高画質と高画素にこだわるオリンパスは、連写した複数枚のショットを合成して高解像度な画像を作り出す「ハイレゾショット機能」を開発した。OM-D E-M1 Mark IIのハイレゾショット機能は三脚が必要だったが、今度のOM-D E-M1 Mark IIIには手持ちハイレゾが搭載され、16枚の画像を重ねて約5000万画素が得られる。ちなみに三脚モードもあり、こちらは約8000万画素で撮影できる。
撮影してみると、三脚ハイレゾの方が高解像度だが、比べて見ると手持ちハイレゾはコントラストが高くクッキリした画質である。これなら画素数を稼ぎたいという場合以外は、手持ちハイレゾを使った方が画質的に優位性があると思えた。OM-D E-M1 Mark IIとの比較では、ほとんど差異がなかったが、こちらは三脚を使わなければ撮れないため実用性はかなり低くなる。作例では軒先のツタが風で揺れたためブレているが、以前のようにタテ縞が現れるような不自然な現象は起こらなくなった。次回はパナソニックのLUMIXシリーズで採用しているようなハイレゾモードの動き補正機能を搭載していただきたい。手持ちハイレゾショットは今回、OM-D E-M1 Mark IIと比較して最もアドバンテージのある機能だった。
ハイレゾショットの撮影方法に手持ちという項目が追加された
OM-D E-M1 Mark III、L FINEモードでのノーマル撮影
OM-D E-M1 Mark III、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、24mm(35mm判換算48mm)、ISO200、F5.6、1/400秒、絞り優先AE
撮影写真(5184×3888、9.06MB)
手持ちハイレゾショットによる撮影
OM-D E-M1 Mark III、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、24mm(35mm判換算48mm)、ISO200、F5.6、1/400秒、絞り優先AE
撮影写真(8160×6120、23.4MB)
三脚ハイレゾショットによる撮影
OM-D E-M1 Mark III、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、24mm(35mm判換算48mm)、ISO200、F5.6、1/400秒、絞り優先AE
撮影写真(10368×7776、36.1MB)
左が手持ちハイレゾで右が三脚ハイレゾの100%表示のキャプチャー画面。ほぼ同じ条件で撮影しているが左の方がシャープな輪郭でクッキリした画像に見える
OM-D E-M1 Mark IIで撮影した三脚ハイレゾショット
OM-D E-M1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、21mm(35mm判換算42mm)、ISO200、F8、露出補正-1.0EV、1/500秒、絞り優先AE
撮影写真(8160×6120、21.9MB)
露出をマイナス補正したため左のOM-D E-M1 Mark IIの画像がやや暗いが、右の手持ちハイレゾのOM-D E-M1 Mark IIIと比較して、どちらもそん色ないことがわかる
OM-D E-M1 Mark IIIのもうひとつの進化ポイントに「顔優先/瞳優先AF」がある。顔、瞳を検出する精度、追従性、レスポンスが大幅に向上したという。これは気になる。さっそく比較してみよう。検証に使ったレンズは「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」である。撮影後に気付いたのだが、これがミスチョイス。もっと開放絞り値の明るい単焦点レンズを使うべきだった。絞り開放のF2.8で撮ってもフォーサーズは結構被写界深度が深いためピントが合う範囲が広かった。
OM-D E-M1 Mark IIとOM-D E-M1 Mark IIIで撮り比べてみると、OM-D E-M1 Mark IIでは認識できなかった横顔での瞳認識、そして瞳が認識されるまでのレスポンスも確かに大幅に向上している。しかし、OM-D E-M1 Mark IIでも瞳は認識できないが、顔は認識できる。すると12-24mmF2.8で撮ると瞳にもピントがきた画像が得られるのだ。そういえば今までこのレンズでポートレートを撮っていて瞳AFが効かなくて困ることはなく顔認識で結果オーライだった。確かにスナップ撮影でAFを使っている時に顔認識が効かなくてピンが外れることがあったが、OM-D E-M1 Mark IIIなら顔優先モードONでスナップ撮影ができるかもしれない。これでE-M1も他社の瞳AFに追いついたことを実感した。
OM-D E-M1 Mark IIIならこのアングルで瞳優先AFの左目優先が認識される
OM-D E-M1 Mark III、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、25mm(35mm判換算50mm)、ISO320、F5.6、1/60秒、絞り優先AE
撮影写真(5184×3888、2.04MB)
ほぼ横顔だがOM-D E-M1 Mark IIIなら瞳優先AFの枠が右目に現れる
OM-D E-M1 Mark III、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、26mm(35mm判換算52mm)、ISO200、F2.8、露出補正+0.7EV、1/250秒、絞り優先AE
撮影写真(5184×3888、1.67MB)
OM-D E-M1 Mark IIの場合は、このアングルでは瞳が認識できないが、顔優先AFでピントは合う
OM-D E-M1 Mark II、M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO、30mm(35mm判換算60mm)、ISO800、F2.8、露出補正+0.7EV、1/500秒、絞り優先AE
撮影写真(3200×2400、0.8MB)