新製品レポート
【新製品レポート No.659】

“新世代”のコンセプト&技術で開発された、デノンのフルデジタルアンプ「PMA-50」をいち早く聴いた!

デノンは2015年1月中旬、最新の高性能フルデジタルアンプ技術「DDFA」(ディー・ディー・エフ・エー)を搭載するステレオアンプ「PMA-50」を発売する。PMA-50は、「新世代」と呼びたくなるコンセプトと技術が集結した注目のフルデジタルアンプで、今回、その詳細について、デノンでマーケティンググループマネージャーを務める宮原利温氏と、DDFAの開発元であるCSR社のコネクティビティ・グループマネージャーの大島勉氏にお話しをうかがった。また、両氏立ち会いの下で厳正に行った試聴レポートもお届けしよう。

デノンのPMA-50。2015年1月中旬の発売で、価格は68,000円(税込)

デノンのPMA-50。2015年1月中旬の発売で、価格は68,000円(税込)

デノンの宮原氏(右)とCSRの大島氏(左)

デノンの宮原氏(右)とCSRの大島氏(左)

PMA-50の基本特徴

PMA-50の肩書きは、「DSD5.6MH対応USB-DAC搭載 新世代フルデジタルプリメインアンプ」である。端的には、USB-DACを搭載するプリメインアンプであるが、アンプとしては非常にコンパクトでデザインも斬新。ヘッドホンアンプ専用のオーディオ回路も搭載していることから、アンプ付きUSB-DAC搭載ヘッドホンアンプと捉えることもできる。インターフェイスとして、光/同軸によるデジタル音声入力と、Bluetooth機能を備えており、ユーザーの捉えかた次第で用途が七変化する製品だ。

PMA-50は、多彩な入力に加えて、スピーカーとヘッドホンのどちらも高品位に楽しめる、Hi-Fiオーディオの新しいカタチを提案している

技術面では、国内メーカーとしては初めて、CSR社のDDFA技術を採用しているのがトピックだ。USB、光/同軸、Bluetoothのすべてのデジタル音声入力は、スピーカーを駆動するパワーデバイスの直前までアナログに一切変換されることなく、一貫しでデジタル領域で処理するフルデジタル方式を採用している。さらに、デジタル音声処理の中には、デノンが長年培ってきた「Advanced AL32 Processing」や、USB接続時にPCからの高周波ノイズを高速アイソレーターで遮断する「デジタルアイソレーター」も搭載されるなど、Hi-Fiオーディオとしてのこだわりも見逃せない。

このほか、据え置き型Hi-Fiオーディオの常識に縛られないコンパクトな筐体や、ツートーンのカラーリングなど、デスクトップにも映える仕上がりになっているのも特徴だ。

PMA-50の詳細特徴

新開発のデジタルアンプDDFAを搭載
筆者がPMA-50を「次世代」と呼ぶ理由は、CSR社が開発した最新のフルデジタルアンプDDFAを搭載している点である。

フルデジタルアンプとは、デジタル信号入力からパワー素子を駆動するPWM信号化までを完全なデジタル領域で行う点で、デジタル音声をいったんアナログに変換してからデジタルアンプに入力する一般的なD級アンプと異なる。最終的な音質は、製品全体のクオリティによるので、フルデジタル方式が至上とは言わないが、上手く使いこなせば、アナログが介在しないフルデジタルのほうが有利と考えられる。

また、数あるフルデジタルアンプの中でも、筆者がDDFAに注目するのは、圧倒的な歪み率の少なさ、言い換えるとS/Nの高さである。DDFAは、Direct Digital Feedback Amplifierの略で、電源の揺らぎ、パワー素子やローパスフィルターの特性バラツキを、最新のデジタル技術を駆使して高精度にアンプへフィードバックして補正することで、一般的なデジタルアンプはもちろん、AB級のアナログアンプをもしのぐ低歪み特性を獲得している。従来、デジタルアンプは歪みの点でアナログに及ばないとされてきたが、ついにデジタルがアナログを超える時代がやって来たのだ。

CSR社の資料。主だったアンプの方式と年代によるS/N改善の歴史がグラフ化されている。フィードバックを用いないデジタルアンプに対しては15dB程度、アナログAB級アンプに対しても5dB程度のアドバンテージを持つ

DDFAのロゴマーク

DDFAのロゴマーク

もちろんDDFAを搭載したからと言って、すべてのアンプ製品が無条件で高音質になるわけではない。DDFAから出力されたPWM信号を増幅するパワー素子や、スピーカーを駆動するためにアナログ波形に変換するフィルター回路の質も極めて重要である。PMA-50の場合は、こうした部分に、デノンが蓄積したHi-Fi技術が活かされているのが興味深い。

美しいたたずまい
PMA-50の外観は、先に発売されているデノンのポータブルヘッドホンアンプ「DA-10」の流れを汲むデザインとなっている。コンセプトは、コンパクトでカジュアルな新しいリスニングスタイルと、デノンの歴史とも言えるHi-Fiへのこだわりを融合させたもの。センターに大型のボリュームノブを配するなど、デノンのテイストを踏襲しつつも、クリーンで洗練された印象を受ける。

また、外観は、天面と底面に肉厚のアルミ材を使用しており、質感も非常に良好。ドットマトリクスの有機ELディスプレイを備え、文字の表示品位も高い。本体は縦置き設置も可能で、縦置き時は有機ELの表示も90度回転するように配慮されている。200(幅)×80(高さ)×240(奥行)mmと凝縮感の高いコンパクトさとあわせて、デスクトップに華を添えそうだ。

