レビュー
人気の中級機と「DIGIC 7」採用のエントリー機を比較レビュー

キヤノンの一眼レフ、この春買うなら「EOS 80D」「EOS 9000D」どっちがいい?【画質・機能編】

「EOS 9000D」の電子5軸手ブレ補正は効果が高い

動画撮影では両モデルで機能に違いがある。EOS 9000Dは、動画撮影時のみ利用できる機能になるが、5軸(水平回転、縦回転、回転軸、左右、上下)対応の電子的な手ブレ補正機能をボディに搭載。電子的な補正になるため撮影時の画角が狭くなってしまうものの、カメラ側でより強力に手ブレを補正して動画を撮ることができる。効果は、画角が90%になる「する」と、画角が70%になり、より大きな補正効果が得られる「強」の2種類が用意されている。

EOS 9000Dは動画撮影時に電子手ブレ補正の利用が可能。補正効果は「する」と「強」を選べる

EOS 9000Dは動画撮影時に電子手ブレ補正の利用が可能。補正効果は「する」と「強」を選べる

実際の効果は以下の比較動画をご覧いただきたい。広角での歩き撮りと望遠撮影で電子5軸手ブレ補正をチェックしたが、期待した以上の効果が得られた。広角での歩き撮りでは、大きなブレを抑えて、なめらかな動きの映像となっている。カメラの小さな動きがブレになってしまう望遠撮影では、焦点距離300mmの手持ち撮影でも手ブレをかなり抑えられた。さらに、手ブレ補正機能を搭載しないレンズ(EF50mm F1.8 STM)でも効果は十分。画角が狭くなるのと、解像感がやや損なわれてしまうのが難点だが、補正効果が高く、実用的な機能だと感じた。

EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMを装着したEOS 80D(レンズ側補正オン)とEOS 9000D(電子5軸補正オン)を同じプレートに取り付けて、広角での歩き撮り時の手ブレ補正効果を比較した。EOS 9000Dの電子5軸手ブレ補正の設定は「する(画角90%)」。その他の設定は1080/60p、18mm、動画撮影用プログラムAE、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準。左にEOS 80D、右にEOS 9000Dの撮影動画を並べている。※風切り音が入っています。

・画面左(EOS 80D)の撮影動画
・画面右(EOS 9000D)の撮影動画

EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMを装着したEOS 80D(レンズ側補正オン)とEOS 9000D(電子5軸補正オン)を同じプレートに取り付けて、望遠撮影時の手ブレ補正効果を比較した。EOS 9000Dの電子5軸手ブレ補正の設定は「強(画角70%)」。その他の設定は1080/60p、300mm、動画撮影用プログラムAE、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準。左にEOS 80D、右にEOS 9000Dの撮影動画を並べている。※風切り音が入っています。

・画面左(EOS 80D)の撮影動画
・画面右(EOS 9000D)の撮影動画

EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMを装着したEOS 80D(レンズ側補正オン)とEOS 9000D(電子5軸補正オン)を同じプレートに取り付けて、望遠撮影時の手ブレ補正効果を比較した。EOS 9000Dの電子5軸手ブレ補正の設定は「強(画角70%)」。両モデルで画角がそろうように、EOS 80Dは焦点距離300mm、EOS 9000Dは200mm程度にした。その他の設定は1080/60p、動画撮影用プログラムAE、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準。左にEOS 80D、右にEOS 9000Dの撮影動画を並べている。※風切り音が入っています。

・画面左(EOS 80D)の撮影動画
・画面右(EOS 9000D)の撮影動画

手ブレ補正を搭載しない単焦点レンズ「EF50mm F1.8 STM」を装着したEOS 80D(補正なし)とEOS 9000D(電子5軸補正オン)を同じプレートに取り付けて手ブレ補正効果を比較した。EOS 9000Dの電子5軸手ブレ補正の設定は「強(画角70%)」。その他の設定は1080/60p、動画撮影用プログラムAE、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:オート、オートライティングオプティマイザ:標準。左にEOS 80D、右にEOS 9000Dの撮影動画を並べている。

