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違うのは本体色だけじゃない! B&W「700 S3 Signature」シリーズ

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英国Bowers & Wilkinsから、高級スピーカー「700 S3 Signature」シリーズが発表された。発売日は2024年3月29日で、ラインアップはフロアスタンディング型の「702 S3 Signature」、ブックシェルフ型の「705 S3 Signature」、センタースピーカーの「HTM71 S3 Signature」3機種。いずれも木目のグロス仕上げ「ダトク・グロス」と濃紺のグロス仕上げ「ミッドナイトブルー・メタリック」2色のカラーバリエーションが展開される。

左が「ダトク・グロス」仕上げの「702 S3 Signature」、右が「ミッドナイトブルー・メタリック」仕上げの「705 S3 Signature」(スタンドは別売)

左が「ダトク・グロス」仕上げの「702 S3 Signature」、右が「ミッドナイトブルー・メタリック」仕上げの「705 S3 Signature」(スタンドは別売)

「702 S3 Signature」

「702 S3 Signature」の「ミッドナイトブルー・メタリック」仕上げ

フロアスタンディング型の「702 S3 Signature」「ミッドナイトブルー・メタリック」仕上げ

「702 S3 Signature」の主なスペック
●希望小売価格:719,400円(税込)※1台の価格。2台ペア価格は1,438,800円(税込)
●型式:3ウェイ5スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型ツイーター、150mmコーン型ミッドレンジ、165mmコーン型ウーハー×3
●出力音圧レベル:90dB/2.83V/m
●インピーダンス:8Ω
●寸法:290(幅)×410(奥行)×1138(高さ)mm(台座、端子含む)
●重量:35.3kg

「705 S3 Signature」

「705 S3 Signature」の「ダトク・グロス」仕上げ

ブックシェルフ型の「705 S3 Signature」「ダトク・グロス」仕上げ

「705 S3 Signature」の主なスペック
●希望小売価格:719,400円(税込)※2台ペアの価格
●型式:2ウェイ2スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型ツイーター、165mmコーン型ウーハー
●出力音圧レベル:88dB/2.83V/m
●インピーダンス:8Ω
●寸法:192(幅)×337(奥行)×413(高さ)mm(端子含む)
●重量:10.4kg

「HTM71 S3 Signature」

センタースピーカー「HTM71 S3 Signature」もラインアップ。写真は「ミッドナイトブルー・メタリック」仕上げ。「700 S3 Signature」でセンタースピーカーを含むサラウンドシステムを構築できる

センタースピーカー「HTM71 S3 Signature」もラインアップ。写真は「ミッドナイトブルー・メタリック」仕上げ。「700 S3 Signature」でセンタースピーカーを含むサラウンドシステムを構築できる

「HTM71 S3 Signature」の主なスペック
●希望小売価格:519,200円(税込)※1台の価格
●型式:3ウェイ4スピーカー・バスレフ型
●使用ユニット:25mmドーム型ツイーター、130mmコーン型ミッドレンジ、130mmコーン型ウーハー×2
●出力音圧レベル:89dB/2.83V/m
●インピーダンス:8Ω
●寸法:628(幅)×356(奥行)×233(高さ)mm(端子含む)
●重量:18.4kg

トップエンドに次ぐレギュラーモデル「700 S3 Signature」

Bowers & Wilkinsではすでにおなじみとなっている現在の「Signature」シリーズは、特別記念モデルや限定モデルではなく、あくまでレギュラーモデル。既存モデルである「700 S3」シリーズをベースとして、本体色を変更し、さらに内部のチューニングを施したモデルだと言える。ベースモデルの「700 S3」シリーズは併売され、「700 S3 Signature」はその上位モデルに位置付けられる。

「700 S3」と「700 S3 Signature」シリーズをひと言で表すと、最上位グレードシリーズからウーハー/ミッドレンジに柔軟性のある「コンティニュアム・コーン」などの主要技術を継承した準フラッグシップモデル。詳細は以下の関連記事をご覧いただきたい。

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2022/09/21 17:00

1991年に登場した「Silver Signature」以来、Bowers & Wilkinsではさまざまな「Signature」が特別モデルとして企画されてきた。その流れが変わったのは2020年の「700 S2 Signature」。ここで「Signature」は通常モデルの外装を変更したラインアップである、という現在の位置付けが確定し、今に続いている。

「Signature」シリーズの始まりは1991年の「Silver Signature」。このモデルは創業25周年と、1987年に他界した創業者ジョン・バウワース氏の追悼の意味を込めた特別モデルだった

「Signature」シリーズの始まりは1991年の「Silver Signature」。このモデルは創業25周年と、1987年に他界した創業者ジョン・バウワース氏の追悼の意味を込めた特別モデルだった

「700 S2 Signature」ではまさに外装だけを変え、塗装の変更にともなう音質の変化とそれに対するファインチューニングだけがベースモデルとの違いだったそうだが、その後、「800 D4 Signature」が登場。このシリーズは外装だけでなく、中身にも手を入れた「Signature」シリーズだった。これにならったのが今回の「700 S3 Signature」シリーズだという。つまり、「700 S2 Signature」のときよりも中身に手を入れた、音質的にもグレードを上げた製品として企画されている。

変更点としては以下の4つ。あまり大きな変更ではない部分もあるが、音質に最も影響がありそうなのは、クロスオーバー回路のパーツ変更だろう。

変更点1:ツイーターグリルの開口率

「700 S3 Signature」では、「800 D4 Signature」で採用された新型ツイーター保護用メッシュを採用。上が「700 S3」で下が「700 S3 Signature」シリーズだ。従来は金網の目が横だったところ、縦目に。開口率が上がり、より抜けのよい音になったという

