レビュー

レンズ交換も可!実用主義を徹底したスマートグラス「HUAWEI X GENTLE MONSTER Eyewear II」

昨年あたりから、スマートグラスと呼ばれるジャンルの製品、メガネ型のウェアラブルデバイスで再び活況を迎えつつある。

その先駆者といえるエプソンはコントローラーがセットとなった「BT-40S」を発売、Boseもスポーツサングラス型の「Bose Frames Tempo」をリリース。Googleの法人向けモデルも、最新バージョンの「Glass Enterprise Edition 2」にアップデートされた。ほかにも、Razerやファーウェイ、レノボ、海外(日本国内未発売)ではOPPOやAmazonとレイバンがタッグを組んだモデルなど、さまざまなメーカーがスマートグラスを手がけるようになってきた。

とはいえ、スマートグラス製品はまたまだ実用的と言い切れるものが少ない。特にARクラスやVRグラスなどと呼ばれることのある映像を表示するタイプは、発展途上中といった印象が強い。2022年中にはクアルコムもAR開発者向けプラットフォーム「Snapdragon Spaces」を使ったスマートフォン接続型ARグラスを投入するようだが、現在のところはアーリーアダプターの興味を引き寄せる魅力は持ち合わせているものの、幅広く普及するための決め手に欠けている、といった印象だ。まだまだ、大きな進化が必須となっている。

いっぽうで、音声にフォーカスしたスマートグラスは使えそうなものが増えてきている。その先駆けとなったのはBose製品なのだろう。ワイヤレス音声再生のみに機能をフォーカスし、イヤホンに近い“まともな音”を実現することで、音楽再生用として活用できる製品を作り上げたのだ。その割り切りのよさというか現実味を帯びた製品コンセプトによって、さまざまなメーカーが“音声”スマートグラスを是として次々と製品が登場。SF映画のような未来を実現してくれるARクラスなどはまだまだ先の話だが、メガネひとつ、イヤホンなしで気軽に音楽を楽しめるライフスタイルがすでに到来しつつあるのだ。

個人的にも、スマートグラスは気になる存在ではあった。先に述べた状況もあって、映像型のスマートグラスを日常的に活用することは諦めているものの、音声型だったら、日常がさらに楽しくなってくれるかもしれない。そんな思いを抱きつつ、(仕事半分趣味半分で)いくつかの製品を試してみたが、装着感と音質のどちらも気に入る製品はなかなか表れず。諦めつつあった時に出会ったのが「HUAWEI X GENTLE MONSTER Eyewear II」だった。

ファーウェイ「HUAWEI X GENTLE MONSTER Eyewear II」(写真はメガネタイプの「SMART KUBO」)

ファーウェイ「HUAWEI X GENTLE MONSTER Eyewear II」(写真はメガネタイプの「SMART KUBO」)

こちら、名前の通りファーウェイと韓国発のサングラスブランドであるGENTLE MONSTERのコラボによって生み出された製品。モデルとしてはメガネタイプ(透明レンズ採用)の「SMART KUBO」と、サングラスタイプの「SMART LANG」の2種類が用意されており、なかでも「SMART KUBO」は度付きレンズに交換することが可能となっているため、筆者のようなメガネ使用者にはありがたい製品だ。ちなみに、「SMART LANG」はレンズが円形でなく、つるの部分に向かって細く伸びているほか、表側が(フレームとレンズに)段差のないデザインとなっている。

「SMART KUBO」のレンズ周りは「SMART LANG」と異なり、オーソドックスなデザイン。交換レンズの仕様によっては、フレームとレンズに段差が出る場合がある

「SMART KUBO」のレンズ周りは「SMART LANG」と異なり、オーソドックスなデザイン。交換レンズの仕様によっては、フレームとレンズに段差が出る場合がある

ほかにも、普通のメガネ然としたデザインもお気に入りのポイントだ。スマートグラスの中には、つるの部分がやたらと大きかったりグラスまわりのフレームが太かったりと、見栄えと装着感の両面から日常活用するのに抵抗を感じるものが多かった。スマートグラスは、たとえ音声特化型であっても、スピーカーユニットやデジタルシステム、バッテリーなどを搭載する必要があるため仕方のないことかもしれないが、これ見よがしなものを装着して街中を歩きまわるのはとても恥ずかしく、耐えがたいものがある。しかし、ファーウェイとGENTLE MONSTERとのコラボによって作り上げられた「Eyewear II」は、各部分の造形が大きすぎたり太すぎたりすることなく、自然な印象のデザインにまとめられており、十分メガネ代わりに使用することができると思えた。

つるの部分はそれほど太くないが、こちらにバッテリーや通信チップなどをしっかりと収めており、普通のメガネのように扱えるのはうれしいところ

つるの部分はそれほど太くないが、こちらにバッテリーや通信チップなどをしっかりと収めており、普通のメガネのように扱えるのはうれしいところ

スペックについても、バッテリー持続時間が音楽再生時で最大5時間、音声通話時で最大3.5時間、IP54の防塵防滴性能を確保し、装着センサーも装備となかなか充実している。つるの部分にタップ/ピンチ/スワイプという3つのセンサーが装備されていて、装着したままスマートに操作できるところもうれしいところ。また、スマートフォン用アプリ「HUAWEi AI Life」を活用することで、操作のカスタマイズやマイク録音ができる点も便利そうだ。対応Bluetoothコーデックは明記されていないが、手元のAndroidスマートフォンXiaomi「Mi 11 Lite 5G」とのペアリングでは、AACで接続することができた。

