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192kHz/24bit以下の音源なら、あのAK380に匹敵?

最上位モデルの血統を継ぐ弟分「AK320」がほぼ半額でデビュー!

iriver Astell&Kernブランドのデジタルプレーヤー「AKシリーズ」の最上位モデル「AK380」といえば、超高級ポータブルプレーヤーの代表格だ。実売価格は約500,000円で、これまでのポータブルプレーヤーの常識をひっくりかえすような驚きのスペックと価格で話題を集めた。そんなAK380の弟分とも言える、ハイレゾ対応ポータブルプレーヤーが新登場。それが「AK320」だ。AK380と同等のスペックを持ちつつ一部の機能を省くことで、価格を約半分に抑えたコストパフォーマンスモデルだ。上位機種と同様、最大384kHz/32bit PCM、DSD128(5.6MHz/1bit)の再生に対応している。今回は、AK320とAK380の違いを、音質とともにチェックしてみた。

Astell&Kern「AK320」

Astell&Kern「AK320」

基本性能はAK380とほぼ同じ

AK320とAK380の基本仕様はほぼ同じだ。公称スペックを見比べてみても、その大きな違いは以下のようになる。

・わずかに小型軽量になった本体
・ネイティブ(ダウンコンバートしない)再生の上限
・内蔵メモリーの容量が半分

まず本体から見ていこう。AK380と比べるとAK320はわずかにコンパクトになった。本体サイズは、AK380が約79.8(幅)×約112.4(高さ)×約17.9(奥行)mmで、AK320は約75.2(幅)×約112.4(高さ)×約16.5(奥行)mm。高さはそのままだが、幅と奥行がサイズダウン。横幅が短くなったぶん、手で持っても小さくなったと感じる。重量はAK380より13g軽い217g。本体サイズと重さのいずれも微々たる違いではあるが、AK320のほうがコンパクトなボディとなっている。

正面(左:AK380 右:AK320)。いずれも4型液晶を搭載し解像度は480×800ドット

正面(左:AK380 右:AK320)。いずれも4型液晶を搭載し解像度は480×800ドット

本体右側面(左:AK380、右:AK320)。ボリュームコントロールノブの搭載位置が異なる

本体右側面(左:AK380、右:AK320)。ボリュームコントロールノブの搭載位置が異なる

ボディの素材も変更されている。AK380では航空機グレードのジュラルミン(A7075)が使用されているが、AK320で使用されているのはAK120IIやAK100IIと同じアルミニウム(6083)だ。カッコ内の数値は強度を表している。それを525gのアルミブロックから削り出している。素材が変更になり、小型軽量になったとはいえ、やわな印象はない。十分な強度を備えたシャーシだ。

アルミのブロックから削り出しで作り出されるAK320のシャーシ。重量は41.5gで全重量の1/5を占める

アルミのブロックから削り出しで作り出されるAK320のシャーシ。重量は41.5gで全重量の1/5を占める

色合いなどのデザイン面はAK Jrと近いものがある。カラーはシルバー調で、背面の模様もJrと同様。細部は違うがボリュームノブの実装方法も似ている。

背面に実装されたボリュームノブはAK Jrと同じ。片手で操作しやすくしている

背面に実装されたボリュームノブはAK Jrと同じ。片手で操作しやすくしている

192kHz/24bitまでのPCMをネイティブ再生。それより上はダウンコンバート

AK320では一部の音源がダウンコンバートで再生される。後述するDACやクロックなど、オーディオ性能についてはほぼ同一だが、AK380が384kHz/32bitまでのPCMと、DSD128(5.6MHz/1bit)までをすべてネイティブ再生できるのに対し、AK320のネイティブ再生はPCMが192kHz/24bitまで。それを超える周波数になると、たとえば、384kHzならその半分の192kHzに、352.8kHzも同様の176.4kHzに変換される。ビットレートも32bitの音源は24bitになる。

DSDについてはすべて176kHz/24bit のPCMに変換して再生される。また、AK380がDSD256(11.2MHz/1bit)に対応しているいっぽう、AK320はDSD128(5.6MHz/1bit)までとなっている。なお、AK380で搭載されていたXMOSが、AK380では省かれているという。ちなみに、パーツをただ間引いたのではなく、基板設計も変えているとのことだ。

なお、旭エレクトロニクスのDAC「VERITA AK4490」を2基搭載し、L/R独立して1基ずつ、GNDも独立させたデュアルDAC構成や、超低ジッターの200Femto秒を実現したVCXO(電圧制御水晶発振器)の採用などはAK380と同様だ。対応ファイルは、WAV、FLAC、MP3、WMA、OGG、APE、AAC、ALAC、AIFF、DFF、DSF。

192kHz/24bitまでネイティブ再生

192kHz/24bitまでネイティブ再生

GNDまでL/R分離のデュアルDAC構成。バランスアウトも装備

GNDまでL/R分離のデュアルDAC構成。バランスアウトも装備

最大保存容量はAK380より128GB小さい

AK320のストレージの最大容量は256GB。内訳は、内蔵フラッシュメモリーが128GBで、microSDカードが128GB。いっぽう、AK380のストレージ容量は合計384GB(内蔵フラッシュメモリー256GB+microSDカードが128GB)となっており、内蔵フラッシュメモリーは容量が128GB小さくなっている。

