レビュー

プロジェクターにDolby Visionは必要? 「HORIZON Ultra」と「HORIZON Pro」を比べてみた

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長焦点の家庭用製品として世界初のDolby Vision対応家庭用プロジェクターだというXGIMI「HORIZON Ultra」

長焦点の家庭用製品として世界初のDolby Vision対応家庭用プロジェクターだというXGIMI「HORIZON Ultra」

連載「テレビレス派も必見! ホームシアターの世界」では、これまで価格.com「プロジェクタ」カテゴリーの人気売れ筋モデルを、家庭用から業務用まで総ざらいしてきました。10万円前後でも映画鑑賞に使えましたが、全部使ってみると、モデルごとにちょっとした工夫が必要なこともわかりました。

「あれこれ画質設定を気にしなくても、最高画質にならないの?」……

それに応えようという規格に、Dolby Vision(ドルビービジョン)があります。ひと言で表せば、対応機器でDolby Vision収録ソフトを再生すると、自動的に映像が最適化されるというもの。

そこで、Dolby Vision対応を目玉に新登場した4K表示対応のプロジェクターXGIMI(エクスジミー)「HORIZON Ultra」を徹底検証。あわせて、2021年発売の同社「HORIZON Pro」との比較も行いました。

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Dolby Visionって簡単に言うとどういうこと?

「またまた新しい規格かい!」とうんざりする人もいるかと思います。でもDolby Visionは、対応した機械とソフトを用意すれば、細かい調整をしなくても、作り手の意図どおりの画質が家庭で楽しめるというのがコンセプト。

出発点は、映像の明るさの幅を広く取ることで、明るい部分の白飛びや暗い部分の黒つぶれを防ぎ、表現の幅を広げる「HDR(High Dynamic Range)」。元となったのは、一般化してきたHDR10と呼ばれる規格です。

Dolby Visionは、HDR10よりもさらに緻密な表現が可能になる規格。色の幅も含めて、映像1枚1枚に機器との相性を踏まえて最適化、映像を自動調整してくれます。現在はUltra HDブルーレイで採用されているほか、NetflixやApple TV(iTunes映画)などの配信サービスでも採用されています。

なお、Dolby Visionのソフトを対応していない機材で再生した場合、下位互換のHDR10で再生されるだけ。映らないことはないので安心してください。

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2021/06/04 13:00

テストの方法

Dolby Visionに対応したソニーのUltra HDブルーレイプレーヤー「UBP-X800M2」でUltra HDブルーレイを再生し、HDMIケーブルでプロジェクターと接続。映画作品をどれぐらい楽しめるのかをチェックしています。今回はDolby Visionの画質を見ることを最優先したため、「HORIZON Ultra」でのネット動画再生をしていません。

使用したスクリーンは、キクチの100インチ立ち上げで式モバイルタイプ、グランヴュー「GFP-100HDW」。幕面はマットタイプのため素直な色表現で、背後のつっかえ棒で高さを変えられる使い勝手のよさとリーズナブルな価格設定が魅力です。

「UBP-X800M2」の映像出力設定で「HDR」を「自動」、「ドルビービジョン出力」を「入」にすればUltra HDブルーレイのDolby Visionを再生できます

「UBP-X800M2」の映像出力設定で「HDR」を「自動」、「ドルビービジョン出力」を「入」にすればUltra HDブルーレイのDolby Visionを再生できます

置いてすぐ絵が出る手軽さで、拡張性も十分

本体色はベージュ基調の箱型スタイル。電源オンでカバーが下にスライドしてレンズが露出します。表面はレザー調の上品な仕上げ。背後の比較対象は530mlペットボトル

本体色はベージュ基調の箱型スタイル。電源オンでカバーが下にスライドしてレンズが露出します。表面はレザー調の上品な仕上げ。背後の比較対象は530mlペットボトル

「HORIZON Ultra」の主要スペック
●本体色:ミスティゴールド
●明るさ:2,300ルーメン(ISO)
●表示解像度:3,840×2,160
●方式:DLP
●光源(ランプ):LED+レーザー(デュアルライト)
●ランプ寿命:25,000時間
●スピーカー出力:12W×2
●寸法:224(幅)×170(奥行)×265(高さ)mm
●重量:約5.2kg
●電源:付属ACアダプター
●備考:Bluetooth(5.2)対応

