カスタムIEMメーカーが本気で作った高級イヤホン

個性派揃い! Unique MelodyのユニバーサルIEM全6モデルを一斉レビュー

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Unique Melody(ユニーク・メロディ)のユニバーサルIEM

中国・珠海市に本拠を置くカスタムIEMメーカー、Unique Melody(ユニーク・メロディ)といえば、ダイナミック型とBA型のドライバーを合わせて活用するハイブリッド構成のカスタムIEMを早い時期から作り上げ、各国の輸入代理店と協力してオリジナルモデルを開発するなど、特徴的なラインアップとユーザーフレンドリーな姿勢が好評を得ている注目のブランド。そんなUnique Melodyが、カスタムIEMに加えてもうひとつ、力を入れている製品がユニバーサルフィットの高級イヤホンだ。

基本的に、カスタムIEMのユニバーサル版といっていい内容のUnique Melody製(ユニバーサル)イヤホンだが、「耳型を取らなくていいので気楽に購入できる」といった理由以外にも、大きな魅力を持ち合わせている。それは、ユニバーサル専用のチューニングが行われていることだ。

カスタムIEMとユニバーサルIEM(インイヤーモニター=イヤホン)では密閉性や遮音性が異なるため、自ずと音の聴こえ方が変わってくる。その違いに合わせるべく、Unique Melodyではそれぞれにベストな専用チューニングが行われているのだ。結果として、「カスタムIEMよりもユニバーサルの方が好みの音」というユーザーも出てきていたりと、興味深い現象が起こっていたりする。

いっぽうで、Unique MelodyのユニバーサルIEMには、ちょっとした問題点があったりする。それは、製品名を聞いただけでは製品的な特徴がさっぱり分からないということだ。というのも、Unique Melodyでは、クルマのペットネームのような製品名を与えるのが習わしとなっているようで、名前だけでは搭載しているドライバーの種類も数も分からない(非公表という製品もあったりする)。さらに、製品の大半が“M”から始まる名称となっているため、余計に区別がつきにくかったりもする。

ということで、今回は現在ラインアップされているユニバーサルIEM全6モデルについて、スペックとサウンドの特徴を紹介していこうと思う。是非とも、この記事を参考にして、音の好みが合いそうな製品はどれか、自分にとってベストな製品はどれかということをぜひ検討してみて欲しい。ちなみに、今回の試聴にはプレーヤーとしてIRIVER「Astell&Kern KANN」を使用している。

MACBETH II Classic

MACBETH II Classic

MACBETH II Classic

以前「最強のエントリー機」としてUnique Melodyがリリースした「MACBETH」の第2世代モデル。筐体の小型化(長辺が約2.4cmから約2cmへ奥行きが約1.7cmから約1.3cmに縮小)によりフィット感を向上させ、幅広いユーザーがストレスなく利用できるよう配慮されている。また、筐体自身は3DプリンターではなくカスタムIEMと同じ樹脂で製作、1つ1つ手作りで作成することで、質感の高いフィニッシュを実現している。なお、ドライバー構成については、BA型を使用していること以外(ドライバー数など)は非公表となっている。

そのサウンドは、ひとことで表すならばソリッドでキレのある音。ドラムやベースの音はかなり締まっており、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどを聴くとかなり鋭いリズムの刻みに感じられる。逆に、TOTOのライブ盤などアンビエントの多い楽曲などでは、広がり感のよさとグルーブ感の調和が絶妙で、聴いていて心地よい。アース、ウインド&ファイアもストレートな音色とリズムの呆けなさがピッタリマッチし、ノリのよいサウンドを楽しませてくれる。Jポップ、Jロックとの相性も悪くない。RADWIMPSも、リズム隊がやや軽めだが、ノリのよい演奏を聴かせてくれる。いっぽうで、女性ボーカルはややハスキーさが目立つ。ドライな、ちょっと大人っぽい歌声だ。とはいえ、これはこれで魅力的でもある。

もうひとつ、この製品のアドバンテージといえるのがスマートフォン直出しのヘッドホン出力でもサウンドキャラクターがあまり変化ないことだ。そういった汎用性の高さは、初代「MACBETH」でも配慮されていた部分だが、それを引き継いでくれているのはありがたい限り。スマホでもいい音を楽しみたい、という人にもうってつけの製品だ。

