子どもが公園で遊んでいる様子を追いかけながら撮影する、といったシーンを想定して、歩きながら広角側で撮影してみた。
こうしたシーンに強いのは、やはり空間光学手ブレ補正を搭載するソニー「HDR-CX680」だ。特に、強力な手ブレ補正が行える「インテリジェントアクティブモード」では、歩いているときも、勾配がゆるやかな階段をのぼるときも、ほぼブレがなく安定した見やすい映像が撮れている。次に画面が安定しているのがパナソニック「HC-W585M」だが、スタンダードモードではまだブレがあるものの、アクティブモードにするとより抑えることができた。電子式手ブレ補正のみのJVC「GZ-RX670」は、スタンダードモード時、ソニーやパナソニックに比べて効果は得にくいが、アクティブモードにしたらゆるやかな階段をのぼるシーンではブレの少ない映像になっていた。
次に望遠での手ブレをチェックするため、ゆっくり動く観覧車のゴンドラを遠くから撮ってみた。運動会やテーマーパークのアトラクションで遊ぶ子どもを、望遠で大きく映したいというシーンを想定している。こういうシチュエーションではちょっとした動きでも手ブレしやすい。
望遠でもほとんど手ブレを起こさなかったのは、ここでもやはりソニー「HDR-CX680」だ。特にインテリジェントモードでは、ゴンドラの動きにそってカメラを少し動かしてもスムーズに追従していた。パナソニック「HC-W585M」は、画面自体はさほどブレないものの、手ブレ補正を強くすると周辺部において、光量落ちや若干歪みが発生しやすく、補正しきれていないシーンが見られた。このシチュエーションでは、スタンダードモードのほうが映像としてきれいに残せていると思う。JVC「GZ-RX670」は、スタンダードモードの手ブレ補正でも十分な効果が発揮できているものの、ゴンドラの動きにあわせてカメラを動かそうとすると、引っ張られるような動きになり、この点は工夫して撮影する必要があるようだ。
最後に、強い衝撃を想定したテストを行った。
テストの様子。自転車のフレームにビデオカメラを取り付けてデコボコな石畳の上を走行した。縦方向にガタガタゆれた
たとえ三脚などでカメラを固定していても振動がカメラに伝わるシチュエーションがある。風の強い場所や床がゆれやすい体育館、乗り物の中など。今回は、そうした衝撃を多少オーバー気味に再現するために、あえて表面が粗い石畳の上を自転車で走った。
動画をご覧の通り、ここで驚きの性能を見せ付けたのが、電子式手ブレ補正のみのJVC「GZ-RX670」だ。スタンダードモードでも細かく強い縦方向の振動をきれいに打ち消しており、悪路では電子式のほうが正確に働いていると感じた。また、石畳よりていねいに舗装されている道路なら、ほぼブレなく撮影できた。
いっぽうで、これまでのテストですぐれた結果を残していたソニー「HDR-CX680」は、激しい動きに補正がついていけず、画面に歪みが出ているところがある。パナソニック「HC-W585M」も補正が追いついていない点は同じだが、主に縦方向のブレが目立つ程度で、画面に不自然なゆれは見られなかった。「HC-W585M」の手ブレ補正は、そうした意味で違和感のない手ブレ補正と言える。
※2018年2月26日追記:ソニーのハンディカムでは、三脚での撮影時に「おまかせオート」で撮ると、状況に応じて手ブレ補正が自動的にオフになることがあります。
今回の検証実験においても、このような状態になった可能性がありますが、ひとつの検証結果として参考程度にご覧ください。
ブレとひと口に言っても、振動の違いによってさまざまなブレがあり、それに応じて手ブレ補正の効き目も変わってくるのがわかった。また、光学式に比べて不利と思われた電子式の画質も、動画を見比べてみるとわかるとおりそれほど悪くない。画角についても気にならないレベルで、実用十分的と言える。
各モデルについて見ていくと、空間光学手ブレ補正を採用したソニー「HDR-CX680」は、子どもの成長記録では持ってこいの1台だ。子どもを追いかけながら近くで撮るのも、運動会など離れたところからズームで撮るのも、広角から望遠まで片手持ちでもとても手ブレしにくくなっている。いっぽう、光学式と電子式を搭載するハイブリッドタイプのパナソニック「HC-W585M」は、「HDR-CX680」に比べて広角側のブレには弱かったが、逆に望遠側ではスタンダードモードでも、ソニーに匹敵するほどのハイレベルな手ブレ補正を実現している。また、強い衝撃に対して自然な手ブレ補正を行っていたのは好印象だ。
電子式のJVCは、光学式が苦手としていた鋭い衝撃に対してはむしろ強みを見せた。今回検証したように、カメラを固定した状態でも振動が伝わるシーンでは、良好な結果が得られるだろう。また、アウトドアなどの足場の悪いところで手持ちで撮影するときも、その威力を発揮してくれるはずだ。屋内スポーツ、体育館で行う競技のフォームチェック用や、アクションカムのように自転車につけてアクティビティなどを記録するための用途にも活用できそうだ。
編集部の平均体重を底上げしている下っ端部員。アキバをフィールドワークにする30代。2015年4月、某編集部から異動して価格.comマガジン編集部へ。今年こそ、結果にコミット!