リモコンはサテンっぽい金属製でスタイリッシュ。ボタンは「フォーカス」「ショートカット」「設定」など必要にして最小限、十字キーの操作もスムーズです。ボタンやカーソルキーにもう少し立体感があるとブラインドタッチはしやすいのですが……

リモコンはサテンっぽい金属製でスタイリッシュ。ボタンは「フォーカス」「ショートカット」「設定」など必要にして最小限、十字キーの操作もスムーズです。ボタンやカーソルキーにもう少し立体感があるとブラインドタッチはしやすいのですが……

まず届いて驚いたのは、その筐体。外箱からして「Halo+」などの同社モバイルプロジェクターより大幅に大きくなり、白い箱を空けるとマトリョーシカもびっくりの白い箱型の筐体が現れました。ガンメタのオーバル基調がデザインアイコンだったXGIMIの製品が、ベージュ基調の箱型に一変。明らかにモバイル用途のガジェット感を薄めてリビングインテリアになじむ上質なイメージを演出するようになりました。ハイエンドモデルらしくよい傾向ですね。

ACアダプターがかなり大きめ。ケーブルは長いので、使用時にはうまく隠せるでしょう

ACアダプターがかなり大きめ。ケーブルは長いので、使用時にはうまく隠せるでしょう

入力端子はHDMI2系統とLAN、USB Type-A。OSはAndroid TV(11.0)。もちろんWi-Fiにつないで手軽に動画配信サービスを楽しめます。音声出力に3.5mmステレオミニのほか、光デジタルがあるのが地味に便利

入力端子はHDMI2系統とLAN、USB Type-A。OSはAndroid TV(11.0)。もちろんWi-Fiにつないで手軽に動画配信サービスを楽しめます。音声出力に3.5mmステレオミニのほか、光デジタルがあるのが地味に便利

光デジタル音声出力を使う場合は「音響出力」で「S/PDIF」を選びます。これを対応アクティブスピーカーにつなげば、AVアンプなどがなくてもシンプルに高音質が狙えます

光デジタル音声出力を使う場合は「音響出力」で「S/PDIF」を選びます。これを対応アクティブスピーカーにつなげば、AVアンプなどがなくてもシンプルに高音質が狙えます

ARCや光デジタル出力を使う場合は、「出力形式」の確認も忘れずに。サウンドバーやAVアンプ以外であれば「PCM」が適切なことが多いはずです

ARCや光デジタル出力を使う場合は、「出力形式」の確認も忘れずに。サウンドバーやAVアンプ以外であれば「PCM」が適切なことが多いはずです

どこがレンズかなと思っていると、電源オンで前面パネルがスライドダウンしてレンズ類が露出、投写スタートとなります。動作音はとても静か。後方の排気音は、50万円を超えるような国産高級機のように静かです。

フォーカス合わせも台形補正もすべて自動。ちょっと本体を動かすだけで瞬時に補正してくれます。本モデルは据え置きというよりも、やはり「使うときだけ出してパッと投写、終わったらしまう」のが想定される使い方なのでしょう。

また、同社2021年発売の「HORIZON Pro」のレンズは単焦点ですが、この「HORIZON Ultra」は、0.8倍の光学式ズームレンズが付いています。この範囲ではデジタルズームによる画像劣化がありません。

