レビュー

アンダー1万円の“寝ホン”が耳栓の代わりに? 試してわかった快適装着イヤホン

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笑顔なのは昼間のうちだけ。眠りに敏感な筆者が選んだ、アンダー1万円の「寝ホン」3モデルをレビュー!

笑顔なのは昼間のうちだけ。眠りに敏感な筆者が選んだ、アンダー1万円の「寝ホン」3モデルをレビュー!

イヤホン製品の新たなジャンルとして、じわじわと認知度が高まっている「寝ホン」。耳への収まりがよい小型・軽量のデザインを採用することから、お気に入りの音楽やラジオの音声、さらにASMR(自律感覚絶頂反応)などを寝転がりながら楽しめると評判だ。

そこで今回は、海外製の耳栓を愛用するなど、睡眠に少しばかりこだわる筆者が注目した、アンダー1万円の「寝ホン」3モデルをピックアップ。イヤホンの装着感を特に重視して、各モデルを実際に使用してみた。睡眠時、耳栓の代わりに使える「寝ホン」は一体どのモデル?

画像左から、「MXH-BTW400」(マクセル)、「PITA」(ag)、「SOUNDFREE S10」(LYPERTEK)

画像左から、「MXH-BTW400」(マクセル)、「PITA」(ag)、「SOUNDFREE S10」(LYPERTEK)

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2023/03/14 11:30

「寝ホン」の前に、筆者愛用の耳栓を紹介したい

日々積もっていく、ストレス。目まぐるしく変化する世界情勢。家庭のことや将来への不安――せっかく布団に入ったというのに、あんなことやこんなことまで気になると、眠りのシッポがなかなかつかめない。ますます目が冴えてきて、身体は熱くなるばかり。

このように筆者は、寝付きがあまりよろしくない。ちょっとした物音やノイズでも起きてしまうので、睡眠時の耳栓は必須だ。以前は、100円ショップで販売されているウレタン素材の耳栓を使っていたが、筆者の場合、汗をかいて耳がかぶれてしまうことが少なくなかった。そのとき偶然、海外のスーパーマーケットで出会ったのが、シリコン素材の耳栓「マックスピロー」だ。

今回は睡眠にまつわる話ということで、本題の「寝ホン」に入る前にまずは、この「マックスピロー」からご紹介したい。

グアムのスーパーマーケットに陳列されていた「マックスピロー」。アメリカで人気の耳栓のようだ

グアムのスーパーマーケットに陳列されていた「マックスピロー」。アメリカで人気の耳栓のようだ

「マックスピロー」を見つけたのは、海外旅行(※アメリカ領内)に行ったとき。たまたま手持ちの耳栓を忘れてしまい、現地のスーパーマーケットで取り急ぎ、調達したのがきっかけ。日本国内のコンビニエンスストアでは、ウレタン素材の耳栓が多く見られるが、筆者が訪れたスーパーマーケットでは、「マックスピロー」が耳栓のメインとして陳列されていた。それだけポピュラーな製品なのだろう。

シリコン素材の耳栓「マックスピロー」。筆者がインターネット通販で定期購入しているのは、6ペアセット(12個入り)

シリコン素材の耳栓「マックスピロー」。筆者がインターネット通販で定期購入しているのは、6ペアセット(12個入り)

この「マックスピロー」はシリコン素材を使用しており、簡単に言うと、粘土のようにして耳の穴をふさいで使う。ウレタン素材の耳栓と比べて、耳の穴への挿入が浅いため、異物感や圧迫感も少ないと感じる。さらに、自分の耳の形にぴったりとフィットするうえ、汗にも強く、筆者の場合は耳がかぶれることがなくなった。帰国後は、インターネット通販で「マックスピロー」を継続して購入し、気がつけばもう5、6年以上、このブランドを愛用している。

あくまでも個人的な感想だが、「マックスピロー」の遮音性はかなり高いと感じる。その理由は、ウレタン素材の耳栓と比べれば、一目瞭然。耳の穴の周りをふさぐため、エアコンや空気清浄機のノイズなどの外音を隙間なく、シャットダウンしてくれる。いっぽう、寝起きのアラーム音はしっかりと聞こえるため、寝過ごすこともない。

「マックスピロー」は、この写真のように、耳の穴をふさいで使う。筆者の場合は、およそ2週間で粘着力が弱まってくることが多いので、そのタイミングで新しいものに交換している

「マックスピロー」は、この写真のように、耳の穴をふさいで使う。筆者の場合は、およそ2週間で粘着力が弱まってくることが多いので、そのタイミングで新しいものに交換している

