プロが教える”必撮”写真術
「女性モデルの撮り方」のコツ教えます

グラビア撮影現場から、プロカメラマンのリアルな技を盗め!【前編】

今回は、銀塩時代から活動するプロカメラマンの私、中居中也が、女性モデルさんを撮影するうえで役に立つポイントを“実際の現場”からお伝えしていきます。いい機材を買ったんだけど、仕上がりがいまいち……なんて方は、こちらを踏まえて実践すれば、写真がワンランク上の仕上がりになるはずですよ。

ということで、当日の時系列に沿って、プロは撮影時に何を考えているのか、何に気をつけているのかなどを記していきますね。

≪撮影当日は、雨……≫

雨です。暗いです

この日はごらんのとおり朝から、雨、雨、雨……絶望的な天気です。う〜ん、今日だけは晴れてほしかったのです。女性をきれいに写すグラビア撮影(注)で、天気が悪いとは、うーーん……

注:本来グラビアとは「印刷形式」の一種を意味するのだが(写真がキレイに見えるヤツね)、世間ではいつの間にか、女子アイドルやモデルの写真が「グラビア写真」と言われるように……。というわけで、本撮影も「グラビア撮影」という呼称で統一することにします

そんなわけで、到着したハウススタジオの中は予想どおり暗い……。写真を撮る条件としては、まったくひどいもの……、とはいえ私も プロカメラマンの端くれ。こんな悪天候くらいで負けてはいられません! この超逆境の中、グラビア撮影に挑みます!

スタジオはこのとおり、暗〜い感じです。晴天であれば、もっと明るいはず……

スタジオはこのとおり、暗〜い感じです。晴天であれば、もっと明るいはず……

≪モデルの霧島さん、入りまぁ〜す!≫

そうこうしていると、本日のモデルさん、 霧島聖子さんの「現場入り」です。 彼女は一流レースクィーン(RQ)として活躍されているようです。(先日の「CP+」では Synologyブースを担当されたもよう)

撮影前に編集者を通して彼女から「どんな服を持っていけばいいですか?」と聞かれており、「春らしく、ウキウキするような服で」とお答えしておりました。

撮影日の前から、試合はすでに始まっている!

この時点から霧島さんとのコミュニケーションが始まっています。具体的な指定をしなかったのは、「今回はかわいけりゃなんでもよかった」というぶっちゃけた理由と、「ウキウキ」って言葉が入っているだけで、撮影が楽しみに思えてくるかも……と、期待を込めた、ちょっとしたお遊びみたいなもんですかね。

この ステルス・プレ・コミュニュケーション(?) が功を奏したのかは不明ですが、ひと通りのあいさつを済ませると、すぐに自然と「撮影モード」に!

≪最初に、プレ・シューティング ≫

雨天ではありますが、太陽光の実力を試すため、かろうじて光のある窓際で撮影を開始します。この「プレ・シューティング」は、初対面である霧島さんの表情などを探るためのテストも兼ねています。

懸案の光なんですが、露出をこれくらい明るくすると……うーん、 ISO400 1/20秒 と、なかなか厳しい値となっています。

グラビア撮影でのISO感度はできれば400までにしたい!
やむを得ないときでも、ISO800がギリってところかな……。

※最近のデジタルカメラ、高感度ノイズは抑えられているとはいえ、感度を高くするほどコントラストも高くなっていきます。思わず触りたくなるようなやわらかいお肌の表現をしたいグラビア撮影では、私の「ISO選択感」はこんな感じです。

雨天の自然光は弱いので、撮影の露出値も落ちてきます(シャッタースピードが遅くなるなど)。ここでうっかり室内灯を消さずに撮ると、その光が人物のシャドー部(影の部分)にかぶってくるので注意が必要です。この現場の室内灯は「白熱電球 (プロ的には タングステンと呼ぶ)」でしたので「オレンジ色かぶり」を起こし、たまたま暖かな印象の写真になりました。これはアリと言えばアリなんですけどね(夜っぽい感じが出ちゃいますけど……)。