台形補正やフォーカス合わせなどはリアルタイムで自動処理可能。設定しておけば手動での台形補正も可能です

台形補正やフォーカス合わせなどはリアルタイムで自動処理可能。設定しておけば手動での台形補正も可能です

本体レンズ脇を見ると、常時赤い光を放って投写環境に最適になるよう調整しているようでした

本体レンズ脇を見ると、常時赤い光を放って投写環境に最適になるよう調整しているようでした

レンズの前に人影があるとすぐに光量ダウンして、写真の表示がされます。目の保護ために設けられているアイプロテクション機能です

レンズの前に人影があるとすぐに光量ダウンして、写真の表示がされます。目の保護ために設けられているアイプロテクション機能です

電動光学式ズームの設定は「その他」→「台形調整」の中にあります

電動光学式ズームの設定は「その他」→「台形調整」の中にあります

広がりのある、たっぷりと豊かなサウンド

メーカーからお預かりしたデモ機は、視聴時間5時間程度のフレッシュな状態。ファームウェアのバージョンは視聴時で最新のV3.8.196。

再生スタートでいきなり驚いたのが画質よりも音質でした。スピーカーが前向きに付いているので、プロジェクターの背後で映像を見ていると、ちゃんと音が前から聞こえてきます。「何かスピーカーつないでいたっけ?」と思わせるほど、広がりのあるたっぷりと豊かなサウンドで、音量も結構出ます。

サラウンド効果を演出する「標準サウンド効果」は「Harman/Kardonオリジナル」と「DTS Virtual X」から選べます。後者はいかにもバーチャルっぽいのに対し、前者はシンプルな2chステレオアクティブスピーカーのように素直で好ましく、それでいて中低域重視のピラミッド型で迫力も十分でした。サウンドモードは「映画」「音楽」「スポーツ」「ゲーム」の4種類。なかでも「シネマ」はちょっとだけ低音が出て映画っぽいサウンドになります

サラウンド効果を演出する「標準サウンド効果」は「Harman/Kardonオリジナル」と「DTS Virtual X」から選べます。後者はいかにもバーチャルっぽいのに対し、前者はシンプルな2chステレオアクティブスピーカーのように素直で好ましく、それでいて中低域重視のピラミッド型で迫力も十分でした。サウンドモードは「映画」「音楽」「スポーツ」「ゲーム」の4種類。なかでも「シネマ」はちょっとだけ低音が出て映画っぽいサウンドになります

「HORIZON Ultra」のDolby Visionは驚きの高画質

そして肝心の画質。これまで見てきたXGIMIの10万円前後のモバイルプロジェクターもきれいだなと思ったのですが、まったくの別世界、驚きの高画質です。

Dolby Visionの映像が流れ始めると全体的に明るさがストンと落ちたかと思ったら、超高精細で滑らかな階調が、暗いところから明るいところまでどんな映像が入ってきても破綻なく描かれます。通常のHDR10でも同じような「白」と思っていた部分が、雲はグレーがかった黒、岩肌はベージュがかった白といったように区別して描かれます。

懸念された白飛びもあまり感じられず、夜景も不自然にならない程度に暗部が豊か。この没入感、実力ならば100インチより大きなサイズでの投写もよいかもしれません。

対象物に寄った映像では、動物や植物の毛並みや綿毛・花粉に至るまで、静物画では家具のひびや金属表面のメッキ仕上げまで、肉眼では見えない精細感が得られることで、マクロ的に見えてしまいます。

ピントが合っているところと合っていないところの描き分けも明瞭。動物などは大げさでなく本当にそこにいるようで、これはDolby Visionによる効果だけでなく、そもそものこのプロジェクターの基本性能として、動きもきちんと制御されている証拠だと思います。正直、20万円台の製品でこんな絵が出てしまうことに驚きました

なお、Dolby Vision対応コンテンツを再生すると、「Dolby Visionの最適設定が有効になりました」と画面右上に表示され、専用のモードが適用されて「カラーモード」はいじれなくなります。これが「本来の」色なのだと納得するしかありません。