【製品仕様】
ドライバー:バランスド・アーマチュア型(BA型)
ドライバー構成:非公表
クロスオーバー:非公表
周波数特性:20Hz - 20kHz
入力感度:110dB
インピーダンス:104Ω
イヤホン端子:Custom 2pin端子
入力端子:3.5mmミニ端子

MASON II

MASON II

MASON II

Unique Melody製イヤホンのなかでも、フラッグシップに位置するハイエンドモデルのユニバーサル・バージョンであり、「各国の正規輸入代理店の意見を取り入れながら、それぞれの土地柄にあったIEM製品を投入していく」という現在の方針を最初に反映したモデルでもある。ドライバーユニットには、低域4、中域4、高域4の計12基のBAドライバーを搭載する。そのうち中域の4基にオープン型BAドライバー(筐体背面にポートが設けられているユニット)を採用。イヤホンのフェースプレートにポートを設けることでエアーフローを最適化し、音場感豊かなサウンドを追求している。さらに、音導管にはプラチナ塗装の合金素材を使用することで、よりストレートな表現を獲得するなど、随所に独特の工夫が凝らされている。

そのサウンドは、堂々とした鳴りっぷりと、音数の多さが特徴。特に低域の解像感の高さと量感のマッチングが絶妙で、チェロなどはたっぷりとした厚みを持つ、それでいてキレのよいリズミカルな演奏を聴かせてくれる。

表現力の高さも特筆ものだ。バイオリンは基音の明瞭な演奏を、ピアノは軽やかなタッチと伸びやかな付帯音のアンサンブルが絶妙な煌びやかな音色を聴かせてくれる。そのいっぽうで、エレキギターの音の厚みも充分以上、ベースもうねるような演奏を聴かせてくれる。不得意なジャンルのない、なかなかの優等性っぷりだ。

さらに魅力的なのがボーカルだ。ChouChoの「優しさの理由」「明日の君さえいればいい。」を続けて聴くと、マイクまでの距離感の違いばかりか、年齢の違いさえ感じられるほど。アーティストにとってはそこまであからさまになるのは怖いかもしれないが、ファンにとってはたまらないリアルさ満点のストレートな表現となっている。ポップソングだけでなく、さまざまなジャンルの楽曲をとにかくいい音で聴きたい、という人にはオススメの製品だ。

【製品仕様】
ドライバー:バランスド・アーマチュア型(BA型)
ドライバー構成:12ドライバー(Low x 4, Mid x 4, High x 4)
クロスオーバー:3ウェイ・クロスオーバー
周波数特性:20Hz - 20kHz
入力感度:111.4dB
インピーダンス:22.1Ω
イヤホン端子:Custom 2pin端子
入力端子:3.5mmミニ端子

MAVERICK II

MAVERICK II

MAVERICK II

カスタムIEMモデルが“マベカス”という愛称で親しまれている人気機種のユニバーサル版がセカンドバージョンへと進化。1基のダイナミック型ドライバーと、4基のBA型ドライバーを搭載したハイブリッド構成を採用しているのは変わらず、一般的なハイブリッドモデルとは異なり、低域にダイナミック型+BA型、中域にBA型1基、高域にBA型2基を担当させる独創的なドライバーレイアウトも同じ。しかしながら、フェースプレートに設けられたポートが1つから2つに変更され、音導管にプラチナ塗装の合金チューブを採用するなど、新たにフラッグシップモデル「MASON II」で培った技術が随所に投入されている。

そのサウンドは、抑揚の大きい、ダイナミックな表現が特徴。特筆なのが、ボーカルが普段より一歩前に出てきたかのような、生き生きとした奔放な歌い方をしてくれるところだ。たとえば男性ボーカルは、低域の量感がしっかり確保された、落ち着きのある歌声が楽しめる。女性ボーカルはちょっとだけハスキーだが、こちらも腰の据わった落ち着気のある歌声がなんとも魅力的だ。また、音数や細やかなニュアンス表現も良好なため、ライブ音源などとの相性も良好となっており、TOTOは会場にいるかのような臨場感溢れるサウンドが楽しめる。バイオリンの音色も魅力的だ。オーケストラを聴くと、アンサンブルがとても重厚で、荘厳なイメージの楽曲に感じられる。

