ハイセンスの液晶テレビ「RGB U9S」シリーズ。左から、85、75、65、55V型(インチ)の4サイズが展開される
ハイセンスのRGB mini LEDバックライト搭載液晶テレビ「RGB U9S」シリーズが発売された。ハイセンスのRGB mini LEDテレビは最上位モデル「RGB UXS」シリーズが先行していたが、より手の届きやすい価格で展開されるのが「RGB U9S」シリーズだ。製品発売にともなってメディア向け内覧会が行われたので、レポートをお届けする。
小さなLEDをいくつも配置し、エリアごとに区切ってそれぞれの発光をコントロールする。これがLEDバックライト搭載液晶テレビの高コントラスト化の基本だ。それが非常に細かくなったのがmini LED、さらにRGBの3色としたのがRGB mini LED
いちおうおさらいをしておくと、RGB mini LEDバックライトとは、液晶テレビのバックライトに関わる新技術のこと。これまでは単色(白)だったバックライトをRGBの3色でつくることにより、より純度の高い色再現や高い発光効率を目指したものだ。詳細は以下関連記事をご覧いただきたいが、要は高画質のための技術ということ。RGB mini LEDバックライトを搭載したテレビは液晶テレビとしては高級品やそれに準じた製品だと言える。
RGB mini LEDバックライトのメリットは色の再現性がすぐれていること。色の再現範囲のことを表す色域(しきいき)が非常に広い。この数値は有機EL以上だ
また、発光効率がよいことも訴求している。明るい映像の表示が得意なだけでなく、省エネ(省電力)でもある
ハイセンスが「RGB U9S」シリーズ独自のアピールポイントとしてあげるのは、RGB mini LEDバックライトを動かすための新映像エンジンと、フランスDevialet(デビアレ)による音質チューニングだ。
OSはハイセンスおなじみの独自システム「VIDAA(ヴィダー)」を採用。アプリの追加はできないが、ポピュラーなサービスにはひととおり対応していて、初期設定なしで手軽に使えるのが魅力と言える。
映像処理エンジンとして「Hi-View AIエンジン RGB」を搭載。2つのエンジンでRGB mini LEDバックライトを制御するほか、音質の調整なども担う
RGB mini LEDバックライト自体に映像再現上のメリットがあるとして、最終的に高画質を得るために重要なのはそれをどれだけ緻密にコントロールするか。各社mini LED液晶テレビの画質の差はそこにあると言ってよい。
ハイセンスでは、このコントロールのために「Hi-View AIエンジン RGB」を搭載。処理の重いRGB mini LEDバックライトのコントロールを2つのエンジンで高精度に行うという。
「Tuned by Devialet」の「2.1.2」音響システムを搭載。フランスDevialetと協業したこの「Tuned by Devialet」製品は「音のバランスの良さを重視する方や、低音の迫力と同時に自然な音の再現性を求める方におすすめ」とされている(ハイセンスのFAQより)
スピーカーシステムは全サイズ「2.1.2」仕様。画面の下部に左右のメインスピーカー、中央裏に低域を担当するサブウーハー、そして上方向に向かって取り付けられた左右トップスピーカーが取り付けられている。
この「2.1.2」システムのチューニングを担当するのがフランスのDevialet(デビアレ)。コンパクトな筐体とは思えないほどの低音を響かせるスピーカー「Phantom」シリーズなどで有名なハイテク音響メーカーだ。この協業を「Tuned by Devialet」として訴求している。
OSはハイセンスオリジナルの「VIDAA」。生成AIによるボイスアシスタントで、より便利に進化。たとえば、スポーツ番組観戦中に選手の情報を問いかけると答えてくれる……など、よりスマートになったという
NetflixやAmazonプライム・ビデオ、YouTubeなど人気の動画配信サービス各種に対応。アプリの追加はできないが、写真の全アプリがプリインストールされている