もっとも、Dolby Visionコンテンツ再生時でも、「輝度IRIS」や「Dolby Vision Bright」と「Dolby Vision Dark」の選択はできますし、「カスタム」から各種パラメーターをいじれるので、自分なりの絵作りをしたい人も、いちからやるより楽だと言えるでしょう。

そして何より「細かいイコライジングができない」ことで作品に没頭できるのはよいことですね。

「Dolby Vision Bright」と「Dolby Vision Dark」の違いは、全体の明るさ。全暗の環境でも「Dark」は暗部が潰れすぎで、若干黒は浮く印象でした。どちらかと言えば「Dolby Vision Bright」のほうが好ましく感じました

「Dolby Vision Bright」と「Dolby Vision Dark」の違いは、全体の明るさ。全暗の環境でも「Dark」は暗部が潰れすぎで、若干黒は浮く印象でした。どちらかと言えば「Dolby Vision Bright」のほうが好ましく感じました

「Dolby Vision Bright」と「Dolby Vision Dark」どちらも中途半端だと思う場合は「カスタム」を選んで微調整するか、「Dolby Vision Bright」にしたうえで「輝度IRIS」を「4」以下にするとよいでしょう。「輝度IRIS」は再生映像に合わせてレンズの絞りで光量調整するオートアイリスのことです

「Dolby Vision Bright」と「Dolby Vision Dark」どちらも中途半端だと思う場合は「カスタム」を選んで微調整するか、「Dolby Vision Bright」にしたうえで「輝度IRIS」を「4」以下にするとよいでしょう。「輝度IRIS」は再生映像に合わせてレンズの絞りで光量調整するオートアイリスのことです

「カスタム」からは各種項目を微調整可能。ヌルヌルした動きが苦手な人は、いったん「カスタム」に入って「動き補償」(映像補間機能)をオフにして戻れば反映されます

「カスタム」からは各種項目を微調整可能。ヌルヌルした動きが苦手な人は、いったん「カスタム」に入って「動き補償」(映像補間機能)をオフにして戻れば反映されます

Dolby Visionのオン/オフでどれほど違う?

ここで、Dolby Vision対応の効果を見るために、プレーヤーの「ドルビービジョン出力」機能をオンオフして比較してみました。

「トップガン マーヴェリック」を「ドルビービジョン出力」入で(Dolby Visionで)見ると、明らかに色数が増えました

「ドルビービジョン出力」を切にして、「シネマ」モードで見る印象よりも全体が緑がかり、人肌は薄い色味になり、赤は色によってはオレンジに寄ります。まるで上品な出汁がきいている料理のように、これが本来のトーンなのだと納得させてくれる映像になるのです。軍服のグリーンも、使用している生地ごとに微妙に色が違うのがよくわかります。

Dolby Visionのよさが出たのはダークスターが夜明け前を疾走するシーンで、朝焼けに墜落するまで一連のグラデーションが特に美しく印象的でした。

Dolby Visionコンテンツで価値を発揮するフレッシュな画質

Dolby Visionの威力は予想以上。特に色味の違いに驚かされました。同じソフトを使ってDolby Visionをあえて切ったHDR10の再生画質も、全体的にかなり映像は明るくフレッシュな印象ではありました。白飛びしてしまうこともなく、HDRらしさは出ています。

ただ、Dolby Visionほどの「そこにいる」感、深掘り感は控えめになってしまいます。HDR10でも、ピントが合っているところと合っていないところの描き分けは明瞭ですが、Dolby Visionを見た後だと、たとえば夜景の明かりはどこか蛍光灯っぽく、メッキの仕上げも人工的なものを感じてしまいます。

Dolby Visionでないソフトを再生する場合は「ピクチャーモード」を「シネマ」にすると茶色に寄りすぎるので「標準」がよいでしょう。「テレビ」も悪くありません。「明るい」は色温度が高めになる印象ですが、XGIMIのほかのモデルのプリセットモードほど違いはありませんでした。また、私のように映像補間が苦手な人は、「動き補償」は「オフ」に。「HDR」はもちろん自動にしておきましょう。