EOS 80D、EOS 9000Dともに1920×1080/30pでのタイムラプス動画の撮影が可能だが、EOS 9000Dは露出を1フレーム目に固定するか、フレームごとに更新するかを選択することが可能(※EOS 80Dは1フレーム目固定のみ)。日没から夜景になるシーンを撮る場合など露出変化が大きくなる場合でも、状況にあわせて明るさを保って撮ることができる。このほか、EOS 9000Dのタイムラプス動画は、モニター画面の自動消灯を設定したり、撮影時の電子音のオフにすることも可能だ。

EOS 9000Dは露出をフレームごとに更新してタイムラプス動画を撮影できる

EOS 9000Dは露出をフレームごとに更新してタイムラプス動画を撮影できる

EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMを装着したEOS 9000Dで撮影したタイムラプス動画。自動露出の設定を「毎フレーム更新」にして、撮影間隔3秒、撮影枚数300枚で日没直後の15分間の様子を10秒に収めている。露出はマニュアルでシャッタースピード1/30秒、絞り値F4、オート感度に設定。感度はISO800からスタートして暗くなるにつれて上がっていき、最後はISO3200になった。その他の設定は18mm、ホワイトバランス:オート(雰囲気優先)、ピクチャースタイル:ビビッド、オートライティングオプティマイザ:標準。

なお、動画の画質については、同じ被写体を1920×1080/60p記録で撮り比べてみたが、EOS 80DとEOS 9000Dでほとんど違いはないように感じた。スペック的には、MP4形式での1080/60p(ビットレート約60Mbps)のフルHD記録に対応しているのは共通。EOS 80DはMOV形式も選択可能で、MOVでの1080/30p 24pについては約90Mbpsのビットレートで記録できる。EOS 9000DはMP4形式のみの対応で、1080/30p 24p時のビットレートは約30Mbpsとなっている。

機能性は「EOS 80D」が上回る。「EOS 9000D」はBluetooth機能を搭載

次に、EOS 80DとEOS 9000Dの機能性の違いをまとめよう。

ボディの機能の大きな違いとしては、EOS 80Dは防塵・防滴構造になっていることが挙げられる。各所にシーリングが施されているほか、外装カバーの高精度段差合わせ構造や、グリップラバーの密着構造なども採用されており、ボディの作りは中級機とエントリー機として相応の違いがある。EOS 9000Dもエントリー機としてはしっかりとしたボディだが、EOS 80Dと比べると差がある。

撮影機能としてEOS 80DにあってEOS 9000Dにないのは、カスタム撮影モード(C1、C2)、多重露出撮影、HDR撮影など。HDR撮影は「クリエイティブフィルター」でも行えるが、仕上がり効果に「ナチュラル」を選択できるHDR撮影はEOS 9000Dには搭載されていない。最速シャッタースピードもEOS 80Dは1/8000秒に対応しているが、EOS 9000Dは1/4000秒となっている。さらに、EOS 80Dはボディ内RAW現像機能を搭載しているが、EOS 9000Dは非搭載なのも大きな違いだ。EOS 80Dは、レンズごとにAFの合焦位置を微調整できる「AFマイクロアジャストメント」も利用できる。

EOS 80Dのボディ内RAW現像機能の画面

EOS 80Dのボディ内RAW現像機能の画面

撮影時の設定では細かいところの機能性が異なる。たとえば、感度の手動設定を見ると、EOS 80Dは1/3段ずつ感度を変えられるが、EOS 9000Dは1段ずつとなっている(※オート感度時はEOS 9000Dでも感度が細かく制御される)。オート感度の設定では、EOS 80Dは感度の上限・下限の値を設定できるうえ、シャッタースピードの低速限界を設定することも可能。いっぽうのEOS 9000Dは感度の上限値をISO400〜25600の1段ステップで設定できるのみとなっている。

