レビュー
さらにストイックになったお散歩カメラ

富士フイルム「X-E4」と「XF16mmF1.4 R WR」で飯田橋と善福寺川の春を探す

オプションのグリップを付けたX-E4に広角レンズ「XF16mmF1.4 R WR」を装着したところ

オプションのグリップを付けたX-E4に広角レンズ「XF16mmF1.4 R WR」を装着したところ

ミラーレスはペンタプリズムが不要なためデザインの自由度が高く、各社に個性派モデルが存在する。富士フイルムX-Eシリーズはレンジファインダーカメラを思わせる外見と操作性で他社にはない存在感を発揮。私も散歩カメラとして「X-E3」を愛用している。

今回、3年半ぶりに新モデル「X-E4」が発表された。ボディ内手ブレ補正なら速攻で購入しようと待ち構えていたのだが、厚みが増えるという理由から内蔵は見送られた。その代わりに液晶モニターがチルト式になり、ボタンやダイヤルが整理され、カーブを描いたエッジも直角に、グリップも省略されて、シンプルな形へと生まれ変わった。

これらの変更はX-Eシリーズにどんな変化をもたらしたのか。X-E3とX-E4に大口径広角レンズ「XF16mmF1.4 R WR」など数本の交換レンズを持って、写真家、小平尚典氏とともに都内でスナップを試みた。

純正オプションのグリップを付けるべきか?

X-E4は前後のグリップをなくしたため、カメラのホールド性は甘くなった。これを解決するのが純正オプションのメタルハンドグリップとサムレストだ。従来からあったサムレスト、これは効果的である。今回、登場したグリップはベースはガッチリした金属製、グリップ部分はシボ革仕上げ風になっており、さらに三脚ネジ穴はセンター配置、アルカスイス互換ミゾがベースに切ってあり、クイックシュー的にも使える。また、グリップを外さずにSDメモリーカードと電池を交換できるようになっているなど機能性にも文句ナシ。価格は多少張って11,550円、ちなみにサムレストは8,690円である。

実際に装着するとグリップ感が向上して持ちやすい、ブレにくい。しかし、パンケーキレンズぐらいであればなくても問題ない。軽いレンズなら、サムレストのみで十分だ。では具体的にはどのぐらいからグリップがほしくなるかと言えば350gを超えるレンズぐらいから、たとえば大口径広角レンズ「XF16mmF1.4 R WR」とか、広角ズーム「XF10-24mmF4 R OIS」とか標準ズーム「XF16-80mmF4 R OIS WR」などを使う時である。レンズヘビーでボディとのバランスも悪くなるが、グリップがあればいける。重いレンズを多用しないならグリップよりサムレストがオススメだ。

X-E4の同時発表された「XF27mmF2.8 R WR」は35mm相当で絞り環付きのパンケーキレンズ。写真はオプションの金属製フードを装着。カメラボディにはオプションのグリップを装着、これも悪くない

X-E4の同時発表された「XF27mmF2.8 R WR」は35mm相当で絞り環付きのパンケーキレンズ。写真はオプションの金属製フードを装着。カメラボディにはオプションのグリップを装着、これも悪くない

グリップを外した状態のほうがシンプルで精悍、パンケーキレンズがよく似合う

グリップを外した状態のほうがシンプルで精悍、パンケーキレンズがよく似合う

X-E4用のオプションのグリップは、X-E3よりも厚みがあって持ちやすい

X-E4用のオプションのグリップは、X-E3よりも厚みがあって持ちやすい

電池交換を妨げないように、グリップベースにはしっかりと穴が開いている

電池交換を妨げないように、グリップベースにはしっかりと穴が開いている

サムレストはブラックとシルバーがあり、指が当たる部分は滑り止めのラバーが張られている

サムレストはブラックとシルバーがあり、指が当たる部分は滑り止めのラバーが張られている

X-E4とX-E3の操作性の違いは

私は普段、絞り優先AEを使って撮影することが多いが、X-E3でスナップする際は手ブレ補正がないのでシャッター速度優先で撮影することもある。そのためISO感度をオートにして最低シャッター速度を設定しておく。超広角レンズを使う時はMFにして被写界深度を使ってピントを合わせるため、絞りはF8に固定。このように通常とは異なる設定でもX-E4はX-E3と同様に違和感なく設定して撮影できた。