もうひとつ、特徴的なのが低域のフォーカス感の高さだ。たっぷりとした量感を持ち合わせているのにもかかわらず、中域の表現を邪魔しないばかりか、見事なつながりを持つ低域の表現によって、チェロの独奏はとても重厚な表現に感じられるし、エレキベースもうなるような演奏を披露してくれる。

端的に表現するならば「MAVERICK II」は“ムード満点で勢いのある音”といえる。好みの差こそあれ、音楽が生き生きと聴こえる「MAVERICK II」のサウンドは、大いに魅力的だ。

【製品仕様】
ドライバー:ハイブリッド型(ダイナミック型ドライバー + バランスド・アーマチュア型ドライバー)
ドライバー構成:5ドライバー(Low x 2 (Dynamic x 1 + BA x 1), Mid x 1, High x 2)
クロスオーバー:4ウェイ・クロスオーバー
周波数特性:10Hz - 20kHz
入力感度:111.7dB
インピーダンス:23.3Ω
イヤホン端子:Custom 2pin端子
入力端子:3.5mmミニ端子

MAVERICK

MAVERICK

MAVERICK

先日、進化版の「MAVERICK II」が登場したものの、オリジナル「MAVERICK」の人気はいまだ根強く、引き続きラインアップされているのでこちらも紹介しよう。

「MAVERICK」シリーズ最大の特徴といえば、ドライバー構成だろう。ダイナミック型1基とBA型4基のハイブリッド構成を採用するが、一般的なハイブリッドモデルとは異なり、低域にダイナミック型+BA型、中域にBA型1基、高域にBA型2基を担当させる独創的なドライバーレイアウトを採用している。また、フェースプレートに設けられたポートによって、ダイナミックレンジを確保している点も個性のひとつとなっている。

そのサウンドは、端正で自然な音色が特徴的。「MAVERICK II」と基本的な表現は近いが、寄り客観的で距離感のあるサウンドキャラクターに仕立てられている。

たとえばアコースティックギターは、音色がとても自然で、かつピッキングの強弱まで詳細に分かるほどの細やかな表現力も持ち合わせる。音色の自然さ、という点ではエレキギターもエレキベースも同じ。フォーカス感の高い、締まりのある音なのだが、高域がきめ細やかなためか、やさしく柔らかな音色にも感じられる。基本的にはモニター系ともいえる音色傾向だが、聴き心地のよさもしっかりと重視されている、そんなイメージのサウンドだ。緻密で正確なサウンドを目指した歌声となっている。

いっぽうで、女性ボーカルはサ行がやや強めで明瞭さを意識したイメージ、ハイハットやシンバルは厚みの薄い音に感じられるあたりは、好みが分かれるかもしれない。「MAVERICK II」と聴き比べて、どちらが好みかを探るのがよさそうだ。

【製品仕様】
ドライバー:ハイブリッド型(ダイナミック型ドライバー + バランスド・アーマチュア型ドライバー)
ドライバー構成:5ドライバー(Low x 2 (Dynamic x 1 + BA x 1), Mid x 1, High x 2)
クロスオーバー:4ウェイ・クロスオーバー
周波数特性:10Hz - 19kHz
入力感度:111dB
インピーダンス:51Ω
イヤホン端子:Custom 2pin端子
入力端子:3.5mmミニ端子

MAVIS II

MAVIS II

MAVIS II

低域の量感とフォーカス感を両立するため、直径7mmという比較的小型のダイナミック型ドライバーを2基搭載。これに中域1基、高域1基のBA型ドライバーを組み合わせたハイブリッドモデルがこの「MAVIS II」だ。

名前が示すとおり、こちらオリジナル「MAVIS」のセカンドバージョンとなっているのだが、リリースが「MAVERICK II」と同じタイミングだったこともあってか、フェースプレートにポートが2つに設けられていたり、音導管にプラチナ塗装の合金チューブが採用されるなど、こちらにも新フラッグシップ「MASON II」で培った技術が随所に投入されている。