ホワイトバランスの設定では、EOS 80Dは2500〜10000Kの間で、100Kステップで色温度を直接変えることが可能。EOS 9000Dは、白い被写体を撮影してのマニュアルホワイトバランスには対応しているが色温度の直接設定はできない。

EOS 80Dはオート感度時にシャッタースピードの低速限界を設定できる

EOS 80Dはオート感度時にシャッタースピードの低速限界を設定できる

EOS 80Dはホワイトバランスの色温度を直接設定することも可能

EOS 80Dはホワイトバランスの色温度を直接設定することも可能

また、EOS 80Dは、ライブビュー撮影時の画面に表示する項目のカスタマイズが可能。撮影時のヒストグラム表示も輝度とRGBを選べる(EOS 9000Dは輝度のみ)。ワンショットAF時のAIサーボAF(サーボAF)への切り替え、AFフレームのダイレクト選択など、ボタンカスタマイズで割り当てられる機能もEOS 80Dのほうが多い。

EOS 80Dのライブビュー撮影の画面。ヒストグラムをRGBで表示できる

EOS 80Dのライブビュー撮影の画面。ヒストグラムをRGBで表示できる

このように、細かいところを見ていくとEOS 80Dのほうが多機能で、【AF・操作性編】の操作性のレビューでも述べたが、使い勝手はさすがに中級機のEOS 80DがEOS 9000Dを上回っている。ただ、EOS 9000Dには、レンズ光学補正の回折補正や、動画の電子5軸手ブレ補正など、最新モデルとしてEOS 80Dにはない機能が追加されている。Bluetooth(Bluetooth low energy technology)機能も搭載しており、ペアリング後であれば、カメラの電源をオンにすることで自動的にスマートフォンとのBluetooth接続が実現されるのもEOS 80Dにはないところだ。Bluetooth対応のワイヤレスリモートコントローラー「BR-E1」も使える。このほか、EOS 9000Dのシーンモードには「集合写真」が追加されている。

EOS 80DにあってEOS 9000Dにない機能

・防塵・防滴構造
・ヘッドホン端子
・シャッタースピードの1/8000秒対応
・カスタム撮影モード(C1、C2)
・多重露出撮影
・HDR撮影
・AFマイクロアジャストメント(AF微調整機能)
・感度の1/3段ステップでの手動設定
・オート感度の詳細設定(感度の上限・下限、低速限界値)
・ホワイトバランスの色温度の直接設定
・ボディ内RAW現像
・AIサーボAFのカスタマイズ(被写体追従特性など)
・動画サーボAFのカスタマイズ(AF速度、被写体追従特性)
・露出シミュレーション(「する」「絞り込み中」「しない」を選択できる)
・ライブビューソフト撮影(「モード1」「モード2」「しない」を選択できる)
・ライブビュー撮影時の情報表示のカスタマイズ
・撮影準備状態での「カメラ設定の内容」の表示が可能
・ブラケティングのカスタマイズ(自動解除のオン/オフ、順序、撮影枚数)
・セイフティシフトの設定
・AF測距不能時のレンズ動作(サーチ動作のオン/オフ)
・選択する測距エリア選択モードの限定
・縦位置/横位置のAFフレーム設定
・45点自動選択AF時のAIサーボAF開始測距点の設定
・AFフレーム選択時の循環のオン/オフ
・シャッタースピード優先AE/絞り優先AE時のダイヤル回転の反転
・専用バッテリーグリップ

EOS 9000DにあってEOS 80Dにない機能

・レンズ光学補正の回折補正
・動画の電子5軸手ブレ補正
・Bluetooth機能
・シーンモードの集合写真
・ライブビュー撮影時のスムーズゾーン(AF方式)
・タイムラプス動画の露出設定(「1枚目固定」「毎フレーム更新」を選択できる)
・撮影画面とメニューの表示変更(「やさしい」に変更可能)
・電子式手動フォーカスのオン/オフ切り替え