唯一、問題があるとすればボディ正面にあったAFとMFの切り替えスイッチがなくなったことだ。スナップではよく使う機能なので結構とまどう。対応策としてはクラッチフォーカス付きのレンズを使うことで、これならレンズ側でAFとMFを素早く切り替えられるのだが、一部のレンズにしか搭載されていないのが残念だ。後ろダイヤルが省略されたのでマニュアルモードで、前後でシャッター速度と絞りを操作できなくなったことも残念だが、Mモード以外では問題ない。

よくなった点としてはシャッター速度ダイヤルにPモードが追加されたこと。それからクイックメニューを呼び出すQボタンが背面でなく上面に移動された。EVFをのぞいたままでも押しやすくなったので、慣れれば便利かもしれない。液晶モニターがチルト式になったのは非常にメリットがあり、ローアングルもハイアングルも大幅にカバーできる範囲が広がった。むしろ私が使っているデジカメでチルトなしはX-E3だけなので、今までが不便過ぎたとも言える。

ついに搭載されたチルト式液晶モニター。散歩にはバリアングルよりチルトが適している

ついに搭載されたチルト式液晶モニター。散歩にはバリアングルよりチルトが適している

シャッター速度ダイヤルに追加されたPのポジション、ダイヤル周りがスッキリした

シャッター速度ダイヤルに追加されたPのポジション、ダイヤル周りがスッキリした

高級単焦点レンズに採用されるクラッチフォーカスがあれば素早くMFとAFが切り替えられる

高級単焦点レンズに採用されるクラッチフォーカスがあれば素早くMFとAFが切り替えられる

X-E4に似合う単焦点レンズは何か?

今回は散歩で最も使う24mm相当の画角の「XF16mmF1.4 R WR」を借用した。普段はF2.8を使っているのだが、取材と言うことで贅沢させてもらった。この広角レンズは寄れる、ボケるので、広角の弱点である周囲が写り過ぎて主役が目立たない問題を解決できる。ボケ味も自然で、重量級であることを除けば散歩最強レンズと言える。まあ超広角ズームを付けることを考えると、16mmが375g、10ー24mmが385gなので、ほぼ同じ重さだ。いさぎよく単焦点1本を選べば重くはない。ちなみに「XF16mmF2.8 R WR」なら155gである。軽いレンズ2本持ちも候補に入れると悩みは尽きない。

今回、選んだレンズは「XF16mmF1.4 R WR」とパンケーキの「XF27mmF2.8 R WR」、中華レンズの七工匠「7artisans 35mm F1.2」と「7artisans 12mm F2.8」の計4本。35mm換算では、15mm、24mm、41mm、52mmとなる。セレクトしたカット数が多かったのは16mm、ついで27mmだった。やはり私の散歩レンズの画角は24mm相当で、意外と41mmも使えることが判明。2本体制なら16mmがメインで、もう少し狭い画角が欲しくなったら27mmを使うのがよさそうだ。

最後はX-E4と上記レンズを使った作例をまとめて掲載する。せっかくなので絞りは基本開放。広角レンズならではの地味にボケるのも味わい深かったが、選んだのは派手にボケる写真ばかりだった。

24mm相当の広角でも接写となればかなり手前も奥もボケが得られる

24mm相当の広角でも接写となればかなり手前も奥もボケが得られる
FUJIFILM X-E4、XF16mmF1.4 R WR、F1.4、1/10000秒、ISO160、+0.33EV、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、10.8MB)

色褪せたキンミヤの瓶。クラシッククロームを使わなくても渋い色合いになった

色褪せたキンミヤの瓶。クラシッククロームを使わなくても渋い色合いになった
FUJIFILM X-E4、XF16mmF1.4 R WR、F1.4、1/680秒、ISO160、+0.33EV、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、10.8MB)

錆びたベスパ。なんとナンバー付きで現役だ。後ろの軽トラはナンバーごとボケてくれた

錆びたベスパ。なんとナンバー付きで現役だ。後ろの軽トラはナンバーごとボケてくれた
FUJIFILM X-E4、XF16mmF1.4 R WR、F1.4、1/1800秒、ISO160、+0.33EV、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、11.8MB)