「AirPods Pro」→「耳栓」への付け替えが手間

閑話休題。ここからが本題だが、筆者は眠れない夜、インターネットラジオアプリ「radiko(ラジコ)」を使ってラジオ番組を聴いたり、Youtubeでヒーリングミュージックを聴いたりして、入眠をうながすことがある。特にYoutubeでは、有料版「YouTube Premium」に加入したことで、さまざまなヒーリングミュージックの動画を広告なしで、バックグラウンド再生できるようになったのが気に入っている。

その際、同じ寝室にいる家族に迷惑をかけまいと、眠くなるギリギリのラインまで、「AirPods Pro(第2世代)」(アップル)を使って、ラジオ番組や楽曲を聴いている。そろそろ眠りのシッポをつかめそうかな、というタイミングで耳からイヤホンをいったん外し、「マックスピロー」に装着し直して眠る。そんなルーティンだ。

シンプルに考えれば、「AirPods Pro(第2世代)」を装着したまま眠りにつきたい。しかし、寝返りをうった際、ステム(イヤホンの軸に当たる部分)に体重がかかって、ポキッと折れてしまわないかとヒヤヒヤする。「AirPods Pro(第2世代)」は現在、筆者がメインで使用しているイヤホン。価格は4万円近くするし、これを装着しながら寝返りをうつのは正直、不安が残ってしまう。

「AirPods Pro(第2世代)」を使いながら眠っているところ。長く伸びたステムがポキッと折れてしまわないか、心配になってしまう

「AirPods Pro(第2世代)」を使いながら眠っているところ。長く伸びたステムがポキッと折れてしまわないか、心配になってしまう

「1万円以下」「完全ワイヤレス」「寝転びながら使えること」

そこで、入眠用の「寝ホン」を使いたいと思った。メインのイヤホンは「AirPods Pro(第2世代)」をすでに所有しているため、サブ機として運用するのであれば、1万円以下のお手ごろなモデルがよい。

さらに、「寝ホン」のなかには、有線タイプも販売されているが、紛失の心配がない反面、ケーブルのタッチノイズが気になったり、からまったりするのがデメリットとなる。ここはやはり、無線かつケーブルレスで使い勝手のよい、完全ワイヤレスタイプを選びたい。

そんな視点で今回セレクトしたのが、「MXH-BTW400」(マクセル)、「PITA」(ag)、「SOUNDFREE S10」(LYPERTEK)の3モデルだ。いずれも、「1万円以下」「完全ワイヤレス」という2点をクリアしているほか、メーカー発表で「寝転びながらの利用(=「寝ホン」として利用できること)」について触れている製品となっている。

「MXH-BTW400」(※画像のボディカラーはブラック)。今回ピックアップした3モデルのなかで最も安価なエントリーモデルとなっている

「MXH-BTW400」(※画像のボディカラーはブラック)。今回ピックアップした3モデルのなかで最も安価なエントリーモデルとなっている

「MXH-BTW400」の主なスペック:
●接続方式:無線(Bluetooth 5.3対応)
●Bluetooth対応コーデック:SBC
●バッテリー使用時間:イヤホン単体が最大6.5時間、ケース併用時が最大19.5時間
●イヤホンタイプ:カナル型
●重量:約3.3g(イヤホン片側)
●防水性能:なし
●ボディカラー:ブラック、ホワイト
●イヤーピース(付属):S、M、L

「PITA」(※画像のボディカラーはSKY)。音質は、日本のオーディオブランド「final」が全面監修している。ちなみに、「ag」というブランド名は「ありがたき」に由来するとのこと

「PITA」(※画像のボディカラーはSKY)。音質は、日本のオーディオブランド「final」が全面監修している。ちなみに、「ag」というブランド名は「ありがたき」に由来するとのこと

「PITA」の主なスペック:
●接続方式:無線(Bluetooth 5.3対応)
●Bluetooth対応コーデック:SBC、AAC
●バッテリー使用時間:イヤホン単体が最大5時間、ケース併用時が最大30時間
●イヤホンタイプ:カナル型
●重量:約3.8g(イヤホン片側)
●防水性能:IPX5相当
●ボディカラー:SKY、BLACK、CREAM
●イヤーピース(付属):SS、S、M、L、LL

「SOUNDFREE S10」(※画像のボディカラーはベージュ)。今回ピックアップした3モデルのなかでは唯一、アクティブ・ノイズキャンセリングを搭載している

「SOUNDFREE S10」(※画像のボディカラーはベージュ)。今回ピックアップした3モデルのなかでは唯一、アクティブ・ノイズキャンセリングを搭載している

「SOUNDFREE S10」の主なスペック:
●接続方式:無線(Bluetooth 5.2対応)
●Bluetooth対応コーデック:SBC、AAC
●バッテリー使用時間:イヤホン単体が最大5時間、ケース併用時が最大20時間
●イヤホンタイプ:カナル型
●重量:約3.3g(イヤホン片側)
●防水性能:IPX4相当
●ボディカラー:ベージュ、グリーン
●イヤーピース(付属):S、M、L