美しくコンパクトな筐体。横置きと縦置きのどちらにも対応

美しくコンパクトな筐体。横置きと縦置きのどちらにも対応

豊富な入力インターフェイス
コンパクトな筐体ながら、豊富で幅広い音声フォーマットに対応しているのも、PMA-50の魅力だ。USB-B端子は、DSD 2.8MHz/5.6MHzと、最大192kHz/24bitのPCM入力に対応する。光デジタル2系統、同軸デジタル1系統の音声デジタル入力を搭載し、各種メディアプレーヤーやテレビからのPCM出力も入力できる。また、Bluetoothは高音質・低遅延コーデックとして知られるCSR社のaptX Low Latencyに対応する。

PMA-50の裏面。電源はインレット方式でケーブル交換も可能

PMA-50の裏面。電源はインレット方式でケーブル交換も可能

デノンデジタル技術の神髄、Advanced AL32 Processingを搭載
Advanced AL32 Processingは、デノンの独自のデジタル高音質化技術。16bit/24bitの信号を32bit化することで、よりきめ細やかな階調の表現を狙うものだが、独自のアルゴリズムにより、元となる音のアナログ波形に近づくように、デジタル処理でデータを整えるのがポイントだ。

高級Hi-Fiオーディオで培われてきたAdvanced AL32 Processingが、実売約6万円のPMA-50にも搭載できるようになったのは、半導体技術が進歩したおかげだ。

Advanced AL32 Processingの処理イメージ図。ハイビット化に加え、元の波形を再現すべく、独自のアルゴリズムで補完するのかポイント

ヘッドホン出力もHi-Fiクオリティ
PMA-50はヘッドホンアンプとしてのこだわりも見逃せない。一般的なプリメインアンプでは、スピーカー出力を流用してヘッドホン出力としたり、簡易的なヘッドホン出力用アンプを搭載するケースが多いが、本機は本格的なヘッドホン専用回路を搭載している。たとえば、ボリューム回路の前段にバッファーアンプを設けて、アナログオーディオ出力との干渉を避けたり、出力バッファーにディスクリート回路を採用するなど、ヘッドホンをパワフルかつ正確にドライブする工夫が盛り込まれている。3段階のゲイン切り替え機能も搭載し、インピーダンスの高いヘッドホンも適切に駆動可能だ。

PMA-50のヘッドホンアンプ部のブロック図。音質を重視した回路構成だ

PMA-50のヘッドホンアンプ部のブロック図。音質を重視した回路構成だ

PMA-50を聴いた

今回、デノンのマーケティンググループマネージャーの宮原利温氏と、DDFAの開発元である英CSR社コネクティビティ・グループマネージャーの大島勉氏の立ち会いの下、遮音と調音の整った試聴室(協力:株式会社アコースティックエンジニアリング/九段事務所内)で、PMA-50の厳正な試聴を行った。

アコースティックエンジニアリング社の試聴室

アコースティックエンジニアリング社の試聴室

まずはUSB-B入力で各種音源を試す。Maeve O'BoyleのHero In The Sky from Being Patient(48kHz/24bit FLAC)は、ギターストロークのキレが冴える。CSR社の大島氏によると、DDFAは、低ジッター処理された108MHzの高速マスタークロックと、高タップ数の独自フィルター処理により過度特性にもすぐれるとのことで、こうした弦の立ち上がりを鋭く捉えるのも得意なようだ。終始解像度の高いサウンドに圧倒される。

The Persuasions のAngel Of Harlem(96kHz/24bit FLAC)はアカペラのハーモニーの美しさが印象的だが、本機では透明感にあふれる余韻がふんわりとした空気感を作りだし、試聴室を満たす様子が実に心地よい。DDFAのAB級アンプを超えるというS/Nの高さを体感できた。Advanced AL32 Processingが音の痩せを防いで厚みのある豊かな音場を形成している恩恵も大きそうだ。

このほか、Susan Wong のHave You Ever Seen The Rain(96kHz/24bit FLAC)は、過去に気付かなかった低域のディテールに驚かされた。同楽曲は日本人の好みとは少し異なる、低く緩く、量感のある低域が特徴だが、筆者が過去に試聴した経験では、ブーミーに聞こえる感があった。PMA-50はコンパクトながら、今回組み合わせたハイエンドスピーカー「B&W 805 Diamond」を余裕たっぷりに鳴らし切り、低域の中にも各音の輪郭が感じ取れ、奥行き表現も上々だ。結果、Susanの可憐なボーカルが浮かび上がり、実にすっきりと心地よく耳から感性へと届くのである。

USB-B入力で各種音源を試した

USB-B入力で各種音源を試した

PMA-50は、総じて、ややクールな傾向を持ちつつも、ニュートラルで解像度の高いサウンドで、1音1音のエッジを強調することなく、ハイレゾの神髄であるやわらかな表現も引き出す。ハイレゾ音源とフルデジタルアンプがもたらす、新しいリスニングエクスペリエンスと言えるだろう。実売6万円前後のコンパクトなアンプが、これほどの表現力を持っているのは驚くばかりである。ブラインドテストなら、20万円級のアンプと言われても気付かないかもしれない。

まとめ

物量を投じた伝統的アナログオーディオも魅力的だが、技術の進歩で新たな境地を切り拓く試みも大切である。PMA-50は、コンパクトな筐体の中に、最新のデジタル技術と伝統のアナログ技術を搭載した意欲作だ。最新のハイレゾ音源を含むさまざまな音楽ソースに対応するうえ、スピーカーでもヘッドホンでも高品位に楽しめる柔軟性も魅力だ。これも、最新のデジタル技術による音声処理技術とデジタルアンプ技術の成せる業だ。歴史に残る名機となるのか!? ぜひ、各自の耳でチェックしてほしい。

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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