よくある室内灯のLED電球や蛍光灯下では、グリーンなど嫌な色の光がお顔にかぶってしまい、血色の悪い肌色になってしまうところでした。

外光が弱いときは室内灯の消灯を忘れずに!
※あえてかぶらせたいときはその限りではない

≪いよいよ”本番撮影”開始!≫

速いシャッタースピードは使えないものの、窓からの自然光だけでもなんとか撮れるだろうとわかりました。ただ、レフ板は絶対必要!とも思ったのです。

仮に天候がよくても、グラビア撮影では折りたためて携帯便利な「丸レフ」が必須機材とも言えます(今回は直径100cmのものを使用)。

レフは「光の方向と反対側」に設置するのが基本! 上からの光だと「下」、左からなら「右」!てな具合。(しかし、下からの光に「上」というのは通常はありません)

一般的な丸レフは、白/銀 になっており、グラビアを撮る場合は「白」が基本です(肌がギラつく「銀」は、うら若き女性にはそぐわないと個人的に思う)。

レフ板は、必ずお顔(モデル)に近く、光があるところに設置しましょう。白レフは遠いとその効果を得ることはできません。できるだけ近くに寄せることが大切です(フレームインするギリまで。調整が必要なので、誰かに持ってもらうのが吉!)。

≪作例、公開します!≫

ではお待ちかね、いよいよ作例です!

ほら!こーんな悪天候にも関わらず、霧島さんのお顔が美しく照らされていますよね! 寄って見ると、お肌の質感がとてもぷるぷると写っていることがわかります。

レフが丸いと、アイキャッチも丸く写ります(さらにクロップした画像)

レフが丸いと、アイキャッチも丸く写ります(さらにクロップした画像)

四角いレフを使ったキャッチより、やさしい印象になるという利点があります(この場合、レフの全面に光が当たっていないため、少し欠けた丸になっていますけどね……)。
そこそこのものは撮れたと思うのですが……

プロ的には何かが足りない。もうひと味欲しいなぁ(表現への追求……)

ここでプロ的にはさらなる演出を施してみます。椅子の背もたれをあえて「ケリもの」として画面に入れ込んでみました。

そうして撮ったのがコチラ!

SONY α9 [ ISO400 1/40sec ] + LEICA SUMMICRON-R90mm [ f2.0 ]

SONY α9 [ ISO400 1/40sec ] + LEICA SUMMICRON-R90mm [ f2.0 ]

大きな写真(3000×2000 pixel 710KB)はこちら

あえて、前ボケにケリものをいれて、ドラマに深みを持たせる

普段の生活で「ふと見た大好きな彼女に微笑みかけられている……」的なリアリティのあるドラマが追加されました!!(ま、このあたりは好みの分かれるところかもしれませんが……)

ここで強引に話を元に戻します、「レフなし」例をお見せするのを忘れておりましたもので(完成写真と見比べてみてください)、晴天の場合だと、もっと部屋の壁の反射光があるので、レフ板がなくても、もう少しお顔が明るく写ると思いますけど、今日の曇天ではさすがにレフ板が必要でした。

≪仰向け女子を”ふかん”で撮ってみる≫

続いて、撮影場所を別の部屋に移しました。この部屋の窓は先ほどより大きく、マンション部屋では一番大きいクラスの窓ではないかと思います(幅120×高さ180cmくらい)。

ここで霧島さんには、窓近くのベッドに仰向けで寝ていただきました。この方法を選んだ理由は、低い位置での仰向けは、窓の光を効率よく受けることができるからです。ま、”苦肉の策感”は否めませんが、早速この作戦を試しましょう。

はい! すぐに成果物を見せちゃいまーす!

