レビュー
高級イヤホンの先駆けUltimate Ears「TripleFi 10」の進化版

“イヤホンの神様”が手がけた日本限定のカナル型イヤホン「TriFi」を聴いた!

日本市場向けに1000台限定で生産されるJH Audio「TriFi(トリファイ)」は、バランスドアーマチュア型ドライバーを3基搭載するカナル型イヤホンだ。「カスタムIEMの神」とも評されるイヤホン界の大御所ジェリー・ハービー氏が手がけた製品で、同氏の3ドライバー構成のカナル型イヤホンは、実に10年ぶりの新製品となる。今回はそんなTriFiをレビューしよう。

JH Audioのカナル型イヤホンTriFi

JH Audioのカナル型イヤホンTriFi

JH Audioの最新技術を投入したコンシューマー向けの製品

はじめに、国内で販売されているJH Audioのユニバーサルイヤホンのラインアップを整理しておきたい。現在市場にはJH Audioのカナル型イヤホンが3モデルあって、ドライバー数ごとに、12ドライバー構成のLaylaとRoxanne、8ドライバー構成のAngieに分けられる。これらはいずれもプロフェッショナル向けのモデルで、レコーディングスタジオでのスタジオマスタリングのリファレンス用として設計されている。

いっぽう、今回紹介するTriFiはコンシューマー向けの製品。ドライバー構成は低域×2と高域×1の3基で、先述のプロ向けモデルに対してドライバー数は控えめ。実はこの3ドライバー構成は、ジェリー・ハービー氏がUltimate Ears時代に手がけた代表作「TripleFi 10」と同じ仕様で、そのデビュー10周年を記念したアニバーサリーモデルとなるのがTriFiなのだ。価格は6万円で、発売は4月中旬から下旬頃となっている。ちなみに、JH Audioのユニバーサルイヤホンはどれも15万円オーバーなので、その中では手の届きやすい存在だ。

TriFiは、ドライバー構成こそ同じであるものの、TripleFi 10とは中身が完全に別物。ドライバーは新しく設計したもので、クロスオーバー周りも一新。またプロ向けモデルで採用されている位相を整える「FreqPhase Technology」を加えるなど、JH Audioの最新技術が惜しみなく投入されているのだ。TriFiは、プロ向けモデルではないが、そこで培った技術も活用しているユニークな存在といえるだろう。

細身のフォルムとマザーパールをあしらったフェイスが特徴的な外観。装着感は良好

シェルは、最近の同社のユニバーサルモデルと同様、ギターのピックとよく似たデザインだ。

ボディはカスタムIEMをベースとしたふくらみのある形状だが、全体的にコンパクトにまとめられている。特徴的なのはノズルに向かってシェルが細くなっていく独特なフォルム。これにより耳の穴の入り口周辺と干渉しにくく、耳の深くまで挿しこめるような感覚がある。着け心地はきわめて快適で、長時間装着しても途中で痛くなることはないはずだ。挿し込む深さに関係なく装着時のバランスがいいのも特徴で、歩行時に抜け落ちることもないだろう。

シェルは藍色でラメのようなキラキラとした光沢感がある。フェイスにはマザーパールを施し見た目も華やか。各ユニットのマザーパール表面には、右側にJH Audioのフライングガールのロゴを、左ユニットにTriFiと書かれたアートワークが加えられている。全体的に見た目に関しては最近のJH Audioらしいデザインとなっている。

シェルの外側と内側

シェルの外側と内側

フェイスにはマザーパールをあしらっている

フェイスにはマザーパールをあしらっている

ノズルは長めに作られている。プロ向けモデルのLaylaやAngieと同じくらいだ

ノズルは長めに作られている。プロ向けモデルのLaylaやAngieと同じくらいだ

ノズル部。音導管は2本のようだ

ノズル部。音導管は2本のようだ

シェルとの接続は2ピンタイプで着脱が可能。プレーヤーとの接続はL字型コネクタとなっている。分岐はY字

シェルとの接続は2ピンタイプで着脱が可能。プレーヤーとの接続はL字型コネクタとなっている。分岐はY字

装着例

装着例

耳からあまりはみ出さないコンパクトサイズとなっている

耳からあまりはみ出さないコンパクトサイズとなっている

音質インプレッション

使用したプレーヤーは、Astell&Kernのハイレゾ対応オーディオプレーヤー「AK380」。TriFiと同じ技術が使われているプロ向けモデルたち(LaylaやAngie)と聴き比べてみた。

まず、LaylaやAngieを先に聴いてみたが、いずれも、全帯域にわたって非常にクリアで、ディテールの細かさをしっかり拾い上げる豊富な情報量もすごい。各帯域が見渡しやすい分析的なモニターイヤホンになっている。

いっぽうでTriFiの魅力はそれらとは違う。端的に言うと、BA型でありながらある意味ダイナミック型のような傾向を持つところにあると思う。プロ向けモデルに比べれば、情報量もそこそこで、クリアさも負けてしまうが、ステージ上で演奏しているバンドを見ているような生の熱量のあるサウンドが楽しめる。プロ向けのモデルが冷静なサウンドとするなら、TriFiは生っぽい荒々しさを感じさせてくれるサウンドだ。

特に、低音は芯を見据えつつ深いところまでしっかり表現してくれるのがいい。ベースやバスドラムの細かなニュアンスはやや薄く感じてしまうが、音の芯の部分はしっかり残しており、そこを力強く仕上げている。ノリのよさは抜群だ。また、そうした迫力ある低音ながらしっかり聴こえてくるボーカルもなかなかだ。フォーカスもあっており、ピントの甘さは感じない。一部、複数人構成のグループ全員がハモるシーンでは押し出しが弱まる印象だが、そこまで気になるレベルではないだろう。高域もソツがないレベルで、鋭すぎないように出している印象がある。

そういう印象もあってか、ロックやフォーク、EDMだけでなく、わりとクラシックとも相性がいい。実際に聴いてみるとは幅広いジャンルの音楽を楽しめるモデル。モニターライクではないが、懐の深いサウンドといえるだろう。

まとめ

メーカーは違えどTripleFi 10の進化モデルといえるTriFi。2ウェイ3ドライバー構成こそ同じであるものの、ドライバーやクロスオーバー、独自の技術など、そのスペックを見るとあきらかにJH Audioの最新のテクノロジーに支えられたモデルであることがわかる。

JH Audioのほかの高級ユニバーサルモデルと比べてしまうとディテールの甘さは目立ってしまうが、いっぽうで熱量のある雰囲気はTripleFi 10ゆずりでTriFiならではの部分。そういう意味ではJH Audioの最新技術によってリファインされた、ジェリー・ハービーが手がけたトリプルドライバーのカナル型イヤホン最新作と表現できるだろう。ShureやWestoneなどライバルの多い価格帯の製品ではあるが、その中にあっても埋もれないノリのよい音が楽しめる。

限定生産ということもありこれを逃すと次の販売はないかもしれない。気になる方は早めにチェックしておいたほうがいいだろう。

銭袋秀明(編集部)

銭袋秀明(編集部)

編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!

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