まとめ この春に価格.comで購入するなら「EOS 80D」がお買い得。「EOS 9000D」の価格が下がるのを待つのも手

2回に分けてEOS 80DとEOS 9000Dの違いをレビューしたが、最後に、この春に購入するならどちらを選んだほうがいいのかをまとめたい。

EOS 80Dは防塵・防滴構造のしっかりとした作りのボディや、視野率約100%ファインダー、シャッタースピードの1/8000秒対応など、エントリー機にはない高性能を実現しており、操作性と機能性でEOS 9000Dを上回っている。機能のカスタマイズ性も高く、カメラの使い方に慣れている方にとって扱いやすい中級者向けの一眼レフだ。

EOS 9000Dは、EOS 80Dよりもコンパクトなボディで、回折補正によるJPEG画質の向上や、補正効果の高い動画撮影時の電子5軸手ブレ補正など、DIGIC 7搭載の最新モデルとしてEOS 80Dにない部分がある。AFと画質の基本性能がEOS 80Dと変わらないばかりか、画質については上回るところもある。エントリー向け一眼レフとしては高性能で魅力のある製品だ。

EOS 80Dはしっかりとした操作性・機能性、EOS 9000Dはコンパクトボディで高性能と、それぞれ中級機とエントリー機としての違いがある。どちらを選ぶか迷っているのであれば、カメラに必要とする機能を整理してみてはどうだろうか。たとえば、すでにエントリー一眼レフなどを所有していてボディの買い替えを検討しているのなら、EOS 80Dを選んだほうができることが増えるはずだ。視野率約100%ファインダーなどエントリー機にはない操作性なうえ、AFや画面表示など細かいところの設定も変えられるので、より使いやすいようにカスタマイズして撮影ができる。いっぽうのEOS 9000DはEOS 80Dほどの多機能ではないが、はじめての一眼レフとして使用するのであれば十分。EOS 80Dよりもコンパクトで持ち運びやすいのも、初心者の方にとっては高ポイントになるのではないだろうか。

ボディ単体の価格は、2017年4月25日時点の価格.com最安価格でEOS 80Dが92,300円、EOS 9000D が99,270円。家電量販店やカメラ専門店ではラインアップの順番どおりEOS 80Dのほうが高い価格に設定されているが、価格.comではEOS 80Dが最新モデルのEOS 9000Dを価格で下回る状況が続いており、この春に価格.comで購入するならEOS 80Dのほうがお買い得と言えよう。EOS 80Dは2017年2月18日(土)〜2017年5月8日(月)を対象購入期間にしたキャッシュバックキャンペーンも実施されているので、この期間の購入であればボディ単体なら5,000円、レンズキットなら7,000円もしくは10,000円のキャッシュバックが受けられて、さらにお得。この春、EOS 80Dは絶好の買い時となっている。

ただし、1回目のレビューを公開した4月19日から1週間程度でEOS 9000Dは価格.com最安価格が1,000円以上下がっており、将来的には(このまま価格が下がればおそらく夏以降には)EOS 80Dを下回る価格になると予想される。この春に限定するのであればEOS 80Dがお買い得だが、EOS 9000DがEOS 80Dの価格.com最安価格を下回るのを待つのも手だ。現時点では9万円台の価格だが、あと1万円下がって8万円台になるとお買い得感が増す。この春にどうしても一眼レフを手に入れたいのでなければ、もう少し待ってEOS 9000Dの価格が落ち着いてから再度検討するのもいいだろう。

真柄利行

真柄利行

カメラとAV家電が大好物のライター/レビュアー。雑誌編集や価格.comマガジン編集部デスクを経てフリーランスに。価格.comではこれまでに1000製品以上をレビュー。現在、自宅リビングに移動式の撮影スタジオを構築中です。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る