X-E4と同タイミングで発表された「XF27mmF2.8 R WR」は絞り環付きで使いやすく、X-E4にふさわしい1本だ

X-E4と同タイミングで発表された「XF27mmF2.8 R WR」は絞り環付きで使いやすく、X-E4にふさわしい1本だ

小平氏の撮った1枚。神社の石畳の反射が白飛びせずに表現された

小平氏の撮った1枚。神社の石畳の反射が白飛びせずに表現された
FUJIFILM X-E4、XF27mmF2.8 R WR、F2.8、1/3000秒、ISO100、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、14.9MB)

逆光で撮った阿佐ヶ谷の路地。少しまぶしく白っぽい光に包まれた

逆光で撮った阿佐ヶ谷の路地。少しまぶしく白っぽい光に包まれた
FUJIFILM X-E4、XF27mmF2.8 R WR、F5.6、1/240秒、ISO160、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、12.9MB)

細い階段の奥は食堂だろうか、階段の暗部がつぶれずに何とか協会があることも判明

細い階段の奥は食堂だろうか、階段の暗部がつぶれずに何とか協会があることも判明
FUJIFILM X-E4、XF27mmF2.8 R WR、F5.6、1/500秒、ISO160、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、13.2MB)

とっさのスナップにもAFが追従したのだが、やや手ブレしている

とっさのスナップにもAFが追従したのだが、やや手ブレしている
FUJIFILM X-E4、XF27mmF2.8 R WR、F5、1/160秒、ISO160、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、12.2MB)

約2万円で購入できる明るい大口径MFレンズ、七工匠「7artisans 35mm F1.2」を付けた。ピントはじっくり合わせる

約2万円で購入できる明るい大口径MFレンズ、七工匠「7artisans 35mm F1.2」を付けた。ピントはじっくり合わせる

飯田橋、小平氏写真展の床の影。床はフローリング柄のシートだが本物にしか見えない

飯田橋、小平氏写真展の床の影。床はフローリング柄のシートだが本物にしか見えない
FUJIFILM X-E4、7artisans 35mm F1.2、F1.2、1/280秒、ISO160、+0.67EV、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、1.64MB)

オールドレンズに近いボケ味の大口径レンズ。背景がうるさいシチュエーションで頼りになる

オールドレンズに近いボケ味の大口径レンズ。背景がうるさいシチュエーションで頼りになる
FUJIFILM X-E4、7artisans 35mm F1.2、F1.2、1/1000秒、ISO160、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、1.5MB)

公園の遊具のコアラをポートレートっぽく撮った。レンズの描写はやわらかい

公園の遊具のコアラをポートレートっぽく撮った。レンズの描写はやわらかい
FUJIFILM X-E4、7artisans 35mm F1.2、F1.2、1/8500秒、ISO160、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、9.89MB)

七工匠の超広角レンズ「7artisans 12mm F2.8」はピント固定で絞りもF8固定でスナップしている

七工匠の超広角レンズ「7artisans 12mm F2.8」はピント固定で絞りもF8固定でスナップしている

オブジェ風のすべり台。黄色い部分が巨大なのだが子供いないためサイズ感がわからない

オブジェ風のすべり台。黄色い部分が巨大なのだが子供いないためサイズ感がわからない
FUJIFILM X-E4、7artisans 12mm F2.8、F2.8、1/45秒、ISO160、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、14.1MB)

善福寺川に出て散歩も終わりに近づく。犬が駆け寄ってきた瞬間を1枚

善福寺川に出て散歩も終わりに近づく。犬が駆け寄ってきた瞬間を1枚
FUJIFILM X-E4、7artisans 12mm F2.8、F2.8、1/170秒、ISO160、絞り優先AE
撮影写真(6240×4160、14.1MB)

ゴン川野

ゴン川野

カメラとオーディオが専門のライター。モノクロフィルムの現像、カラーのプリントを経て、デジカメ時代に突入。現在は仕事もプライベートもミラーレスOLYMPUS OM-D E-M1MK2を愛用。「阿佐ヶ谷レンズ研究所」にて掲載記事をまとめて発信中。

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