わざわざスマホを取り出さなくても、つるの部分に配置されたセンサーを活用し、音量調整や通話などを簡単にコントロールできる

わざわざスマホを取り出さなくても、つるの部分に配置されたセンサーを活用し、音量調整や通話などを簡単にコントロールできる

スピーカーユニットについては、つるの部分、耳の近くに位置する場所に長方形のダイナック型ドライバーが搭載されている。指向性ユニットであることに加えて、逆位相の音波を生成することで音漏れを抑制するシステムも装備されている。環境音を検出して音量を自動調整してくれる「アダプティブサウンドコントロール」も用意されているなど、なかなか便利に活用できそうだ。

スピーカーユニットはつるの耳の近くに位置する場所に配置。ノイズキャンセリングの仕組みを応用し、逆位相の音波を生成することで音漏れを抑制するギミックも備えている

スピーカーユニットはつるの耳の近くに位置する場所に配置。ノイズキャンセリングの仕組みを応用し、逆位相の音波を生成することで音漏れを抑制するギミックも備えている

ということで、スマートグラス導入は「Eyewear II」の「SMART KUBO」で確定。すぐに入手し、フレーム持ち込みでレンズ交換してくれるメガネショップを探すことにした。まあ、どこでも大丈夫だろうと思って近くのお店を適当に訪れて店員にたずねてみたところ、意外にも2店舗ほどで立て続けに断られてしまった。そこで、数店舗回って調べてみたところ、確実にダメな店は少数で、大体の店舗ではスタッフの判断でOKとなっているところが多いことに気がついた。

基本的にダメなのはZoffで、こちらはWEBサイトでも「Zoffでご購入いただいたフレームであれば」と断り書きしている(原稿執筆時に「実店舗にてフレームを確認させていただきレンズを入れることが可能と判断できる場合はレンズ価格+別途他社枠加工料3,300円で対応」というアンサーが増えていたが「Eyewear II」では確認しておらず)。また、JINSは基本的に持ち込みOKとなっているが、スマートグラスについてはBose以外非対応と店舗では説明された。さらに数店舗回ってみたところ、ほとんどがOKだったが、今回は店員が「ガンダムのコラボスマートグラスを扱っていることもあって、スピーカータイプは対応してます」というOWNDAYS(オンデーズ)で交換することにした。交換費用は、7700円の基本料金にカラーレンズ(薄いブラウン)を選んだオプション追加により、トータルで11,000円ほど。イマドキは、かなり手ごろな料金でレンズ交換ができるので、ありがたいかぎりだ。

さて、実際のサウンドはいかがなものだろう。ひと言で表現すれば、BGM用途に適した音質調整が行われているように感じた。音量はまずまずといったレベルに上げられるが、爆音にはならず、逆に音漏れもそれほど大きくはない。また、音漏れについては防止システムのおかげもあってか思っていたよりも少なめで、それほど大きくはない。既存のスマートグラスの中では1、2を争うレベルだろう(どちらかというと良質な骨伝導イヤホンに近い印象)。それでも音漏れが生じているのは事実なので、電車内など人の多い場所では使用を控えるか、音量を大きく下げることをオススメしたい。

音質についてはなかなかのもの。中域重視の自然な音色が特徴で、男性ボーカルも女性ボーカルもクリアでのびのびとしたクリアな歌声を聴かせてくれる。よくよく聴いてみるとほんの少し鼻にかかった歌声にも聴こえるが、大人っぽい雰囲気もあって、これはこれで好ましい。Jポップだけでなく、クラシックやハードロックもそつなくこなしてくれる。低域の量感が少ないため、EDMなどは厳しいものの、比較的音楽ジャンルを選ばない素直な音色はとても好ましい。リスニングメインのイヤホンだと割り切れば、音質のよさもあって、まったくといっていいほど不満は感じない。

それから1か月ほど使い続けてみると、少しの不満も出てきた。それは、バッテリーの持続時間だ。スペック上は音楽再生で約5時間となっているが、実際には4時間弱しか持たない。使い方の個人差によるのかもしれないが、もう少し、できれば6時間以上は保ってくれるとありがたい。

また、外出時にカバンの中でも充電できるよう、専用ケースにバッテリーを搭載してくれるとうれしい、とも感じた。モバイルバッテリーを専用ケースに接続すれば充電は可能だが、あまりスマートとはいえないので、ぜひバッテリー内蔵バージョンの専用ケースを用意してほしいところだ。

付属の充電ケース。外装はレザー調でシックなデザインに仕上がっている

付属の充電ケース。外装はレザー調でシックなデザインに仕上がっている

付属の充電ケースの中にメガネ型の本体を格納することで充電できる。ただし、ケース自体にバッテリーは内蔵されておらず、充電には別途USB Type-Cケーブルをつなぐ必要がある

付属の充電ケースの中にメガネ型の本体を格納することで充電できる。ただし、ケース自体にバッテリーは内蔵されておらず、充電には別途USB Type-Cケーブルをつなぐ必要がある

とはいえ、音質的には十分に満足できるクオリティを確保しているなど、「Eyewear II」はなかなか満足度の高い製品だと思えた。皆さんもぜひ、“音楽再生用”スマートグラスのある生活を試してみてほしい。

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどのオーディオビジュアル系をメインに活躍するライター。TBSテレビ開運音楽堂にアドバイザーとして、レインボータウンFM「みケらじ!」にメインパーソナリティとしてレギュラー出演。音元出版主催のVGP(ビジュアルグランプリ)審査員も務める。

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