レビュー

ガチ比較レビュー! ハイセンスMini LED液晶テレビ「55U8N」vs「55U8K」

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Mini LED搭載4K液晶テレビで明るくハイコスパな機種を選びたい……そんなユーザーの願望直球ど真ん中、ハイセンスの2024年最新モデル「U8N」シリーズが2024年5月中旬に発売された。

同シリーズの55V型モデル「55U8N」は2024年6月上旬時点で、早くも価格.comの液晶テレビ・有機ELテレビの注目・人気売れ筋ランキングの上位に入っている。そんなハイセンス「U8N」シリーズの「55U8N」の画質を中心とした実機レビューをお届けしよう。

レビューにあたっては、2024年モデルの「55U8N」の進化ポイントを探るべく、昨年発売された旧モデル「55U8K」もお借りして、2台横並びで直接比較を試みた。もし昨年モデルの「55U8K」が型落ちで安く手に入るなら、どちらがお得か、という観点からもチェックしていきたい。

「55U8N」と「55U8K」を横並びで設置

さっそく、自宅に「55U8N」と「55U8K」を並べて設置してみると……真っ先に思ったことはMini LEDバックライト搭載の液晶テレビの高輝度さ。特に「55U8N」の画面がひときわ明るくインパクトがあること。ちなみに、メーカー公称値では「75U8K(2023年モデル)」と「75U8N(2024年モデル)」を比べた場合、「75U8N」は「75U8K」の150%ものピーク輝度を実現したとしている。

自宅にハイセンス「55U8N」(左)と「55U8K」(右)の2台をセットして実機比較

自宅にハイセンス「55U8N」(左)と「55U8K」(右)の2台をセットして実機比較

これがハイエンドMini LED液晶テレビの実力……と言いたくなるが、「U8N」シリーズはMini LEDバックライトと量子ドットを採用するハイセンスのミドルモデル。高画質エンジンにTVS REGZAと共同開発した最新世代の「HI-VIEWエンジンII」を搭載した新世代機だが、同時にMini LEDバックライト搭載でさらに高輝度な「U9N」シリーズも登場しているので、「U8N」シリーズは上位シリーズの技術を取り入れたコスパ志向のモデルという立ち位置だ。

旧モデルの「55U8K」ではソフトウェアが2024年世代にアップデートされている。ただ見た目上の違いは大きくはなく、「55U8N」と「55U8K」の地デジ放送の番組表はまったく同じでREGZAとも変わらない。目に見えて異なるポイントは「55U8N」のみ入力切り替えボタンを押すと画面下にガイドが出る。出荷時からAirPlay/Chromecast対応のスクリーンシェアも便利なポイント。

「55U8N」(左)で撮影した番組表。隣の「55U8K」(右)もまったく同じデザインだ

「55U8N」(左)で撮影した番組表。隣の「55U8K」(右)もまったく同じデザインだ

「55U8N」のみ入力切り替えボタンを押すと画面下に切り替え画面が表示される

「55U8N」のみ入力切り替えボタンを押すと画面下に切り替え画面が表示される

ネット動画機能については、ハイセンス独自の「VIDDA」プラットフォームで共通している。「VIDDA Voice」の音声操作にも対応。「55U8N」では「55U8K」より3つ多い合計20社のサービスに対応する。

ハイセンス独自の「VIIDA」。ストア機能はないものの主要サブスクアプリを網羅

ハイセンス独自の「VIIDA」。ストア機能はないものの主要サブスクアプリを網羅

なお「55U8N」の付属リモコンはBluetoothリモコンになっているところもうれしいポイント。ちなみに「55U8K」も「VIDAA Voice」を使う際にはBluetoothでペアリングをすることになるが、2024年仕様の「55U8N」はスタンバイ状態から常時Bluetoothリモコン操作を受け付ける、という違いがある。

