超となかなかの高価格帯モデルだが、その実力はいかほどのものなのか。今回は、僕の自宅リビングに設置して詳しくレビューしてみた。

ソニーの最新サウンドバー「HT-A7000」。10月13日時点で価格.com最安価格は13万円超

ソニーの最新サウンドバー「HT-A7000」。10月13日時点で価格.com最安価格は13万円超

さっそく、自宅に届いた「HT-A7000」のセッティングを開始。サブウーハーも付属しない1本バータイプのサウンドバー(オプションでワイヤレスウーハーは増設可能)なので、設置自体はテレビの前にポンと置くだけでラクラク……と思っていたのだが、「HT-A7000」はかなりサイズが巨大で、これがなかなかの存在感だった。本体サイズは1300(幅)×80(高さ)×142(奥行)mmと、サウンドバーとしては幅も奥行きもトップクラスの大きさだ。

超大画面向けの「HT-A7000」。65V型有機ELテレビと組み合わせでちょうどいいサイズ感だ

超大画面向けの「HT-A7000」。65V型有機ELテレビと組み合わせでちょうどいいサイズ感だ

僕の自宅のテレビは65V型の有機ELレグザ「65X9400」。幅は画面に対してちょうどよく収まるサイズなのだが、80mmの高さは「65X9400」と組み合わせると若干サイズオーバーだ。有機ELテレビに多い背の低いデザインのモデルと組み合わせると、画面下の位置が少し隠れてしまう。もうひとつ付け加えると、奥行きも問題で、テレビ台から若干はみ出してしまった。

今回はお借りした機材なのでそのまま使っているが、ここまでサイズのあるサウンドバーだと設置場所は要注意。「HT-A7000」は最低でも画面サイズ60V型以上の超大画面ユーザーに向けたサウンドバーということは頭に入れておこう。

3方式のサラウンド技術を同時に採用する異例の構成

ソニーのサウンドバーとしての最上級となる「HT-A7000」は、その中身もすごい。「Dolby Atmos」、「dts:X」、「360 Reality Audio」という3つの立体音響に対応し、内蔵スピーカーも7.1.2ch構成の500W出力とかなりパワフルだ。

7.1.2chの500Wとパワフル過ぎるスピーカー構成

7.1.2chの500Wとパワフル過ぎるスピーカー構成

そして、ソニー「HT-A7000」はサラウンドを実現するためのさまざまな技術を搭載している。上部には天井反射によって高さ方向を再現する「イネーブルドスピーカー」、両サイドには壁からの音の反射を利用してワイドなサラウンを生み出す「新開発ビームトゥイーター」を搭載。また高さの方向の再現にはソニーがこれまでサウンドバーで採用してきたバーチャルサラウンド技術の「Vertical Surround Engine」も入っている。まさに全部載せという文字がぴったりなくらい贅沢な仕様だ。

上向きの「イネーブルドスピーカー」も搭載

上向きの「イネーブルドスピーカー」も搭載

天井で音を反射し、壁でも反射して、バーチャルも入って……と業界内でさまざまなメーカーで採用している3方式を「HT-A7000」で同時に採用するなんて、この業界に動向を通じているほど、驚くような技術的な構成になっている。なお、今回は試していないが、別売のワイヤレスサブウーハー「SA-SW5」「SA-SW5」や、リアスピーカー「SA-RS3S」の追加も可能となっている。

HDMI端子はeARCに対応しているので、テレビとの接続方法は基本的にHDMIケーブル1本で済む。ちなみに、テレビがARC非対応なケースに向けてHDMI入力端子も用意(出荷時にはごていねいにシールでカバーがしてある)。また、入力用のHDMIは2.1仕様で8K、4K/120p、Dolby Visionのパススルーにも対応する。

HDMIはeARCに対応。対応テレビとならネット動画のDolby AtmosもHDMIケーブル1本で楽しめる

HDMIはeARCに対応。対応テレビとならネット動画のDolby AtmosもHDMIケーブル1本で楽しめる

なお、サウンドバーとしてはWi-Fi内蔵でネットワーク再生、AirPlay、Google、Alexa、Chromecast、Spotify連携にも対応していて、実は音楽リスニング的な活用も可能だ。

Wi-Fi機能も搭載。音楽リスニングサービスなどもを手軽に楽しめる

Wi-Fi機能も搭載。音楽リスニングサービスなどもを手軽に楽しめる

設置したあとはテレビのUIを通してワイヤレススピーカーやサブウーハーなどの有無をチェックし、音場最適化を実行する流れ。Wi-Fi接続など、細かな操作がテレビ画面上で実行できるのは安心感がある。あとはテレビ側の音声出力設定だが、僕のレグザ「65X9400」では、スピーカー切り替えで「サラウンドシステムスピーカー」を選ぶとサウンドが広がっていく。