イヤホン本体やイヤーピースの装着感をチェック

まずは、装着した際のフィーリングを比べてみたい。

装着感の要(かなめ)となるのがイヤーピース。各モデルともに複数のサイズを同梱しており、「MXH-BTW400」が3種(S、M、L)、「PITA」が5種(SS、S、M、L、LL)、「SOUNDFREE S10」が3種(S、M、L)を付属。実際に筆者の耳でフィットしたのは、すべてMサイズだった。

画像左から「MXH-BTW400」、「PITA」、「SOUNDFREE S10」。それぞれ、付属のイヤーピースを並べてみた(3モデルともに、イヤーピース1種が本体に装着済み)。画像真ん中の「PITA」のみ、5種(SS、S、M、L、LL)を付属しており、選択肢が広い

画像左から「MXH-BTW400」、「PITA」、「SOUNDFREE S10」。それぞれ、付属のイヤーピースを並べてみた(3モデルともに、イヤーピース1種が本体に装着済み)。画像真ん中の「PITA」のみ、5種(SS、S、M、L、LL)を付属しており、選択肢が広い

3モデルを比べてみると「PITA」のイヤーピースのみ、SS、LLを含めた5種のサイズ(SS、S、M、L、LL)を用意している。イヤーピースのフィット感にこだわりのある人であれば、より選択肢の多い「PITA」に注目しておきたい。

さらに、「SOUNDFREE S10」のイヤーピースのみフックを備えており、装着感がより高かった。実際に、3モデルともに寝転んでも耳から外れることはなかったが、「SOUNDFREE S10」は、このフックのおかげで、よりしっかりとした付け心地を得られた。

続いて、イヤホン本体の装着感をチェック。イヤホン(片側)の重量は、「MXH-BTW400」が約3.3g、「PITA」が約3.8g、「SOUNDFREE S10」が約3.3g。普段使用している「AirPods Pro(第2世代)」が5.3gなので、今回試用した3モデルすべて、第一印象から「これは軽い」と思った。さらに、それぞれ「耳に収まる感覚」が確かにある。これなら寝転びながら、安心して使えるかもしれない――「寝ホン」への期待がより高まった。

「MXH-BTW400」。ハウジング部が小型で、耳への収まりがとてもよい

「MXH-BTW400」。ハウジング部が小型で、耳への収まりがとてもよい

「PITA」。ハウジング部が平面になっている「フラット設計」を採用する

「PITA」。ハウジング部が平面になっている「フラット設計」を採用する

「SOUNDFREE S10」。耳への収まりがよいうえ、光に反射するハウジングを採用するなど、デザイン性も高い

「SOUNDFREE S10」。耳への収まりがよいうえ、光に反射するハウジングを採用するなど、デザイン性も高い

比較のために、「AirPods Pro(第2世代)」を装着してみた。イヤホン本体やステムが耳からはみ出ているため、上記の「寝ホン」3モデルと比べてみると、寝転びながら利用するのは少し難しい感じがする

比較のために、「AirPods Pro(第2世代)」を装着してみた。イヤホン本体やステムが耳からはみ出ているため、上記の「寝ホン」3モデルと比べてみると、寝転びながら利用するのは少し難しい感じがする

「寝ホン」を装着して眠ってみた。メリット、デメリットとは?

次に、「寝ホン」を装着して、Youtubeでヒーリングミュージックを再生しながら、布団に入ってみた。その際、iPhoneのタイマー機能を使って、30分後に音楽を停止するように設定した。

例として、「iPhoneの音楽を聴きながら眠りたい」という場合、iPhoneの標準機能を使って、タイマーを設定できる。具体的には、「時計」アプリ→「タイマー」→時間(時間/分/秒)を設定→「開始」をタップ。これによって、指定した時間に音楽再生が停止される(※画像は「iOS 17」の画面)

例として、「iPhoneの音楽を聴きながら眠りたい」という場合、iPhoneの標準機能を使って、タイマーを設定できる。具体的には、「時計」アプリ→「タイマー」→「タイマー終了時」で「再生停止」を選択→時間(時間/分/秒)を設定→「開始」をタップ。これによって、指定した時間に音楽再生が停止される(※画像は「iOS 17」の画面)