「55U8N」の背面端子。HDMIは3系統でHDMI 2.1のARC/eARCも対応

「55U8N」の背面端子。HDMIは3系統でHDMI 2.1のARC/eARCも対応

「55U8N」vs「55U8K」の画質をガチ比較レビュー

改めて、「55U8N」と「55U8K」の画質を視聴してみた。地デジ放送とYouTubeを視聴してみたのだが、約2mの視聴距離では地デジやYouTubeを視聴してもノイズなどの問題は特に見られなかった。「55U8N」は画面全体が明るく、色の純度が高いためヌケのよい高画質。特に真っ白の色の眩しさ、テロップの発色などで画質向上を感じる。「55U8K」はピークが伸びず、また全体に若干赤みがかる傾向がある。ただ、「55U8K」は結果として暗部側が全体的に暗く沈むため、一画面内のメリハリがあり見栄えのよい画質とも言える。

「55U8N」(左)と「55U8K」(右)。テレビやYouTubeは「55U8N」の明るさがインパクト大

「55U8N」(左)と「55U8K」(右)。テレビやYouTubeは「55U8N」の明るさがインパクト大

「55U8N」(左)と「55U8K」(右)。色純度の高さも「55U8N」が上回る

「55U8N」(左)と「55U8K」(右)。色純度の高さも「55U8N」が上回る

映像モードはどちらも”AI自動”、”おまかせセンサーPro”で輝度・照度の条件も揃えたうえで2機種を分光測色計で写真右の出演者の額部分を測定。「55U8N」が415cd/m2、「55U8K」199cd/ m2だった。

なお、「55U8K」側を手動で明るさの設定を+15 まで上げれば測定値は356cd/m2となり、「55U8N」の輝度感に近い設定にすることが可能。もっとも「55U8N」はバックライトを最大の100にすると584cd/ m2とさらに明るくなる。

両機種の画面の明るさを最大に設定してもやはり「55U8N」(左)が明るい

両機種の画面の明るさを最大に設定してもやはり「55U8N」(左)が明るい

視野角については「55U8N」は低反射仕様の広視野角パネルで「55U8K」はADSパネル搭載だが、明るい部屋での見え方はどちらも問題ナシ。映り込みについては、「55U8N」のほうがスペック的には優秀だ。

斜めから見たときの画質。「55U8N」(手前)も「55U8K」(奥)も明るい画面であれば十分広視野角

斜めから見たときの画質。「55U8N」(手前)も「55U8K」(奥)も明るい画面であれば十分広視野角

なお、「55U8N」にはネット動画などに多い色階調割れのバンディングノイズ抑制が搭載されている。設定メニューからオート/強/中/弱/オフで切り替えが可能だ。

バンディングノイズ抑制はオート/強/中/弱/オフで切り替えが可能(デフォルト状態はオート)

バンディングノイズ抑制はオート/強/中/弱/オフで切り替えが可能(デフォルト状態はオート)

続いて、4K/HDRコンテンツでも画質をチェック。画面の明るさが初期値で最も明るい設定“モニター”で固定。基本的な傾向は地デジ放送と同じで、「55U8N」のほうが明るく階調もていねいで、「55U8K」は若干赤みがかかる。

明るい部屋での画質。輝度は「55U8N」(左)が上回るが、「55U8K」(右)の見栄えも悪くない

明るい部屋での画質。輝度は「55U8N」(左)が上回るが、「55U8K」(右)の見栄えも悪くない

Mini LEDバックライト搭載の2機種だけあって、両モデルともにコントラストは強烈。ただ黒色側に注目するとMini LEDバックライトといえども黒浮きやハロー(高輝度部の周囲が白く浮く現象)は出ていて、傾向は2機種ともほぼ同じ。暗室で映画を見るレベルの画質マニアなら、やはりさらに上位モデルの「U9N」や有機ELテレビを求めるべきなのだろう。