Dolby Vision以外のコンテンツで使える基本の「ピクチャーモード」は6種類。「映画」よりも「標準」が使いやすいでしょう

Dolby Vision以外のコンテンツで使える基本の「ピクチャーモード」は6種類。「映画」よりも「標準」が使いやすいでしょう

「HORIZON Ultra」で作品の印象に強く影響すると感じたのは「輝度IRIS」の設定。ランプ光源でいうオートアイリスの役割と思われますので、照明を落として作品をきちんと観るなら、10段階あるうちの「4」くらいまでが適当。前述のとおり、大きくすると黒みが浮いてきてしまいます。

比較でわかったのは「HORIZON Pro」の完成度の高さ

最後に、比較対象としてお借りした「HORIZON Pro」との比較をしてみましょう。「HORIZON Ultra」との主な違いは、Dolby Vision非対応のほか、こちらはLED光源のみ、光学式ズームなし、そして絵作り(画質)といったところ。

Dolby Vision非対応、光学式ズームのない「HORIZON Pro」

Dolby Vision非対応、光学式ズームのない「HORIZON Pro」

左が「HORIZON Pro」で右が「HORIZON Ultra」。同じ4Kモデルながら色も形もずいぶん違います

左が「HORIZON Pro」で右が「HORIZON Ultra」。同じ4Kモデルながら色も形もずいぶん違います

画質を直接比べてみると、「HORIZON Pro」も立派な4K画質。Dolby Visionには対応しないものの、HDR10対応ではあります。「HORIZON Ultra」のDolby Vision非対応モデル言ってよいでしょう。ユニフォーミティー(画面均一性)は良好、若干白ピークは頭打ちの印象ですが、クロマエラーもジャギーも見受けられません。

もっとも、画質メニューなどが「HORIZON Ultra」とは多少違っています。「画像モード」を「映画」にして「動き補償」オフにすることで、明るい景色から闇に光り輝く夜景まで、「HORIZON Ultra」の「標準」モード画質とほぼ同等と言ってよい万能の絵が出ます。

当然ながら「HORIZON Ultra」で見るDolby Vision映像よりは色数が控えめ。場面によっては若干赤などの色味があざとい印象ですが、人の肌もきれいで滑らか。これくらいのほうがプロジェクターの映像を見慣れている人からすれば映画っぽくてよいという向きもあるかもしれません。

「HORIZON Pro」の映像モードの名称は「画像モード」で5種類が用意されています。万能な「映画」モードを常用するとよいでしょう。映像素材によっては「オフィス」が意外とフラットで素直だったりもします。

「HORIZON Pro」の映像モードの名称は「画像モード」で5種類が用意されています。万能な「映画」モードを常用するとよいでしょう。映像素材によっては「オフィス」が意外とフラットで素直だったりもします。

全暗環境で見るなら明るすぎるかもしれませんので、「カスタム」にして輝度を下げたりしたいところ。もっとも、下げすぎると黒が潰れるので、今回のスクリーンとの組み合わせでは、夜景など暗いシーンが多い作品では43ほど(初期値50)が限界か。

サウンドは「HORIZON Pro」も「HORIZON Ultra」と同じくHarman/Kardonによるデザインとのことですが「HORIZON Ultra」の後では低音の豊かさが控えめで、やや上ずった印象です。

とはいえ、この「HORIZON Pro」の価格.com最安価格(2023年11月13日現在)は175,142円と、「HORIZON Ultra」より10万円ほど安いわけです。Dolby Visionは必要ない(Ultra HDブルーレイやNetflix、Apple TVは見ない)という人にはよい選択肢でしょう。

「HORIZON Ultra」も「HORIZON Pro」も、これらを最初のプロジェクターとして購入できる人は、本当にすごいところからスタートできる有力な選択肢です。どちらを買っても、友達を家に呼んで自慢できると思います!

遠藤義人
Writer
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。
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柿沼良輔(編集部)
Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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