「MXH-BTW400」は、タッチセンサーの感度が高すぎるのが気になった。日中の使用では大きなメリットだが、「寝ホン」の場合は、逆にデメリットとなってしまうようだ

「MXH-BTW400」は、タッチセンサーの感度が高すぎるのが気になった。日中の使用では大きなメリットだが、「寝ホン」の場合は、逆にデメリットとなってしまうようだ

「MXH-BTW400」は小粒の豆のような、丸いボディが特徴。耳からの飛び出しが少ないため、横向きに寝ても、イヤホンが枕に当たる感覚が少ない。あまりに小型なボディのため、「耳から外れてしまわないか」と多少の不安はあったが、朝まで使用してみたところ、しっかりと装着されたままだった。

気になったのは、タッチセンサーの感度が高すぎること。「MXH-BTW400」は、イヤホン本体を1回タップするたびに「再生/一時停止」を操作できるが、枕の上でイヤホンに指が軽く触れるたび、音楽が一時停止されてしまう。

また、遮音性については、パッシブ・ノイズキャンセリングがあまり効かず、音楽再生時は気にならなかったものの、曲間や曲のフェードアウト時に外音が漏れて聞こえる。このほか、汗かきの自分にとって、防水性能に非対応という点は懸念が残った。

「PITA」もイヤホン本体を1回タッチするたびに「再生/一時停止」を操作できるが、タッチセンサーのバランスがよいのか、誤作動は少なかった

「PITA」もイヤホン本体を1回タッチするたびに「再生/一時停止」を操作できるが、タッチセンサーのバランスがよいのか、誤作動は少なかった

「PITA」は、ハウジング部が平面になっている「フラット設計」を採用する。横向きになった際、平らなハウジング部と枕が並行になるため、耳への負荷が軽減される感覚がわかった。さらに、イヤホンを耳に装着した後、「縦型」や「横型」に位置を調節できる「アジャストフィット機構」に対応しており、ユーザーごとに「しっくりくるポジション」を選べる。ちなみに、筆者の場合は「横型」のほうがしっくりきた。このあたりは完全に好みと言えるだろう。

遮音性については、耳の穴の奥までしっかりと挿入する構造となっており、パッシブ・ノイズキャンセリングがかなり効いている。やや圧迫感があるものの、耳にうまく収まる形状となっており、違和感は少ない。このほか、防水性能は生活防水に対応したIPX5相当で、「寝ホン」としては十分と言えるだろう。

「SOUNDFREE S10」は、「再生/一時停止」を操作する際、イヤホン本体を2回タップする。そのため、タップ1回のときと比べて、誤作動の心配がほとんどない

「SOUNDFREE S10」は、「再生/一時停止」を操作する際、イヤホン本体を2回タップする。そのため、タップ1回のときと比べて、誤作動の心配がほとんどない

「SOUNDFREE S10」は、小型なボディで耳への収まりがよいほか、イヤーピースにフックを備えているため、左右に激しく寝転んでも外れることがなかった。遮音性については、アクティブ・ノイズキャンセリングを搭載しているのがポイント。ノイズキャンセリング特有の圧迫感が少なく、エアコンや空気清浄機の音など、室内のホワイトノイズをやさしく軽減してくれる感覚があった。

気になるバッテリー使用時間は、メーカー発表によれば、イヤホン単体で最大5時間(SBCコーデック、ボリューム50%の場合)とのこと。そこで試しに、「SOUNDFREE S10」を装着して、30分後に音楽再生を停止するようにタイマーを設定してみた。6時間睡眠を想定し、これであれば、起床するまでアクティブ・ノイズキャンセリングのみが効いているはず。

すると、5〜6時間ほど経過したころで、無音のイヤホンから「LOW BATTERY」(=バッテリーの残量が少ない)という女性のアナウンスが流れてきた。寝起きの一撃。臆病な筆者は「うわっ!」とドキドキしながら起きてしまった。あくまでも筆者の環境の場合だが、どうやら、このやり方でおよそ5〜6時間以上使用すると、「LOW BATTERY」のアナウンスで目覚めてしまう可能性が高いようだ。

これを回避するには、「SOUNDFREE S10」の標準機能である「スリープモード」を使いたい。同モードでは、本体のタップ操作(※タップ3回でミュージック/ゲーム/スリープモードを切り替え→スリープモードで2回タップすると、自動電源オフの時間を切り替えられる)によって、自動電源オフの時間を30分、45分、60分から切り替えられる。もし、朝まで「SOUNDFREE S10」を装着するのであれば、イヤホンの電源自体をオフにできる、こちらの機能をうまく活用しよう。なお、「スリープモード」は、今回試用した3モデルのなかでも唯一、この「SOUNDFREE S10」のみが搭載しているようだ。

