人気の中級機と「DIGIC 7」採用のエントリー機を比較レビュー

キヤノンの一眼レフ、この春買うなら「EOS 80D」「EOS 9000D」どっちがいい?【AF・操作性編】

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左が中級機「EOS 80D」、右が最新のエントリー機「EOS 9000D」

左が中級機「EOS 80D」、右が最新のエントリー機「EOS 9000D」

キヤノンは2017年4月7日、エントリー向け一眼レフカメラの新モデルとして「EOS 9000D」と「EOS Kiss X9i」の2機種を発売した。いずれも、中級機「EOS 80D」と同等のAFシステムや、キヤノンの一眼レフとして初めて最新の映像エンジン「DIGIC 7」を採用するなど、高性能なエントリー機として話題を集めている。

本記事で取り上げるのは“プレミアムエントリー”というキャッチコピーがついた上位機のEOS 9000D。中上級機が持つ操作性を取り入れた、エントリー機と中級機の間を狙った製品だが、従来モデル「EOS 8000D」よりも性能が向上したことで、より中級機に近い位置づけのモデルとなっている。

その分、価格は従来モデルよりも若干高く設定されており、EOS 9000Dのボディ単体の価格は直販サイトで116,100円、2017年4月18日時点の価格.com最安価格で100,659円(いずれも税込)。家電量販店やカメラ専門店は別だが、価格.comでは中級機のEOS 80Dよりも高い価格となっている(※EOS 80D の2017年4月18日時点の価格.com最安価格は92,380円)。EOS 9000Dの発売直後ということもあって上位モデルと価格の逆転現象が起こっているのだ。

そうなると価格の下がってきたEOS 80Dを選びたいところだが、EOS 9000DにはDIGIC 7採用という最新モデルとしての魅力がある。そこで本記事では、両モデルを使い比べてみてオートフォーカス(AF)や操作性、画質、機能性の違いをレビューし、この春に購入するならどちらを選んだほうがいいのかをまとめたい。AF・操作性編と画質・機能編の2回に分けてお届けしよう。


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比較の焦点になるのは「使い勝手」と「画質」

最初にEOS 80DとEOS 9000Dのスペックの違いをまとめよう。キヤノンのラインアップの中では、EOS 80Dは中級機の下位モデルで、EOS 9000Dはエントリー機の上位モデル。EOS 80Dのひとつ下にEOS 9000Dが位置している。

発売日・価格、撮像素子・映像エンジン・感度 光学ファインダー、光学ファインダー撮影時のAF・連写・測光 液晶モニター、ライブビュー撮影時のAF・連写・測光 シャッタースピード・バッテリー、動画 記録メディアなど、サイズ・重量

EOS 80Dは、最高7コマ/秒の連写や最速1/8000秒のシャッタースピードなど基本的な性能がEOS 9000Dよりも高い。視野率約100%の光学ファインダーを搭載するのも中級機らしいところで、一眼レフとしての使い勝手を左右するスペックはさすがにEOS 9000Dを上回っている。

いっぽうのEOS 9000Dは、エントリー向けとしては非常に高い性能を持つモデルで、従来モデルのEOS 8000Dと比べると大幅な進化を遂げている。光学ファインダー撮影時/ライブビュー撮影時ともにEOS 80Dと同等のAFシステムを採用。細かいところは次項目以降で触れるが、ライブビュー撮影時のAFについては使い勝手でEOS 80Dを上回るところもある。そのうえで、映像エンジンに最新バージョンのDIGIC 7を採用するのがポイント。静止画の感度を見るとEOS 80Dよりも高い感度での撮影が可能となっている。

スペックの特徴を踏まえると、両モデルの比較で焦点になるのは「使い勝手」と「画質」の2点になる。使い勝手はEOS 80Dが上回る部分だが、実際のAF性能や操作性、機能性でどのくらい違いがあるのかに注目したい。画質については、DIGIC 7を採用するEOS 9000Dがどのくらい進化しているのかが注目点となる。

光学ファインダー撮影時のAFは機能性に違いがある

それではEOS 80DとEOS 9000Dを使い比べてみてのレビューに移ろう。まずは、光学ファインダー撮影時のAF(+連写)性能をレポートする。

EOS 80D、EOS 9000Dともに、光学ファインダー撮影時のAFには45点の測距点を持つシステムを採用。いずれも、全測距点でF5.6光束対応のクロス測距が可能なほか、中央の測距点では、より高精度なF2.8とF5.6のデュアルクロス測距に対応している。最大27点でF8光束に対応するのと、中央測距点の低輝度限界性能(値が低いほうがより暗いところでのAFが可能なことを示す性能)がEV-3なのも共通だ。4種類の測距エリア選択モードを搭載するのも同じで、スペック的には同等となっている。

両モデルともオールクロス仕様の45点AFシステムを採用(※画像はEOS 9000Dのファインダー内を撮影したものになります)

実際に飛行機などの動体を被写体にしてEOS 80DとEOS 9000Dで撮り比べてみても、光学ファインダー撮影時のAFの速度や精度に差は感じなかった。両モデルとも初動が速く、被写体の食いつきがいい。追従性も高く、バスケットのシュート練習をする人物の撮影でも、奥行き方向に動く人物をしっかりと追いかけてくれた。キヤノンの一眼レフらしく高性能なAFで、すばやく動く動体の撮影にも対応する。