SONY α9 [ ISO400 1/400sec ] + LEICA SUMMICRON-R50mm [ f2.0 ]

SONY α9 [ ISO400 1/400sec ] + LEICA SUMMICRON-R50mm [ f2.0 ]

大きな写真(3000×2000 pixel 758KB)はこちら

ほら、霧島さんがいっそう美人に写っているでしょ? 苦肉とは言っていましたが、ちょっと謙遜気味でした。これも経験による計算下にありましたので……。

勝因は、高さが180cmある窓の光を上から下まで有効に使えたということ(被写体が低い位置ですからね)。ライティングでたとえるなら、この窓は「大きな面光源」ということ。なるほど、キレイに撮れるのも納得します。おまけに、シャッタースピードも1/400秒になって、撮影条件もさっきより向上しました。

しかし「仰向け女子、ふかん撮影」には、見逃してはいけない”地雷”があるから気をつけてください。これは大変大事な注意点です。

この撮影で大事なことは、モデルさんの頭の上から撮るということ。決して下から撮ってはいけません。

ちなみに、お顔の下側から撮ると、このように写ります。

重力により、アゴのラインが崩れたり、首筋が二重になったり、鼻の穴がでかくなったりして、女子(モデル)に嫌われる可能性が高くなります。いっぽう、上から撮ると目線が上になり、女子力を高める効果も期待できるのです。

本当はこの絵は掲載したくなかってのです。しかし、霧島さんには申し訳ないのですが、ここで「ダメな例」も表示しないと本稿の真意が伝わりませんもので……。
完成写真に戻って見比べていただくと一目瞭然! 上から撮ったほうが断然いいことがおわかりいただけたでしょうか!?

≪白い壁・狭い部屋のバストアップ・ポートレイト≫

白いクロス貼りの狭い部屋は白いスタジオのようなもの
窓の光だけで、レフ板で囲まれているみたいな状況。つまり、そのままで美しいグラビアポートレイトが撮れるという、撮影者としては夢のような空間でもあるのです。

そして、白のクロス壁は、スタジオの「白背景」の替わりになるという点もすばらしい! 白背景ポートレイトは王道なのです。

ただし、次のことを知らないとせっかくのキレイな照明効果が台なしになるおそれがあるのでご注意を。

背景壁まで、少し距離をとること!

SONY α9 [ ISO400 1/60sec ] + LEICA SUMMICRON-R90mm [ f2.0 ]

SONY α9 [ ISO400 1/60sec ] + LEICA SUMMICRON-R90mm [ f2.0 ]

左が ぷちテクどおり、壁から少し距離をとり撮影したポートレイト。 白壁の狭いマンション部屋、侮るべからず! ってことでしょう(狭くて白い部屋の照明効果例でもある)。

いっぽうの右。モデルが壁とベタづきだと「壁に影が落ちる」「背景に空気感が生まれない」など”奥行き感を損なう”結果になります。さらに悪いことに「クロス生地のテクスチャーまでピントが合ってしまう」という、生活感漂う残念な写真になってしまいます。

この簡単なコツを知っておくだけで、あなたのポートレイト写真はすぐにステップアップするはずですよ。

≪後編に続きまーす!≫

ということで、グラビア撮影の裏側、前半はここまで。後編は光を駆使して”あの雑誌風”に撮った作品などをお見せしますよ!

で、今回使ったカメラとレンズの撮影機材は、たったこれだけ。ほとんど50mmレンズを使い、たまに90mmレンズを使いました。いずれも開放値が大して明るいとはいえない「F2.0のレンズ」。レンズの数が多いからっていい写真が撮れるわけではありませんからね。
 
ボディはソニーの「α9」、そしてメイキング画像(撮影風景です)を撮った機材は同じくソニーの超小型カメラ「RX0」でした。

有限会社パンプロダクト代表 
中居中也(なかい・なかや)のショップとブログ

「使える機材のセレクトショップ」
「使える機材Blog!」

中居中也

中居中也

銀塩カメラマンとして広告や雑誌でキャリア開始。2010年より「唯一無二の撮影機材通販」にも参入。写真が上手になると定評があるブログを参考にするカメラマン続出中!

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン タイムセール
「価格.comマガジン」プレゼントマンデー
ページトップへ戻る