AK380用の周辺機器が使用可能

次は機能面での違いについて触れておこう。機能面での違いをざっくりまとめると以下のようになる。

・最大96kHz/24bitのUSB DAC機能
・AK380の周辺機器が利用できる拡張性の高さ
・ネットワーク機能DLNAベースの「AK Connect」

USB DAC機能は最大96kHz/24bit

AK320は、パソコンと接続することでUSB DACとしても使用できる。ネイティブで再生できるのは96kHz/24bitまでで、それを超える性能はすべてダウンコンバートされる。DSDについても同様だ。いっぽう、AK380では、最大384kHz/32bit PCM、DSD256(11.2MHz/1bit)まですべてネイティブで再生できる。USB DAC機能でも、ネイティブでの再生能力は、AK380が圧倒的だ。

AK380の周辺機器がそのまま使用できる高汎用性

AK380用の周辺機器と接続できるのもポイントだ。ドライブ能力をアップできるヘッドホンアプ「AK380 AMP」、PCレスで音楽CDを直接リッピングできる「AK CD-RIPPER」、据え置きのオーディオと接続できるXLRバランス出力を備えたユニット「Cradle」など、AK380用周辺機器が活用できるのはうれしいところだ。こういう機器が使用できるのは、第3世代AKならではといった印象だ。

各種周辺機器に対応

各種周辺機器に対応

DLNA対応無線LANなどネットワーク機能も充実

ネットワーク機能はAK380と同様。Bluetooth 4.0をサポートし、A2DPやAVRCPといったプロファイル、SBCやapt-Xが使用できる。また、Wi-Fi (IEEE 802.11b/g/n、2.4GHz帯)経由で自宅内のメディアサーバー(PCやNAS)に保存された、音楽データのストリーミング再生や楽曲の転送なども行える「AK Connect」にも対応した。さらに専用のアプリをインストールしたスマートフォンやタブレットから、簡単に遠隔操作もできる。これにより、ポータブルだけでなく、据え置きオーディオと組み合わせて使用することも可能だ。

AK Connectに対応したAK320

AK Connectに対応したAK320

音質インプレッション

続いて、AK320の音質をレポートしよう。

使用したイヤホンは、1964EARSの6ドライバー搭載のカスタムインイヤーモニター「V6 Stage」で、Effect Audioの2.5mm4極バランスの2ピン「Thor Silver cable」にリケーブルして聴いている。同ケーブルはほどほどの解像度を持ちつつ、トーンバランスのよさが特徴的なケーブルだ。

AK320は、素直さという点でAK380と同じような傾向になっている。ただ、AK380を基準にし、これを等倍のスケール感で描かれた音とするなら、AK320では縮尺がやや小さくなっている。そのスケール感の中に、AK380ですぐれていた、圧倒的な解像度、ボーカルのフォーカス感や楽器の配置がわかるような定位、セパレーションといった要素がまとめられている。そういう意味では、AK380をはじめてきいたときのような驚きはないが、少なからず、ネイティブで再生できる範囲であれば、AK380と極端な違いはなく同じような傾向といえるだろう。ちなみに、試聴機自体のエージングが済んでいないため、その影響も考えられる。

実際に聴き比べて違いを感じるのはわずかで、AK380のほうが変な力みが感じられないより自然体な音という印象だ。AK320では、全体のまとまりやバランスをAK380に寄せているためか、細部のディティールの表現が少し違うように思う。特にロー側のみやすさはAK380に分がある。

ちなみに、96kHz/32bitでも配信されているTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDの「打ち寄せられた忘却の残響に」(制作フォーマット:96/24bit)を試しに聴いてみたが、AK380のほうが打ち込みの音がより豊かに感じられた。ディティールの再現はAK380のほうがすぐれている印象だ。

まとめ 50万円の音が25万円で手に入る?

AK320は、AK380の廉価バージョンのような存在だ。AK380を踏襲しつつ機能を取捨選択することで、価格を大幅に抑えた。ほかの「VERITA AK4490」搭載機と比べてしまうと、値段の高さは目立つが、AK380の500,000円からすれば、AK320は「手が届く範囲になった」と言っていいだろう。

また、価格が半分になったことで当然疑問に思うのが、品質への影響だろう。実際に聴いてみると、AK320がネイティブで再生できる範囲であれば、AK380に匹敵するクオリティーを実現しているのは確かだ。ネイティブでの再生範囲が狭いというデメリットもあるが、現在のハイレゾ音源の主流は192kHz/24bit以下のため、性能不足になるシーンはそんなに多くないはずだ。DSD再生ではさすがに違いは出るが、クオリティーが極端に大きく下がることもない。機能面についてもほぼ同等だ。そうしたことを踏まえてスペックを見ていくと、AK380に比べてコストパフォーマンスは高い。

では、AK380とAK320を購入するときの決め手は何か。DSDや32bit音源のクオリティーを最重視して再生したい方なら迷わずAK380の一択だろう。逆にこれらの音源を聴かない方はAK320でも必要十分ではないだろうか。

ただ、25万円という価格帯ではライバルが存在する。ポータブルオーディオプレーヤーではないが、CHORDのDAC内蔵のポータブルヘッドホンアンプ「Hugo」だ。Hugoではバランス接続やネットワーク機能はないが、ネイティブで再生できる能力は上回っている。AK320の購入を検討している方なら、一度聴き比べてみるのもいいだろう。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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