響きのよい、それでいて明瞭な低域が特徴のサウンドがとても印象的。チェロの演奏を聴くと、ボーイングのスピードの強弱によって、音色の表情というか、ビブラートの襞の様子が大分異なってくるのが如実に分かるし、ダブルベースとチェロでは帯域だけではなく得意な音色も大きく違っていることが明確に把握できるし、それぞれの個性が際立つことによって、そのアンサンブルもより印象的に感じられる。

ライブ音源との相性もよさそうだ。TOTOのライブ盤は、広がり感のあるステージに一定の距離を保って各パートがレイアウトされているのだが、そういった様子が客観的に伝わってくる。迫力や臨場感はあるのだが、決して破綻していない絶妙なバランス、といったイメージだ。ちなみにボーカルは、高域にやや擦過音がのるが、男性も女性もやさしげな雰囲気が漂う、丁寧な歌い方だ。そのいっぽうで、サラ・オレインなどはバイオリンの音色が生き生きとしていて、弾みがあり、聴いていて楽しかった。女性ボーカルやクラシック、アコースティック楽器の演奏をよく聴く人は、是非一度試してみて欲しい。

【製品仕様】
ドライバー:ハイブリッド型(ダイナミック型ドライバー + バランスド・アーマチュア型ドライバー)
ドライバー構成:4ドライバー(Low x 2(ツインダイナミックドライバー), Mid x 1, High x 1)
クロスオーバー:3ウェイ・クロスオーバー
周波数特性:20Hz - 18kHz
入力感度:110.6dB
インピーダンス:24.3Ω
イヤホン端子:Custom 2pin端子
入力端子:3.5mmミニ端子

MENTOR V2

MENTOR V2

MENTOR V2

今回紹介するユニバーサルモデルのなかで唯一、ミックスウエーブ(日本の輸入代理店)との協力体制でなく、Unique Melody本社のサウンド・エンジニアのみでチューニングを手掛けたモデル。低域4、中域2、中高域2、高域2という合計10基のBAドライバーを搭載している。「MASON II」のようなフェースプレートのポートは設けられていないが、プラチナ塗装された合金チューブの音導管は採用されている。

結果として、今回の6製品のなかでは最も特徴的なサウンドとなっているのが興味深い。音色傾向、サウンドバランスは、強いていうならばボーカルモニター・ヘッドホンに近いイメージで、高域が鋭く、けれども強すぎることは巧みに避け、同時に低域の量感を重視することで、堂々とした落ち着きあるサウンドにまとめ上げられている。

こういった特徴のため、Jポップ、Jロックとはあまり相性はよくないものの、レッド・ホット・チリ・ペッパーズは6製品のなかで最も相性のよいサウンドバランスになってくれた。チャド・スミスならではのキレキレのスネア&バスドラムはそのままに、ギターやハイハットが鋭すぎることなくうまくまとまり、絶妙なグルーブ感を作り上げている。TOTOのライブ盤もいい。量感がありつつ、ローエンドまでしっかりと伸びている低域が、ライブ会場の一段と臨場感を高めてくれている。

低域が量感重視のため、ベースラインのフォーカスを気にする人などは好みから外れるかもしれない。多少好みが分かれる音色傾向だが、この堂々とした鳴りっぷりもまた別の魅力があるので、是非一度は試聴してみて欲しい。

【製品仕様】
ドライバー: バランスド・アーマチュア型(BA型)
ドライバー構成:10ドライバー(Low x 4, Mid x 2, Mid/High x2, High x 2)
クロスオーバー:4ウェイ・クロスオーバー
周波数特性:20Hz - 20kHz
入力感度:112dB
インピーダンス:20Ω
イヤホン端子:Custom 2pin端子
入力端子:3.5mmミニ端子

野村ケンジ

野村ケンジ

ヘッドホンなどをはじめ幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても造詣が深く、アニソンレーベルのスーパーバイザーを務めるほか、TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」コーナーではアドバイザーとしてレギュラー出演している。

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2018.1.16 更新
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