「シルクロード」のテーマ曲で音質インプレッション

これまで装着感を中心にチェックしてきたが、イヤホンのレビューということでやはり、音質面にも触れておきたい。「寝ホン」向けの楽曲ということで今回は、ニューエイジ・ミュージックの先がけでもある喜多郎の「絲綢之路(シルクロード)」を選んでみた。40代から50代以上の人にとっては、NHK総合テレビで1980年代に放送されていた「NHK特集 シルクロード」のテーマ曲と言えば、なじみが深いだろう。

喜多郎の「絲綢之路(シルクロード)」を各イヤホンで聴いた際のインプレションをまとめてみた(※再生環境:iPhone 13 Proと各ワイヤレスイヤホンをBluetoothで接続し、Apple Musicで再生した場合)

喜多郎の「絲綢之路(シルクロード)」を各イヤホンで聴いた際のインプレションをまとめてみた(※再生環境:iPhone 13 Proと各ワイヤレスイヤホンをBluetoothで接続し、Apple Musicで再生した場合)

・「MXH-BTW400」
3モデルのなかで最も安価なエントリーモデルとなっているが、音質に関しては、ほかに引けを取らない。高域、中域、低域の全体的なバランスがよく、どれかが主張しすぎることもなかった。ただし、喜多郎の奏でるシンセサイザーの伸びがやや弱いのと、中域の広がりがやや狭く感じるのはしょうがないところか。とは言え、楽曲の持つシルクロードの世界観は十分に堪能できるので、価格面から考えても十分に及第点と言えるだろう。

・「PITA」
オーディオブランド「final」が音質を監修した本モデル。特に高域がはっきりと聴こえたのが好印象だ。クリアな音質を求める人は、これだけでも選択肢のひとつになるのでは。いっぽう、その解像度の高さゆえ、音がささってしまうのが気になった。解像度が高い反面、デジタル音源であることを強く意識してしまう。「絲綢之路(シルクロード)」はシンセサイザーミュージックながら、温かみのある音色と世界観が特徴。このあたりが気になってしまうのは、楽曲との相性といったところか。

・「SOUNDFREE S10」
中高域を中心に、シンセサイザーの伸びがとても心地よい。全体的に音域が広い印象で、弦楽器などのアコースティックな音色も、シンセサイザーの隙間から無意識のうちに入ってくる。低音では、ベース音がはっきりと聴こえ、やや主張が強いものの、この楽曲特有のゆるやかなグルーヴ感を確かめられた。3モデルのなかでは、最もシルクロードの世界観に浸れた印象だ。

まとめ

今回試用した「寝ホン」のなかで、筆者の耳や環境に最も適したモデルは「SOUNDFREE S10」だった。

「SOUNDFREE S10」は、小型で耳への収まりがよいのはもちろん、イヤーピースにフックを備えており、装着時の違和感が最も少なかった。さらに、遮音性については、アクティブ・ノイズキャンセリングを搭載しているのが頼もしい。耳栓を普段から使っている人であれば、アクティブ・ノイズキャンセリングの有無は、かなり大きな決め手になるはずだ。

このように「SOUNDFREE S10」は、装着性と遮音性の両方で満足度が高く、筆者の愛用する「マックスピロー」に近い感覚を得られた。音質面でも、自身のフィーリングと親和性が高かったので、「寝ホン」としてだけではなく、サブ機としての普段使いにも期待できそうだ。

筆者が、装着性と遮音性の両方で満足度が高いと感じた「SOUNDFREE S10」

筆者が、装着性と遮音性の両方で満足度が高いと感じた「SOUNDFREE S10」

今回、アンダー1万円の「寝ホン」3モデルを試してみたが、いずれも小型なボディを採用しており、第一印象から「これは軽い」と納得してしまうほどだった。さらに、実際に装着してみると、「耳に収まる感覚」を確かに得られる。いずれも装着感が自然で、圧迫感も少ない。

これまでのイヤホン選びというと、音質や機能などを重視することが多かったが、「寝ホン」の場合はやはり、「重さ」「形状」「装着性」が重要なポイントになりそうだ。これらの点に注目しつつ、自分にあった1台をぜひ見つけてほしい。

松田真理(編集部)
Writer / Editor
松田真理(編集部)
編集プロダクションで一般誌から専門誌、広報誌からWebコンテンツまで、さまざまな媒体で経験を積み、2014年にカカクコム入社。パソコン製品からデジタル製品全般まで、幅広いジャンルの情報発信に携わっています。読み方は、まつだ・しんり。
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