finalは2014年に発売された3Dプリンターで造形されたイヤホン「LAB I」の新作となる「LAB II」を参考出展。64チタンで作られた網目模様の筐体が特徴的で、その形を出力するのにはなんと20時間もかかるという複雑なもの。さらに職人の手によって磨き上げているという鏡面加工もきれいな仕上がりだ。前モデル同様、NTTデータエンジニアリングシステムズの技術協力により造形されている。ドライバーは新開発の15mmダイナミック型で、イヤーピースなしでつけられる構造。ケーブルはMMCXコネクタを採用した着脱式。発売は6月から7月で、市場想定価格は40万円前後。全世界で300台限定生産という。
final audio「LAB II」
完実電気の展示スペースで来場者が途絶えなかったのが、アメリカの楽器メーカーFenderが手掛けたイヤホンだ。同社が2015年に買収したIEMメーカーAurisonicsの技術をベースに、音質チューニングなどを行っている。Fenderのロゴが入ったシェルデザインも印象的だ。ラインアップは、上位に位置する「ハイブリッド構成(ダイナミック型+バランス度・アーマチュア型)」、中間に位置する「マルチBA型」、エントリーの「ダイナミック型」の3種類で、価格は12,000円〜62,800円(税別)となっている。発売は5月〜6月頃。
Fenderイヤホンの最上位モデルとなる「FXA7」
イベント初日に発売されたPai audioは、中国の深センに本拠を置く2014年に設立されたばかりのイヤホンブランド。コストパフォーマンスにすぐれたイヤホンをラインアップしており、今回は、BA型×3基の「PAI-MR3」(市場想定価格は24,200円前後)、ダイナミック型の「PAI-DR1」(同 6,640円前後)、インイヤー型の「3.14FLAT」(同 2,420円前後)の3モデルが発売となった。ブースにいたスタッフによれば、海外で流通している「PAI-MR3」の搭載ドライバーが、Sonion社なのに対して、国内モデルはKnowles社だったとのこと。
BA型ドライバー3基搭載するカナル型イヤホン「PAI-MR3」。外見はカスタムのような丸みのあるフォルムをしている
中国のミュージシャン向けカスタムイヤホンで70%ものシェアを持つという「Shenzhen Qili Audio Application(QDC)」が国内に初上陸する。スタジオエンジニアやアーティスト向けの「Studio」と「Live」のほか、オーディオ愛好家向けの「HiFi」という3シリーズを用意し、各シリーズに8ドライバーや4ドライバーなどがラインアップされている。国内ではまず、各シリーズの8ドライバーをリリースする予定とのことだ。市場想定価格は16万円前後で、発売時期は夏頃。ユニバーサルモデルも用意するという。技術力の高さがうかがえる音だ。
Studioシリーズで8ドライバーの「8SS/CS」(左)、HiFiシリーズの8ドライバーの「8SH/CH」(右)
コストパフォーマンスにすぐれた高音質DAPで人気のiBasso Audioの注目製品が、新型のハイレゾDAP「DX80」。シーラス・ロジックのDAC「CS4398」を2基、L/Rチャンネルのそれぞれに1基ずつ配置したデュアルDAC構成。内部クロックにはシリコンベースのSiTime社のMEMS発信機を2基搭載。水晶を使用しないクロックを採用することで、周波数の安定度を高めて、位相ノイズやジッタを抑えることで、音質を高めている。そのほか、ステレオミニ、ラインアウト、光/同軸コンボ出力といった充実した音声出力のほか、microSDHC/microSDXCカード対応スロットをダブルで備えるなど、拡張性も十分だ。対応フォーマットは、DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24bit。価格は価格.com最安価格で49,800円(税込。記事執筆時点)。
iBasso Audio「DX80」
米国を中心に高い評価を得ている韓国のデジタルAV機器メーカー「The Bit」が引っさげてきたのが、ハイレゾDAP「OPUS #1」。DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24bitまでの音声ファイルに対応した、Android OSベースのハイレゾプレーヤーで、DACにはシーラス・ロジックの「CS4398」を2基搭載している。著名なエンジニアやサウンドデザイナーなどが加わり、8か月にわたってサウンドチューニングを行っているという。音声出力は、ステレオミニ(光デジタル兼用)、2.5mmバランスの2系統。2基搭載されたmicroSDHC/microSDXCカードスロットの最大容量は200GB。内蔵ストレージ容量は32GB。発売は5月下旬頃(e☆イヤホンにて先行販売を開始)、市場想定価格は73,000円前後。
The Bit「OPUS #1」
高音質プレーヤーらしからぬ薄型のスマートフォンのような外見が印象的な米Acoustic ResearchのハイレゾDAP「AR-M20」。タッチ対応5インチ液晶を搭載し、Android OS 4.3を採用するなど、インターフェイスもスマホライク。本体デザインは上位モデル「AR-M2」とうりふたつだが、性能については廉価版になっている。DACにはバーブラウンの「PCM5242」を搭載し、DAC内部でオペアンプとカップリングコンデンサに関する処理を行うダイレクトドライブ方式を採用。アナログ出力部のグレードを抑えることで、上位モデルより薄くしているのが特徴だ。なお、上位モデルの「AR-M2」同様、オーディオパスを搭載した独自開発のミュージック再生アプリ「AR Music Player」をプリインストールしている。発売は6月17日。価格は74,000円(税別)。
Acoustic Research「AR-M20」
老舗高級オーディオメーカーのラックスマンは、5年ぶりとなる約10万円のUSB DACの新モデル「DA-150」を発表。2011年に発売された「DA-100」の後継モデルという位置付けだが、デジタル回路をはじめとする主な仕様は2015年に発売された上位機種「DA-250」を踏襲し、対応フォーマットも、DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/32bitと同じに。ヘッドホン出力のアナログ回路部には、上位モデルと同等のディスクリートバッファーを搭載した高音質アンプ回路を採用したうえ、ヘッドホン音量を制御するところには小音量時のレベル偏差を廃した電子制御音量調節アッテネーター「LECUA」を採用。DA-250に搭載されていたプリアンプ機能はないものの、デジタル回路とヘッドホン出力は上位モデルに匹敵する設計となっている。発売は6月下旬予定。価格は98,000円(税別)。
ラックスマン「DA-150」
ALO audioからは、真空管を1基搭載する小型ポータブルヘッドホンアンプ「Continental V5」を参考出展。音声出力は3.5mmステレオミニを2系統備えた、アナログのみのシンプルな構成のポタアンで、真空管には「Continental Dual Mono」と同じ三極管6111が採用されている。国内では6月頃の発売予定で、市場想定価格は699ドル〜799ドルを予定しているとのこと。
ALO audio「Continental V5」