頭上も背後も再現できる圧倒的にリアルなサラウンド再現

セットアップが完了したので、さっそくソニー「HT-A7000」を体験してみる。一聴してまず気になったのが音の聴こえる位置。テレビ番組をみていても、アナウンサーの声が聴こえる場所は「HT-A7000」の実体がある場所より若干上(画面の中央よりは下)で、バーチャル技術が働いている。なお、ソニー「HT-A7000」には「Immersive Audio Enhancement」という高さ方法の表現を強化する機能があり、これをオンにしたほうがスピーカーの実体が消える効果が強まるようだ。

付属リモコンで「Immersive Audio Enhancement」の設定も可能

付属リモコンで「Immersive Audio Enhancement」の設定も可能

たまたまテレビを見ていてすごかったのがNHKで放送されていた大相撲の中継(ステレオ放送)。会場の臨場感が感じる空間の広さ、がやがやとした喧騒のある空間の広がり、特に拍子木の音が、もう画面サイズを余裕で超えるスケール感。アナウンサーの声の質感も、Hi-Fiオーディオっぽいような声の質感が再現されており、音質はなかなか優秀だ。1か月ほど前にテストしたソニー「HT-A9」よりも、サウンドバーの「HT-A7000」のほうが、より実体のあるスピーカーらしい高音質なのだ。

ソニー「HT-A7000」でテレビ放送をみたら……もう相撲の中継から臨場感がすごい

ソニー「HT-A7000」でテレビ放送をみたら……もう相撲の中継から臨場感がすごい

続いてテレビ内蔵のNetflixアプリで『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』を視聴。プラハの火のエレメンタルと対峙するシーン、音の空間が画面の横数メールクラスまで広がるし、完全に頭の上、耳の少し後ろまで音の広がりが伝わる。これがサウンドバー1本で再現できているのは驚きだ。爆音の迫力も30畳のリビングなら激しすぎず十分で、デフォルトのMAXでも部屋は振動しないくらい。これならマンションなどでも、なんとか使えそうなバランスといえる。

Netflixの視聴でも、音の広がり、臨場感の再現がすばらしい

Netflixの視聴でも、音の広がり、臨場感の再現がすばらしい

同じNetflix配信のドラマ作品『クイーンズ・ギャンビット』も視聴してみると、やはりセリフと画面との音の一致感じがとてもいい。というか、人の声が面の位置よりもずっと奥から聴こえるし、BGMの流れ方も、映画館のような自然さ。「HT-A7000」の鳴りっぷりのいい音とは真逆なタイプだが、どこまでも余裕あるスピーカーで、思わず数時間かけて見入ってしまった。

サラウンドとしての派手さがまったくない『クイーンズ・ギャンビット』も、ドラマの世界に引き込まれる

サラウンドとしての派手さがまったくない『クイーンズ・ギャンビット』も、ドラマの世界に引き込まれる

次にPS5を接続。『Call of Duty: Black Ops Cold War』をプレイして体験してみたところ、やはり「HT-A7000」では高さ方向の再現がすぐれていることを確認できた。ヘリコプターのプロペラが頭の上から首元をかすめるように回っている、そんな音の移動感をしっかり再現してくるのはさすがと呼ぶほかない。ゲームプレイ中も空間の広がりが大きく、音の同時に銃の発砲音や、飛び交う銃声の音のスケール感がすばらしい。音の遅延も感じられないので、大画面ゲーミングにも最適だ

PS5もテレビのeARC経由でサラウンドを再生可能

PS5もテレビのeARC経由でサラウンドを再生可能

音の高さ、スケール感の再現がすごかった『Call of Duty: Black Ops Cold War』

音の高さ、スケール感の再現がすごかった『Call of Duty: Black Ops Cold War』

自宅リビングにソニーの最新ホームシアターシステム「HT-A7000」を設置していろいろと試してみたが、サウンドバーも極めればここまできるのかというのを改めて感じさせられた。スピーカーのサウンドクオリティの高さ、「イネーブルドスピーカー搭載」、「新開発ビームトゥイーター」、「Vertical Surround Engine」と3つのサラウンド技術の融合によって、サウンドバーとは思えないほど空間再現がすばらしかった。特に高さ方向、後ろ方向まで再現できる能力はサウンドバーとして極めて完成度が高く、映画館を彷彿とさせる臨場感ある音の再現性は見事としか言いようがない。

ただ、冒頭でも書いたが、ソニー「HT-A7000」は超大画面向けのサウンドバーということは注意してほしい。合わせるべきテレビのサイズは最低でも60V型で、売れ筋の55V型サイズに対しては大きすぎる。また、今回の65V型の有機ELレグザ「65X9400」のようにスタンドの形状次第でサウンドバーが思いっきり画面に被ってしまうなど、設置に関してはなかなかハードルが高い。そんな設置ハードルを乗り越えられるなら……ソニー「HT-A7000」はサウンドバーの限界を超えた究極の臨場感を体験させてくれる最高のパートナーとなってくれることだろう。

折原一也

折原一也

PC系版元の編集職を経て2004年に独立。モノ雑誌やオーディオ・ビジュアルの専門誌をメインフィールドとし、4K・HDRのビジュアルとハイレゾ・ヘッドフォンのオーディオ全般を手がける。2009年より音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る