「55U8N」(左)と「55U8K」(右)。Mini LEDバックライトでも暗室視聴では黒浮きが気になる

「55U8N」(左)と「55U8K」(右)。Mini LEDバックライトでも暗室視聴では黒浮きが気になる

「55U8N」(左)と「55U8K」(右)。ピークの輝度感や暗部階調は新型の「55U8N」が有利

「55U8N」(左)と「55U8K」(右)。ピークの輝度感や暗部階調は新型の「55U8N」が有利

ちなみに、分光測色計を用いてテストパターンの輝度を測定した結果は、白100%の設定で「55U8N」が1153cd/ m2、「55U8K」が1126cd/ m2。白10%の設定では「55U8N」が1156cd/m2、「55U8K」が1128cd/ m2。テストパターン表示では、意外と2機種の輝度性能の差は小さいようだ。

中低音重視でパワーアップしたサウンド。ゲーミング関連の機能も強化

「55U8N」の内蔵スピーカーは40Wの2.1chで、スペック上は「55U8K」と共通。Dolby Atmos対応のほか、Eilex音響処理の技術で高音質化を果たしている。また、「55U8N」「55U8K」ともに、部屋の環境に応じた最適化を図るオーディオキャリブレーションに対応している。

「55U8N」スピーカーは本体下向きのアンダースピーカー。加えて背面にサブウーハーを搭載

「55U8N」スピーカーは本体下向きのアンダースピーカー。加えて背面にサブウーハーを搭載

実際にサウンドを聴き比べてみると、設置したそのままの状態でも「55U8N」と「55U8K」でサウンドバランスが異なる。テレビ放送を視聴しても「55U8N」のほうが中低域の厚みがあり臨場感がある。Netflixの映画を視聴しても外部スピーカーなしで満足。いっぽうの「55U8K」は人の声のみクリアに聞かせるようなタイプだ。

「55U8N」で利用可能なゲーミングメニュー

「55U8N」で利用可能なゲーミングメニュー

いずれも外部入力のゲーム機能は、「ゲームモードPro」に対応。VRR、ALLM、AMD FreeSync Premiumまで網羅する。PS5の接続を想定して「4K LagTester」で入力遅延を測定してみると4K/60Hz/SDRでは「55U8N」が9.7ms、「55U8K」が12.6msだった。なお、新機能として専用のゲーミングメニューで暗部ガンマ調整や照準表示などの機能も利用できる。

まとめ:画質音質は「U8N」シリーズが上回るが、価格次第で「U8K」という選択肢もアリ

「55U8N」と「55U8K」の新旧モデルを横並びで比較した結果は、当然ながら新機種の「55U8N」のほうが画質・音質とも優秀だと感じた。Mini LEDバックライトによる1.5倍の高輝度化と音質向上、操作性、ゲーミング関連など多数の改善点がある。もっとも、2台横並びで見なければ「55U8K」も画質は十分優秀だということが改めて確認できた。数万円の差額があるし、外部のサウンドバーを使用する予定などがあれば、あえて「55U8K」という選択もアリかもしれない。

折原一也
Writer
折原一也
オーディオ&ビジュアルライター/AV評論家。「オリチャンネル」主催。IT系出版の編集者出身で、2004年に独立後はモノ雑誌やオーディオ・ビジュアル専門誌で活動。2009年より音元出版主催のVGP審査員。画質・音質にこだわるAV評論家ではあるが、ライフスタイルになじむ製品、コスパにすぐれた製品を評価する庶民派。2022年に立ち上げたYouTubeチャンネル「オリチャンネル」では、取材メディアの人間として一次情報の発信、検証と測定データに基づくレビューなど独自の発信も行っている。最近のマイブームはAI全般。
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手柴太一(編集部)
Editor
手柴太一(編集部)
出版社でファッション誌やカルチャー誌、WEBファッションマガジンの編集を経て、現職へ。家電初心者ならではの視点で、読者に寄り添った記事を制作できるよう現在奮闘中。趣味は映画、漫画、小説、麻雀、総合格闘技観戦、等。
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