「700 S3 Signature」では、「800 D4 Signature」で採用された新型ツイーター保護用メッシュを採用。上が「700 S3」で下が「700 S3 Signature」シリーズだ。従来は金網の目が横だったところ、縦目に。開口率が上がり、より抜けのよい音になったという

変更点2:ウーハーユニットのダンパー

左が「702 S3 Signature」のウーハーに採用されたダンパー。従来品も同じように見えるが、布ダンパーに含浸している樹脂が違うそうで、Bowers & Wilkinsによれば、少ししなやかになったことで微細なノイズが減る効果があるという

左が「702 S3 Signature」のウーハーに採用されたダンパー。従来品も同じように見えるが、布ダンパーに含浸している樹脂が違うそうで、Bowers & Wilkinsによれば、少ししなやかになったことで微細なノイズが減る効果があるという

スピーカーユニットを文字通り裏側で支えるのがダンパーの役割。右がユニットに装着されたイメージ(「702 S3 Signature」ではない)

スピーカーユニットを文字通り裏側で支えるのがダンパーの役割。右がユニットに装着されたイメージ(「702 S3 Signature」ではない)

変更点3:クロスオーバーのパーツ

音質に最も影響のありそうな変更は、信号の帯域分割を行い、ツイーター/ウーハー(/ミッドレンジ)へ振り分けるクロスオーバー回路のパーツ変更だ。とはいえ、設計/乗数などはまったく変更されてないという。つまり、純粋なパーツ変更だ。

「702 S3」(左)と「702 S3 Signature」(右)のツイーター/ミッドレンジ間のクロスオーバー回路。黄色いコンデンサーが1つから2つに置き換えられている。元々ムンドルフ製の高級パーツを使っているそうだが、「702 S3 Signature」では高品位銅リードを使った「EVO Silver Gold Oil」コンデンサーを採用した

「702 S3」(左)と「702 S3 Signature」(右)のツイーター/ミッドレンジ間のクロスオーバー回路。黄色いコンデンサーが1つから2つに置き換えられている。元々ムンドルフ製の高級パーツを使っているそうだが、「702 S3 Signature」では高品位銅リードを使った「EVO Silver Gold Oil」コンデンサーを採用した

「702 S3」(左)と「702 S3 Signature」(右)のミッドレンジ/ウーハー間のクロスオーバー回路。「702 S3 Signature」では大型空芯コイルを採用。線径が太いため直流抵抗が低く、ロスが少ない。担当者によれば、ウーハーを実測するとベースモデルよりも0.3〜0.4dBくらい音圧が高いそうだ

「702 S3」(左)と「702 S3 Signature」(右)のミッドレンジ/ウーハー間のクロスオーバー回路。「702 S3 Signature」では大型空芯コイルを採用。線径が太いため直流抵抗が低く、ロスが少ない。担当者によれば、ウーハーを実測するとベースモデルよりも0.3〜0.4dBくらい音圧が高いそうだ

変更点4:スピーカー端子の素材

スピーカー端子は真鍮削り出し素材にニッケルメッキを施したもの。外観上はまったく変わらないように見えるが、端子の芯材である真鍮グレードが異なるという。具体的には、より不純物の少ない真鍮を使っているそうだ

スピーカー端子は真鍮削り出し素材にニッケルメッキを施したもの。外観上はまったく変わらないように見えるが、端子の芯材である真鍮グレードが異なるという。具体的には、より不純物の少ない真鍮を使っているそうだ

「トランスデューサー」としての精度が確かに上がっている!

D&Mホールディングスの試聴室で、「702 S3 Signature」、「705 S3 Signature」ともにベースモデルと比較する機会を得られた

D&Mホールディングスの試聴室で、「702 S3 Signature」、「705 S3 Signature」ともにベースモデルと比較する機会を得られた

Bowers & Wilkinsの輸入代理店であるD&Mホールディングスで、実機を少しだけ試聴する機会を得たので、インプレッションを記しておこう。

「702 S3」、「705 S3」というベースモデルを聴いて感じるのは、元々のモデルから音源に対する追従性が高く、音離れがよい、空間表現にもとてもすぐれたスピーカーであること。これがブランドの(「800」シリーズの次の)「セカンドモデル」なのだから恐れ入る。

それでは「702 S3 Signature」「705 S3 Signature」ではどうかというと、確かに、雑味が少なく、さらに抜けがよいように感じられた。どちらのモデルでも音源を音波に変換する「トランスデューサー」として精度が上がっているようだ。

再生帯域が広いためか、ウーハーのダンパー交換やクロスオーバー回路のパーツ変更が効いているのか、ベースモデルとの差はフロアスタンディング型の「702 S3 Signature」のほうがわかりやすかったように思う。大型空芯コイルの採用など、オーディオにおける物量投入の意義を実感させられる。

価格だけでなく本体色も違うので、購入を検討する際には大いに悩みそうだ。ただし、音質的には間違いないのだから、「700 S3 Signature」シリーズの本体色が気に入ったのならば、こちらを選ばないわけにはいかないだろう。

柿沼良輔(編集部)
Writer / Editor
柿沼良輔(編集部)
AV専門誌「HiVi」の編集長を経て、カカクコムに入社。近年のAVで重要なのは高度な映像と音によるイマーシブ感(没入感)だと考えて、「4.1.6」スピーカーの自宅サラウンドシステムで日々音楽と映画に没頭している。フロントスピーカーだけはマルチアンプ派。
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