違いがあるのは機能性で、EOS 80Dはカスタム機能(C-Fn)において、動体予測を用いて被写体にピントを合わせ続ける「AIサーボAF」の特性を調整することが可能。被写体からAFフレームが外れたときの「被写体追従特性」、被写体の動く速さが大きく変化したときの「速度変化に対する追従性」、被写体が上下左右に大きく移動したときの「測距点乗り移り特性」の調整に対応しており、撮影する被写体にあわせてカスタマイズして使うことができる。たとえば、スポーツ競技の撮影などで狙った被写体以外の要素が多くなる場合は、被写体追従特性を下げることでピントが粘るようになり、ほかの被写体が横切っても反応せずに、狙った被写体にピントが合いやすくなる。また、モータースポーツのように、近づいてきた被写体が急減速して高速で遠ざかるような被写体を撮る場合は、速度変化に対する追従性を上げることで感度がよくなり、ピントが追従しやすくなる。スポーツ競技でサッカーやバスケットボールのように被写体の動きが激しい場合も同様だ。隠れていた野鳥が飛び出してくるシーンを撮る場合は、被写体追従特性を上げるとともに、速度変化に対する追従性も上げることで、急に現れた被写体に対しての反応が向上する。測距点乗り移り特性は、より大きな動きをする被写体を望遠で撮る場合など、追い続けるのが難しいシーンで有効な設定だ。

さらにEOS 80Dは、AIサーボAFで1コマ目を撮影するとき、ならびに1コマ目を撮影した後の動作特性・レリーズタイミングをそれぞれ設定することも可能。こうしたカスタマイズ性の高さを考慮すると、光学ファインダー撮影時のAFについては、基本性能は同じだが、動体撮影時の使い勝手でEOS 80Dに分があると感じた。

EOS 80Dはカスタム機能(C-Fn)で被写体追従特性や速度変化に対する追従性を設定できる

EOS 80Dはカスタム機能(C-Fn)で被写体追従特性や速度変化に対する追従性を設定できる

連写性能はEOS 80Dが最高約7コマ/秒、EOS 9000Dが最高約6コマ/秒で、秒間1コマの性能差がある。ただ、連写の持続性についてはコマ速の劣るEOS 9000Dのほうがよく、以下に掲載する表を見ていただきたいが、JPEGではカード容量いっぱいまで連写が可能。コマ速を重視するか、持続性を重視するかで判断の分かれるところだと思うが、離着陸する飛行機や、バスケットのシュート練習をする人物の追従撮影で使い比べた限りでは、コマ速にすぐれるEOS 80Dのほうが狙った瞬間を撮れることが多かった。

高速連続撮影時(EOS 80D:最高約7コマ/秒、EOS 9000D:最高約6コマ/秒)の連写の持続性を検証した結果。撮影はフォーカス動作をAIサーボAF にして常にAFが動作している状態で行った。条件が同じになるように被写体は静止物にしている。「撮影できた枚数」は、1回の連写でコマ速が落ちるまで撮影できた枚数をカウントし、それを3回繰り返した平均値。カッコ内の秒数は枚数の平均値をコマ速で割った値(理論上の持続時間)となる。SDメモリーカードにはサンディスクの16GB SDHC UHS-Iカード(Extreme Pro 95MB/s)を使用した

EOS 80Dとキットレンズとして用意される高倍率ズームレンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」を組み合わせて、AIサーボAFでシュート練習をする男性を約7コマ/秒で追従連写した1枚。シュートした瞬間を捉えることができた
EOS 80D、EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM、50mm(35mm判換算80mm相当)、ISO100、F5.6、1/1250秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、オートライティングオプティマイザ:標準、周辺光量補正:する、色収差補正:する、歪曲補正:しない、JPEG
撮影写真(4000×6000、5.5MB)

上に掲載した作例では、ゴールに向かってドリブル&シュートする男性を計20枚撮影したが、そのうちの12枚をサムネイル化したものになる。測距エリア選択モードは、AFが可能なエリア全体でピント合わせを行う「45点自動選択AF」にしたが、連写したすべてのコマで男性にピントが合った。コマによって明るさが変わっており、露出もしっかりと追従していることがわかる

EOS 80Dと望遠ズームレンズ「EF70-300mm F4-5.6 IS II USM」を使って、離陸する飛行機をAIサーボAFで追従連写して撮った作例。測距エリア選択モードは、左/中/右の3つのゾーンに分けてピント合わせを行う「ラージゾーンAF」を選択した。RAW現像で明るさやホワイトバランスを調整している
EOS 80D、EF70-300mm F4-5.6 IS II USM、200mm(35mm版換算320mm相当)、ISO100、F9、1/1000秒、ホワイトバランス:太陽光、ピクチャースタイル:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、オートライティングオプティマイザ:標準、周辺光量補正:する、色収差補正:する、歪曲補正:しない、RAW(Digital Photo Professional 4:明るさ調整+0.67、ホワイトバランス変更、デジタルレンズオプティマイザ50.0、輝度ノイズ緩和3.0)
撮影写真(6000×4000、10.7MB)

EOS 9000Dで撮影した作例。着陸する飛行機をAIサーボで追従連写した。測距エリア選択モードは、AFエリアを9つのゾーンに分ける「ゾーンAF」を選択
EOS 9000D、EF70-300mm F4-5.6 IS II USM、300mm(35mm版換算480mm相当)、ISO160、F5.6、1/1000秒、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:オート、高感度撮影時のノイズ低減:標準、オートライティングオプティマイザ:標準、周辺光量補正:する、色収差補正:する、歪曲補正:しない、回折補正:する、RAW(Digital Photo Professional 4:デジタルレンズオプティマイザ50.0)
撮影写真(6000×4000、14.2MB)

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2017.6.23 更新
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