さて、問題は上記RGB mini LEDバックライト、「RGB U9S」シリーズの訴求ポイントがどう画質に反映されているか。ごく簡単にではあるが、ショールームでデモンストレーションが実施されたので、そのインプレッションをお伝えしたい。
はじめに再生されたのは、いかにもデモンストレーション用という派手な絵柄の映像。原色に近い色の鮮やかさはRGB mini LEDの存在意義を誇示するかのようだ。これは映像モードを「ダイナミック」(デモンストレーションなどに使われる見栄えのするモード)としていることにも起因するが、テレビでこれだけの明るさ、色が出る、ということ自体に多くの人が驚くことだろう。
そこで気になるのは映画などの再現性だ。部屋を暗くして「映画」モード(映画を見るとき向けの設定)も試してもらったのだが、これもかなり(本来よりも)明るい。明部のピークは伸びているし、簡単に飽和させない最明部再現の巧みさが感じられるのはよいのだが、夜のシーンを見ても全体に明るめなのだ。
この理由を担当者に聞いてみると、「U9S」シリーズの「映画」モードは明るめの部屋で映画を見る場合を想定しているから、とのこと。調整方法として「ルミナンスブースト」機能を調整する方法を紹介された。
最明部の調整項目として「ルミナンスブースト」がある。映像モードごとにメモリーされる設定だ。デフォルトでは高い数値なので(かなり明るい)、暗室で映画を見るならばこれを調整したい
これは映像の最明部がまぶしすぎる場合に調整できるように設けられた設定のようだが、確かにかなり効果が大きい。明部のみならず、全体に影響を及ぼしているように見えた。この設定のデフォルト値がかなり明るめになっているようなので、暗室で映画を見るならば調整は必須と心得たほうがよさそうだ。
ここで視聴した製品はプロトタイプであり、調整も最後まで追い込まれていない個体だったとのこと。それでもRGB mini LEDテレビの基礎体力の高さがよく伝わるデモンストレーションだった。暗闇で映画と向き合いたい人の要望にどこまで応えてくれるのか、じっくりと試してみたい、少なくともそう思わせてくれた。
購入時に留意すべき点は、「RGB U9S」シリーズがVAパネルを使っているということだろう。ここ数年、ハイセンスといえば視野角の広い(斜めから見ても色が変わりにくい)ADSパネル、というイメージがあったのだが、それを転換してきた格好だ。
「RGB U9S」シリーズでは「広視野角パネルPro」で広い視野角を訴求しているが、あくまで「VAとしては視野角が広い」程度に留まると思ったほうがよい。上下左右ともに視野角によって色の変化があるので、広いリビングで使いたい、という人は展示などで確認してみてほしい。
ADSパネルのRGB mini LEDテレビは? と思う人に向けて展開されているのが最上位モデル「RGB UXS」シリーズということなのだろう。こちらは100V型以外はADSパネルだ。
2026年のハイセンスmini LED/RGB mini LEDテレビのスペック比較表。いちばん左が最上位モデル「RGB UXS」シリーズ。バックライトの分割数が「RGB U9S」よりも多く、輝度も有利だという。さらに視野角も広い
なお、音質についてはDevialetのおかげかどうかはわからないが、音の広がりを重視したチューニングだと感じた。少なくとも画面の目の前に座れば、上下左右への自然な音の広がりで、映画などへの没入感を高めてくれそうだ。いっぽうで中低域の厚みに物足りなさはあった。広い空間での再生だったこともあるが、もしこれを補強したいならばサウンドバーなどの導入を考えたほうがよいだろう。
「RGB U9S」シリーズはシンプルなmini LEDテレビからのステップアップとして企画された注目度の高いテレビで、価格も戦略的だ。あくまでカジュアルに使えるように考えられていて、いつでも明るく見やすく、音もよく広がる、そういうテレビなのだろう。映像モードには自動で画質を最適化してくれる「AI自動」があるので、それを常用する人に向いていそうだ。